JPS6340042B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、複合型セラミツクフイルタの製法に
係り、とくに一枚の圧電基板に、複数のエネルギ
とじ込め型多重モードによる厚みすべり振動結合
型３端子フイルタと、該３端子フイルタ相互間を
結合する必要個数の容量とを設けた、厚みすべり
振動複合型セラミツクフイルタの製造法に関す
る。

（従来の技術及び問題点） 従来、第１図の如く複数の３端子フイルタF₁，
F₂を使用した回路を構成する場合、各フイルタ
F₁，F₂と容量Ｃとは別個に作られたものを組み
合わせて接続していたので回路の小型化が困難で
あり、接続作業も複雑であつた。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上記の点に鑑み、小型にして製造が
容易で量産性の良好な厚みすべり振動複合型セラ
ミツクフイルタの製造法を提供しようとするもの
である。

本発明は、方形板状圧電基板の一方の側端面側
中央に凹部を形成し、該凹部以外の側端面部分と
該側端面部分に対向する凹部の形成されていない
他方の側端面とに分極用電極をそれぞれ設け、両
分極用電極間に電圧を印加して面方向に前記圧電
基板を分極させ、前記圧電基板中央の前記凹部底
辺近傍を未分極部分として残し、前記分極用電極
をそれぞれ除去した後、当該圧電基板の分極部分
の一方の面に一対のフイルタ電極部を、他方の面
にそれらに対向するフイルタ電極部を形成して厚
みすべり振動結合型フイルタを複数個構成し、前
記凹部底辺近傍の未分極部分の一方の面に容量電
極部を、他方の面にそれに対向する容量電極部を
形成することにより、前記厚みすべり振動結合型
フイルタ相互間を結合する必要個数の容量を構成
したことを特徴とし、これにより、従来技術の問
題点を解消している。

（作用） 本発明の厚みすべり振動複合型セラミツクフイ
ルタの製造法においては、方形板状圧電基板を分
極するにあたり、一方の側端面側中央に凹部を形
成し、該凹部には分極用電極を形成しないでおく
ことにより、前記圧電基板中央の前記凹部底辺近
傍を確実に未分極部分として残しておくことがで
きる。この際、前記凹部は未分極部分の位置を示
す識別部としても有用である。そして、その未分
極部分を用いて厚みすべり振動結合型フイルタ相
互間を結合する必要個数の容量を構成可能であ
る。このため、容量には圧電的なスプリアスを発
生することが無く、動作の安定化を図ることがで
きる。

（実施例） 以下、本発明に係る厚みすべり振動複合型セラ
ミツクフイルタの製造法の実施例を図面に従つて
説明する。

第２図に示す如く、方形板状圧電基板１の一方
の側端面（表裏の幅広面に垂直な面）側の中央に
凹部２を形成し、該圧電基板１の凹部２以外の側
端面部分と該側端面部分に対向する凹部の形成さ
れていない他方の側端面とに銀等の分極用電極
３，４をそれぞれ設けておく。それから、分極用
電極３，４間に電圧を印加して図中矢印で示した
方向に圧電基板１を分極させた後、分極用電極
３，４を洗浄して除去し、第３図の如く、面方向
に分極を施した圧電基板１を得る。ここで、凹部
２の部分には電気力線が通らないので、圧電基板
１中央の凹部２の底辺近傍は全くの未分極部分５
としてきれいに残存している。

さて、第４図乃至第６図に示すよう和に、凹部
２の底辺近傍の未分極部分５を除き面方向に分極
した圧電基板１の一方の面には、フイルタ電極部
１０，１１と容量電極部１２とを接続用電極部１
３で相互に接続した第１電極１４と、フイルタ電
極部１５と端子部１６とを接続用電極部１７で接
続した第２電極１８と、フイルタ電極部１９と端
子部２０とを接続用電極部２１で接続した第３電
極２２とが形成される。圧電基板１の他方の面に
は、フイルタ電極部２３，２４、容量電極部２５
及び端子部２６を接続用電極部２７で相互に接続
した第４電極２８が設けられる。ここで、フイル
タ電極部１０，１５，２３は圧電基板１が面方向
に分極した部分に設けられており、これらにより
エネルギとじ込め型多重モードによる厚みすべり
振動結合型３端子フイルタF₁が構成される。同
様に、フイルタ電極部１１，１９，２４によりエ
ネルギとじ込め型多重モードによる厚みすべり振
動結合型３端子フイルタF₂が構成される。また、
容量電極部１２，２５は圧電基板１の凹部２底辺
近傍の未分極部分５に設けられているから、これ
らにより容量Ｃが構成される。この結果、第１図
と同様の回路構成が一枚の圧電基板１上に形成さ
れることになる。

以上の実施例によれば、複数のエネルギとじ込
め型多重モードによる厚みすべり振動結合型３端
子フイルタF₁，F₂とそれらを結合する容量Ｃと
を同一圧電基板１上に形成できるので、製品の小
型化ができ、構造を簡単にして量産性の向上を図
ることができる。また、圧電基板１の側端面中央
に凹部２を形成し、凹部２には面方向分極時に電
界をかけないようにしたので、小型の圧電基板１
を用いても該基板中央の凹部２近傍を完全な未分
極状態に残すことが可能である。従つて、その未
分極部分５に設けられた容量Ｃは純粋な容量とし
て働き、圧電的なスプリアスを発生することがな
く、小型化及び動作の安定化を図ることができ
る。また、凹部２は未分極部分の位置を表す標識
としても働く。さらに、厚みすべり振動複合型セ
ラミツクフイルタとしての総合特性、帯域幅、ス
プリアス等を容量Ｃを変化させることにより調整
でき、生産時に特性を一定にそろえることができ
る。また、フイルタと容量が一体化されるので組
立の工数が減る利点がある。

なお、各電極は電極用金属の蒸着等によつて形
成でき、フイルタ電極部及び容量電極部の形状は
適宜変更可能である。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明の厚みすべり振動
複合型セラミツクフイルタの製造法は、簡単な製
造工程により製品の小型化を図ることができ、ま
た量産性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はセラミツクフイルタを応用した回路の
１例を示す回路図、第２図は本発明に係る厚みす
べり振動複合型セラミツクフイルタの製造法の実
施例にて用いる圧電基板を分極させる場合を示す
正面図、第３図は圧電基板の分極状態を示す正面
図、第４図は各電極部を形成した実施例の正面
図、第５図は同平面図、第６図は同背面図であ
る。 １……圧電基板、２……凹部、３，４……分極
用電極、５……未分極部分、１０，１１，１５，
１９，２３，２４……フイルタ電極部、１２，２
５……容量電極部、F₁，F₂……３端子フイルタ、
Ｃ……容量。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 方形板状圧電基板の一方の側端面側中央に凹
   部を形成し、該凹部以外の側端面部分と該側端面
   部分に対向する凹部の形成されていない他方の側
   端面とに分極用電極をそれぞれ設け、両分極用電
   極間に電圧を印加して面方向に前記圧電基板を分
   極させ、前記圧電基板中央の前記凹部底辺近傍を
   未分極部分として残し、前記分極用電極をそれぞ
   れ除去した後、当該圧電基板の分極部分の一方の
   面に一対のフイルタ電極部を、他方の面にそれら
   に対向するフイルタ電極部を形成して厚みすべり
   振動結合型フイルタを複数個構成し、前記凹部底
   辺近傍の未分極部分の一方の面に容量電極部を、
   他方の面にそれに対向する容量電極部を形成する
   ことにより、前記厚みすべり振動結合型フイルタ
   相互間を結合する必要個数の容量を構成したこと
   を特徴とする厚みすべり振動複合型セラミツクフ
   イルタの製造法。