JP6328828B1 - 油入変圧器及びそれに用いるタンクの製造方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】油入変圧器の小型化とタンクの放熱性と強度を考慮した油入変圧器を提供することを目的とする。【解決手段】鉄心とコイルとを組み立てた鉄心−コイル組立体をタンク内に収納し、絶縁油を入れてなる油入変圧器であって、タンクは、蓋を取付けるためのフランジと、底板と、フランジと底板との間に配設される側板からなる胴体部とを備え、胴体部の表面には複数のエンボス部が形成されており、胴体部は、エンボス部が形成された側板を筒状に溶接することで構成さており、溶接部はエンボス部に掛かるように溶接されている構成とする。【選択図】図7
Description
本発明は、油入変圧器に係り、特に小型化と放熱性と強度を考慮した油入変圧器のタンクに関する。
一般に油入電気機器、例えば油入変圧器のタンクには、変圧器の絶縁媒体として絶縁油が入っている。その絶縁油は変圧器の通電熱で温度上昇することによって膨張し、タンクの内圧が上昇するので、タンクは変形しないように充分な強度を必要とする。また、熱伝導が低い絶縁油の温度上昇を抑制できる放熱性能が要求される。
この種のタンクの従来技術としては、特開昭53−35122号公報(特許文献1)がある。特許文献1は、シート材を波形に折曲げてひれ状張出部を形成し、各張出部内を張出油室に形成した側板を有する油入電気機器のタンクにおいて、前記張出部の上下端部を内方に絞り込んで密着した面接合部を形成するとともに、上記面接合部に沿って上記張出部の上下端部を溶接し、その溶接線を一軸のみとする一方、前記張出部の板場に凸状または凹状の補強用ビードを形成し、上記補強用ビードにより張出部の機械的強度の増大を図るようにしている。
特許文献1に示す従来技術では、放熱リブとしてのひれ状張出部は、タンク内で絶縁油の温度上昇によって内圧が高くなった場合、補強用ビードにより張出部の横方向および縦方向に対しての強度向上を図っている。しかし、放熱リブに補強用ビードを設けて強度向上を図っている分、放熱リブの面接合部への負荷が大きくなり、より高度な接合方法が必要とされ、コストアップにつながる課題がある。
また、絶縁油は、鉄心に設けたコイルの導体の通電によって熱せられると、その上方に上昇し、そこから放熱リブの内部側に流れ、放熱リブの放熱作用によって冷却されることにより、放熱リブの外周側から下降してコイル側に戻るように循環する。そのため、放熱性能を上げるためには、放熱面積を大きくするために放熱リブを大きくする必要がある。したがって、油入変圧器全体が大型化してしまうという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、油入変圧器の小型化とタンクの放熱性と強度を考慮した油入変圧器を提供することを目的とする。
本発明は、上記背景技術に鑑み、その一例を挙げるならば、鉄心とコイルとを組み立てた鉄心−コイル組立体をタンク内に収納し、絶縁油を入れてなる油入変圧器であって、タンクは、蓋を取付けるためのフランジと、底板と、フランジと底板との間に配設される側板からなる胴体部とを備え、胴体部の表面には複数のエンボス部が形成されており、胴体部は、エンボス部が形成された側板を筒状に溶接することで構成さており、溶接部はエンボス部に掛かるように溶接されている構成とする。
本発明によれば、油入変圧器の小型化とタンクの放熱性と強度を考慮した油入変圧器を提供することができる。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図1は、本実施例におけるタンク全体の概略斜視図である。図1において、タンク10は、蓋を取付けるためのフランジ11、底板12と、フランジ11と底板12との間に配設される側板からなる胴体部13とを備え、これらにより鉄心とコイルとを組み立てた鉄心−コイル組立体及びこれを絶縁するための絶縁油を収容するように構成されている。胴体部13は、シート状の簿板、例えば鋼板をプレス加工によって成形したものである。
また、図2は、本実施例における油入変圧器の横断面を上から見た横断面図である。図2は、U相、V相、W相からなる3相3脚構造の油入変圧器を示している。図2において、直方体形状のタンク10の内部に各相毎に鉄心−コイル組立体20を収納し、その周囲に絶縁油30を満たしている。
鉄心−コイル組立体20は、鉄心21の脚部にそれぞれの相のコイル22が設けられている。コイル22は一次コイル部23と二次コイル部24で構成されている。
鉄心−コイル組立体20は、鉄心21の脚部にそれぞれの相のコイル22が設けられている。コイル22は一次コイル部23と二次コイル部24で構成されている。
図3は、本実施例における前提となる放熱リブを設けたタンク全体の斜視図である。図3に示すように、放熱面積を多くするために、従来のタンク構造に従って、タンク10の胴体部13の外側に全周に渡って放熱リブ40を一定間隔で設ける構成が考えられる。
しかし、前述したように、放熱リブを設けて、さらに放熱効果を上げるために放熱リブを大きくすると、油入変圧器全体が大型化してしまうという課題があった。
そこで、本実施例では、タンク周囲の放熱面積を多くするために、タンクの胴体部13に複数の凸部、すなわちエンボス部50を形成する。
図4は、本実施例におけるタンク全体の斜視図である。図4に示すように、本実施例では、タンク周囲の放熱面積を多くするために、タンクの胴体部13に複数のエンボス部50を形成している。各エンボス部50は、胴体部13の周囲に所定の間隔をもって並列配列や千鳥配列などで配置される。そして、各エンボス部50は、例えば半球状に張り出して形成され、連続して配置され、高熱伝達の放熱面を形成している。なお、図4では、エンボス部50を凸部としているが、凹部としてもよい。
このように、タンクの胴体部に凸部または凹部のエンボス部を形成することで、油入変圧器全体の大型化を抑えながら、放熱面積を広くでき、放熱性をより向上させることができる。また、凸部または凹部のエンボス部を形成することにより、タンクの強度を向上することができる。
ところで、胴体部13は、シート状の簿板をプレス加工によって成形するが、シート状の側板から筒状の胴体部を構成するために、側板の端部を溶接等により接続する必要がある。図5は、タンク全体の縦断面を斜めから見た概略斜視図を示す。なお、図5においては、エンボス部は省略している。胴体部13を形成するためには、例えば、図5に示すような、胴体部13の縦半分ずつを、プレス加工によってエンボス加工し、折り曲げて成形し、成形後の縦半分の、上面から見た場合コ字状となる2つの側板を溶接により接合させて製造する。なお、1枚の板を筒状に成形し溶接してもよい。図5におけるA-A線が溶接を行う箇所であり溶接線を示している。
図6は、胴体部13を構成する側板の溶接部分の拡大模式図である。A-A線は図5における溶接線を示している。図6においては、溶接個所は、エンボス部が施されていない平板部60どうしで溶接している。
これに対し、図7では、平板部60とエンボス部50の端部が掛かる部分で溶接している。溶接は溶接線に沿って溶接操作され、溶接中に溶融凝固した金属であるビードがある程度幅を持って溶接部を形成する。したがって、図7の溶接によれば、エンボス部を溶接するため、溶接距離が側板の縦方向の直線距離よりも延びる。このため、図6の平板部60どうしで溶接する場合よりも強度が向上するという効果がある。
また、図8は、平板部60とエンボス部50の半分が掛かる部分で溶接している。これによれば、エンボス部のより曲率の高い部分との溶接となるので、図7の場合に比べてさらに溶接距離が延びる。このため、より強度が向上するという特徴がある。また、立体的な溶接が可能となり、より強度向上がはかれる。
また、図9は、エンボス部50の端部どうしで溶接している例である。この例でも、平板部60どうしで溶接する場合よりも溶接距離が延びるため、強度が向上するという特徴がある。
また、図10は、エンボス部50の端部とエンボス部50の半分が掛かる部分で溶接している。この場合も、平板部60どうしで溶接する場合よりも溶接距離が延びる、さらに立体的な溶接が可能となり、より強度向上がはかれる。
また、図11は、エンボス部50の半分が掛かる部分どうしで溶接している。この場合も、平板部60どうしで溶接する場合よりも溶接距離が延びる、さらに立体的な溶接が可能となり、より強度向上がはかれる。
以上の図7から図11のように、溶接部がエンボス部に掛かるように溶接することで溶接距離が延び、さらに、立体的な溶接が可能となり、強度向上をはかることができる。
なお側板どうしの溶接において、側板を突き合せて溶接してもよいし、側板を重ねて側板の端部を溶接するようにしてもよい。
また、上記エンボス部は、溶接する際の位置決めの目安として使用できる。また、エンボス部は周期的に配置されているので、接続する側板のエンボス部どうしを重ねて溶接するようにすれば、エンボス部自体が溶接の位置決めとして使用できる。なお、位置決め用に専用のエンボス部を設けてもよい。
以上のように、本実施例は、タンクの胴体部を形成する側板に凸部または凹部のエンボス部を形成し、折り曲げて成形し、この側板を筒状に溶接する際に、溶接部がエンボス部に掛かるように溶接する。
これにより、タンクに放熱リブを設けることなく小型化が図られ、エンボス部による放熱性向上とタンクの強度向上に加え、さらにタンクの強度向上をはかることができる。
10:タンク、11:フランジ、12:底板、13:胴体部、20:鉄心−コイル組立体、21:鉄心、22:コイル、23:一次コイル部、24:二次コイル部、30:絶縁油、40:放熱リブ、50:エンボス部、60:平板部
Claims (11)
- 鉄心とコイルとを組み立てた鉄心−コイル組立体をタンク内に収納し、絶縁油を入れてなる油入変圧器であって、
前記タンクは、蓋を取付けるためのフランジと、底板と、前記フランジと前記底板との間に配設される側板からなる胴体部とを備え、
前記胴体部の表面には複数のエンボス部が形成されており、
前記胴体部は、前記エンボス部が形成された側板を筒状に溶接することで構成さており、該溶接部は前記エンボス部に掛かるように溶接されていることを特徴とする油入変圧器。 - 請求項1記載の油入変圧器において、
前記溶接部は、前記側板の平板部とエンボス部の端部が掛かるように溶接されていることを特徴とする油入変圧器。 - 請求項1記載の油入変圧器において、
前記溶接部は、前記側板の平板部とエンボス部の半分が掛かるように溶接されていることを特徴とする油入変圧器。 - 請求項1記載の油入変圧器において、
前記溶接部は、前記側板のエンボス部の端部どうしが掛かるように溶接されていることを特徴とする油入変圧器。 - 請求項1記載の油入変圧器において、
前記溶接部は、前記側板のエンボス部の端部とエンボス部の半分が掛かるように溶接されていることを特徴とする油入変圧器。 - 請求項1記載の油入変圧器において、
前記溶接部は、前記側板のエンボス部の半分どうしが掛かるように溶接されていることを特徴とする油入変圧器。 - 請求項1から6の何れか1項に記載の油入変圧器において、
前記エンボス部は溶接を行なう際の位置決めに用いられることを特徴とする油入変圧器。 - 請求項1記載の油入変圧器において、
前記溶接部は、前記側板のエンボス部を重ねて溶接されていることを特徴とする油入変圧器。 - 請求項1記載の油入変圧器において、
前記溶接部は、前記側板の端面を突き合せるかまたは側板を重ねて側板の端面を溶接することを特徴とする油入変圧器。 - 請求項1記載の油入変圧器において、
前記タンクの胴体部の表面の複数のエンボス部は凸部または凹部であり、並列配列もしくは千鳥配列で連続して配置されていることを特徴とする油入変圧器。 - 油入変圧器のタンクの製造方法であって、
該タンクは、蓋を取付けるためのフランジと、底板と、前記フランジと前記底板との間に配設される側板からなる胴体部とを備えており、
前記胴体部の表面には複数のエンボス部が形成されており、
前記側板にプレス加工により前記エンボス部を形成し、
該形成された側板を折り曲げて成形し、
該成形された2枚の側板を溶接部が前記エンボス部に掛かるように溶接することを特徴とする油入変圧器のタンクの製造方法。
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