JPS6349231Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はステンレス製真空二重びんのチツプ管
の保護構造に関するものである。

従来まほうびんの中びんである真空二重びんと
してはガラス製のものが使用されていたが、この
ものは破損すると危険であることから、近年ステ
ンレス製の真空二重びんが広く使用されるように
なつている。

而して該ステンレス製真空二重びんにおいて
は、外びんの底部に、銅、鉛などの展性に富む材
質のチツプ管を鑞接し、該チツプ管から真空二重
びん内の空気を排気して真空にし、そのチツプ管
を扁平に押し潰して内壁面を互に圧接すると共に
該チツプ管を食い切り、真空二重びん内の真空を
維持しているのである。

ところで該チツプ管の先端は、食い切られたま
まで、鋭いナイフエツジ状を呈していて危険であ
り、また該ナイフエツジ部において真空二重びん
内の真空を維持しているので、極てデリケートで
あつて、僅かな損傷によつて真空度が低下しやす
いのである。

しかも真空二重びん本体はステンレスであり、
チツプ管は前述のように銅や鉛等の材料が使用さ
れており、さらにそれらが銀鑞で溶接されてい
る。そのためチツプ管部に水が付くと、ステンレ
スとチツプ管や銀鑞との間で電蝕現象が生じ、容
易に腐蝕して真空を維持することができなくなる
のである。

本考案はかかる事情に鑑がみなされたものであ
つて、外びんの底部にチツプ管を形成したステン
レス製真空二重びんにおいて、該チツプ管の周囲
に気密性の空所を形成することにより、チツプ管
の先端のナイフエツジを隠蔽して危険を防止する
と共に、チツプ管からの空気の漏れを防止し、真
空二重びん内の真空を有効に維持することを目的
とするものである。

而して本考案は前述のようなステンレス製真空
二重びんを有するまほうびんにおいて、該ステン
レス製真空二重びんをプラスチツクの外装体内に
装着し、ステンレス製真空二重びんの底部と外装
体の底部との間に前記チツプ管の周囲を間隔をお
いて取巻く環状の柔軟なリング状パツキンを介装
し、該リング状パツキンと前記ステンレス製真空
二重びんと前記外装体底部内面とにより気密性の
空所を形成したことを特徴とするものである。

第１図は本考案を適用したステンレス製まほう
びんの一例を示すものである。このまほうびんに
おいて、１はプラスチツクの外装体であり、該外
装体１は、胴部２と底部３とよりなる胴体４と、
該胴体４上に載置結合された肩部５とよりなり、
該外装体１内にステンレス製真空二重びん６が収
納されている。７は栓であり、８はコツプ兼用の
蓋である。

ステンレス製真空二重びん６は、外びん９と内
びん１０とよりなり、外びん９と内びん１０との
間は真空に維持され、外びん９の底部１１の中央
には銅、鉛等の展性に富む材料よりなるチツプ管
２が鑞接され、該チツプ管から内部の空気を排気
して真空にし、そのチツプ管を扁平に押し潰して
内壁面を互に圧接すると共に食い切つて封止し、
真空を保持している。

この実施例においては、外装体１の底部３に環
状の支持リング１４が立設され、該支持リング１
４の上端には切欠き１５が形成され、その切欠き
１５に柔軟なリング状パツキン１が嵌合されてい
る。

而して、外びん９と底部１１と、外装体１の底
部３と、支持リング１４と、リング状パツキン１
６とに囲まれた空所１８内に、チツプ管１２が垂
設され、該チツプ管１２の先端１３は保護されて
いる。従つてそのナイフエツジにより他の物を傷
付けたり、ナイフエツジが損傷して、真空度が低
下したりすることがない。また前記空所１８は、
リング状パツキン１６の弾力により気密に保持さ
れているので、前記空所１８内に水が侵入するこ
とがなく、チツプ管１２の鑞接部の、ステンレス
とチツプ管や銀鑞との間が、電蝕現象により腐蝕
することもないのである。

第２図は、リング状パツキン１６の形状の異な
る変形例を示すものである。この例においては、
リング状パツキン１６は上方が開いた略ラツパ状
であつて、その上端部がやゝ薄肉となつている。
また第３図は他の変形例であつて、支持リング１
４の上端には切欠き１５がなく、リング状パツキ
ン１６の外周に形成された嵌合部１６ａが前記支
持リング１４の上端に嵌合し、また水平部１６ｂ
の内端から上方に折返された支持部１６ｃにおい
て、前記ステンレス製真空二重びん６を支持して
いる。

第４図はさらに他の変形例であつて、底部３に
は支持リング１４が形成されておらず、底部３上
に直接リング状パツキン１６が載置されており、
該リング状パツキン１６の上端が、前記ステンレ
ス製真空二重びん６に圧接されている。

以上の第１図乃至第４図の例においては、リン
グ状パツキン１６は底部３上の支持リング１４に
嵌合し、又は底部３上に直接載置されているが、
該リング状パツキン１６はステンレス製真空二重
びん６に固定してもよい。第５図及び第６図はこ
の例を示したものである。

第５図の例においては、ステンレス製真空二重
びん６の外びん９の底部１１に突部１９が形成さ
れており、該突部１９の中央に前記チツプ管１２
が設けられており、前記突部１９にリング状パツ
キン１６を嵌合固定している。また第６図の例に
おいては、ステンレス製真空二重びん６の外びん
９の底部１１に陥凹部２０が形成され、該陥凹部
２０に前記リング状パツキン１６が嵌合固定され
ている。

本考案によれば、チツプ管の周囲に気密性の空
所を形成しているので、チツプ管１２の先端のナ
イフエツジによつて他の物を傷付ける恐れがな
く、またナイフエツジ自体が損傷する恐れがな
い。またリング状パツキンの弾力により空所１８
内が気密に保持されているので、まほうびん内の
内容液やまほうびんを洗浄したときの水が空所１
８内に侵入することがなく、また毛細管現象によ
り微量の水が侵入することがあつても、リング状
パツキン１６とチツプ管１２との間に間隔がある
のでチツプ管１２の鑞接部が濡れることがなく、
電蝕現象によりチツプ管１２が腐蝕して真空度が
低下するといつたことが有効に防止されるのであ
る。またステンレス製真空二重びんと外装体とが
リング状パツキンを介して支持されるので、外装
体に衝撃が加わつてもステンレス製真空二重びん
が損傷することがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を適用したまほう
びんの中央縦断面図である。第２図乃至第６図
は、前記実施例の変形例を示す主要部の中央縦断
面図である。 １……外装体、３……底部、６……ステンレス
製真空二重びん、１１……外びんの底部、１２…
…チツプ管、１６……リング状パツキン、１８…
…空所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外びんの底部に銅、鉛等の展性に富む材質のチ
   ツプ管を鑞接し、該チツプ管から内部の空気を排
   気して真空にし、そのチツプ管を押し潰して内壁
   面を互に圧接すると共に食い切つて真空を保持し
   たステンレス製真空二重びんにおいて、該ステン
   レス製真空二重びんをプラスチツクの外装体内に
   装着し、ステンレス製真空二重びんの底部と外装
   体の底部との間に前記チツプ管の周囲を間隔をお
   いて取巻く環状の柔軟なリング状パツキンを介装
   し、該リング状パツキンと前記ステンレス製真空
   二重びんと前記外装体底部内面とにより気密性の
   空所を形成したことを特徴とする、ステンレス製
   真空二重びんのチツプ保護構造。