JPS6349889B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は押出成形過程に於いて、放射状に磁化
容易軸を配向した異方性リング状重合体磁石の製
造装置に関する。

フエライトに代表される磁性粉末と、ゴムある
いは合成樹脂等の重合体材料とを混練、成形した
重合体磁石は、焼結磁石等の硬質磁石にくらべ、
弾性、可撓性、加工性及び寸法安定性等に優れて
いるため、近年、玩具、事務用品、機械装置ある
いは電気、電子機器等に種々の形状のものが広く
用いられる様になつてきた。しかし、上述の様に
種々の長所を有する重合体磁石もその製法上、10
〜20重量％程度の非磁性材料をその組成中に含有
するため上記焼結磁石にくらべて磁性が低く、同
一の磁気特性を得るためには形状が大型化してし
まうという欠点があつた。そのため、小型、軽量
を要求されるモータ、発電機等の回転機器に使用
されるリング状磁石に於いては、フエライト磁石
等の焼結磁石が現在、主として使用されている。
通常、磁性材料と重合体材料との混練材料を成
形、着磁して得られる重合体磁石は、そのままで
は磁気的に等方性であるために磁力が低く、これ
を改善するには異方化処理によつて磁気異方性を
付与する必要がある。例えばシート状の重合体磁
石にあつては、機械的剪断応力を加えて圧延する
ことによつて異方性を付与している。これは、重
合体磁石の磁石材料として用いられるフエライト
粉末等が、六方晶系結晶構造のＣ軸方向に磁化容
易軸を有し、このＣ軸に垂直な方向に六角形の平
板上に発達したマグネツトプランバイト型の結晶
構造となつており、機械的剪断応力を加えて圧延
することによつて、平板上の結晶が重なり合つて
方向が揃い、ランダムに配向していた磁化容易軸
がシートの面に垂直な方向に配向されるためであ
る。しかしながらこの方法は重合体磁石の形状が
シート状の場合に限られ、リング状重合体磁石に
適用することは困難であり、適用しようとする場
合には複雑な後加工を必要とし、非効率的であ
る。そこでこの対策として、従来押出成形過程に
於いて第１図に示す如く、磁性材料２と重合体材
料３との混練材料の成形に際し、溶融状態の混練
材料にその押出方向と直交する一定方向の磁界を
加え、磁性材料２の磁化容易軸を印加磁界の方向
に配向した異方性リング状重合体磁石１が提案さ
れている。しかし、上記異方性リング状重合体磁
石１の磁気異方性は、その配列が一定方向なもの
であるため、着磁に対して磁気特性に方向性を示
し、容易軸方向とそれ以外の方向とではその磁気
特性が異なつてしまう。そのため着磁の極数が二
極のものに於いてのみ60％〜80％の異方性磁気特
性を得ることが可能であるが、これ以外では着磁
極端の磁束の不適性を生じ、これを回転機器に使
用した場合、極端なトルク減の原因となつてしま
う。

本発明は上述の点に鑑み案出されたもので小
型、軽量で磁気特性に優れ、且つ着磁極数を多数
極にでも自由に選定することができ、回転機器を
はじめ種々の分野に好適な異方性リング状重合体
磁石の製造装置を提供することを目的とする。

以上の目的を達成するために本発明の異方性リ
ング状重合体磁石の製造製置は、磁気異方性を有
する磁性材料と重合体材料との混練材料に、押出
成形過程にて磁界を印加させつつリング状の成形
を行い、リング形状の中心に対して放射状に磁化
容易軸を配して成る異方性リング状重合体磁石を
製造する装置に於いて、外側部材と強磁性体より
なる中央ダイスとの間に筒状の混練材料充填空間
を形成し、前記中央ダイスの中間部分に前記外側
部分を介して電磁コイルを巻回し、この電磁コイ
ル巻回内側部分を非磁性体、その両側に隣接する
部分を強磁性体によつて構成すると共に、前記電
磁コイルの両端面及び外側に強磁性体ブロツクを
配設し、前記中央ダイス、前記外側部材の強磁性
体部分及び強磁性体ブロツクによつて閉磁気回路
を構成し、前記中央ダイスから前記外側部材の強
磁性体部分にかけての磁気回路部分に相当する前
記混練材料充填空間を、その軸方向に平行な側面
を有する筒状に形成した構成を取るものである。

以下図面により本発明の一実施例を説明する。
第２図は本発明の一実施例に係る異方性リング状
重合体磁石の断面図であり、図に於いて異方性リ
ング状重合体磁石１は、フエライト等の磁性材料
２とゴムあるいは合成樹脂等の重合体材料３にて
リング状に形成されるもので、磁性材料２の磁化
容易軸はリング形状中心部に対して放射状に配向
される。

上述のリング状重合体磁石１の磁化容易軸をそ
のリング形状の中心部に対して放射状に配向する
方法として本発明では、押出成形過程に於いて磁
性材料２と重合体材料３との混練材料が溶融状態
から固化状態に至る間にリング形状の中心部に対
して放射状に磁界を印加しながら押出成形するも
のであり、その製造装置の一実施例を第３図及び
第４図に示す。本実施例に示す異方性リング状重
合体磁石製造装置４は、押出成形金型５に、磁界
発生用の電磁コイル６を取り付けたものであり、
押出成形金型５は、中央ダイス９、非磁性体ダイ
ス１０、混練材料注入部外壁ダイス１１、外側ダ
イス１２を主構成とする。即ち、金型５の混練材
料注入部７から成形品流出口８にかけて延在する
断面円形の強磁性体中央ダイス９を磁芯としたも
ので、中央ダイス９の混練材料注入部７側及び成
形品流出口８側を除く中間部分に非磁性体ダイス
１０を介して電磁コイル６を巻回したものであ
る。又、上記非磁性体ダイス１０、その前端に隣
接する混練材料注入部外壁ダイス１１及び非磁性
体ダイス１０の後端に隣接する外側ダイス１２と
により構成される外側部材と、上記中央ダイス９
との間に筒状の混練材料充填空間１３が形成さ
れ、この空間１３は混練材料注入部７から成形品
流出口８に向う方向、即ち混練材料の移動方向に
沿つて次第に材料の厚さがうすくなるようになさ
れている。上記混練材料注入部外壁ダイス１１及
び外側ダイス１２は、強磁性体によつて形成され
ており、電磁コイル６の両端面及び外面に配設さ
れた強磁性体ブロツク１４と中央ダイス９と共に
閉磁気回路を構成している。又、中央ダイス９か
ら混練材料注入部外壁ダイス１１にかけての磁気
回路部分及び外側ダイス１２から中央ダイス９に
かけての磁気回路部分に相当する混練材料充填空
間１３は、混練材料充填空間１３の軸方向に平行
な側面を有する筒状に形成されている。尚、本実
施例の製造装置４により得られるリング状重合体
磁石１は円形からなるリング状であるが、方形状
その他の形状が得られる製造装置とするも容易で
ある。

上述の如く構成された異方性リング状重合体磁
石製造装置４に於いて、電磁コイル６に励磁電流
を通電すると、強磁性体中央ダイス９に磁束が誘
導され、これが図中矢印で示す如く、中央ダイス
９→混練材料注入部外壁ダイス１１→強磁性体ブ
ロツク１４→外側ダイス１２→中央ダイス９と流
れ、混練材料注入部７から注入されて混練材料充
填空間１３を通つて成形品流出口８に至る溶融状
態の磁性材料２と重合体材料３との混練材料に、
中央ダイス９から混練材料注入部外壁ダイス１１
にかけての磁気回路及び外側ダイス１２から中央
ダイス９にかけての磁気回路による磁界を二度に
亘つて印加することになる。更に上記二ケ所の磁
界印加部の磁束は、隣接する非磁性体ブロツク１
０のために、筒状の混練充填空間１３の軸方向と
直交し、又装置４の構成で述べた如く、上記二ケ
所の磁界印加部に相当する混練材料充填空間１３
は、その軸方向に平行な側面を有する筒状である
ため、上記印加磁界は、混練材料充填空間１３を
通過する混練材料のどの部品に於いてもその厚さ
方向に作用することになる。従つて、本実施例の
製造装置４によつて成形された異方性リング状重
合体磁石１はそのリング形状の中心部に対して放
射状に磁化容易軸が配向される。

以上説明の如く、本発明の製造装置により得ら
れる異方性リング状重合体磁石は、そのリング形
状の中心部に対して放射状の磁化容易軸を配向し
てあるので、小型化しても高い磁気特性を示し、
又、当該磁石のどの部分に於いても均一な磁気特
性を有するため、着磁極数を何極にも取ることが
できる等回転機器用として理想的な特性を有する
ものであり、その他、クラツチ等のマグネチツク
カツプリング用あるいはセンサー等種々の分野に
好適に用いられ得るものである。

又、本発明の異方性リング状重合体磁石製造装
置は、外側部材と中央ダイスとの間に筒状の混練
材料充填空間を形成し、上記中央ダイスの中間部
分に、外側部材を介して電磁コイルを巻回したの
で、混練材料充填空間を進行する混練材料に対し
二度に亘つて放射状磁界を印加することができる
ので、本発明により得られるリング状磁石の磁化
容易軸をそのリング形状の中心部に対して放射状
に配向することができ、更に、外側部材たる電磁
コイルの巻回内側部分を非磁石体によつて構成
し、その両端に隣接する強磁性体部分と、電磁コ
イルの両端面と外面に配設した強磁性体ブロツク
及び中央ダイスとによつて閉磁気回路を構成した
ので、電磁コイルとの通電によつて中央ダイスに
誘導された磁束をほぼ漏洩することなく有効に混
練材料に作用させることができる。更に、中央ダ
イスから外側部材にかけての磁気回路部分に相当
する混練材料充填空間を、その軸方向に平行な側
面を有する筒状に形成した場合には、放射状磁界
は混練材料充填空間を通過する混練材料のどの部
位に於いてもその厚さ方向に作用することになる
ので、そのリング形状の中心部に対して放射状に
磁化容易軸がより高密度に配向された異方性リン
グ状重合体磁石を連続的に製造することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の異方性リング状重合体磁石の断
面図、第２図は本発明の一実施例に係る異方性リ
ング状重合体磁石の断面図、第３図は本発明の異
方性リング状重合体磁石製造装置の一実施例を示
す断面図、第４図は第３図の一部切欠斜視図であ
る。 １……異方性リング状重合体磁石、２……磁性
材料、３……重合体材料、４……異方性リング状
重合体磁石製造装置、５……押出成形金型、６…
…電磁コイル、９……中央ダイス、１０……非磁
性体ダイス、１１……混練材料注入部外壁ダイ
ス、１２……外側ダイス、１３……混練材料充填
空間、１４……強磁性体ブロツク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 磁気異方性を有する磁性材料と重合体材料と
   の混練材料に、押出成形過程にて磁界を印加させ
   つつリング状の成形を行い、リング形状の中心に
   対して放射状に磁化容易軸を配して成る異方性リ
   ング状重合体磁石を製造する装置に於いて、外側
   部材と強磁性体よりなる中央ダイスとの間に筒状
   の混練材料充填空間を形成し、前記中央ダイスの
   中間部分に前記外側部材を介して電磁コイルを巻
   回し、この電磁コイル巻回内側部分を非磁性体、
   その両側に隣接する部分を強磁性体によつて構成
   すると共に、前記電磁コイルの両端面及び外側に
   強磁性体ブロツクを配設し、前記中央ダイス、前
   記外側部材の強磁性体部分及び強磁性体ブロツク
   によつて閉磁気回路を構成し、前記中央ダイスか
   ら前記外側部材の強磁性体部分にかけての磁気回
   路部分に相当する前記混練材料充填空間を、その
   軸方向に平行な側面を有する筒状に形成したこと
   を特徴とする異方性リング状重合体磁石の製造装
   置。