JPS6340118Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案はコンバインの刈取装置で刈取つた穀稈
を脱穀装置に搬送する穀稈搬送装置に関する。

(ロ) 従来の技術 従来のコンバインは立毛穀稈を引起して刈取る
刈取装置と、刈取穀稈を脱穀装置に搬送して供給
する穀稈搬送装置とで構成されており、前記穀稈
搬送装置は株元搬送装置と穂側搬送装置とからな
り、立ち姿勢で刈取られた穀稈は穀稈搬送装置に
より脱穀装置に向けて搬送される間に横倒姿勢に
なり、この状態で脱穀装置に供給される。

そして、前記穀稈搬送装置により搬送される穀
稈の穂側は穂側搬送体に連設されていて傾斜角が
略一定になつた凭れ案内板に凭れた状態で搬送さ
れていた。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 前述のコンバインにおける穀稈搬送装置により
搬送される穀稈は穂側搬送装置より上部を凭れ案
内板の案内面に摺接させて案内していたので、搬
送抵抗により穂先側に移送遅れが発生すると共に
略直立姿勢に近い状態から急激に倒伏することと
なり、それにより穀稈が折れ曲がつた状態で脱穀
装置に供給され、その結果、脱穀時に穂切れや扱
残しが多く発生して穀粒損失を生ずると共に穀稈
の引き込みが多くなつて選別性能を低下させる等
の欠点があつた。

(ニ) 問題点を解決するための手段 本考案は機体前部で刈取つた穀稈を穂側搬送装
置及び株元側搬送装置で脱穀装置に横倒れ姿勢で
供給すべくなしたコンバインにおいて、前記穂側
搬送装置の穂先案内カバーを穂側搬送体の上面の
角部より所定距離だけ後退した部位から斜めに立
上がらせると共に前記角部と穂先案内カバーの先
端部側との間を凹部に形成し、上記穂先案内カバ
ーを、その下部と上部が搬送始端側では水平距離
よりも高低差が大となり、搬送終端側では高低差
よりも水平距離が大となるように捻転させて穀稈
を搬送する過程で徐々に倒伏させると共に搬送終
端側では倒伏姿勢になつた穀稈の穂先側を穂先案
内カバーの先端側と穂側搬送体の角部にて架橋状
に支承するように構成することにより搬送過程で
穀稈を無理なく大きく傾斜した姿勢になして脱穀
装置の供給口にスムーズに供給すると共に穀稈が
大きく傾斜しても穂先遅れが甚だしくなるのを防
止するようにして前述の問題点を解決した。

(ホ) 作用 刈取装置で刈取られた穀稈は穀稈搬送装置によ
り横倒しされながら搬送されて脱穀装置に向けて
搬送されるが、その際、穀稈の株元部は株元側搬
送装置の始端に、また、穂側は穂側搬送装置の始
端にそれぞれ受継がれ、穂側搬送装置より上方へ
突出した穂先部は搬送に伴なつて徐々に倒伏する
と共に終端側では穂側搬送体の角部と穂先案内カ
バーの先端部とで架橋状になつて支持された状態
で搬送される。

従つて、撓み易い穂先部は穂先案内カバーの先
端部により略点接触状態で案内されることとなつ
て搬送抵抗が著しく小になり、穂先の移送遅れを
防止しながら大きく傾斜した姿勢にしてから脱穀
装置に供給することができる。

(ヘ) 実施例 以下、図面に示す実施例について説明すると、
１は走行装置２を有する機台上に搭載した脱穀装
置であつて、その前方には穀稈引起通路を隔てて
設けた３つの穀稈引起枠３，３′，３″と、機幅の
略全体に亘る刈刃４と、該刈刃４の直上に臨む掻
込輪５…等からなる刈取装置６が設けてあり、一
側（前方よりみて左側）の穀稈引起枠３とその隣
りの穀稈引起枠３′の側面に設けたガイド板３′ａ
との間に形成される穀稈引起経路に続く穀稈送込
通路ａには一側の穀稈引起枠３の直後にある掻込
輪５の上部から斜め後方他側に向かう株元搬送チ
エーン７と、該株元搬送チエーン７の前端上方か
ら脱穀装置１の供給口１ａのフイードチエーン１
ｂ寄りに亘つて設けた穂側搬送装置を構成するラ
グ付の穂側搬送体８とが設けてあり、また、他側
の穀稈引起経路に続く穀稈送込通路ｂには、株元
送込チエーン９ａとラグ付の穂側送込チエーン９
ｂとが設けてあり、それらの後端は前記穀稈送込
通路ａの株元搬送チエーン７の終端の前方に臨ん
でいる。

更に、前記株元搬送チエーン７の終端には、搬
送チエーン１０ａと挟持レール１０ｂとからなる
扱深さ調節装置１０の移送始端部が受継関係を保
つて設けてあり、この扱深さ調節装置１０は始端
部の支点軸１１を中心として第２図に示す二様の
姿勢の範囲内で傾動し、前記扱深さ調節装置１０
は株元搬送装置を構成している。

そして、前記穂側搬送体８の上部には、前部を
幅挾でかつ高く形成し、後部に至るにつれて次第
に幅広となりながら低くなるように捻転した穂先
案内カバー８ａを設け、該穂先案内カバー８ａは
穂側搬送体８の角部８ｃから所定距離ｌだけ後退
した位置から斜めに立ち上がつている。

また、中央の穀稈引起枠３′の背面に前端を固
定した穀稈傾倒ガイド１２は、一側の穀稈送込通
路ａにおける他方の穀稈送込通路ｂが合流する部
位ｃより移送方向上手側に交叉しており、他側の
穀稈引起枠３″の背面に前端を固定した穀稈傾倒
ガイド１３は前記合流点ｃの下手側で一側の穀稈
送込通路ａに交叉し、その後端は穂側搬送体８の
後部上に達している。

而して、一側の穀稈引起枠３で引起された穀稈
は刈刃４によつて刈取られると同時に株元部がガ
イド杆１７に案内されながら一側方の掻込輪５に
よつて掻き込まれ、茎部は穂側搬送体８のラグ８
ｂによつて送込まれる。

その際、第３図及び第４図に示す如く、穂部が
穀稈引起枠３とガイド板３a′との間を通過せんと
する時、茎部は穀稈傾倒ガイド１２によつて殆ど
のものが穂側搬送体８に凭れた状態となつてお
り、長い穀稈又は倒伏穀稈であつてガイド板３
a′側に倒れんとするものであつてもその穀稈は穀
稈傾倒ガイド１２により押されてく字状となつて
いるので隣接する穀稈送込通路ｂを移送される穀
稈と絡み合うことがない。

前記穀稈が更に後送されると、穀稈傾倒ガイド
１２が穀稈送込通路ａに交叉して穂先案内カバー
８ａ上に達しているので、穀稈は第２図及び第５
図に示す如く前記合流部ｃに達する前にその穂先
まで穂側搬送体８の角部８ｃ及びその穂先案内カ
バー８ａの先端に完全に凭れかゝつた状態とな
る。

また、穀稈送込通路ｂにおいて、機幅の中央部
の穀稈の株元部は掻込輪５で掻込まれながら案内
杆ｄによつて株元送込チエーン９ａに向けて誘導
され、茎部はカバー体ｅの下面に張設されたラグ
付の送込チエーンｆにより送込まれる。

その際、上記カバー体ｅの前面の中間部から穀
稈送込通路ｂに対面する部分は切欠f′してあるの
で、確実な掻込み及び送込みができ、これが他側
の掻込輪５及び穂側送込チエーン９ｂのラグとに
より掻込まれた穀稈と共に後送され、これらの穀
稈は合流部ｃにおいて穀稈傾倒ガイド１３によつ
て穂側搬送体８側に向けて押し倒されて一側の穀
稈送込通路ａから凭れ姿勢で搬送されてくる穀稈
の間乃至はその上に倒されて後送される。なお、
９ｂの速度V₁は８ｂの速度V₂より大である。

次いで、穀稈の株元部は、扱深さ調節装置１０
に継送されて扱深さ調節処理を受けてから、フイ
ードチエーン１ｂと挟扼レール１b′の始端に受渡
され、穂部は第６図に点線で示すようには起立せ
ずに実線で示す如く略横倒し状となつて脱穀装置
１の供給口１ａに挿入されるので脱穀処理を受け
る。

このような脱穀装置１に向かう穀稈搬送中、穀
稈の穂先側は第５図及び第６図に示すように穂側
搬送体８の角部８ｃと穂先案内カバー８ａとに掛
渡し状に支承されることとなり、特に撓み易い穂
先部は穂先案内カバー８ａの先端部のみによつて
略点接触状に支持されるので、搬送抵抗が著しく
小となり、穂先側が移送遅れにより折れ曲がるこ
とを防止することができる。

なお、穂側送込チエーン９ｂの後端でそのラグ
９b′は第７図に示す如く穂側搬送体８のラグの先
端の移動軌跡に一部ラツプしており、ラグ９b′を
起立案内するレール９b″の後端は第８図に示す如
くラグ９b′が上記ラツプ後直ちに倒伏するような
部位にある。

図面中１５は株元送込チエーン９ａのカバーの
下面から後方に延設されていて穂側搬送体８のラ
グの先端に沿つて延びる穂側案内杆、１６は他方
の掻込輪５の外側方からその下面のドラム部外周
に経て株元送込チエーン９ａの下面に沿つて延び
る株元案内杆である。

(ト) 考案の効果 本考案は前述のように構成したので、機体の前
部で刈取られた穀稈が穂側搬送装置と株元側搬送
装置とにより搬送される際、穂先案内カバー８ａ
に凭れた穂側は搬送される間に略起立した姿勢か
ら徐々に大きく傾斜した姿勢に変換され、搬送終
端側で撓み易い穂側は、穂側搬送体８の角部と穂
先案内カバー８ａの先端側とにより架橋状に支承
されて搬送されることとなり、穂部に対する摩擦
抵抗が極めて小さくなり、穂部が移送遅れにより
大きく曲がつたり、搬送終端で穀稈が起立姿勢か
ら急激に倒伏したりするのを防止しながら穀稈を
スムーズにかつ整然と脱穀装置１に供給し得て、
脱穀時に穂切れを生じたり、穀稈が引き込まれて
扱胴に過負荷が掛つたり、選別性能が低下したり
するのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであつて、
第１図はコンバインの斜視図、第２図は前処理部
の正面図、第３図は同上側面図、第４図、第５
図、第６図は第３図におけるＡ−Ａ線、Ｂ−Ｂ
線、Ｃ−Ｃ線における断面図、第７図は穀稈送込
通路の合流部における穂側搬送体と穂側送込チエ
ーンの平面図、第８図は穂側搬送チエーン及びそ
れに附髄するガイドの平面図である。 ３，３′，３″……穀稈引起枠、５……掻込輪、
７……株元搬送チエーン、８……穂側搬送体、８
ａ……穂先案内カバー、８ｃ……角部、９ａ……
株元送込チエーン、９ｂ……穂側送込チエーン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機体前部で刈取つた穀稈を穂側搬送装置及び株
   元側搬送装置で脱穀装置に横倒れ姿勢で供給すべ
   くなしたコンバインにおいて、前記穂側搬送装置
   の穂先案内カバー８ａを穂側搬送体８の上面の角
   部より所定距離だけ後退した部位から斜めに立上
   がらせると共に前記角部と穂先案内カバー８ａの
   先端部側との間を凹部に形成し、上記穂先案内カ
   バー８ａを、その下部と上部が搬送始端側では水
   平距離よりも高低差が大となり、搬送終端側では
   高低差よりも水平距離が大となるように捻転させ
   て穀稈を搬送する過程で徐々に倒伏させると共に
   搬送終端側では倒伏姿勢になつた穀稈の穂先側を
   穂先案内カバー８ａの先端側と穂側搬送体８の角
   部にて架橋状に支承するように構成したことを特
   徴とするコンバインにおける穀稈搬送装置。