JPS6346567Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は木造家屋などの建物の壁、床、屋根な
どに使用する建築用断熱板に関する。

従来木造家屋などの建物の壁、床、屋根などを
断熱施工する場合、壁材や床材などの間のスペー
スに断熱材を充填施工するのが一般的であるが、
壁材や床材を施工する他に断熱材を施工する手間
が余計にかかつたり、またスペースに充填施工す
ることからどうしても建物骨材と断熱材とに隙間
ができてしまい断熱性が十分発揮されない欠点が
あつた。その上断熱材を単独で充填施工しなくて
はならないため、断熱材自体防湿加工を施したも
のを使用しなくてはならなかつた。

このような欠点を解決するため、たとえば実公
昭50−21300号公報に記載されているような屋根
下地材などと断熱材をあらかじめ一体化してお
き、施工に際して建物の下地施工と断熱施工を同
時に行なえ、わざわざ断熱材を施工する手間を省
略しようとすることが行なわれた。しかしながら
このような断熱板は確かに断熱材施工の手間は省
略できるものの、たとえば第３図に示すように床
下地板１と硬質合成樹脂発泡体芯材２を貼着し、
根太７などへの取付部分の芯材を除去した断熱板
を根太７上に施工すると、どうしても根太７と該
芯材２との間に隙間が生じてしまい、断熱材とし
ての硬質合成樹脂発泡体芯材２の断熱性能が十分
発揮できないだけでなく、この隙間部分の該芯材
２の側面部分が防水されてないためにここから吸
湿し易くなり、該芯材自体の断熱性能も経時によ
り低下してしまう欠点もあつた。

本考案はこのような欠点を解消することを目的
とするものである。すなわち本考案は硬質合成樹
脂発泡体を芯材とし、芯材の表裏両面に面材を貼
着してなる断熱板において、硬質合成樹脂発泡体
芯材の部分に根太、柱、間柱、垂木などの幅より
もやや幅広にした圧縮変形し得る断熱材を根太、
柱、間柱、垂木などの間隔に合わせて断熱板の全
長にわたつて一体形成し、表面材として硬質板を
貼着し、裏面材として可撓性防湿面材を貼着し、
該裏面材の圧縮変形し得る断熱材を被覆する部分
に切断線を形成し、該断熱材の裏面材側表面から
表面材にいたる間の適宜の深さの切り込みを形成
してなる建築用断熱板である。

硬質合成樹脂発泡体芯材２は、硬質ウレタンフ
オーム、イソシアヌレートフオーム、フエノール
フオーム、フオームスチレン、押出発泡スチレ
ン、などであり、適当な方法で発泡板状成形した
ものである。表面材１としては建築物の下地材と
して一般に使用されるものでよく、合板、パーテ
イクルボード、ハードボード、インシユレーシヨ
ンボード、木毛セメント板、石綿セメント板など
がある。裏面材４は可撓性と防湿性を有するもの
で、Ｋライナー紙、クラフト紙、石綿紙などの防
湿処理したもの、アルミ箔、鉄箔、銅箔などの金
属箔、合成樹脂フイルムや、これらを組み合せた
シート状物が使用できる。圧縮変形し得る断熱材
３は、軟質ウレタンフオーム、ポリエチレンフオ
ーム、PVCフオーム、ラバーフオームなどの軟
質合成樹脂発泡体やグラスウール、ロツクウール
などの嵩高の軟質繊維体が好適である。表面材１
と硬質合成樹脂発泡体芯材２及び裏面材４を貼着
一体化するのは、あらかじめ硬質合成樹脂発泡体
板を成形しておき、表面材１及び裏面材４と貼着
してもよいし、硬質合成樹脂発泡体の発泡成形時
の自己接着性を利用して、芯材２の成形と同時に
表面材１及び裏面材４を貼着成形する慣用されて
いるラミネート方法によつても良い。

該芯材２の部分に挿入する圧縮変形し得る断熱
材３は、この断熱板を取り付けるべき、建物の根
太７や柱、間柱、垂木などの幅よりもやゝ幅広に
して断熱板の全長にわたつて一体形成し、一枚の
断熱板に２カ所以上、根太や柱などの間隔に合わ
せた間隔で挿入形成させる。圧縮変形し得る断熱
材３の厚さは、第１図に示すように芯材２と同一
の厚さか、あるいは、芯材２の半分程度の厚さま
での範囲が実用上有効である。また圧縮変形し得
る断熱材３には第１図に示すように、断熱材３の
裏面材４側表面から表面材１にいたる間の適宜の
深さの切り込み９を入れるが、この切り込み９の
幅は切断線の幅と同じか、それ以下であれば任意
の幅で良い。切り込み９を入れると断熱材３がよ
り変形し易くなり、根太や間柱などの建物骨材に
対して、より施工が容易となる。裏面材４は、こ
の圧縮変形し得る断熱材３に当接する部分に切断
線５を形成し、遊離するようにしておく。

裏面材に形成する切造線は、根太、柱、間柱、
垂木などの幅より幅狭であれば任意の幅で形成す
ることができる。

本考案の断熱板を建物に施工するには、たとえ
ば第２図は床部への施工例であり、根太７の部分
に断熱板の圧縮変形し得る断熱材３の部分を押し
つけると裏面材４の切断線から裏面材４の端部６
が内側に押し込まれ、断熱材３は圧縮して下地板
の表面材１が根太７上に安定した状態で置かれ、
この部分を釘８などによつて取り付けることによ
つて容易に施工することができる。

本考案の断熱板は以上のようであるから、これ
を使用するに次のような作用、効果を奏する。

根太、柱などの断熱板を施工すべき建物骨材
の周囲は隙間なく断熱材が密着充填しているか
ら、断熱材に切れめがなく断熱効果がすぐれ
る。

断熱板の芯材は硬質合成樹脂発泡体であるか
ら断熱性能がすぐれるだけでなく、強度があ
り、表面材としての下地板が従来一般的に使用
されているものよりも薄いものでも強度が十分
である。

芯材の表裏面は防湿性を有する面材で被覆さ
れており、根太などの建物骨材と直接接触する
端面は裏面材の防湿シートが骨材と接触してい
るため端面の防湿も十分であり、断熱材への湿
分の浸入を十分防ぎ、断熱材の耐久性がすぐれ
る。

根太、柱などの断熱材を直接取り付ける建物
骨材の間隔に多少のバラツキがあつても、芯材
中に挿入した圧縮変形し得る断熱材の幅の余裕
によつて使用することができる。

床、壁、屋根部分など断熱板を取り付けるべ
き、根太、柱、垂木などがあればどのようなと
ころにも容易に断熱施工することができる。

根太などと下地板の間には圧縮変形し得る断
熱材が介在され、これが緩衝材となるので床な
どのキシミ音がなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は断熱板の斜視図、第２図は床部根太上
への施工例図、第３図は従来の断熱板の床部根太
上への施工例図。 １……表面材、２……硬質合成樹脂発泡体芯
材、３……圧縮変形し得る断熱材、４……裏面
材、５……切断線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 硬質合成樹脂発泡体を芯材とし、芯材の表裏両
   面に面材を貼着してなる断熱板において、硬質合
   成樹脂発泡体芯材の部分に根太、柱、間柱、垂木
   などの幅よりもやや幅広にした圧縮変形し得る断
   熱材を根太、柱、間柱、垂木などの間隔に合わせ
   て断熱板の全長にわたつて一体形成し、表面材と
   して硬質板を貼着し、裏面材として可撓性防湿面
   材を貼着し、該裏面材の圧縮変形し得る断熱材を
   被覆する部分に切断線を形成し、該断熱材の裏面
   材側表面から表面材にいたる間の適宜の深さの切
   り込みを形成してなる建築用断熱板。