JPS6343519Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、例えば各種の時計、カメラ、電子レ
ンジ、ポータブル、ビデオ、テープ、レコーダま
たはポケツトベル等において、報音用として使用
される音響変換器に関する。

従来技術とその問題点 この種の音響変換器としては、圧電型等のもの
も知られているが、最近、2KHz前後の低周波領
域に共振点を持つ電磁型のものが注目されてい
る。この電磁型音響変換器は、振動板を直流的な
磁界と、交流的な磁界との磁気的相互作用により
励振して、振動音を得るものである。この場合、
音圧レベルを向上させる手段として、音響変換部
を収納するケースの内部に形成される空洞の空洞
共振系、特に音響変換部を構成する振動板の背面
側の空洞共振系を利用して、音圧レベルを向上さ
せる構造のものが提案されている。

第１図及び第２図はこの種の前記電磁型音響変
換器の従来例における断面図である。まず第１図
の従来例では、コイル２を巻装した鉄心３を有す
るヨーク４の上面に、前記コイル２び鉄心３から
成る電磁石を包囲する如く、フエライトマグネツ
トもしくはプラスチツク成形マグネツト等の円筒
状の永久磁石５を配置すると共に、該永久磁石５
の上端面に円板状の振動板６を装架することによ
り、音響変換部を構成し、この音響変換部を非磁
性金属材料または合成樹脂等より成る円筒状ケー
ス１の底部開口部に、圧入等の手段によつて装着
した構造となつている。７はヨーク４と共に前記
ケース１の底部開口部に装着される端子基板であ
り、前記コイル２のコイル端末を導通接続させる
ピン状の端子８，９を植設してある。

また、前記ケース１の上面部に放音孔１０を設
けると共に、前記ヨーク４及び端子基板７を貫通
して同様の放音孔１１を設け、該放音孔１０，１
１により、振動板６の前面及び背面側の空洞１２
及び１３の空洞共振系による共振作用を利用し
て、音圧レベルを向上させるようにしてある。

しかしながら、この第１図に示す従来の電磁型
音響変換器は、プリント回路基板に対する対向面
となるヨーク４及び端子基板７に放音孔１１を設
けた構造であるため、プリント回路基板に実装す
るに当つて、端子８，９をプリント回路基板に半
田付けする際に、前記放音孔１１を通つて音響変
換部の内部にフラツクスが侵入し、振動板６の支
持端面に付着して、振動板６を固着させ、振動特
性を劣化させることがあつた。

第２図に示す従来例は、第１図に示したものの
欠点を除去するために提案されたものであつて、
ケース１の内部を、下端縁を開口させた仕切板１
４によつて二つの空室１５及び１６に区画し、一
方の空室１５内に音響変換部を組込み、該音響変
換部を構成する永久磁石５の下端面の一部に通孔
状または溝状の切欠１７を設け、該切欠１７を通
して、振動板６の背面側の空洞１３を空室１６に
連通させた構造となつている。空室１６の上面側
には放音孔１８を穿設してある。

この第２図の実施例の場合は、振動板６の背面
側に空洞共振を、永久磁石５に設けた切欠１７及
び空室１６を通して、空室１６の上方に設けた放
音孔１８に導く構成となつているから、第１図の
実施例のような不具合を生じる余地はない。しか
しながら、永久磁石５に切欠１７を設ける構造で
あつたため、次のような欠点があつた。

(イ) 永久磁石５としてフエライトマグネツトを使
用した場合、前記切欠１７は機械加工または金
型成形の何れかの方法によつて形成しなければ
ならない。しかしながら、前者の方法ではコス
ト高になり、また後者の方法では、公差が大き
く、バラツキが増大する傾向にあるため、特性
の安定したものを得ることができない。

(ロ) 永久磁石５としてプラスチツク成形マグネツ
トを使用した場合は、金型の摩耗が激しいた
め、金型の補修が必須である。ところが、前述
の如く、切欠１７を設ける複雑な形状である
と、金型補修作業が困難になり、金型維持費の
コストアツプ、早期損耗等を招く。

本考案の目的 そこで本考案は、空洞共振作用を利用して音圧
レベルを上昇させる場合に、回路基板への実装時
に、半田フラツクス侵入による不具合を生じるこ
とがなく、しかも、加工形成が容易で、精度が高
く、特性の安定した安価な音響変換器を提供する
ことを目的とする。

本考案の構成 上記目的を達成するため、本考案は、電磁石と
該電磁石を包囲するように配置した永久磁石との
間の磁気的相互作用により、前記電磁石と空隙を
介して対向させた前記振動板を振動させる音響変
換部を、前記電磁石のヨークが底部を形成するよ
うにしてケース内に収納し、前記ケース内の前記
振動板の前面及び背面に空洞共振系を形成した音
響変換器において、前記ケースに、前記音響変換
部を収納する空室から区画された別の空室を設
け、該空室を、前記電磁石を構成するヨークに設
けた切欠を通して、前記振動板の背面側の空洞共
振系と連通させたことを特徴とする。

実施例 第３図は本考案に係る音響変換器の正面断面図
である。図において、第１図及び第２図と同一の
参照符号は同一性ある構成部分を示している。こ
の実施例では、電磁石を構成するヨーク４の一端
側に、電磁音響変換部を収納する空室１５から、
仕切板１４によつて区画された空室１６に達する
切欠１９を設け、該切欠１９によつて、振動板６
の背面側の空洞１３と、空室１６とを互いに連通
させた構造となつている。

このような構造であると、振動板６の背面側の
空洞１３と、空室１６とを互いに連通させるに当
つて、永久磁石５に対して何らの加工も施す必要
がない。しかも、ヨーク４の切欠１９は、例えば
プレス加工等の手段によつて、高精度で簡単に形
成することができる。このため、高精度で、特性
の安定した安価な音響変換器が得られる。

更に第１図の従来例と異なつて、底部に通孔が
ないので、回路基板への実装時に半田付けフラツ
クスが侵入することがない。このため、半田付け
フラツクス侵入による特性劣化等を生じることの
ない安定した特性の音響変換器が得られる。

本考案の効果 以上述べたように、本考案は、電磁石と該電磁
石を包囲するように配置した永久磁石との間の磁
気的相互作用により、前記電磁石と空隙を介して
対向させた前記振動板を振動させる音響変換部
を、前記電磁石のヨークが底部を形成するように
してケース内に収納し、前記ケース内の前記振動
板の前面及び背面に空洞共振系を形成した音響変
換器において、前記ケースに、前記音響変換部を
収納する空室から区画された別の空室を設け、該
空室を、前記電磁石を構成するヨークに設けた切
欠を通して、前記振動板の背面側の空洞共振系と
連通させたことを特徴とするから、空洞共振作用
を利用して音圧レベルを上昇させる場合に、回路
基板への実装時に半田フラツクス侵入による不具
合を生じることがなく、しかも、加工形成が容易
で、精度が高く、特性の安定した安価な音響変換
器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は電磁型音響変換器の従来例を示す断面
図、第２図は同じく別の従来例における断面図、
第３図は本考案に係る音響変換器の断面図であ
る。 １……ケース、２……コイル、３……鉄心、４
……ヨーク、５……永久磁石、６……振動板、１
２……前面空洞、１３……背面空洞、１４……仕
切板、１５……空室、１６……空室、１９……切
欠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電磁石と該電磁石を包囲するように配置した永
   久磁石との間の磁気的相互作用により、前記電磁
   石と空隙を介して対向させた前記振動板を振動さ
   せる音響変換部を、前記電磁石のヨークが底部を
   形成するようにしてケース内に収納し、前記ケー
   ス内の前記振動板の前面及び背面に空洞共振系を
   形成した音響変換器において、前記ケースに、前
   記音響変換部を収納する空室から区画された別の
   空室を設け、該空室を、前記電磁石を構成するヨ
   ークに設けた切欠を通して、前記振動板の背面側
   の空洞共振系と連通させたことを特徴とする音響
   変換器。