JPS6340161B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、植物に薬害のない農園芸用殺菌組成
物に関し、詳しくはＮ−（ｐ−フルオロフエニル）
−２，３−ジクロロマレイミドを有効成分として
含有する植物に薬害のない農園芸用殺菌組成物に
関する。 Ｎ−（ｐ−フルオロフエニル）−２，３−ジクロ
ロマレイミドを有効成分とする殺菌剤は、リンゴ
斑点落葉病、黒点病、黒星病、褐斑病、媒斑病、
媒点病、モニリア病、赤星病、カンキツそうか
病、カキ炭疽病、落葉病、レタス灰色かび病、ト
マト斑点病、疫病、輪紋病、ピーマン疫病及び、
バレイシヨ疫病等に優れた効果を示す。 特に、リンゴ病害に対しては、リンゴの殆どの
主要病害に有効であり、殆どの殺菌剤が選択性の
強い殺菌剤である今日においては、汎用の貴重な
薬剤として、既に実用されている。この殺菌剤
は、汎用性のある薬剤であるが、作物の種類、散
布濃度又は、散布時期によつては、作物に薬害を
生じる場合がある。 一般に、薬剤の作物に対する薬害は、本質的に
は、その薬剤の有効成分によるものであつて、完
全に回避できないが、薬剤散布前後の気象条件、
又は、作物の種類、品種、生育時期、生理状態等
により、その発現程度が異なる。 Ｎ−（ｐ−フルオロフエニル）−２，３−ジクロ
ロマレイミドは、特に期待が大きいリンゴ病害防
除の面において、梅雨明けに急激な高温状態が訪
れた場合には、リンゴの新葉の葉裏が茶褐色を呈
する、いわゆる薬害を生じることがあるため、適
用時期が制限され、この薬剤の有する利点を十分
に、発揮できない一面がある。 本発明者等は、特にＮ−（ｐ−フルオロフエニ
ル）−２，３−ジクロロマレイミドが、作物に対
し局所的に生ずる薬害を軽減させる方法につい
て、鋭意検討を進めた結果、Ｎ−（ｐ−フルオロ
フエニル）−２，３−ジクロロマレイミドに特定
の無機化合物を配合することにより、Ｎ−（ｐ−
フルオロフエニル）−２，３−ジクロロマレイミ
ド本来の殺菌力を低下させることなく、薬害を軽
減させることができることを見い出し、本発明を
完成するにいたつた。 すなわち本発明の目的はＮ−（ｐ−フルオロフ
エニル）−２，３−ジクロロマレイミドを有効成
分とする薬害の低減された農園芸用殺菌組成物を
提供することである。 本発明の目的を達成する農園芸用殺菌組成物は
Ｎ−（ｐ−フルオロフエニル）−２，３−ジクロロ
マレイミド100重量部と硫酸第２鉄アンモニウム、
硫酸第２鉄、硫酸第１鉄アンモニウム、硫酸第１
鉄及び酸化亜鉛より成る群から選ばれた少なくと
も１種以上の化合物１〜10重量部とを有効成分と
して含有することを特徴とするものである。 本発明者等は前記の目的のもとに数多くの有機
化合物及び無機化合物について検討したところ、
Ｎ−（ｐ−フルオロフエニル）−２，３−ジクロロ
マレイミドの、リンゴ葉に対する薬害を、顕著に
軽減したものすなわち薬害軽減化剤は、硫酸第２
鉄アンモニウム、硫酸第２鉄、硫酸第１鉄アンモ
ニウム、硫酸第１鉄及び酸化亜鉛であることが認
められた。ちなみに１部の例をとつてみると、ク
エン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム等の有機化合
物又は塩化第２鉄、硫酸亜鉛、又は塩化亜鉛等無
機化合物の薬害軽減効果は、著しく低いか、又は
全く認められなかつた。 本発明における前記特定の無機化合物である薬
害軽減化剤の配合量は、いずれの化合物ともＮ−
（ｐ−フルオロフエニル）−２，３−ジクロロマレ
イミド100重量部に対し、１〜10重量部の範囲が
好ましく、１重量部より少量では、軽減効果が低
く、又10重量部より多くしても、それ以上の効果
の増加が認められないため、10重量部を越える添
加は必要ない。 本発明の組成物を、農園芸用殺菌剤として使用
するに当つては、分散性、懸濁性を向上させるた
めに、不活性な担体、補助剤と一緒に、適当な割
合に配合し、水和剤の形で使用する。 不活性担体としては、カオリン、ベントナイト
等の粘土類、タルク、ピロフイライト等のタルク
類、硅藻土、硅砂等のシリカ類、ホワイトカーボ
ン等の無機鉱物性粉末等をあげることができる。 補助剤としては、ポリオキシエチレンアルキル
アリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
ト、アルキルアリールスルホン酸塩、ナフタレン
スルホン酸縮合物、アルキルベンゼンスルホン酸
塩、リグニンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸
エステル等をあげることができる。 本発明にかかわる農園芸用殺菌組成物の使用方
法は、茎葉処理の場合、通常有効成分濃度500〜
1500ppmの水懸濁液を10アール当り、100〜600
茎葉に散布する。 本発明の農園芸用殺菌組成物は、リンゴ斑点落
葉病、黒点病、黒星病、褐斑病、媒斑病、媒点
病、モニリア病、赤星病、カンキツそうか病、カ
キ炭疽病、落葉病、レタス灰色かび病、トマト斑
点病、疫病、輪紋病、ピーマン疫病、バレイシヨ
疫病等の病原菌に対し強い殺菌力を有し、一方作
物に対しては、薬害を生じないか、又は薬害が極
めて少ないという優れた性質を有している。 次に、本発明の農園芸用殺菌組成物の製剤及び
その薬害試験、病害防除効果試験をあげて、本発
明を更に詳細に説明するが、本発明は、これによ
りなんら限定されるものではない。なお、部は重
量部を示す。 製剤例 １ Ｎ−（ｐ−フルオロフエニル）−２，３−ジクロ
ロマレイミド75部、硫酸第２鉄アンモニウム7.5
部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ３部、リ
グニンスルホン酸Ca塩２部、タルク12.5部を均一
に粉砕混合して水和剤を得た。 製剤例 ２ 製剤例１において、硫酸第２鉄アンモニウムの
量を、0.75部、タルクの量を19.25部に代えた他
は、製剤例１と同様の方法で、水和剤を得た。 参考例 １ 製剤例１において、硫酸第２鉄アンモニウムの
量を0.375部、タルクの量を19.625部に代えた他
は、製剤例１と同様の方法で水和剤を得た。 試験例 １ 製剤例１により得られた水和剤、及び製剤例１
において、薬害軽減化剤として、硫酸第２鉄アン
モニウムの代りに、第１表に記載した化合物を用
いて、製造した水和剤を、Ｎ−（ｐ−フルオロフ
エニル）−２，３−ジクロロマレイミドの濃度が、
1500ppmになるように水で希釈し、圃場に栽培さ
れている、リンゴの３年生幼木（品種…スターキ
ングデリシヤス、つがる、ふじ、むつ）に、それ
ぞれの薬液を肩掛式小型噴霧器で、２樹当り３
散布した。 散布20日後に、１樹より任意に３新梢をとり、
１新梢当り先端より20葉（１樹当り60葉）を下記
基準に従つて調査し、次式により薬害度を算出し
た。 調査基準 薬害指数 ０−健全葉 １−葉面積に対する葉裏褐変面積率25％以下 ２−葉面積に対する葉裏褐変面積率25〜50％ ３−葉面積に対する葉裏褐変面積率50％以上 薬害度（％）＝n₁＋2n₂＋3n₃／3N×100 Ｎ−調査総葉数 n₁−薬害指数１の葉数 n₂−薬害指数２の葉数 n₃−薬害指数３の葉数 結果を第１表に示す。 なお、表中、添加量はＮ−（ｐ−フルオロフエ
ニル）−２，３−ジクロロマレイミドに対する薬
害軽減化剤の重量％を表わす。

【表】 試験例 ２ 圃場に栽培されているリンゴの３年生幼木（品
種…スターキングデリシヤス、ふじ）に製剤例
２、参考例により得られた水和剤及び薬害軽減化
剤として、第２表に記載の化合物を用い、製剤例
２（薬害軽減化剤の配合量１％）及び参考例（同
0.5％）と同様にして製剤した水和剤をＮ−（ｐ−
フルオロフエニル）−２，３−ジクロロマレイミ
ドの濃度が1500ppmになるように水で希釈し、そ
れぞれの薬液を肩掛式小型噴霧器で、２樹当り３
散布した。 散布15日後に、試験例１と同様の方法で調査し
た。試験結果を第２表に示す。 なお、表中、添加量は第１表に於けると同一の
意味である。

【表】 前記第１表及び第２表から明らかなように本発
明によればＮ−（ｐ−フルオロフエニル）−２，３
−ジクロロマレイミド100重量部に特定の薬害低
減化剤を１重量部以上配合することによりその薬
害を抑制することができ、又その効果は他の近縁
化合物との対比からみて予測し得ないところであ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ Ｎ−（ｐ−フルオロフエニル）−２，３−ジク
   ロロマレイミド100重量部と硫酸第２鉄アンモニ
   ウム、硫酸第２鉄、硫酸第１鉄アンモニウム、硫
   酸第１鉄及び酸化亜鉛より成る群から選ばれた少
   なくとも１種以上の化合物１〜10重量部とを有効
   成分として含有することを特徴とする農園芸用殺
   菌組成物。