JPS6337854B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、ハウジングの下端部に吸込口、上面
に吹出口を設け、またフアンを内蔵したフアンケ
ース及び冷温水コイルをハウジング内に設置した
床置式フアンコイルユニツトに関する。

「従来技術とその問題点」 従来のこの種のフアンコイルユニツトは、フア
ンを吸込口側（下側）、冷温水コイルを吹出口側
（上側）に配置し、フアンでハウジング内に吸い
込んだ空気を、冷温水コイルに吹きつけて加熱ま
たは冷却した後、冷温水コイルを囲むダクトで誘
導しながら上面の吹出口から吹き出していた。す
なわち、暖房時においては、冷温水コイルによつ
て加熱された空気の対流成分に主体をおいた使い
方をしており、もう一つの加熱成分である輻射熱
は積極的に利用していなかつた。

そこで、この輻射熱を有効利用するために、冷
温水コイルの他に、前面パネルの背面に別個に温
水コイルを配置したものが従来提供されている
が、この方法は高価でしかも構造が複雑になるな
どの問題点があつた。

「発明の目的」 本発明は、ダクトを用いずに温風及び冷風を能
率的に吹き出すことができ、しかも輻射熱を有効
利用できるようにすることを目的とする。

なお、ダクトを省略すると、冷房の際に、冷却
空気で前面パネルが冷却されて結露し、前面パネ
ルの表面に結露水が生ずる恐れがあるが、本発明
はこのような事態が生じないように配慮した。

「問題点を解決するための手段」 このような目的を達成するため採用した本発明
の手段は、その実施例の図面（特に第２図）を参
照して列挙すと次の通りである。

ハウジング１内をその中間部に張設された仕
切板９によつて前室１０と後室１１とに区画し
たこと、 この仕切板９の下部に冷温水コイル１３を支
持してハウジング１の前面パネル３と対向さ
せ、該冷温水コイル１３の通気間隙を介して前
室１０と後室１１とを連通させたこと、 前室１０及び後室１１の下端にハウジング１
の吸込口４と連通する前後の導入口１０ａ，１
１ａをそれぞれ形成したこと、 これら前後の導入口１０ａ，１１ａを切り換
え開閉する冷暖房切換用ダンパ１８を冷温水コ
イル１３の下側に開閉自在に装着したこと、 前後両室１０，１１の上側にフアンケース２
２を配置し、その排気口２７をハウジング１の
上面の吹出口６と一致させたこと、 該フアンケース２２に前室１０の導出口１０
ｂ及び後室１１の導出口１１ｂと連通する開口
部２５設けたこと。

「作用」 このフアンコイルユニツトで暖房する場合は、
第２図に示すように冷暖房切換用ダンパ１８によ
つて前室１０の導入口１０ａを閉じ、後室１１の
導入室１１ａを開いた状態とし、冷温水コイル１
３に温水を流しながらフアンケース２２内のフア
ン２１によつてハウジング１内の空気を吹き出
す。そうすると、吸込口４からハウジング１内の
下方に入つた空気は後室１１の導入口１１ａから
一旦この後室１１中に入つた後、冷温水コイル１
３によつて加熱されながら前室１０へ入り、ハウ
ジング１の前面パネル３を加熱する。該前面パネ
ル３は同時に冷温水コイル１３から輻射熱によつ
ても加熱される。前室１０内の加熱空気は該前室
１０の導出口１０ｂからフアンケース２２の開口
部２５を通つて該フアンケース２２中に入つた
後、フアン２１によつて吹出口６からハウジング
１外の上方へ吹き出される。

一方、冷房する場合は、第３図に示すように冷
暖房切換用ダンパ１８を切り換え、後側の導入口
１１ａを閉じて前側の導入口１０ａを開き、冷温
水コイル１３に冷水を流しながらフアン２１によ
つてハウジング１内の空気を吹き出す。この場合
は、吸込口４からハウジング１内の下方に入つた
空気は前室１０の導入口１０ａから一旦この前室
１０中に入つた後、冷温水コイル１３によつて冷
却されながら後室１１内に入り、その導出口１１
ｂからフアンケース２２の開口部２５を通つて該
フアンケース２２中に入つた後、吹出口６からハ
ウジング１外の上方へ吹き出される。

従つて、冷房時には、冷温水コイル１３で冷却
された空気は前室１０を経由することなくハウジ
ング１外へ排出されるため、前面パネル３が冷却
空気によつて直接冷却されることはない。

「実施例」 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図は本フアンコイルユニツトの外観斜視
図、第２図はその簡略断面図である。第２図にお
いてハウジング１の前面パネル３の下端縁と床面
２との間には空気の吸込口４となる所定の間隙が
形成されている。

第１図において、ハウジング１の上面パネル５
には吹出口６、左右の側面パネル７には副吸込口
８がそれぞれ形成されている。ハウジング１の内
部は、第２図に示すように吸込口４と吹出口６と
の間の中間部に張設した垂直な仕切板９により同
じ容積の前室１０と後室１１とに区画されてい
る。仕切板９には横長な窓孔１２が形成され、こ
の窓孔１２内に冷温水コイル１３が着脱自在に垂
直に配置され、前室１０と後室１１とはこの冷温
水コイル１３の通気間隙を介して連通される。

仕切板９の下辺縁と前面パネル３の下部に突設
されたストツパ１４との間には、前室１０の下端
の導入口１０ａ、また同下辺縁と後面パネル１６
の下部に突設されたストツパ１７との間には、後
室１１の下面の導入口１１ａがそれぞれ形成され
ている。前側の導入口１０ａは仕切板９の下辺縁
から前下がりに傾斜し、後側の導入口１１ａは逆
に後下がりに傾斜している。

仕切板９の下辺縁には、板状の冷暖房切換用ダ
ンパ１８が軸１８′によつて前後揺動自在に枢着
され、このダンパ１８を前側のストツパ１４に係
接させると、前側の導入口１０ａが閉じられて後
側の導入口１１ａが開放し、これを切り換えて後
側のストツパ１７に係接させると、後側の導入口
１１ａが閉じられて前側の導入口１０ａが開放す
る。

一方、仕切板９の上辺縁と前面パネル３の上部
に突設されたストツパ１９との間には、前室１０
の上端の水平な導出口１０ｂ、また同上辺縁と後
面パネル１６の上部に突設されたストツパ２０と
の間には、後室１１の上端の水平な導出口１１ｂ
がそれぞれ形成されている。

仕切板９の上辺縁と吹出口６との間には、多翼
式フアン２１を内蔵したフアンケース２２が配置
され、該フアンケース２２によつてハウジング１
内の上部は前後のフアン吸込室２３，２４に区画
されている。

フアンケース２２の左右両側壁には、フアン２
１の駆動軸を中心とした開口部２５、また上面に
は排気口２７が形成され、さらに前後壁の上端に
は前後の羽根板２８，２９、下端には前後の吹き
出し方向切換用ダンパ３０，３１がそれぞれ突設
されている。このフアンケース２２はハウジング
１に前後揺動自在に支承されており、後側に傾け
たときには、第２図に示すように排気口２７が斜
め後方に指向し、前側のダンパ３０が前室１０の
導出口１０ｂを開放すると同時に、後側のダンパ
３１がストツパ２０に係接して後室１１の導出口
１１ｂを閉じる。また、前側に傾けたときには、
第３図に示すように排気口２７が斜め前方へ指向
し、前側のダンパ３０がストツパ１９に係接して
前室１０の導出口１０ｂを閉じると同時に、後側
のダンパ３１が後室の導出口１１ｂを開放する。

吹出口６は、フアンケース２２を前後いずれの
方向に傾動させても、その排気口２７の全域と常
に一致する幅員になつている。

上記左右の副吸込口８は、それぞれ導入口３２
を介してフアンケース２の左右の開口部２５と連
通される。フアン２１はハウジング１内に配置さ
れているモータ（図示せず）によつて回転され
る。冷温水コイル１３には給水用配管３３及び帰
還用配管３４が接続され、温水または冷水が循環
される。

仕切板９、冷暖房切換用ダンパ１８及び前側の
吹き出し方向切換用ダンパ３０は鏡面仕上げが施
されたステンレススチール等を用い、熱反射性を
向上させてある。

このフアンコイルユニツトで暖房する場合は、
第２図に示すようにダンパ１８で前室１０の導入
口１０ａを閉じて後室１１の導入口１１ａを開放
し、またフアンケース２２を後側に傾けて前室１
０の導出口１０ｂを開放し、後室１１の導出口１
１ｂを後側にダンパ３１によつて閉じる。

この状態で冷温水コイル１３に温水を循環させ
ながらフアン２１を回転させると、ハウジング１
内が負圧になるため、その外側の床面２上の空気
は吸込口４よりハウジング１内に吸入される。そ
して、この空気は、開放している後側の導入口１
１ａから後室１１内に一旦流入した後、冷温水コ
イル１３によつて加熱されながらこれを通過して
前室１０内に流入し、さらに開放している前側の
導出口１０ｂを通つて前側のフアン吸込口２３内
に一旦流入した後、開口部２５より２２内に吸入
され、吹出口６から斜め後方へ向けて吹き出され
る。

前面パネル３は、前室１０内を上昇する加熱空
気の熱及び冷温水コイル１３より放射される輻射
熱によつて加熱される。この輻射熱は、冷温水コ
イル１３が前面パネル３の中央部と相対向してい
るため、該前面パネル３を効果的に加熱する。加
えて、仕切板９、ダンパ１８及びダンパ３０が熱
反射性の良い表面（鏡面仕上げ）になつているた
め、前面パネル３は一層効果的に加熱される。

このように前面パネル３は、加熱空気の熱と冷
温水コイル１３からの輻射熱とによつて加熱され
るため、前面パネル３から居住室内に放射される
輻射熱量を増加させることができる。

フアンース２２内には、加熱空気の他にさらに
左右の副吸込口８よりの加熱されない空気が吸入
された混合される。従つて、吸込口４よりの吸入
空気量を減少させることができるので、床直上付
近の空気流が減少され、足元が寒くなる状態を防
止できる。

冷房する場合は、第３図に示すように暖房時と
は逆に、ダンパ１８で後室１１の導入口１１ａを
閉じて前室１０の導入口１０ａを開放し、またフ
アンケース２２を前側に傾けて後室１１の導出口
１１ｂを開き、前室１０の導出口１０ｂを前側の
ダンパ３０で閉じる。

この状態で冷温水フアン１３に冷水を循環させ
ながらフアン２１を回転させると、吸込口４より
吸入された空気は、開放している前側の導入口１
０ａから前室１０内に一旦流入した後、冷温水コ
イル１３を通過して冷却され、後室１１内に流入
する。この冷却空気は、開放している後側の導出
口１１ｂを通つて後側のフアン吸込室２４内に一
旦流入した後、開口部２５よりフアンケース２２
内に吸入され、吹出口６から斜め前方へ向けて吹
き出される。

冷却空気は、このように後室１１及び後側のフ
アン吸込室２４を通つて吹き出されるので、冷却
空気によつて前パネル３は直接冷却されないた
め、結露が生じることはない。

なお、後面パネル１６の内表面に所定の断熱材
３５を付設しておけば、冷房時における該断面パ
ネル１６での結露の発生を未然に防止できる。

なお、冷暖房切換用ダンパ１８の揺動操作及び
フアンケース２２の傾動操作は手動または自動の
いずれでも良い。

暖房時において、フアンケース２２を後側（フ
アンコイルユニツトの後側面は、通常の場合、壁
や窓である）に傾け、温風を斜め上方に吹き出
し、その温風を後側の壁面に沿つて緩やかに上昇
させるので、温風が人体に直接当たらないため、
快適な暖房を行うことができる。また冷房時に
は、フアンケース２２を前側（居住室内側）に傾
けて冷風を斜め上方に（天井面に向けて）吹き出
すので、効率良く冷房できる。

「発明の効果」 本発明のフアンコイルユニツトによる効果を以
下に列記する。

(1) フアンケースを冷温水コイルより上方に設置
して冷温水コイルで加熱または冷却された空気
を吸い出すため、加熱空気及び冷却空気を吹き
出し誘導するためのダクトを省略できるので、
従来のように冷温水コイルからの輻射熱の大部
分がダクトに吸収されることはなく、輻射熱を
有効に利用できる。

(2) 冷温水コイルを前面パネルを対向させたた
め、該前面パネルを輻射熱によつて直接加熱で
きる。また、前面パネルの前面に別個の温水コ
イルを付設しなくとも、輻射熱の放射量の増加
を図ることができる。

(3) ハウジング内の中間部を仕切板によつて前室
と後室とに区画し、これら前後両室の下端の導
入口をダンパによつて切り換え開閉することに
より、暖房時と冷房時とで空気の流路を変え、
加熱空気は前室、冷却空気は後室を通じて吹き
出すので、冷房時において前パネルに触れる冷
却空気はごく少なく、該前面パネルからの結露
水の滴下を防止できる。

(4) フアンケースを前後傾動可能とし、しかもそ
の傾動に伴い前後両室の上端の導出口を切り換
え開閉できる形態とした場合、暖房時において
は温風を斜め上方に吹き出して快適な暖房を行
うことができ、また冷房時には、冷風を斜め上
方に（天井面に向けて）吹き出して効率良く冷
房できる。

(5) 加熱または冷却されない空気を、ハウジング
の側面パネルに設けた副吸込口を通じてフアン
ケース内に別途吸入し、このフアンケース内で
加熱空気または冷却空気と混合して吹き出す形
態とした場合には、吸込口へ吸入される空気流
（床直上の空気）を減少できるため、足元が寒
く感ずるような不快感はなくなる。

(6) 冷房暖房切換用ダンパ及び前側の吹き出し方
向と切換用ダンパの表面を鏡面仕上げによる反
射面とすれば、輻射熱によつて一層効率よくハ
ウジングの前面パネルを加熱できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明のフアンコイルユニツトの実施例
を示し、第１図はその外観斜視図、第２図及び第
３図は暖房時と冷房時の状態をそれぞれ示す簡略
断面図である。 １……ハウジング、４……吸込口、６……吹出
口、７……側面パネル、８……副吸込口、９……
仕切板、１０……前室、１０ａ……前室の導入
口、１０ｂ……前室の導出口、１１……後室、１
１ａ……後室の導入口、１１ｂ……後室の導出
口、１３……冷温水コイル、１８……冷暖房切換
用ダンパ、２１……フアン、２２……フアンケー
ス、２５……開口部、２７……排気口、３２……
導入管、３０，３１……前後の吹き出し方向切換
用ダンパ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ハウジング１の下端部に吸込口４、上面に吹
   出口６を設け、またフアン２１を内蔵したフアン
   ケース２２及び冷温水コイル１３をハウジング１
   内に設置した床置式フアンコイルユニツトにおい
   て、 前記ハウジング１内をその中間部に張設された
   仕切板９によつて前室１０と後室１１とに区画し
   たこと、 この仕切板９の下部に前記冷温水コイル１３を
   支持してハウジング１の前面パネル３と対向さ
   せ、該冷温水コイル１３の通気間隙を介して上記
   前室１０と後室１１とを連通させたこと、 前室１０及び後室１１の下端に前記吸込口４と
   連通する前後の導入口１０ａ，１１ａをそれぞれ
   形成したこと、 これら前後の導入口１０ａ，１１ａを切り換え
   開閉する冷暖房切換用ダンパ１８を前記冷温水コ
   イル１３の下側に開閉自在に装着したこと、 上記前後両室１０，１１の上側に前記フアンケ
   ース２２を配置し、その排気口２７を前記吹出口
   ６と一致させたこと、 該フアンケース２２に前室１０の導出口１０ｂ
   及び後室１１の導出口１１ｂと連通する開口部２
   ５を設けたこと、 を特徴とする床置式フアンコイルユニツト。 ２ 前記フアンケース２２を前後揺動可能に支承
   するとともに、該フアンケース２２に、前記前後
   の導出口１０ｂ，１１ｂをそれぞれ開閉する前後
   の吹き出し方向切換用ダンパ３０，３１を付設し
   たことを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載
   の床置式フアンコイルユニツト。 ３ 前記ハウジング１の側面パネル７に副吸込口
   ８を設け、この副吸込口８と前記フアンケース２
   ２の開口部２５とを導入管３２を介し連通させた
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の
   床置式フアンコイルユニツト。 ４ 前記冷暖房切換用ダンパ１８及び前記前側の
   吹出し方向切換用ダンパ３０の表面を鏡面仕上げ
   による反射面としたことを特徴とする特許請求の
   範囲第２項に記載の床置式フアンコイルユニツ
   ト。