JPS6347582Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、歩行者がフロントフエンダ上面に衝
突した際に、歩行者が受ける衝撃を緩和すること
が可能な車体構造に関する。

従来技術 従来の一般的な車体前側部の構造としては第
１，２図に示したようなものがある。すなわち車
体１の両側部には、フロントサイドレインフオー
ス２と、フードリツジパネル３とを接合して構成
された閉断面形状の骨格部材４が設けられてお
り、該骨格部材４にはフロントフエンダ５の上端
部に延設垂下され、該フロントフエンダ５の上面
をフード６と同一高さに支持するための垂直壁部
７がその先端部に屈曲成形されたフランジ８に挿
通された図示しないクリツプにより固定されてい
る。

以上の車体構造において、第３図に示したよう
に自動車ｃがフロントフエンダ５の前端部にて歩
行者Ｍに衝突すると、該歩行者Ｍは下半身は押進
されるが、上半身は押進されないため、フロント
フエンダ５上に掬い上げられ、肩部等がフロント
フエンダ５の上面に衝突する。

かかる衝突時の衝撃を緩和するために、特公昭
46−36740号公報に所載の装置のようにフロント
フエンダ５に近接して設けられているフード６に
前記衝撃に対するエネルギ吸収機構を設けたもの
が提案されているが、この装置によれば実施に際
し高コストを要するものとなる。又フロントフエ
ンダ５の上面のみに乗員が衝突した場合において
も所要の衝撃緩和効果を得られるようにするため
フロントフエンダのつぶれ代を大きくしなければ
ならなかつた。このため、小型で効果的にエネル
ギ吸収が可能な技術の出現が要請されていた。

考案の目的 本考案は、かかる要請に応ずるべくなされたも
のであり、簡易な車体改造により歩行者がフロン
トフエンダ上面に激突した際の衝撃緩和を図るこ
とが可能な車体構造を提供することを目的とする
ものである。

考案の構成 前記目的を達成するために本考案にあつては、
フロントサイドレインフオースとフードリツジパ
ネルとを接合して構成され、車体前後方向に延在
する閉断面骨格部材に、フロントフエンダの上端
部に延設垂下された垂直壁部の下端部が固定され
た構造において、前記垂直壁部にはその上方より
加わる所定以上の衝撃荷重によつて塑性変形する
易屈曲部を車体の前後方向に略全体に渡つて設け
てある。

実施例 以下本考案の実施例について、前記従来構造と
同一部材，同一部分については同一符号を付して
説明する。

第４図は本考案の第１実施例を示すものであ
り、フロントフエンダ５の垂直壁部７には、フロ
ントフエンダ外部方向に開放状の稜部９からな
り、前記垂直壁部７にその上方より加わる所定以
上の荷重によつて塑性変形する易屈曲部１０が車
体の前後方向に略全体に渡つて設けられている。

かかる第１実施例において、第３図に示したよ
うな衝突に伴う歩行者Ｍの転倒によつて、該歩行
者Ｍが肩部等をフロントフエンダ上面５ａに衝突
させられ、該フロントフエンダ上面５ａに所定以
上の荷重が生ずると、垂直壁部７は稜部９の中央
部にて屈曲しつつ塑性変形する。このため前記荷
重Ｇは、この塑性変形に伴つてエネルギ吸収がな
され、歩行者Ｍに対する衝撃を効果的に吸収する
ことができるのである。又前記荷重Ｇが所定以下
のものであつた場合には、垂直壁部７は稜部９を
中心にして弾性屈曲し、弾性変形領域内において
ばね作用を営み、このばね作用によつてエネルギ
を吸収し、前記衝撃の緩和を図ることができる。

よつてフロントフエンダ５を垂直壁部７ととも
に、広域の弾性変形領域を有する合成樹脂にて成
形すれば、垂直壁部７の弾性変形領域を拡大させ
て、前記ばね作用による衝撃緩和の向上を図るこ
とができる。従つてフロントフエンダのつぶれス
トロークを大きくすることなく効果的に衝突エネ
ルギーを吸収することができる。

第５図は本考案の第２実施例を示すものであ
り、易屈曲部１０は複数のフエンダ外部方向に開
放状の稜部９，９と、その間に設けられたフエン
ダ内部方向に開放状の稜部１１とからなる断面波
状によつて構成されている。かかる第２実施例に
よれば、垂直壁部７は、塑性変形時に各稜部９，
９，１１から屈曲することとなり、屈曲部位が複
数となつて、各屈曲部位が夫々エネルギ吸収を行
なうことから、塑性変形時のエネルギ吸収量を増
大させて、衝撃荷重に対する緩和性能を向上させ
ることができる。又この屈曲部位の増加によつて
弾性変形領域が拡大し、ばね作用も向上すること
から、微小な衝撃荷重に対する緩和性能をも向上
させることができ更につぶれストロークの小型化
をはかることができる。

第６図は本考案の第３実施例を示すもので、易
屈曲部１０は、フエンダ内部方向に開放状の凹部
１１により構成されている。かかる第３実施例に
よれば、衝撃吸収に関しては、第１実施例同様の
作用を奏するとともに、塑性変形後の垂直壁部７
の修復作業においては、フロントフエンダ５を骨
格部材４から外すことなく、稜部９の外側から押
圧すれば復元することができ、修復作業の容易化
を図ることができる。

考案の効果 以上説明したように本考案は、フロントフエン
ダの上端部に延設垂下された垂直壁部には、その
上方より加わる所定以上の衝撃荷重によつて塑性
変形可能な易屈曲部を設けたことから、自動車が
フロントフエンダの前端部にて歩行者に衝突し、
歩行者が掬い上げられてフロントフエンダ上面に
衝突した場合において、この衝突時の衝突荷重が
所定以上であるときには、前記易屈曲部は挫屈し
つつ衝撃エネルギを吸収し、歩行者に加わる衝撃
の緩和を図ることができ、フロントフエンダの小
型化をはかることができる。

又衝突時の衝撃荷重が所定以下の微小なもので
ある場合には、前記易屈曲部は弾性変形領域内に
おいて、垂直壁部を変形させることから、該垂直
壁部がばね作用し、微小な衝撃に対する緩和を行
なうことができる。よつて前記垂直壁部を広域の
弾性変形領域を有する合成樹脂で成形することに
より、前記ばね作用によるエネルギ吸収効果を向
上させることができることから、フロントフエン
ダを合成樹脂により一体成形した車体の対歩行者
保護構造として好適なものである。又、前記易屈
曲部は、垂直壁に車体の前後方向に略全体に設け
られていることから、フエンダパネルを成形する
際、垂直壁に易屈曲部を一体に成形することがで
き、成形加工が容易であるとともに、易屈曲部に
設けられた稜部の開き角度を適宜設定変更するこ
とにより、エネルギ吸収特性をコントロールする
ことができ、フエンダパネルの形状や厚さ等に対
応して、適切なエネルギ吸収特性を得ることが可
能となるのである。

加えて前記第２実施例にあつては、複数の凹部
による塑性変形時の屈曲部位の増加と、ばね作用
の向上とにより、所定以上の荷重のみならず、所
定以下の荷重に対しても良好なエネルギ特性が得
られるとともに、第３実施例にあつては塑性変形
後の修復作業が容易となる等の効果を奏するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の車体の外観説明図、第２図は
第１図−線矢視断面図、第３図は自動車と歩
行者の衝突状態の一例を示す説明図、第４図は本
考案の第１実施例の第１図−線に相当する断
面図、第５図は本考案の第２実施例の第１図−
線に相当する断面図、第６図は本考案の第３実
施例の第１図−線に相当する断面図である。 １……車体、２……フロントサイドレインフオ
ース、３……フードリツジパネル、４……骨格部
材、５……フロントフエンダ、６……フード、７
……垂直壁部、９，１１……稜部、１０……易屈
曲部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フロントサイドレインフオースとフードリツジ
   パネルとを接合して構成され、車体前後方向に延
   在する閉断面骨格部材に、フロントフエンダの上
   端部に延設垂下された垂直壁部の下端部が固定さ
   れた構造において、前記垂直壁部にはその上方よ
   り加わる所定以上の衝撃荷重によつて塑性変形す
   る稜部を備えた易屈曲部を、車体の前後方向に略
   全体に渡つて設けたことを特徴とする車体構造。