JPS6340607Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、住宅等のコンクリート壁施工に際し
て、鉄筋のコンクリートのかぶりの厚さを一定に
できるようにするための間隔保持具に関する。

近年の住宅等の施工に際しては、合板と断熱材
を一体化した複合パネルを用い、コンクリート打
設後に内壁側のパネルの取り外しを行わずに、こ
の複合パネルを内装材として使用する例が多くな
つている。

このような複合パネルを施工する場合に、断熱
部分と鉄筋との間隔を一定に保持するための従来
より用いられている間隔保持具は、例えば実公昭
47−42918号公報に示されるような合成樹脂製ス
ペーサーなどがあるが、このような例において
は、鍔状の間隔保持具の鍔の一部が型枠のコンク
リート側に設けた断熱材を局部的に押圧すること
があり、その押圧された断熱材の凹所の深さに相
当する分だけコンクリートの厚さに狂いが生ずる
ことになる。

本考案は上述したような鍔状の間隔保持具と同
様に良好な取扱い性を有し、しかも、断熱材など
のような柔かい部材に接しても、これに局部的な
へこみを形成することなく、鉄筋と複合パネルと
の間隔を正しく保持できるようにするものであ
り、鉄筋に容易に取り付けることができ、その取
り付け状態を確実に維持できるようにするための
鉄筋への係合部と、断熱材に広い面積で接するこ
とにより、圧縮強度の小さいグラスウールのよう
なマツト状断熱材に、局部的なへこみを形成する
ことのないような平板状の接当板と、さらに、係
合部と接当板とを接続するために、板体を十字状
に組み合わせて形成したつなぎ部材とを設け、こ
れらを一体に合成樹脂で形成しているものであ
る。

図にもとづいて本考案を説明すると、間隔保持
具２の鉄筋１と係合する係合部３は、略半円状の
環体４と、この環体４の２つの端部から突出して
形成される弾性部材６を設けてなるもので、鉄筋
挿入孔５と、それに続く開口７を形成している。

開口７の両側の弾性部材６には、開口をテーパ
ー状に鉄筋挿入孔５側に向つて狭くするようにし
た折り返し片８が対向して形成されており、その
内端には端部材９が設けられている。

また、係合部３の環体４の裏面からは、断面が
略十字状となるように板体１１，１２を組み合わ
せたつなぎ材１０が突出して形成されている。

そして、環体４から接当板１３に向かつて巾が
広くなつているものである。接当板１３は、外面
が平面で、巾の広い板体であり、その接当板１３
がグラスウールのような断熱材に当接するように
なつている。

本考案のものにおいて、つなぎ材１０は板体１
１，１２で構成されているものであるが、このつ
なぎ材の隅角部にもコンクリートが入り込み得る
ように単純な構造としているものである。また、
板体１１，１２を十字状に構成することにより、
その強度も十分にとれるものであり、鉄筋１と断
熱材との間隔を確実に維持できるようになつてい
る。

係合部３は、鉄筋の横筋、縦筋のいずれに用い
ても良いものであるが、縦、横筋の交叉部分に本
願の間隔保持具を設ける場合には、その係合部分
の構成を変えて、十字状の開口と、それに応じた
弾性部材を設ける必要がある。

本考案の間隔保持具２を施工する際には、鉄筋
１に係合部３の開口７を当て、鉄筋１の方へ押し
つけると、開口７の両側の折り返し片８は拡大さ
れ、鉄筋１を容易に通過させ、鉄筋挿入孔５内へ
鉄筋を収容する。そして、折り返し片８の端部材
９の先端が鉄筋に当つて、鉄筋の戻りを確実に防
止し得るようになつており、その構成も簡単なも
のである。

上記したように、本考案の間隔保持具は、鉄筋
に所定の間隔で取り付けることにより、鉄筋と断
熱材との間隔を正しく維持でき、それによつて、
コンクリート壁の鉄筋のコンクリートかぶり厚さ
を所定の厚みのものとできるのである。なお、本
考案のものにおいては、つなぎ材の板体を十字状
に構成したものに就いて述べたが、該つなぎ材の
板体を、その断面が放射状に構成しても、同様な
効果を奏することは言うまでもない。

さらに、断熱材に凹所を形成することがないた
めに、壁厚を一定に保ち得るもので、壁体の施工
を正確にできる。加えて、本考案のものによれば
つなぎ材を放射状に構成しているので、該つなぎ
周辺におけるコンクリートの充填が均一にされ
る。

本考案の間隔保持具が合成樹脂の一体成型品で
あるために、各構成部材を薄肉で、巾の狭いもの
で形成したとしても、鉄筋のコンクリートのかぶ
り厚さは正しく維持でき、その結果として、建物
の施工を正しく行うことができることになる。

さらに、本考案の間隔保持具は前記の如く鉄筋
と断熱材との間隔を安定した状態で維持できるの
で、床板型枠上に断熱材を載置してコンクリート
を打設する場合においても、使用できるという利
益を有する。

また、図示されるように、各構成部材が単純な
形状であるために、合成樹脂の射出成型等に際し
ても、型の成形が容易であり、さらに、射出成型
後に型からの抜き取りが容易にできるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の間隔保持具と鉄筋の関係を示
す斜視図、第２図は側面図、第３図は平面図であ
り、第４図より第９図に示されたものは他の実施
例を示す図面である。 １……鉄筋、２……間隔保持具、３……係合
部、４……環体、５……鉄筋挿入孔、６……弾性
部材、７……開口、８……折り返し片、９……端
部材、１０……つなぎ材、１１，１２……板体、
１３……接当板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鉄筋挿入孔を有する係合部と、断熱材に広い面
   で接触するようにした板体及び、両部材を接続す
   るつなぎ材とからなり、前記係合部は略半円形の
   環体の両端から突出形成した弾性部材と、その先
   端部から内側に向けて設けた折返し片とから形成
   され、前記板体は、表面が平滑な板体よりなり、
   両部材を接続するつなぎ材は、板体を放射状に構
   成した形状を有することを特徴とする断熱材施工
   用間隔保持具。