JPS6346738Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動二輪車の特にサイドパネルで密閉
される内装型デイスクブレーキ装置に関するもの
である。

従来技術 従来の自動二輪車用デイスクブレーキ装置で
は、車輪ハブの一側または両側に、一体的かつ同
心状に取付けられたブレーキデイスクは、外気に
露出しているため、制動時に発生する摩擦熱は走
行に伴なう気流によつて充分に放散されるが、ブ
レーキデイスクをサイドパネルで密閉する内装型
デイスクブレーキ装置においては、ブレーキデイ
スクが外気に露出していないので、デイスクの放
熱が悪く、これを改善するために、従来では、デ
イスク面積を広くし、またはベンチレーテツド式
にして、放熱効果の向上を図つていた。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、デイスク面積を広くすること
は、車輪ハブとの関係で制約されるとともに、車
体重量の増大を招き、好ましくない。

また、ベンチレーテツド式に形成した場合に
は、デイスクと冷却風排出口との位置関係が適切
でないと冷却性能が低下する不都合があつた。

またサイドパネルで密閉された内装型デイスク
ブレーキ装置において単にパネルに通気孔を設け
たものがあるが、冷却空気の流れが強制的に形成
されないので冷却効率が悪い。

問題点を解決するための手段及び作用 本案は、このような問題を解決した自動二輪車
用デイスクブレーキ装置の改良に係り、その目的
とする処は、冷却性能が高く、かつデイスクへの
異物の付着を防止できる内装型自動二輪車用デイ
スクブレーキ装置を供する点にある。

そこで本考案は、車輪ハブの側面に固設したブ
レーキデイスクと、該デイスクの両側に対向して
対をなして設けたパツドを有するキヤリパ部材
と、前記ブレーキデイスクの外側に配設した遮蔽
部材とからなる自動二輪車用デイスクブレーキ装
置において、前記ブレーキデイスクに冷却風通路
を放射状に形成し、前記遮蔽部材の外縁部をハブ
側面と近接する位置まで前記ブレーキデイスクの
外縁部を外側から覆うようにして延出し、同延出
部において前記ブレーキデイスクに設けられた冷
却風通路の延長線上の位置に複数個の冷却風排出
口を設け、該遮蔽部材の側面に冷却風をブレーキ
デイスクの内径側に導く導風路を形成し、該遮蔽
部材はまたキヤリパを支持する手段でもある自動
二輪車用デイスクブレーキ装置である。

したがつて、前記遮蔽部材とハブとでブレーキ
デイスクが覆われ、異物の侵入およびデイスクへ
の異物付着を防止するとともに、冷却空気は遮蔽
部材の導風路よりブレーキデイスク内径側に流入
され、ブレーキデイスクに設けられた放射状の冷
却風通路を通つて、遮蔽部材の外縁延出部に設け
られた冷却風排出口より流出される流れが強制的
に形成されて効率のよい冷却効果を得ることがで
きる。

また、デイスクを遮蔽するのに遮蔽部材ととも
にハブが利用され、さらに遮蔽部材がキヤリパを
支持して別個特別にキヤリパを支持する手段が必
要とされないので部品点数が少なくてすむ。

実施例 以下、第１図ないし第３図に図示された本案の
一実施例について説明する。

１は、フロントフオーク２に両端が固着された
フロントホイールアクスルで、同フロントホイー
ルアクスル１にベアリング３を介してフロントホ
イールハブ４が回転自在に枢支され、同フロント
ホイールハブ４の外周のリム６に図示されないフ
ロントタイヤが装着される。

また、前記フロントホイールハブ４には、周方
向に亘つて120゜の間隔毎に両側方および半径方向
に突出する取付け用ボス５が一体に形成され、同
取付け用ボス５の周方向両面に面一に接触しうる
ように、ブレーキデイスク７の外周にも突出部１
０が突設されており、前記デイスク７はボルト１
１によつて前記ハブ４に着脱自在に装着されてい
る。

さらにまた、前記デイスク７には冷却風通路８
を画定する複数の放射状に延びるリブ９が形成さ
れている。

一方、前記デイスク７の外側を覆うように、冷
却風導入口１３を備えたサイドパネル１２が形成
せられ、同サイドパネル１２の外周にカバー１４
がボルト１８によつて着脱自在に装着されてい
る。

同カバー１４は、前記デイスク７の外周側縁と
所定間隔をおいて相対する外縁部１５を有してお
り、同外縁部１５には、その全周に亘つて一定間
隔をおいて冷却風排出口１６が設けられ、しかも
同冷却風排出口１６を内側から遮蔽するように金
網１７が配設せられている。

また、フロントホイールアクスル１より後方に
位置した箇所に、前記デイスク７の両側に対向し
て接離自在に摺接しうる一対のパツド２０を有す
るキヤリパ１９が配設された状態で、前記サイド
パネル１２にキヤリパ１９が一体に装着され、か
つ前記デイスク７を内周側から跨ぐように配設さ
れており、前記一切のパツド２０は、キヤリパピ
ストン２１の作動により、前記デイスク７の両側
面に圧接され、ブレーキがかけられるようになつ
ている。

第１図ないし第２図に図示の実施例は前記した
ように構成されているので、キヤリパ１９のキヤ
リパピストン２１を作動させれば、前記一対のパ
ツド２０は、前記デイスク７の両側面に圧接され
て、フロントホイールハブ４は制動される。

また、サイドパネル１２には冷却風導入口１３
が形成され、かつ前記カバー１４には冷却風排出
口１６が開設されており、しかも前記デイスク７
には、冷却風通路８を画定する複数の放射状に延
びるリブ９が形成されているため、前記ハブ４の
回転に伴つて前記デイスク７の冷却風通路８も回
転し、その通路８内の空気が遠心力で前記デイス
ク７の外周より冷却風排出口１６を介して外気へ
排出され、同時に冷却風導入口１３からは外気が
導入される。

したがつて、制動の際に前記デイスク７に発生
する摩擦熱が断続的に流通置換される空気により
放散され、冷却効果が大である。

さらに、前記デイスク７は、サイドパネル１
２、およびカバー１４で覆われ、かつ冷却風排出
口１６が金網１７で遮蔽されているため、前記デ
イスク７の表面への水、土砂等異物の付着がな
く、冷却効果の低下が防止されるとともに、土砂
等による前記デイスク７およびパツド２０の摩耗
が少ない。

またデイスク７を覆うのにサイドパネル１２お
よびカバー１４とともにハブ４が利用され、さら
にサイドパネル１２がキヤリパ１９を支持して別
個キヤリパを支持手段が不要であるので部品数が
少なくてすむ。

第１図ないし第３図に図示の実施例では、フロ
ントホイールに本案を適用したが、リヤホイール
にも本案を適用することができる。

考案の効果 本考案は、遮蔽部材の導風路、ブレーキデイス
クの冷却風通路、遮蔽部材の冷却風排出口の順に
冷却空気の流れが強制的に形成されるため、制動
時に発生するブレーキデイスクの摩擦熱が効果的
に放散され、ブレーキデイスクの冷却性能が向上
する。

また遮蔽部材がキヤリアを支持し、ハブを利用
してデイスクを遮蔽しているので部品数が少なく
てすみ、コスト面及び組立性の面ですぐれてい
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案に係る自動二輪車用デイスクブレ
ーキ装置の一実施例を図示した側面図、第２図は
第１図の−線に沿つて截断した横断面図、第
３図は前記実施例におけるカバー部材の要部説明
図である。 １…フロントホイールアクスル、２…フロント
フオーク、３…ベアリング、４…フロントホイー
ルハブ、５…取付け用ボス、６…リム、７…ブレ
ーキデイスク、８…冷却風通路、９…リブ、１０
…突出部、１１…ボルト、１２…サイドパネル、
１３…冷却風導入口、１４…カバー、１５…外縁
部、１６…冷却風排出口、１７…金網、１８…ボ
ルト、１９…キヤリパ、２０…パツド、２１…キ
ヤリパピストン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車輪ハブの側面に固設したブレーキデイスク
   と、該デイスクの両側に対向して対をなして設け
   たパツドを有するキヤリパ部材と、前記ブレーキ
   デイスクの外側に配設した遮蔽部材とからなる自
   動二輪車用デイスクブレーキ装置において、前記
   ブレーキデイスクに冷却風通路を放射状に形成
   し、前記遮蔽部材の外縁部をハブ側面と近接する
   位置まで前記ブレーキデイスクの外縁部を外側か
   ら覆うようにして延出し、同延出部において前記
   ブレーキデイスクに設けられた冷却風通路の延長
   線上の位置に複数個の冷却風排出口を設け、該遮
   蔽部材の側面に冷却風をブレーキデイスクの内径
   側に導く導風路を形成し、該遮蔽部材はまたキヤ
   リパを支持する手段でもあることを特徴とする自
   動二輪車用デイスクブレーキ装置。