JPS634902Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は、熱交換換気や通常の給排気換気、
室内空気のサーキユレーシヨンなど、室の総合的
な空調を可能とする天井埋込形室調装置に関する
ものである。

〔従来の技術〕

これまで室の状態を快適にするには、第１図に
示すように各種の装置を配設しなければならなか
つた。すなわち、密閉空間での冷暖房時の空気の
清浄保全のためには、換気扇又は空調換気扇など
の換気装置１が、室の主として上下方向について
の温度分布の均一化を計るためにはサーキユレー
タ２が、天井裏空間の熱気等の排出を計るために
は換気口や排気フアン３がそれぞれ必要であり、
さらに室の温度などの状態量の調節には冷・暖房
装置４が必要であつた。そして、これらはすべて
機能的、構造的に個別なものであるため、室の総
合的な空調を達成しようとすると、第１図のごと
く個々の装置を単一の室で機能するように個別に
配設しなくてはならない。従つて、満足のゆく空
調を実現しようとしても、各装置によつて室の美
観が損なわれたり、装置同志の干渉で、ある装置
は設置できても、そのために他の別の装置の設置
場所がなくなつてしまうなど、まとまりの良い形
態での総合的な空調環境の形成は困難であつた。

〔考案の概要〕

本考案は、上記した従来の問題点を解消するこ
とを目的としてなされたもので、空調換気機能や
給排気換気機能やサーキユレーシヨン機能をも
つ、各種空調機器の機能的結合体ないしは総合空
調機とでも称すべき、設置性が良く室の美観を損
うことがほとんどない天井埋込形空調装置を提供
するものである。

〔考案の実施例〕

次に本考案の構成を図面に示す実施例に基づい
て具体的に説明する。

第２図以降の図面によつて示す本考案の実施例
としての天井埋込形の空調装置は、一端を室内と
天井裏空間のいずれかに切換えて開口させうる、
他端を屋外に開口させうるそれぞれ一連の、構造
的に結合した二系統の並列する風路構造１０，１
１をもつ。これらの風路構造１０，１１は、屋外
側から順に、屋外連絡部１２、熱交換部１３、ダ
クト連絡部１４、送風装置部１５、室内連絡部１
６がおおむね直線状に連結されて構成され、屋外
連絡部１２の開放端と、室内連絡部１６の開放端
を除く全体は、天井裏空間に横向きに設置される
のである。屋外連絡部１２は、一端が屋外に臨ん
で開口し、他端が熱交換部１３の屋外側接続口に
接続されている。熱交換部１３には、交差流形の
空気対空気で熱交換及び湿度交換を行なう、二つ
の交差配列した空気通路をもつ全熱交換器１７が
組込まれている。全熱交換器１７は正四角柱ない
しは立方体形状で、その対向する二つの稜線部
が、各風路構造１０，１１を仕切つている隔壁構
造１８に一致する方向に組込まれ、当該部におけ
る各風路構造１０，１１を実質的に交差状に連絡
する交差流通路１９を、その二系統の空気通路に
よつて構成している。熱交換部１３における風路
構造１０，１１は、全熱交換器１７の外側にそれ
ぞれ併行に形成され、全熱交換器１７による前記
交差流通路１９とは別に、それぞれ屋外連絡部１
２とダクト連絡部１４とに直線状に連絡してい
る。熱交換部１３のこの各風路構造１０，１１に
は、全熱交換器１７の稜線部を回動軸として開閉
動作する風路切換装置が設けられている。風路切
換装置は、各風路構造１０，１１を全熱交換器１
７の対向する稜線部において開閉する一対一組の
回動ダンバ２０と、これらを同時的に開閉させる
小型電動機（図示しない）とから構成されてい
る。すなわち、各回動ダンパ２０が閉止動作して
熱交換部１３の各風路構造１０，１１を塞ぐと、
熱交換部１３における風路構造１０，１１は交差
流通路１９に切換わり、一方の風路構造１０が他
方に、他方の風路構造１１が別の風路構造１０に
連絡することになるのである。また、各回動ダン
パ２０が開放動作して熱交換部１３の各風路構造
１０，１１を開放していれば、熱交換部１３にお
ける各風路構造１０，１１は相互に独立した個別
の直線状の通風構造となつている。

ダクト連絡部１４は、一端が送風装置部１５
に、他端が前記熱交換部１３にそれぞれ接続され
る角筒状の筒体で、内部は隔壁２１で等分され、
二系統の風路構造１０，１１の一部を構成してい
る。このダクト連絡部１４における隔壁２１の一
部は、開閉装置の一部を構成するダンパ２２で構
成されている。このダンパ２２はダクト連絡部１
４を直角な方向に塞ぎうる幅をもち、その中央に
おいて、ダンパ２１とともに開閉装置を構成する
小型電動機（図示しない）によつて回動させら
れ、同時にダクト連絡部１４における各風路構造
１０，１１を閉塞しうる。このダンパ２２が各風
路構造１０，１１を閉塞すると、ダンパ２２によ
つて独立性が保たれていた当該部における各風路
構造１０，１１は、ダンパ２２による隔壁２１の
消失により短絡することになるのである。なお、
このダンパ２２は、中間開度の状態にロツクする
ことができるように構成されている。送風装置部
１５は、各風路構造１０，１１の一方に室内側か
ら屋外側へ向かう空気流を、他方にこれとは反対
向きの空気流をそれぞれ形成するもので、単一の
電動機２３と、一対のフアン２４を、対構成のフ
アンケーシングを構成するケーシングにそれぞれ
組付けてなる、送風装置を主体とする通風構造で
ある。送風装置部１５の室内側に接続された室内
連絡部１６は、曲管状の接続筒部２５とラツパ状
に拡開するグリル部２６とからなり、内部は各風
路構造１０，１１を構成すべく二分されている。
そのグリル部２６の開放端は天井面に沿つて室内
に向けて固定される。そして、グリル部２６に連
絡する接続筒部２５には、その各風路構造１０，
１１に対応して、一対一組の切換ダンパ２７が設
けられているのである。この切換ダンパ２７は、
その双方とも通常は、接続筒部２５に形成した一
対の天井裏開口部２８をそれぞれ塞ぎ、回動動作
によつて天井裏開口部２８を開放し、同時にグリ
ル部２６の各室内開口部２９を閉塞するもので、
小型電動機（図示しない）によつて開閉動作する
ものである。

しかして、この空調装置は三種類のダンパ、す
なわち熱交換部１３の回動ダンパ２０と、ダクト
連絡部１４のダンパ２２と、室内連絡部１６の切
換ダンパ２７とを適宜に開閉させることによつ
て、種々の空調に関する機能を第５図の表によつ
て示すように果しうるのである。ただし、ダンパ
類の開状態とは風路構造１０，１１を開放してい
る状態を、閉状態とは風路構造１０，１１を塞い
でいる状態をいうものとする。まず、切換ダンパ
２７を開状態にして天井裏開口部２８を閉塞し、
ダンパ２２を開状態に、回動ダンパ２０を閉状態
にして運転すると、第２図の上側の風路構造１０
には外気の吸気流が、また図示下側の風路構造１
１には室内空気の排気流がそれぞれ形成され、全
熱交換器１７を通らない室内の給排気換気が行な
われる。次に、上記の状態において、切換ダンパ
２７のみを閉状態にして天井裏開口部２８を開放
させると、外気の吹出しと排気流の吸込みが天井
裏空間に臨んでいる天井裏開口部２８によつて行
なわれることになり、天井裏空間の給排気換気が
行なわれるのである。これにより、夏場等に天井
裏空間の熱気をすみやかに排除できるので冷房効
果を上げることができる。ここで、熱交換部１３
の回動ダンパ２０を閉じ、ダクト連絡部１４のダ
ンパ２２を開き、さらに切換ダンパ２７を開いて
天井裏開口部２８を閉塞してやると、熱交換部１
３における交差流通路１９に給気流及び排気流が
流れ給気流と排気流との間で熱交換が行なわれ
る、熱交換換気を実施することができるのであ
る。さらに、ダクト連絡部１４のダンパ２２を閉
状態にし、切換ダンパ２７で天井裏開口部２８を
閉塞してやると、各風路構造１０，１１がダクト
連絡部１４において短絡し、室内の空気を吸込ん
で室内へ吹き出す動作、すなわち室内空気のサー
キユレーシヨンを行なうことになるのである。ま
た、回動ダンパ２０を開閉いずれかにし、ダクト
連絡部１４のダンパ２２を半開状態にロツクする
と、給排気換気とともに室内空気のサーキユレー
シヨンを、あるいは熱交換換気とともに室内空気
のサーキユレーシヨンをそれぞれ実施することが
できる。そしてさらに、第６図のようにグリル部
２６の室内開口部２９における吹出側に冷暖房コ
イルユニツト３０を組込むようにすれば、温度等
の状態量の管理も可能であり、総合的な空調を計
ることが可能となる。なお、図において、３１は
全熱交換器１７等のメンテナンスのための熱交換
部１３の下面に設けた着脱可能の底板を、３２
は、温度センサーや一酸化炭素等有害ガスを検知
するセンサーを組込んだセンサーユニツトを、３
３は、室内において切換ダンパ２７、ダンパ２
２、回動ダンパ２０の開閉選択を行ない得、また
装置の自動運転を可能とする、各種表示器を備え
たコントロールパネルをそれぞれ示す。

以上のように本例の空調装置は、単一の構造体
で空調に関する種々のことなる機能を果し、室内
の総合的な空調を単独で実現しうる。そして、個
別的に各種の機器を設ける必要がなく、全体が天
井裏空間に収まる構成であるから、室の美観を損
うことがほとんどなく、設置も容易で、空調に対
するシステム化が可能である。

〔考案の効果〕

以上、実施例による説明からも明らかなように
本考案の天井埋込形空調装置は、天井裏空間に設
けられ、送風装置で相互に逆向きの空気流が形成
される屋外と室内及び天井裏空間とを連絡する二
系統の近接して並ぶ風路構造をもち、この風路構
造を開閉装置や風路切換装置で、一部を短絡状態
にしたり、組込んだ熱交換器によつて形成された
交差流通路によつて交差させたりするものである
から、開閉装置や風路切換装置による風路形態の
切換えによつて、給排気式の熱交換換気、給排気
による換気、サーキユレーシヨンさらに混合換気
など多様な空調機能を単独に果しうる。従つて、
室の総合的な空調を、室の美観を損うことなく実
現でき、室の総合的な空調のシステム化を可能と
なしうる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の空調手段を示す説明図、第２図
は本考案の適用例としての空調装置を示す横断平
面図、第３図は同じく空調装置の一部破断側面
図、第４図は空調装置を設置形態を示す説明図、
第５図は空調装置の機能を表にして示す説明図、
第６図は、本考案の他の態様を示す要部について
の断面図である。 図において１０，１１は風路構造、１３は熱交
換部、１４はダクト連絡部、１５は送風装置部、
１６は室内連絡部、１７は全熱交換器、１９は交
差流通路、２０は回動ダンパ、２２はダンパ、２
４はフアン、２６はグリル部、２７は切換ダン
パ、２８は天井裏開口部、２９は室内開口部であ
る。なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示
す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一端側を室内と天井裏空間とのいずれかに切
   換え開口させることができ、他端側を屋外に開
   口させうる、天井裏空間に配置される近接状態
   に並ぶ二系統の風路構造、これらの風路構造の
   一方に室内側から屋外側へ向かう空気流を形成
   し、他方の風路構造にこれとは反対向きの空気
   流を形成する、前記各風路構造の一部に組込ま
   れた送風装置、この送風装置より屋外側の各風
   路構造を通常においては独立状態におき、開放
   動作によつてそれより室内側の各風路構造を当
   該部において短絡させうる開放度の調節が可能
   な開閉装置、この開閉装置より屋外側の各風路
   構造に介装され、当該部の各風路構造を交差状
   に連絡する交差流通路を形成する、交差状に配
   列された二系統の空気通路を備えた熱交換器、
   この熱交換器の形成する交差流通路の開閉とと
   もに熱交換器をまたぐ各風路構造の部分を閉開
   する風路切換装置を備えてなる天井埋込形空調
   装置。 (2) 各風路構造の室内と天井裏空間とに開口する
   一端側が、内部が二分された一体構造のグリル
   で構成されていることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の天井埋込形空調装
   置。 (3) グリルが、その内部に冷暖房コイルユニツト
   を装着できる構造である実用新案登録請求の範
   囲第２項記載の天井埋込形空調装置。