JPS6349343B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、外管とステムとで形成される放電空
間内に、Ｕ字管の如き屈曲内管を収容し、長い放
電路を形成するコンパクトな低圧放電ランプに関
する。

〔従来の技術〕

近年の省エネルギー化の背景に於いて、光源分
野では高効率、長寿命という大きな利点をもつ螢
光ランプの原理を利用して、低効率、短寿命とい
う致命的な欠点を持つ白熱電球に代替しうるコン
パクトな構造の螢光ランプを代表とする低圧放電
ランプの検討が活発に行われている。

このような動向において、第１図に示すような
外管１とステム（ボタンステム）２によつて気密
に保たれる放電空間３内に、２本のＵ字状に屈曲
させたＵ字状内管４を収容したコンパクトサイズ
の螢光ランプが提案された。

Ｕ字状内管４の内面には螢光体５が塗布されて
おり、また、Ｕ字状内管４の一端は電極６の周囲
にガラス溶着により気密に固定され、他の開口端
７を利用して両電極間で放電が行われる。なお、
図中、８は点灯装置部、９はねじ口金である。

〔発明が解決しようとする課題〕

外管１とステム２により形成される放電空間３
内にＵ字状内管４を収容し、長い放電路を形成す
るというこの種のランプは、原理的には非常に簡
単であるが、実際にランプを製造するのは至難の
ことで、工業化は不可能であつた。その最大の原
因は、ステム２上に配置された電極６の周囲にＵ
字状内管４を気密に固定し、且つクロストーク放
電を防止することが極めて困難だからである。

本発明は上記欠点に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、製造が容易なコンパクト
な低圧放電ランプを提供するにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、放電路を形成する屈曲内管の電極が
挿入される側の開口端に、無機材料から成る段付
き鍔部を有するスペーサを嵌着すると共に、この
鍔部を押さえ板で押圧することにより、屈曲内管
をステム上に固定したことを特徴とする。

実施例 １ 第２図乃至第４図において、予め内壁に螢光体
１５を塗布、焼成したＵ字状内管１４の一方の開
口端１７に、セラミツク等の無機材料から成り、
中心に電極挿通孔２１ａを有し周辺に段付き鍔部
２１ｂを有するスペーサ２１の段部２１ｃを嵌挿
し、加熱硬化型の耐熱性無機接着剤を介して接着
固定し、開口端１７に鍔を形成する。接着はバー
ナにて接着剤を直ちに硬化させることができ、作
業が非常に速やかに行える。

２２は金属製の押さえ板で、Ｕ字状内管１４を
挿通、位置決めするための切り欠き部２２ａと、
後述する支持棒２３を挿入するための１個又は複
数個の孔２２ｂが設けられている。押さえ板２２
の材質として水銀と反応しない金属を選ぶことは
言うまでもないことで、本実施例では鉄―クロム
板を用いた。

１２はボタンステムと呼ばれるステム、２４は
リード線で先端には適当な電子放射性物質を塗布
した電極１６が取りつけられている。２３は支持
棒で、その下端はステム１２に固定されている。
２５はステム１２に設けられる排気管である。

さて、スペーサ２１を接着固定した２本のＵ字
状内管１４は、押さえ板２２の切り欠き部２２ａ
に挿通された後、ステム１２に設けられた電極１
６にかぶせられる。つまり、押さえ板２２により
スペーサ２１の鍔部２１ｂが押さえられ、内管１
４が支持される。このとき、押さえ板２２の孔２
２ｂに支持棒２３は挿入されており、支持棒２３
の先端を折り曲げることにより、あるいは押さえ
板２２と支持棒２３を溶接することにより、押さ
え板２２は２本のＵ字状内管１４と共にステム１
２上に固定される。なお、支持棒２３の数は１本
に限らず、適当に増せばより確実な固定が可能と
なる。

このように本発明では、予め開口端１７に鍔部
２１ｂを形成した内管１４を電極１６の周囲に単
に挿入し、鍔部２１ｂ下面をステム１２上面に当
接固定するだけであるため、すなわち直接気密封
着しないため、従来の如くＵ字状内管１４の封着
作業中に電極フイラメントの酸化が生じ、完成ラ
ンプの特性に悪影響を与えるといつた欠点を除去
できる。

また、本発明では、鍔部２１ｂの底面積を大き
くとれるため（本実施例では、スペーサ２１の鍔
部２１ｂの径は20mm、段部２１ｃの径は13mmであ
る）、いわゆる沿面距離が大であるため、クロス
トーク放電の懸念もない。なお、クロストーク放
電を防止するには、上記沿面距離が５mm以上あれ
ばよく、また、鍔部２１ｂ下面とステム１２上面
間の隙間が0.3mm以下であればよいことが実験で
確かめられている。

さらに、本実施例において重要なことは、互い
に接着されるＵ字状内管１４とスペーサ２１の線
膨張係数を略一致させることで、試作品において
は、Ｕ字状内管１４を鉛カリガラス（線膨張係
数：9.6×10^-6／℃）、スペーサ２１を緻密質のジ
ルコニア〈ZrO₂〉（線膨張係数：10.5×10^-6／
℃）、接着剤としてジルコニアと無機ポリマーを
主成分とする加熱硬化型の耐熱性無機接着剤（線
膨張係数：9.5×10^-6／℃）を使用して非常に良
好な結果が得られた。勿論、上記材料は一例であ
り、線膨張係数の差が±10×10^-6／℃程度の範囲
にあるように各部品の材質を選んでやれば、他の
どのような無機材料でも使用可能である。

このようにしてランプ内部ブロツクを組み立て
た後、外管１１をランプ１２に封着し、排気管２
５より通常の排気、ガス封入を行ない第３図に示
す如く本ランプは完成する。なお、本実施例に係
るランプの特性は下記のようであつた。

外管１１…外径：60mm、高さ：100mm 内管１４…内径：13.5mm、全長：170mm ランプ電力：14W 光束：750lm なお、本実施例ではスペーサ２１は接着剤でＵ
字状内管１４に固定されたが、内管１４と同じガ
ラスで形成してガラス溶着で内管１４に固定され
てもよいことは明らかであろう。

実施例 ２ 実施例１では２本のＵ字状内管１４を備えた屈
曲内管でコンパクトな螢光ランプを構成した場合
を示したが、本発明は他の屈曲内管を有するラン
プにも広く応用し得るものである。

第５図に示すものは、１本の螺旋形内管１４を
屈曲内管として用い、長い放電路を得るものであ
る。なお、他の構成は前記実施例と同様であるの
で、同等構成に同一符号を付すことにより説明を
省略する。

〔発明の効果〕

本発明に係る低圧放電ランプは上記のように、
電極が挿入される屈曲内管の開口端に、中心に電
極挿通孔を有し周辺に段付き鍔部を有するスペー
サを嵌着すると共に、該スペーサをステム上面に
当接し、スペーサの鍔部を押さえ板で上方から押
さえ、該押さえ板をステムに設けた支持棒を介し
て押圧することにより、前記屈曲内管をステムに
固定したことを特徴とするものであり、従来のよ
うに屈曲内管をステムにガラス溶着することなく
単に開口端をステムに当接し、ステムと押さえ板
とで挟持するだけの構成であるので、屈曲内管を
ステムに固定する際、電極を酸化させることがな
い。従つて、良好なランプ特性の低圧放電ランプ
が得られる。また、組立が簡単であるにもかかわ
らず、スペーサの鍔部をステムに当接する構成で
あるので、屈曲内管の開口端を単にステムに当接
するより沿面距離を大きくとれ、クロストーク放
電の防止もより確実にできる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す斜視図、第２図乃至第４
図は本発明の一実施例を示すもので、第２図は分
解斜視図、第３図は斜視図、第４図は放電路に沿
つて展開した模式断面図、第５図は本発明の異な
る実施例を示す断面図である。 １１…外管、１２…ステム、１４…屈曲内管、
１６…電極、１７…開口端、２１…スペーサ、２
１ａ…電極挿通孔、２１ｂ…鍔部、２２…押さえ
板、２３…支持棒。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外管とステムとで形成される気密放電空間内
   に両端開口の屈曲内管を収容すると共に、前記屈
   曲内管の一方の開口端に、前記ステム上に設けた
   一対の電極の少なくとも一方を挿入し、両電極間
   で屈曲内管を介して放電させて成る低圧放電ラン
   プにおいて、前記電極が挿入される屈曲内管の開
   口端に、中心に電極挿通孔を有し周辺に段付き鍔
   部を有するスペーサを嵌着すると共に、該スペー
   サをステム上面に当接し、スペーサの鍔部を押さ
   え板で上方から押さえ、該押さえ板をステムに設
   けた支持棒を介して押圧することにより、前記屈
   曲内管をステムに固定したことを特徴とする低圧
   放電ランプ。