JPS6350837Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は変圧器等油入電気機器のケースに係
り、その目的とするところは、比較的小容量の変
圧器等の電気機器において、冷却能力に優れ、し
かも、製作工数の低減を可能とした電気機器用の
ケースを得ることにある。

一般に油入変圧器等のケースは、機器の中身を
収容するケースと、機器の運転中により生ずる中
身の温度上昇を所要の規定値内に保持させるに必
要な放熱器とによつて設けられている。そして、
上記放熱器としては、従来から種々のものが使用
されているが、近年、最も熱放散性の良い放熱器
の１つに波形突出状のリブを有する所謂波形放熱
器がある。この放熱器は、金属薄板を波形に折り
曲げて一定の間隔で波形のリブを設け、絶縁油を
ケース内からこのリブ内に循環させて絶縁油の冷
却をはかつている。そして、上記波形の放熱器が
採用される理由は、放熱リブの高さ、放熱リブの
突出度、ピツチ等を自由に選択して製作すること
が可能なためであり、変圧器等油入電機用ケース
の放熱設計において、自由な放熱面積が得えられ
るためである。

然るに従来、波形の放熱リブからなる放熱器を
備えた比較的小容量の変圧器等油入電気機器用の
ケースは、第１図乃至第２図に示すように、矩形
状の上部枠体１と下部枠体２とを、これら各枠体
１，２のコーナー部において支柱３に溶接により
連結固定せしめてケース枠体４を形成し、このケ
ース枠体４の両側には、帯状鋼板を順次波形に折
り曲げて、一定間隔毎に波形突出状の放熱リブ５
を形成し、この放熱リブ５の上下端縁を絞り加工
した後、この部位を溶接によりシールして設けた
放熱器６を溶着し、ケース枠体４の前、後には、
平板７をそれぞれ溶着し、更に、下部枠体２に底
板２ａを溶着して、放熱リブ５付の放熱器６を備
えた変圧器等油入電気機器用のケース８を製作し
ていた。しかし、上記ケース８の構造では、ケス
枠体４を形成するのに、上，下部枠体１，２と支
柱３とを必要とし、更に、このケース枠体４に、
放熱器６と平板７とを用いてケース８が製作され
ているので、ケース８の製作には多くの部品を必
要とすると共に、部品点数の増加により溶接個所
も必然的に多くなり、そのために溶接ミスが生じ
やすい等、油入電気機器用ケースの製作には、手
間と時間がかかるため量産性に乏しく、しかも、
製作工数、部品点数の増加によりケースの製作原
価を高くする欠点があつた。

本考案は、上述の欠点を除去して、部品点数お
よび組立工数を著しく低減して量産性に優れ、経
済的な製作を可能とした波形の放熱リブを有する
放熱器を備えた変圧器等油入電気機器用のケース
を提供するもので、以下本考案の実施例を第３図
乃至第５図により説明すると、１１は本考案のケ
ースで、このケース１１の胴部１１ａは第５図に
示すように、コ字状となつた一対のケース部材１
２を角筒状に組合せて形成され、その製作に際し
ては、所要の幅寸法を有する帯状鋼板をプレスに
よりコ字状に折り曲げる際、上記ケース部材１２
の橋絡部１２ｃに相当する位置に、第５図に示す
ように、ブツシングの挿通孔１３と、後述する放
熱器１４とケース１１内とを連通させるための縦
長な窓孔１５とをそれぞれプレスにて打ち抜いて
から、この帯状鋼板をケース部材１２の長さに相
当する寸法で切断し、次に切断された鋼板をコ字
状に折り曲げて、橋絡部１２ｃの両側に折り曲片
１２ａ，１２ｂを有するケース部材１２を形成
し、このケース部材１２の折り曲片１２ａ，１２
ｂ同志を当接させてその上方から下方にかけて一
体的に溶接して、角筒状をなしたケース１１の胴
部１１ａを形成する。そして、上記放熱器１４
は、ケース１１の窓孔１５の高さ寸法に相当する
幅寸法を有する帯状鋼板を用いて波形に屈曲せし
め、一定間隔ごとに波形突出状の放熱リブ１４ａ
を設けることにより、この放熱リブ１４ａによつ
て冷却媒体である絶縁油を流すための流路が形成
されており、この放熱器１４を、その放熱リブ１
４ａを外側に向けて上記窓孔１５を覆つてケース
部材１２に溶着せしめて、ケース１１の放熱器１
４を形成する。１６はケース１１の下部を被覆す
る底板、１７はケース部材１２の成形加工時の上
方端において外側に向けて水平に折曲形成した図
示しないカバー取付用のフランジ、１８はケース
１１のベースである。

本考案は上述のように、所要の幅寸法を有する
帯状鋼板をコ字状に折り曲げて一対のケース部材
１２を形成し、このケース部材１２の各橋絡部１
２ｃにブツシングの挿通孔１３と、波形突出状の
放熱リブ１４ａを有する放熱器１４とケース１１
内とを連通させるための窓孔１５とを開口し、上
記一対のケース部材１２の各折り曲片１２ａ，１
２ｂ同志を溶着して角筒状のケース１１の胴部１
１ａを形成し、上記ケース部材１２に窓孔１５を
覆つて上記放熱器１４を溶接により取付け、更に
ケース１１底面に１６を貼設することにより、放
熱リブ付放熱器１４を備えた比較的小容量の変圧
器等油入電気機器用のケース１１を形成するよう
にしたもので、本考案は小容量の油入電気機器用
のケースの製作に当り、従来のように、上，下部
の枠体１，２を支柱３により連結してケース枠体
４を設け、このケース枠体４に放熱器６と平板７
とを所定位置に溶着してケース８を製作するもの
のように、溶接個所が多く、しかも、組立工数が
多いというものとは全く異なり、本案は上述従来
の欠点を除去したもので、即ち、ケース１１の胴
部１１ａは一対のコ字状のケース部材１２の折り
曲片１２ａ，１２ｂ同志を溶接により接合して角
筒状の胴部１１ａを形成するとともに、ケース部
材１２を曲成する前に放熱器１４取付用の窓孔１
５を打ち抜き、放熱器１４を窓孔１５を覆つてケ
ース部材１２に溶接するのみで油入電気機器用の
ケース１１を設けることができるので、本案ケー
ス１１の組立工数は大幅に軽減でき、しかも、従
来のように、上，下部の枠体とか、支柱３を用い
てケース枠体４を製作する必要はなく、コ字状に
成型加工した一対のケース部材を互いに衝き合
せ、この衝き合せ部を溶接するだけでよいので、
ケース１１自体の組立工数の低減と相いまつて溶
接個所も著しく減少でき、この結果、ケース１１
を経済的に製作することができる。又、ケース１
１の組立に際しては、溶接個所がケース部材１２
同志の接合部と、放熱器の取付部と、更に胴部１
１ａへの底板１６取付時のみであるため、ケース
１１組立の自動化がはかられ、油入電気機器用ケ
ースの生産性を一段と向上させることができる。
更に、ケース１１の胴部１１ａは、コ字状のケー
ス部材１２を角筒状に組合せて形成され、しか
も、ケース部材１２の橋絡部に放熱器を取付ける
構造となつているため、胴部１１ａ自体は特別な
補強材（従来の支柱３相当するもの）を必要とす
ることなく機械的強度を高めて製作することがで
きるので、小容量の変圧器等油入電気機器用のケ
ースとして最適に利用できる等、幾多の優れた効
果を有する。

尚、本案は、放熱器１４をケース部材１２の橋
絡部１２ｃに、窓孔１５の覆うようにして溶着し
た例について説明したが、上記窓孔１５は、ケー
ス部材１２の橋絡部１２ｃから折り曲片１２ａ，
１２ｂの１部にまたがつて開口し、この窓孔をふ
さぐようにして放熱器１４を取付けて、ケース１
１の放熱面積を増大させるようにしても本考案は
成立するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の油入電気機器用ケースの正面
図、第２図は上記ケースの分解斜視図、第３図は
本考案のケースの正面図、第４図は斜視図、第５
図は本案ケースの分解斜視図である。 １１…ケース、１１ａ…胴部、１２…ケース部
材、１４…放熱器、１５…窓孔、１６…底板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 帯状鋼板をコ字状に折り曲げて一対のコ字状の
   ケース部材を形成し、これら一対のケース部材の
   橋絡部に窓孔を開口して上部一対のケース部材の
   折り曲片を互いに接合して角筒状のケースの胴部
   を形成し、この胴部の両側に波形突出状の放熱リ
   ブを設けた放熱器をケース部材の各窓孔を覆つて
   取付け、更に、胴部の下部には底板を取付けて成
   る油入電気機器のケース。