JPS6339944Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は変圧器におけるカバー締付装置の改良
に関するものである。

従来の変圧器カバー締付装置を第１図および第
２図により説明すると、１は変圧器のケース、２
はケース１に被冠したカバー、３は上面がコ字状
に折曲されて上記ケース１の側壁上部に所要の間
隔を保つて取付けられた締付座で、この締付座３
の折曲片には透孔４が穿設され、この透孔４には
中央部に雌ねじを設けた棒状のナツト５が挿通さ
れている。６は上記カバー２と締付座３とにまた
がつて載置された逆Ｌ字型の締付金具で、頭部に
目穴７を有するアイボルト８を上記締付金具６に
挿通してナツト５に螺着することにより、カバー
２は上記締付金具６を介してケース１に強固に被
着されている。９はカバー２とケース１との間に
介在されたパツキンである。そして、変圧器を装
柱する場合とか、車輛に載せるときは、第１図の
ように、アイボルト８の目穴７にロープ１０を掛
けて吊り上げるようにしている。

然るに、上記構造の従来のカバー締付装置にお
いては、締付座３が比較的機械的強度の弱いケー
ス１側壁の平坦面に溶着されているので、この締
付座３に挿通されているナツト５に螺合したアイ
ボルト８を介して変圧器をロープ１０により吊り
上げた際、ケース１側壁の締付座３取付部分が、
変圧器の重量に耐えかねて歪が生じ、ケース１と
カバー２との間の気密性が損なわれる虞れがあつ
た。又、カバー２は締付金具６に押圧されてケー
ス１開口端に固定保持されているのでカバー２は
その固定時、締付座３に直接規制されることがな
いためケース１の一方に片寄つて取付けられるこ
とがあり、従つて、カバー２締付作業は慎重に行
なわなければならないので非能率的であつた。更
に、カバー２の締付けに際しては、その締付装置
としてアイボルト８が締付金具６、ナツト５、コ
字状の締付座３を必要とするため、部品点数が多
くなりカバー締付装置の原価を高くする欠点もあ
る。

本考案は上述の欠点を除去して、カバー締付装
置の取付位置と、その構造を簡素化することによ
り、ケースとカバーとの間の気密性を損うことな
く変圧器の吊り作業を行うことができる構造簡単
で経済的な製作を可能としたカバー締付装置を提
供するもので、以下本考案の実施例を第３図乃至
第１０図によつて説明すると、１１は変圧器のケ
ース、１２はパツキン１３を介してケース１１に
被着されるカバーで、このカバー１２は第１０図
に示すように、略十字状に打抜かれた平板の周縁
を点線で示す位置において一方向に折り曲げるこ
とにより、第９図に示す如くコーナー部に鉤形の
切欠部１２ａを有して側板１４が形成され、又、
このカバー１２の上部切欠部１２ａの中心位置後
方のカバー１２上には、ボルト挿通孔１５が穿孔
されている。一方、カバー１２の切欠部１２ａの
位置と対応するケース１１のコーナー部外側に
は、第６図および第７図に示すように、板体を逆
Ｌ字型に折曲げた締付座１６が、ねじ孔１７を穿
孔した舌片１６ａを上向にして上記ケース１１の
各コーナー部に上記ねじ孔１７とカバー１２のボ
ルト挿通孔１５とを合致させた状態で溶着されて
おる。そして、上記締付座１６は、第８図に示す
ようにケース１１に溶着される垂直部１６ｂの一
側端にロープ引掛用の引掛溝１８を切欠き、この
引掛溝１８側の垂直部１６ｂ側端をケース１１の
隅角部外側に押し当てて溶着することにより、締
付座１６は、カバー１２の側板１４より外側に突
出しない範囲でケース１１に取付けられている。

次に、カバー１２をケース１１に取付ける場合
について説明すると、図示しない変圧器中身と絶
縁油とを収納したケース１１の上部開口端にカバ
ー１２を被せ、このカバー１２のコーナー部に内
側に穿設したボルト挿通孔１５からカバー締付ボ
ルト１９を挿通して、ケース１１のコーナー部に
取付けられた逆Ｌ字型の締付座１６上部の舌片１
６ａに設けたねじ孔１７に螺着することにより、
上記カバー１２はパツキン１３を介してケース１
１に強固に締着保持される。又、カバー１２の締
付後、変圧器を吊り上げるときは、締付座１６の
垂直部１６ｂ一側端に設けた引掛溝１８に第５図
に示す如くロープ２０を掛止し、このロープ２０
をカバー１２のコーナー部に設けた切欠部１２ａ
の隅角部に押し当てた状態で引張り上げることに
よつて変圧器を吊り上げる。

本考案は上述のように、ケースのコーナー部に
相当する位置に締付座を取付け、上記ケースに被
冠されるカバーは、平板を函状に折り曲げて側板
を形成させ、しかも、この側板のケースコーナー
部に対応する部分に切欠部を設けると共に、切欠
部の中心位置後方のカバー上に上記締付座に穿設
したねじ孔と討向させてボルト挿通孔を穿設し、
このボルト挿通孔を通したカバー締付ボルトを締
付座のねじ孔に螺着せしめることによつて、カバ
ーをケースに締着するようにしたもので、本案は
従来と異なり、締付座がケースの比較的機械的強
度の強いコーナー部に設けてあるため、変圧器を
ロープにより上記締付座を利用して吊り上げても
ケースには従来の如く、締付座がケースの平担面
に取付けられているもののように、変圧器の重み
によりケースに歪みが生じてケース自体の気密性
を損うという虞れは全くない。その上、締付座は
ケースのコーナー部に取付けることにより、吊り
上げロープを均一の長さで掛止して変圧器の吊り
上げを行うことができるので、吊り上げ作業を安
全にかつ効率的に行うことが可能となる。又、締
付座に掛止されたロープは、カバーのコーナー部
に設けた切欠部を通すことができるので、ロープ
は変圧器の吊上時、切欠部からずれることは全く
ないので、吊り上げ途中にロープが移動してカバ
ーの側板に接衝してカバーの塗装を剥離するとい
うこともない、更に、カバー締付ボルトが螺合さ
れる締付座は一枚の金属板に逆Ｌ字型に折り曲げ
て、その舌片にねじ孔を、垂直部の一側端にはロ
ープ引掛溝をそれぞれ設けるだけであるため、構
造は簡単となり、その上、カバーの締付時、カバ
ーの切欠部後方のボルト挿通孔から通したカバー
締付ボルトを上記締付座のねじ孔に螺合させるだ
けでカバーのケースへの締付けが行い得る結果、
カバーを片寄させることなくケースに正確に取付
けることができ、しかもカバー締付のための部品
は、従来の如く、高価なアイボルトや逆Ｌ字型の
締付金具、棒状のナツト等多くの部品を用いてカ
バー締付装置を構成する必要がないので、本案は
カバー締付装置を簡素な構造で経済的に製作する
ことができる等実用上幾多くの優れた効果を有す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来はカバー締付装置を備えた変圧器
の斜視図、第２図は同上の要部縦断面図、第３図
は本考案のカバー締付装置を備えた変圧器の斜視
図、第４図は平面図、第５図は要部縦断面図、第
６図は締付座の取付状態を示す斜視図、第７図は
同上の平面図、第８図は締付座の斜視図、第９図
はカバーの斜視図、第１０図はカバーの製作途中
を示す平面図である。 １１：ケース、１２：カバー、１２ａ：切欠
部、１５：ボルト挿通孔、１６：締付座、１７：
ねじ孔、１８：引掛溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケース外側のコーナ部上方に、板体を逆Ｌ字型
   に折り曲げて上部の舌片にはねじ孔を設けて舌片
   下部の垂直部一側端にロープ引掛溝を設けた締付
   座を、上記舌片を上方に向け、かつロープ引掛溝
   をケース側に位置させて溶着し、上記ケースの開
   口面を覆り周縁にケースのコーナー部と対応する
   位置に鉤型の切欠部を形成せしめてケース側に折
   り曲げられた側板を有するカバーを上記ケースに
   被冠し、このカバーにはそのコーナー部の切欠部
   後方に締付座のねじ孔と対応させてボルト挿通孔
   を穿設し、上記締付座のねじ孔にカバーのボルト
   挿通孔を挿通させたカバー締付ボルトを螺着して
   成る変圧器のカバー締付装置。