JPS6346645Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関のバルブ装置の改良に関す
る。

〔従来技術〕

内燃機関の吸気弁及び排気弁は、弁ばねによつ
て、シリンダヘツドのボートに圧着されて気密を
保持する。

従つて、例えば、弁ばねの弾性力が弱いと上記
気密性が低下してガス洩れを起し、エンジン出力
を低下させる。

このように弁ばねは、エンジン性能に直接影響
するので耐久性のあるものでなければならない。

そこで内燃機関の動弁装置における弁ばねは、
その構造上弁ばねの内径側に最大応力が発生す
る。このため、弁ばねの疲れ強度を向上させるた
め主として内径側表面をねらい、シヨツトピーニ
ングを施すことが一般に行なわれている。

従来、弁ばねのサージング防止として、第１図
に示すように、弁ばね１の内径側にダンパスプリ
ング２をある締代（弁ばねの伸縮を許容すること
をいう）を持たせて挿入することが一般に実施さ
れている。

一般に、コイルばねの個有振動を減衰してばね
のサージングを防止する手段としては、ばねの伸
縮方向（コイルの軸方向）に摩擦力を与えて個有
振動を減衰させる方法と、もう一つの方法として
は、コイルの周方向（コイルが伸縮するとコイル
にねじれを生ずるのでこのねじれに対して摩擦力
を与える）に摩擦力を与えて個有振動を減衰させ
る方法とがある。

第１図に示す従来例は、コイルの周方向に摩擦
力を付勢して、コイルバネのサージングを防止す
るようにしたものであり、弁ばね１の内径側にダ
ンパスプリング２（板状の帯鋼を弁ばね１の巻き
方向とは逆に巻いたコイルスプリング）を、弁ば
ね１の全長にわたつて挿入し、弁ばね１の内径側
とダンパスプリング２の外径側との間でコイルの
周方向に摩擦力が働くように、一定の締代をもた
せた構成になつている。

又、実開昭53−83907号公報及び実開昭52−
79411号公報には、弁ばねの外周に弁ばねの伸縮
方向に摩擦力を与えるダンパスプリングが示され
ている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来の内燃機関のバルブ装置において、第
１図に示したダンパスプリング２の効果は、弁ば
ね１の周方向との摩擦により発揮されるため、前
記弁ばね１の内径側摩擦タイプでは当然弁ばね１
の内径側摩耗をもたらす。したがつて、シヨツト
ピーニングで疲れ強度を向上させた表面層が摩耗
によりなくなるため弁ばね１の疲れ強度が低下し
これに伴いエンジン性能を低下するという問題点
がある。

又、弁ばねの伸縮方向に摩擦力を与えるように
した実開昭53−83907号及び実開昭52−79411号公
報に示されたものは、弁ばねの全長にわたつて均
一な摩擦力を与えることが困難であり、このこと
がエンジン性能に影響を与えるという問題があ
る。

即ち弁ばねの特性が上記摩擦力によつて変つた
場合、例えば弁ばねの弾性力が強くなつたような
場合は、エンジン出力の損失や動弁機構の摩耗が
早められ、これらが原因してエンジン性能を低下
させるという問題がある。

本考案は、弁ばねのサージング防止は勿論のこ
とエンジンの性能をも維持するようにした内燃機
関のバルブ装置を提供せんとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するために本考案は、ダンパス
プリングの上端をバルブスプリングリテーナに下
端を弁ばねシートに当接し、弁ばねの外周側に該
弁ばねに対して締代を持たせて前記ダンパスプリ
ングを嵌合し、弁棒を前記弁ばね内に挿通してそ
の先端をバルブコツクを介して前記バルブスプリ
ングリテーナに嵌合保持したことを特徴とする。

〔作用〕

このように構成することにより、弁ばねの内径
側は、ダンパスプリングにより摩耗されることは
ない。

従つて、弁ばねの内径側のシヨツトピーニング
に接触しないので処理表面は、保たれる。

又、ダンパスプリングの両端をバルブスプリン
グリテーナと、弁ばねシートに当接して設けかつ
締代を持たせて、弁ばねの全長にわたつて均一に
摩擦力を与える。

〔実施例〕

以下に、本考案の一実施例を第２図に基づいて
説明する。

図において、１は弁ばね、２′はダンパスプリ
ングである。

このダンパスプリング２′は、第１図に示す従
来のものと同様に、板状の帯鋼を弁ばね１の巻き
方向とは逆の巻き方向に巻いたスプリングであ
り、図に示す通りバルブスプリングリテーナ７と
弁ばねシート１２とに上下端が当接するように弁
ばね１の全長にわたつて設けられている。

３はシリンダヘツドの弁ばねシート部、４はバ
ルブガイド、５は弁棒、６はバルブコツタ、８は
アジヤストスクリユ、９はナツト、１０はロツカ
ーアーム、１１はロツカーシヤフト、をそれぞれ
示している。

図から解るように、ダンパスプリング２′は、
従来とは異なり、弁ばね１の外径側に、該弁ばね
１に対して締代を持たせて嵌合されている。この
ような構成のバルブ装置においては、弁ばね１が
サージングを初めたときに、ダンパスプリング
２′の内面が弁ばね１の外径面と強く摩擦するこ
とにより発生する熱損失で、弁ばね１のサージン
グは防止される。

これにより、弁ばね１の内径側のシヨツトピー
ニング処理が保たれ長時間の使用にわたつて弁ば
ね特性が維持されエンジン性能も維持される。

又このダンパスプリング２′は、その上下端が
バルブスプリングリテーナ７と弁ばねシート１２
に当接して、弁ばね１と同様に伸縮し、上記サー
ジング防止と同時にスプリングの弾性力として、
弁ばね１の弾性力に付加され、弁の開閉をより確
実にする。なお、ダンパスプリング２′の全周断
面形状は矩形あるいは円形等があり、これらの形
状は弁ばね１に対して適当な値の締代さえあれば
上記と同種の効果を発揮する。

〔考案の効果〕

以上述べたような本考案により、弁ばねの外径
側に、該弁ばねに対して締代を持たせてダンパス
プリングを嵌合させたので、弁ばねの内径側の摩
耗を防ぐことにより、弁ばねの疲れ強度を低下さ
せることなく、弁ばねの折損による機関損傷或
は、エンジン性能に対して信頼性の高いバルブ装
置を提供することができる。

又ダンパスプリングの両端をバルブスプリング
リテーナと弁ばねシートに当接して弁ばねの全長
にわたつて均一に摩擦力を付与するようにしたの
で、弁ばねの特性が維持されエンジン性能に影響
を与えないなどの優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のバルブ装置の断面図、第２図は
本考案に係るバルブ装置の断面図である。 １……弁ばね、２，２′……ダンパスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ダンパスプリングの上端をバルブスプリングリ
   テーナに下端を弁ばねシートに、当接し、弁ばね
   の外周側に該弁ばねに対して締代を持たせて前記
   ダンパスプリングを嵌合し、弁棒を前記弁ばね内
   に挿通してその先端をバルブコツクを介して前記
   バルブスプリングリテーナに嵌合保持したことを
   特徴とする内燃機関のバルブ装置。