JPS6342850Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は体育館内の観覧席などに設置使用さ
れる座自動跳ね上げ式で且つ背座連動形の椅子に
関する。

従来、観覧用椅子において座自動跳ね上げ式の
もの、並びに背座連動形即ち、座を転倒させると
背凭れが稍々後傾状態になり、逆に座を跳ね上げ
て起立させると背凭れも垂直になつて該座と重合
状態となる背座連動形のものは各種提案がなされ
ている。

しかしながら、それら従来のものは、座の起立
転倒に連動する背凭れの動きを複数のリンク又は
長溝とこれに摺嵌するガイドコロにより案内する
方式であつて、いずれも強度上の問題や耐久性に
乏しく、長期間使用しているとガタや破損が生じ
易く、円滑な動きが得られなくなつてしまう欠点
があつた。

この考案は上記事情に鑑みなされたもので、そ
の目的とする処は、構成が簡単で、製作組立てが
容易であると共に、座の起立転倒に連動する背凭
れの案内支持が確実で、耐強度的に優れて長期間
の使用に対しても円滑な作動を維持できる非常に
実用性大なる椅子を提供することにある。

つまり、この考案の椅子は背座支持金物の前側
上部の座支持部に座軸を介して座支持フレームを
枢着することにより座を起立・転倒可能に設ける
と共に、その座を常時起立する方向に附勢する座
跳ね上げ機構を設け、且つ前記背座支持金物の後
側より上方高く突出した背支持部上端に横長なス
ライド用ローラを回転自在に軸支し、そのスライ
ド用ローラに背支持フレームを摺合することで背
凭れを上下動及び回動可能に設け、更に前記座支
持フレームの後部座軸より上側に突出する突部の
先端部と背支持フレームの下端部とを背座連動シ
ヤフトで枢支連結せしめて前記座の起立・転倒に
背凭れが連動して上下動しながらやや後傾状態と
垂直状態とに回動する構成としたことを特徴とす
る。つまり座の押下げによる前方への転倒に伴い
背凭れが横長なスライド用ローラに案内されて上
昇しながらやや後傾状態となり、座の押下げ力解
除による自動起立に伴い背凭れが背凭れが横長な
スライド用ローラに案内されて下降しながら該座
と共に両者重合する垂直状態となるものである。

以下この考案の一実施例を図面に従い説明す
る。なお、ここでは観覧席用の連結椅子を例示す
る。図中１は下端ベース１ａを床Ａ上にアンカー
ボルト等により固定することで立設された支脚、
この支脚１は片側一本しか図示しないが左右一対
設けられ、この左右支脚１上に横架するようにし
て角鋼管よりなる貫材２が水平に取付けられてい
る。この貫材２上にこの長手方向に等間隔を存し
て複数個の背座支持金物３がボルト４により固定
されている。この各背座支持金物３は両側板３
ａ，３ａと後面板３ｃ並びに前面板３ｄからなる
略縦長箱状をなし、その両側３ａ，３ａの前側上
縁部に座軸支承孔５ａを有した座支持部５が形成
され、同両側板３ａ，３ａの後側部からは上方高
く突出して上端にローラ軸支承孔６ａを有した背
支持部６が形成されている。又この背座支持金物
３の前面板３ｄの上方部がクランク状に折曲され
て、両側板３ａ，３ａ相互間内略中央に立上り部
３ｅが形成され、その前面にコ字形断面の座回動
ストツパー７が設けられている。

こうした各背座支持金物３の座支持部５，５に
その座軸支承孔５ａ，５ａに回転自在に嵌合する
座軸８を介して座支持フレーム９が回動可能に枢
着され、この座支持フレーム９上に座１０が取付
けられて、該座軸８を中心に回動して起立転倒で
きるようになつている。なお、上記座支持フレー
ム９は稍々前後方向に長尺な断面Ｕ形鋼板状のも
ので、後端部から上側に向け立上る突部９ａを有
し、その突部９ａ中途部に上記座軸８が貫通する
座軸嵌合孔９ｂが形成されて座支持部５，５間に
枢着され、又上記座１０はクツシヨン材入りマツ
ト１１をFRP等の強化プラスチツク一体成形品
よりなるシエル１２に組付けた構成で、そのシエ
ル１２の裏面中央略後半部分に形成したインサー
トナツト１３付きの凹段部１２ａを上記座支持フ
レーム９の前方突出部上側に嵌合してねじ１４で
止め付けることで支持されて該フレーム９と一体
に回動するようになつている。その回動方向の回
動は前記ストツパー７により略水平となる位置で
規制されている。つまり座１０を第２図に示す如
く前方へ押し下げる如く転倒させると座支持フレ
ーム９の後端寄り部に設けたアングル材１５がス
トツパー７ａ前面に当接して略水平な転倒状態で
それ以上下方向への回動が阻止されている。又上
記座１０はその座支持フレーム９と共に座跳ね上
げ機構により常時起立する方向に回動すべく附勢
されている。その座跳ね上げ機構としてねじれコ
イルばね１６を上記座軸８に巻装して、その一脚
を前記立上り部３ｅに、他端を前記アングル材１
５にそれぞれ係止している。

一方、上記各背座支持金物３の上方高く突出し
た背支持部６，６相互間にはその上端ローラ軸支
承孔６ａ，６ａに嵌挿するローラ軸１７を介して
横長な円筒状のスライド用ローラ１８が回転自在
に取付けられている。そして、このスライド用ロ
ーラ１８に摺合するようにして背支持フレーム１
９が上下動及び回動可能に支持され、この背支持
フレーム１９前面に背凭れ２０が取付けられてい
る。つまり、上記背支持フレーム１９は稍々上下
方向に長尺な断面〓形鋼板状のもので、両側板１
９ａ，１９ａの略上半部分にその長手方向に亘る
長孔１９ｂが形成されていると共に、その両側板
１９ａ，１９ａ相互間に裏面板１９ｃの略上半部
分前面と平行間隔を存して対向して摺合板１９ｄ
が取付けられている構成で、裏面板１９ｃと摺合
板１９ｄとの間の空間を介してその両側長孔１９
ｂに前記ローラ軸１７遊貫し、そのローラ軸１７
外周のスライド用ローラ１８が上記裏面板１９ｃ
と摺合板１９ｄとの間の空間に位置してその両板
１９ｃ，１９ｄのどちらかに摺合転接して、背支
持フレーム１９の上下動及び回動を案内支持する
ようになつている。なお上記背凭れ２０は上記座
１０と略同様にマツト２１をシエル２２に組付け
てなる構成で、シエル２２の裏面中央略下半部分
の凹段部２２ａを背支持フレーム１９前側に嵌合
して、インサートナツト２３に対しねじ２４を止
め付けることで支持されて、該背支持フレーム１
９と一体にスライド用ローラ１８により上下動及
び回動可能に案内支持されるようになつている。

ここでまた上述した座１０と背凭れ２０とは互
に連動すべく、その座支持フレーム９の後端突部
９ａの先端部と背支持フレーム１９の両側板１９
ａ，１９ａの下端部とにそれぞれ連結用孔９ｃ及
び１９ｅ，１９ｅが形成されて、それら孔に背座
連動シヤフト２５が貫挿されて、該両フレーム
９，１９が相互に枢支連結されている。

而して、上述した構成の連結椅子では、各座席
部に着座者が居ない場合、座跳ね上げ機構のねじ
れコイルばね１６の弾性力で座１０が座支持フレ
ーム９と一体に座軸８を中心に上方に回動し、同
時に連動シヤフト２５で枢支連結された背支持フ
レーム１９が背凭れ２０と一体にてスライド用ロ
ーラ１８に案内されて下降しながら前傾して、座
１０と背凭れ２０とが第３図に示す如く両者前後
で重合する垂直な起立状態となつて保持される。
この背座両方の起立状態により該椅子の前後に幅
の広い通路を得ることができて、観客の移動が容
易となる。

ここで観客が着座しようとして手などで起立状
態の座１０を前側に倒すべく押し下げると、その
座１０は座支持フレーム９と一体に座軸８を中心
にねじれコイルばね１６に抗して回動して、第２
図に示す如く略水平な転倒状態となつたところで
ストツパー７にアングル材１５が当つて停止す
る。この座１０の転倒と同時に連動シヤフト２５
により連動した背支持フレーム１９が背凭れ２０
と一体にスライド用ローラ１８に案内されて押し
上げられる如く上昇しながら適当な角度θだけ後
傾した状態となる。これで該観客は安楽な姿勢で
着席できるようになる。

ところで上述した座１０の起立・転倒の回動に
連動する背凭れ２０の背支持フレーム１９は背座
支持金物３に軸支した横長なスライド用ローラ１
８に対して裏面板１９ｃと摺合板１９ｄとのどち
らかゞ該ローラ１８の長手方向全体に亘つて摺接
して案内支持されることから、耐強度上かなり強
く、従来のリンクや少さなコロを用いたものに比
し、ガタや破損等がなく、長期間の使用に対して
も円滑で確実な作動を維持できるようになる。

なお、この考案は上記実施例のみに限定される
ことなく、例えば連結椅子に限らず一人掛け用の
単体椅子でも適用可であり、又固定観覧席以外に
伸縮式階段状観覧席（ロールバツクスタンドと称
されているもの）の各段のデツキ上に設置して利
用しても可であり、この場合支脚１を回動可能に
取付けて適宜駆動手段により該支脚１ごと全体を
第３図の状態のまゝ前方に転倒させたり起立させ
たりできるようにして、観覧席の各段の伸縮移動
に備える構成とする。

この考案は以上詳述した如くなしたから、構成
が簡単で、製作組立てが容易であると共に、座の
起立転倒に連動する背凭れの案内支持が確実で、
耐強度的に優れて長期間の使用に対しても円滑な
作動を維持できる非常にメンテナンスの楽な実用
性大なるものとなる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は一部省略した正面図、第２図は使用状態の側
面図、第３図は不使用状態の側面図、第４図は分
解斜視図である。 １……支脚、１ａ……ベース、２……貫材、３
……背座支持金物、４……ボルト、５……座支持
部、６……背支持部、７……ストツパー、８……
座軸、９……座支持フレーム、９ａ……突部、１
０……座、１５……アングル材、１６……座跳ね
上げ機構（ねじれコイルばね）、１７……ローラ
軸、１８……スライド用ローラ、１９……背支持
フレーム、１９ａ……長孔、１９ｃ……裏面板、
１９ｄ……摺合板、２０……背凭れ、２５……連
動シヤフト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 背座支持金物の前側上部の座支持部に座軸を介
   して座支持フレームを枢着することにより座を起
   立・転倒可能に設けると共に、その座を常時起立
   する方向に附勢する座跳ね上げ機構を設け、且つ
   前記背座支持金物の後側より上方高く突出した背
   支持部上端に横長なスライド用ローラを回転自在
   に軸支し、そのスライド用ローラに背支持フレー
   ムを摺合することで背凭れを上下動及び回動可能
   に設け、更に前記座支持フレームの後部座軸より
   上側に突出する突部の先端部と背支持フレームの
   下端部とを背座連動シヤフトで枢支連結せしめて
   前記座の起立・転倒に背凭れが連動して上下動し
   ながらやや後傾状態と垂直状態とに回動する構成
   としたことを特徴とする椅子。