JPS6338751Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、脱粒難、高水分という特性をもつ
日本の稲に適合するように改良した直流形コンバ
インに関するものである。

ところで収穫機として高能率という特性を有す
るにもかかわらず直流形コンバインが日本におい
て普及しないのは、価格もさることながら、自脱
形コンバインに比較して稲に対する脱穀選別精度
が劣り、かつ大形に過ぎる欠点を有するからであ
る。本考案はこの問題を解決し、高能率の特性を
活かし乍ら小形にして自脱形コンバインなみの脱
穀選別精度をもつ直流形コンバインの商品化を可
能にするものである。

従来直流形コンバインの脱穀選別装置として英
国特許出願公開第2057240号公報に開示された技
術がある。

この従来技術は前部中央入口から扱室内に搬入
させた穀稈を、該扱室内で脱穀処理しながら扱胴
の回転と該扱室の上面に設けた分散案内板により
左右に分流拡散させて扱室両側方の後部出口から
後部の左右一対のドラム形回転選別室へ供給して
ドラムを回転させながら穀稈を藁屑と穀粒に分離
するようにしたものである。

この例示技術は、穀稈を扱胴の左右に分流しそ
の周囲に沿わせて回流させることにより打撃回数
をアツプさせて扱残しを少なくする利点を有する
が、扱室と回転選別室の双方で穀稈（藁、穀粒）
にモミホグシ作用を与えるものであるから、高水
分の稲はモミ過ぎとなつて水分が吐出し藁をクシ
ヤクシヤにするため選別が悪く、藁にハサミこま
れている穀粒（ササリ粒）を多量に藁屑と共に機
外へ放出する欠陥がある。

更に前記ドラム形回転選別室は、扱室の後側部
両出口に臨ませて機体の左右に配設しているた
め、中間部に無駄なスペースが生じて機体全体を
小形化する目的で選別能力の向上を図るには、機
体構成上大きなロスとなるのである。

また別の従来技術としてコンベア、扱室、スト
ローウオーカーを略同巾にして、刈取つた穀稈を
コンベアにより前部入口から扱室に搬入し、該穀
稈を脱穀処理し乍ら扱室下側方を通過させて前部
入口に対応する後部出口からストローウオーカー
上に送り出して選別するものがある。

この脱穀選別方式は上記穀稈を扱胴とコンケー
ブの間をストレートに通過させるだけであるか
ら、打撃回数が少なくなつて扱残しが発生する。
これを解消するため扱胴の周速をアツプすると損
傷粒が発生するのであり、そしていずれの場合も
モミホグシ作用が不足するためササリ粒が多量に
発生し、このササリ粒を回収すべく選別性能の向
上を図るためストローウオーカーの全長を長くす
ると機体全長が長くなり、横巾を広げるとこれに
対応して扱室、コンベア、フインガ、刈刃の横巾
も広げる必要があり、機体全体が大形化するとい
う問題がある。

このように脱粒難、高水分という特性を有する
稲を対象として、扱残しを少なくするために扱胴
周速をアツプ（衝撃力を向上）すると損傷粒が発
生し、かつモミホグシが不足して単粒化作用が悪
くなり、さらに損傷粒を少なくするためこれを低
速にして打撃回数をアツプさせるとモミ過ぎとな
つてササリ粒を多量に発生するという問題を有し
ているのである。

本考案は上記したような点に関し、例示した従
来の欧米式の技術が未解決であつたところの機体
全体をコンパクトにまとめて、脱粒難、高水分品
種の稲に適合した適度の打撃回数と、モミホグシ
作用を確保し、扱残し、損傷粒、ササリ粒、藁屑
と共に機外へ持出される損失粒の少ない脱穀選別
性能をもつた直流形コンバインを実現しようとす
るものである。

即ち本考案は、刈取部からコンベアにより一定
巾で前部中央の入口から扱室に搬入される穀稈を
該扱室内において脱穀処理し乍ら扱胴の回転およ
び該扱室上面に設けた分散案内板により左右に分
離拡散させ、穀稈を扱胴周面に沿つて左右に分流
させる過程においてモミホグシをなして、藁屑類
を扱室の両側後部に開設した出口の放擲用の突起
付回転体を通じて扱室後部の全巾にわたつて設け
たストローウオーカーの左右両側に勢いをつけて
投げ出し、拡散供給するようになし、これにより
前記扱室に対応してストローウオーカーの巾方向
寸法を大きくし、さらにストローウオーカーの左
右両側に分散供給した藁屑類を後方へ揺動移送す
る過程において両側から中央へも拡散せしめてス
トローウオーカーの全巾を有効に利用し、藁屑に
ふくまれているササリ粒を効率的に回収し、機体
の前後長さあるいは横巾を大きくすることなく、
脱穀選別性能を向上させるようにしたものであ
る。

以下これを実施例により説明すると、第１図に
おいて１は直流形コンバインの機体、２は該機体
の前部に装備された刈取部で、分草用デバイダ
３、引起しリール４、刈刃５等が配備されてお
り、また６は刈取穀稈を中央に集めるオーガ、７
はこれを扱室８内に該扱室における前部中央の入
口８ａから搬入するコンベアである。９は上記コ
ンベア７の横巾より広巾として該扱室８内に軸架
された扱胴、１０はその下面に沿つて配設された
コーンケーブ、１１は扱室８の両側後部における
各出口８ｂに具備された藁放擲用の突起付回転体
である。１２は該扱室８の後方において少なくと
もその全巾にわたつて設けた選別部で、上記扱室
出口８ｂの下方から機体後部に至るストローウオ
ーカー１３、その下方に配備されたチヤフシーブ
１４、グレンシーブ１５及び選別風を発生させる
トウミ１６等から構成され、また該選別部の底部
には選別された穀粒をグレンタンク１７に排出す
る一番スクリユーコンベア１８、再処理が必要な
二番物を上記扱室８又は別途設けられた処理室
（図示せず）に還元する二番スクリユーコンベア
１９が配備されている。然して上記扱室８におい
ては、内部上面に扱胴９の上辺に沿つて複数の分
散案内板２０……２０が設けられているが、該案
内板は第２図に示すように扱胴の後方から上方に
回行せしめられる穀稈を左右両側方に分離拡散す
るよう扱室の後部中央付近から両側方寄りに斜設
せしめられており、また該扱室の後部中央は閉鎖
されて穀稈を扱胴の下方から上方に回行させるた
めの案内面８ｃとされていると共に、該案内面の
両側方に前記した選別部１２のストローウオーカ
ー１３上に通じる出口８ｂ，８ｂが設けられ且つ
その夫々に上記放擲用の突起付回転体１１，１１
が具備されているのである。

上記の構成によれば、刈取部２において刈取ら
れた穀稈はコンベア７により扱室８内にその前部
中央の入口８ａから搬入され、扱胴９の下面とコ
ーンケーブ１０の間に供給されるのであるが、該
扱室後部における上記入口８ａに対応する中央部
は案内面８ｃとされているから、扱胴の下方を通
過した穀稈はそのまま扱室外に排出されないで、
該案内面及び扱胴の回転により上方に回行せしめ
られると共に、分散案内板２０……２０により左
右に分離拡散され、該扱室前部の左右両側方にお
いて再び扱胴の下方に供給される間に穀稈は十分
にモミホグシされつつ脱穀処理されるのであり、
然る後脱穀処理された排藁として扱室後部両側方
における二箇所の出口８ｂ，８ｂから放擲用の突
起付回転体１１，１１の作用でストローウオーカ
ー１３上に勢いよく放擲拡散されるのである。然
してその場合に藁は左右両側方に拡散された状態
で扱室から該扱室後部のその全巾にわたつて設け
られた広巾のストローウオーカー１３上に排出さ
れるから、第２図に示すようにストローウオーカ
ー１３の巾方向寸法Ａをコンベア７による扱室８
への搬入巾Ｂより著しく広くした場合において
も、その全巾に分散した状態で藁が揺動移送され
ることになり、これにより該ストローウオーカー
の面積をその全長を長くすることなく広くし、且
つその全巾の全面を有効利用して選別性能を向上
させることが可能となるのである。

以上説明したように本考案は次のような効果を
有する。

扱胴の回転および扱室上面に設けた分散案内板
により穀稈を左右に分離拡散させることにより、
即ち扱胴周面に沿つて左右に分割回流させて適度
にモミホグした藁屑類を扱室の後部両側に開口し
た出口の放擲用の突起付回転体を通じて、扱室後
部の略全巾にわたつて扱室に対応するよう巾方向
寸法を大きくして設けたストローウオーカーの左
右両側に拡散供給させることにより、該ストロー
ウオーカーの左右両側に拡散した藁屑類を後方へ
揺動移送させ乍ら両側から中央へも拡散させスト
ローウオーカーの全巾を有効に利用して藁屑に含
まれている穀粒（ササリ粒）を良好に分離選別す
ることができ、稲に使用した場合のモミ過ぎがな
く扱室での適度のモミホグシと相まつて日本の稲
に適応した脱穀選別性能を得ることができるので
ある。

更に、コンベア巾より左右に長く延長されてい
る刈刃、オーガの横巾内に、ストローウオーカー
の全巾をおさめることができるので、ストローウ
オーカーの巾方向寸法を大きくしても機体全体は
大形化せず、ストローウオーカーの広巾面を有効
に利用して選別性能を向上させ乍ら機体全体を前
後、左右にバランスよくコンパクトにまとめるこ
とができ、脱粒難、高水分品種の日本の稲に適合
した脱穀選別精度を備える小形高性能な直流形コ
ンバインの実現を可能とするのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案コンバインの実施例を示す一部
縦断側面図、第２図は同じく要部拡大横断平面図
である。 ８……扱室、８ａ……入口、８ｂ……出口、９
……扱胴、１３……ストローウオーカー、２０…
…分散案内板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 刈刃および刈取穀稈を左右から内方に集めるオ
   ーガ、集めた穀稈を扱室へ搬送するコンベア、そ
   してコンベアの後に該コンベアの横巾より大きい
   扱室を設け、扱室前部中央の入口から刈取穀稈が
   搬入される扱室の内部上側面に、扱胴の回転に伴
   つて上記穀稈を扱室後部中央部から左右に分離拡
   散させる分散案内板を扱室後部中央部から扱室前
   部両側に向けて斜設すると共に、この分散案内板
   の両側部にして、上記扱室後部に開口させた夫々
   の出口を通じて上記脱穀処理後の穀稈を該扱室後
   部の選別室へ供給させる構成とし且つ上記夫々の
   出口で上記選別室に設けられるストローウオーカ
   ーの左右上方に藁放擲用の突起付回転体を具備さ
   せると共に、上記ストローウオーカーを前記扱室
   後部の略全巾にわたつて形成したことを特徴とす
   る直流形コンバイン。