JPS6340203Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金属製魔法瓶の底体取付構造に関す
る。

従来、金属製真空二重瓶とその底体を一体化す
る手段としては、真空二重瓶の底部外周にリブを
形成する一方、底体本体の内周に凹所を形成し、
両者を強制的に嵌合する構造が採用されている
が、そのままでは使用中に底体がぐらついて使用
者に不安感を与えたり、衝撃を受けて外れる恐れ
があるため実用に供し難いことから、両者をさら
に接着剤で接着して固定することが行なわれてい
る。しかしながら、嵌合と接着を行なう構造で
は、接着剤の乾燥およびその臭気の除去に半日以
上を要する他、経時変化により接着剤が劣化する
ことから、接着部が外れ易く信頼性に欠けるとい
う問題があり、しかも、この取付構造を携帯用の
金属製魔法瓶、特に、横方向に吊り下げれるよう
に上部以外に底部にも吊り紐取付け部を設ける必
要のある金属製魔法瓶に適用する場合、吊り紐取
付け部を有する肩体が通常、螺合および接着によ
り真空二重瓶に固定されるため魔法瓶上部の吊り
紐取付け部の位置が魔法瓶毎に異なるため、底体
の吊り紐取付け部の位置合せが困難で、多大の工
数を要するという問題があつた。

本考案は、接着剤を使用することに起因する問
題を解決すること、すなわち、真空二重瓶の底部
と底体の取付けの信頼性を向上させると共に、組
立時間の短縮を計ることを目的とする。

本考案は、前記目的達成のため、底体の底壁に
長円形又は円弧状のビス挿通孔を設ける一方、前
記底壁の中心とビス挿通孔との距離に対応する半
径の円上に多数のビス受け穴を穿設した環状の底
止め金具を前記真空二重瓶の底部に固設し、前記
底体を、その吊り紐取付部を前記肩体の吊り紐取
付部に位置合わせして真空二重瓶の底部に嵌合さ
せた際、前記ビス挿通孔に臨む前記ビス受け穴の
一つに該ビス挿通孔を介してビスを螺合すること
により底体を固定するようにしたものである。

以下、本考案の一実施例を示す図面を参照して
説明する。

図において、１は金属製真空二重瓶、２は金属
製内瓶、６は金属製外瓶で、内瓶２と外瓶６との
間の空間７は真空にしてある。内瓶２はその首部
５と一体に形成した円筒状の内瓶胴部材３と椀形
の内瓶底部材４とを接合一体化したもので、外瓶
６は外瓶肩部８と一体に形成した外瓶胴部材９
と、外瓶底部材１０とを接合して一体化してあ
り、これらは相互にラツプシーム溶接あるいはテ
イグ溶接等により接合されている。前記真空二重
瓶１は、その首部１４にその口部を被覆する合成
樹脂製肩体１５がネジ部１１により螺着されてお
り、また、その底部に底止め金具４０が固設され
ると共に、外周部にリブ４５が形成され、該リブ
に合成樹脂製底体１８が嵌合され、真空二重瓶１
の底部１４の排気用チツプ管１９を保護すると共
に金属製魔法瓶に安定性を付与している。前記合
成樹脂製肩体１５は、その外側にはコツプとして
も使用される蓋１６が、また、その内側に栓体１
７がそれぞれ着脱自在に螺合されている。

前記真空二重瓶１の底部には、第２図に示す環
状の底止め金具４０が固設され、この底止め金具
４０は合成樹脂製底体１８の底壁３７ａに設けた
ビス挿通孔３４の位置に対応する半径の円上に、
多数のビス受け穴４１が穿設され、真空二重瓶１
の組立て時、溶接その他の手段により固定され
る。

前記合成樹脂製底体１８は、第３図〜第５図に
示すように、有底円筒状の形状を有し、吊り紐取
付け部としての凹所３３が形成されている。この
凹所３３は底体１８の底壁３０および側壁３１に
開口し、該凹所の側壁３５ａ，３５ｂには吊り紐
取付け用のロールピンまたは軸４３用の軸受け穴
３６と共に、該軸受け穴３６より真空二重瓶１の
中心側に両軸受け穴３６間の長さより若干長い幅
を有し、かつ、前記凹所３３よりも深さの深い凹
部３７が形成されている。凹部３７の底壁３７ａ
には長円形または円弧状の底体止めビス挿通孔３
４が穿設されている。また、合成樹脂製底体１８
は、その側壁３１に前記真空二重瓶１の底部と嵌
合する環状の溝３８が形成されると共に、多数の
補強用リブ３９が放射状に形成されている。

なお、合成樹脂製肩体１５は、第６図に示すよ
うに、円筒状外壁部２０とその内側に一体に成形
された円筒状内壁部２１とを有し、両者の間に前
記真空二重瓶１の首部１４が嵌入されている。前
記円筒状内壁部２１は、その下端２１ｂが前記真
空二重瓶１の口部に口ゴム２２を介して圧接さ
れ、その内周面には栓体１７と螺合する雌ネジ２
１ａが形成されている。また、円筒状外壁部２０
は段付きの外周面を有し、中間段の外周面に蓋１
６を螺合させるための雄ネジ２０ｃが形成され、
下段の外周面には吊り紐取付部を構成する耳部２
３が一体に突設され、該耳部２３に圧入されたロ
ールピン４８には吊り紐係着具４９を介して吊り
紐５０が装着されている。

前記係止金具１２は円弧状の形状を有し、その
内周面は前記真空二重瓶１の首部１４の外周面に
密接し、その上端に形成されたリブ２６は前記真
空二重瓶１の首部１４の雄ネジ１１の延長線上に
位置するように傾斜させてあり、肩体１５の円筒
状外壁部２０の雌ネジ２０ｂと螺合している。係
止金具１２は、第７図に示すように、その下端側
に複数の固定片１３および複数の弾性逆止爪２７
を有しており、隣り合つた弾性逆止爪２７の自由
端側先端２７ａ，２７ｂの間の間隔は、肩体１５
を螺着した際にガタが生じるのを阻止する為、肩
体１５ののこ歯状爪２５のピツチ間隔を整数倍し
た値と若干異ならしてある。

前記構造において、合成樹脂製底体１８を金属
製真空二重瓶の底部に取付ける場合、肩体１５を
前記真空二重瓶１の首部１４に取付けた後、合成
樹脂製底体１８を取付けるのであるが、この取付
けは口ゴム２２を真空二重瓶１の口部に配置し、
肩体１５を前記真空二重瓶１の首部１４の上方か
らかぶせて螺合させ、肩体１５が回転しなくなる
ところまで締めつけることにより行なう。次に金
属製真空二重瓶１の底部に設けたリブ４５の上方
にＯリング４６をセツトし、底体１８をその吊り
紐取付け部の凹所の中心が肩体の耳部２３とほぼ
合致するように位置合せし強制嵌めする。次い
で、底体１８の吊り紐取付け部の凹所の中心が肩
体の耳部２３と最も近い状態になる底止め金具４
０のビス受け穴４１を探し、そのビス受け穴４１
に底体１８のビス挿通孔３４を介して、歯付座金
が挿入されたビス４４を螺合して底体１８を金属
製真空二重瓶の底部に固定することにより取付け
が終る。なお、図示の例ではビス隠しのため前記
凹部３７に底カバー４７を強制嵌めしている。

以上の説明から明らかなように、本考案は、多
数のビス受け穴を有する底止め金具を金属製真空
二重瓶の底部に設け、底体を嵌合後、底止め金具
にビス挿通孔を介してビスで固定する構造にした
ので、真空二重瓶底部と底体の嵌入時の位置決め
をラフに行うことができ、金属製真空二重瓶の組
立時に底止め金具を固設さえしておけば底体と肩
体との位置決めを最終組立時に容易に行うことが
できる。また、底体を真空二重瓶に強制嵌合およ
びネジ止めしているので、接着剤の乾燥や臭気抜
きに要していた時間が不要となり、組立時間を極
めて短縮できると共に、衝撃が加わつてもはずれ
ることがない。また、実施例のように強制嵌合部
の上部でＯリングにてシールすれば底体内部へ水
等が浸入することがなく、耐水性を向上させるこ
とができるなど、優れた効果を奏する。

本考案は前記実施例のみに限定されるものでは
なく、要は、多数のビス受け穴を有する底止め金
具を金属製真空二重瓶の底部に設け、底体を嵌合
後、底止め金具にビス挿通孔を介してビスで固定
する構造であればよい。例えば、底止め金具を真
空二重瓶のリブ４５の形成部に固設してもよく、
また吊り紐取付け部として底体に凹所３３を設け
る必要はなく、肩体１５にあるロールピン取付用
耳部２３と同様のものを一体に形成してもよい。
さらに、底体をステンレスなどの金属で形成して
もよいことはいうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る底体取付構造を適用した
金属製魔法瓶の部分断面正面図、第２図はその底
体固定用の底止め金具の底面図、第３図は底体の
拡大断面図、第４図はその底面図、第５図は第３
図のＡ−Ａ線における断面図、第６図は肩体の一
部断面正面図、第７図は肩体固定用係止金具の正
面図である。 １……金属製真空二重瓶、８……外瓶肩体、８
ａ……肩部、１４……金属製真空二重瓶の首部、
１５……合成樹脂製肩体、１６……蓋、１７……
栓体、１８……合成樹脂製底体、２３……耳部
（吊り紐取付部）、３０……底体の底壁、３３……
凹所、３４……ビス挿通孔、４０……底止め金
具、４１……ビス受け穴、４３，４９……ロール
ピン、４４……ビス、４９……吊り紐係着具、５
０……吊り紐。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属製真空二重瓶と、その上端側に着脱自在に
   螺合された肩体と、前記真空二重瓶の底部に装着
   された底体とからなり、肩体に設けた吊り紐取付
   部に対応して底体に吊り紐取付部を設けてなる金
   属製魔法瓶において、底体の底壁に長円形又は円
   弧状のビス挿通孔を設ける一方、前記底壁の中心
   とビス挿通孔との距離に対応する半径の円上に多
   数のビス受け穴を穿設した環状の底止め金具を前
   記真空二重瓶の底部に固設し、前記底体を、その
   吊り紐取付部を前記肩体の吊り紐取付部に位置合
   わせして真空二重瓶の底部に嵌合させた際、前記
   ビス挿通孔に臨む前記ビス受け穴の一つに該ビス
   挿通孔を介してビスを螺合することにより底体を
   固定してなることを特徴とする金属製魔法瓶の底
   体取付構造。