JPS6337535Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、車両用デイスクブレーキ装置におい
て、制動時に加熱されるライニングよりキヤリパ
ーシリンダに熱を伝達させないようにしたデイス
クブレーキの断熱装置に関するものである。

従来技術 車両用デイスクブレーキ装置において、制動時
デイスクと摩擦接触し、加熱されるライニングか
らピストンを介し、キヤリパーシリンダに熱が伝
達されると、シリンダ内のオイルの上昇等により
制動効果を損する。

このためパツドを接合した保持板とキヤリパー
シリンダ内を摺動するピストン間に断熱材（板）
を介在させて断熱効果を計つていた。なお通常こ
の種のブレーキ装置においてはブレーキ機構はデ
イスクの両側に対に設けられ断熱板の支持構造も
同様であるので以下シリンダ側についてのみ述べ
る。

このような装置としては実開昭53−163481号公
報にみられるように、ブレーキパツド（ライニン
グ）を取付けた保持板をキヤリパーのハンガーピ
ンに懸吊し、この保持板と同じくハンガーピンに
懸吊したキヤリパーピストンの前面板との間に断
熱材を介在させたものや、実開昭55−43138号公
報にみられるようにキヤリパーピンに懸吊されて
移動するパツド保持板に凹部を設けてこの凹部に
断熱材を嵌合固定し、この断熱板をキヤリパーピ
ストンの前面板に接合して断熱効果を図つたもの
があつた。

考案が解決しようとする問題点 この種デイスクブレーキにおいては、断熱板を
キヤリパー装置に確実に取付けること及び外部か
らの大きな応力や影響がないような状態に保持す
ることは重要である。このようなことがあると大
きな事故につながるおそれがあるものである。し
たがつて断熱板の取付けと保護には充分な注意が
払われなければならない。

しかしながら、前記したような従来技術におい
てはこの点が充分でなかつた。すなわち前記した
従来のものは、パツド保持板とピストンの前面板
間に断熱板が単に介在しているにすぎないもので
あつたり、またパツド保持板に凹部を形成してこ
の凹部に断熱板を嵌合固定するものにあつてもピ
ストンの前面板とは単に接合しているにすぎない
ものであり、断熱板の保持、保護が充分でなかつ
た。

本考案は、このような断熱板の保持構造の改良
に係り、断熱板をより確実にキヤリパーに取付
け、かつその保護の完全を期そうとするものであ
る。

問題点を解決するための手段および作用 本考案は上記問題を解決するためにライニング
を接合した保持板の背面に断熱板を配設したデイ
スクブレーキにおいて、保持板をキヤリパーのハ
ンガーピン懸吊配設し、断熱板とキヤリパーピス
トンとの間に、断熱板の上下両側部を背部から保
持する屈曲片を底部、側部および上方部にそれぞ
れ有し前記ハンガーピンに懸吊配設する硬質リテ
ーナを設け、該リテーナが断熱板を保持した状態
でリテーナと保持板をリベツトにて固定したこと
を特徴とするデイスクブレーキの断熱装置とした
もので、シリンダに圧油が供給されると、ピスト
ンが突出し、ブレーキデイスクは一対のライニン
グに強く挟圧され、制動が行われる。この制動
時、ライニングに発生した熱は断熱板によりピス
トン及びシリンダに伝達され難く、また断熱板は
前記したような複数の屈曲片を有する硬質のリテ
ーナによつて背部から保持されるとともに直接外
圧がかからないような状態に保護され、さらにリ
テーナとライニングを接合した前記保持板はリベ
ツトによつて強固に固定され、両者ともハンガー
ピンに懸架されているのでハンガーピン上を一体
となつて円滑に移動する。

実施例 以下本考案を自動二輪車のデイスクブレーキに
適用した図示の実施例について説明する。

１はブレーキキヤリパーで同キヤリパー１は、
対向受片３を一体に備えたキヤリパー本体２と、
同本体２と一体に形成された一対のシリンダ４
と、同シリンダ４にそれぞれ摺動自在に嵌装され
たピストン５と、一対のパツド部材６とよりなつ
ている。

また前記パツド部材６は、フエードの起りにく
い金属含有度の高いライニング７と、保持板８
と、樹脂をベースに石綿を混入してなる断熱板９
と、ステンレススチール製リテーナ１０とよりな
り、保持板８の内面にライニング７が一体に固着
されるとともに、断熱板９とステンレススチール
製リテーナ１０とが重合せられた状態で保持板８
の外面にリベツト１４で一体に装着されている。

そして、断熱板９を保護して保持するために二
本のリベツト１４の貫通個所の下方に位置したリ
テーナ１０の底部に支持突縁１１が直角に曲成さ
れて屈曲片を形成するとともに、リテーナ１０の
側部にも保持突縁１２が直角に曲成され、さらに
リベツト１４の上方部にも屈曲片１９が形成さ
れ、その上方にはハンガーピン１５が貫通される
懸吊片１３が形成されている。

さらにまたパツド部材６とリテーナ１０とは、
キヤリパー本体２と対向受片３とに挿入されたハ
ンガーピン１５に貫通支持され、図示されないフ
ロントホイールと一体のブレーキデイスク１６の
両側面に一対のパツド部材６のライニング７が相
対するように設けられ、キヤリパー本体２は図示
されないフロントフオークのブラケツト１７にボ
ルト１８を介して着脱自在に装着されるようにな
つている。

図示の実施例は前記したように構成されている
ので、シリンダ４に圧油が供給されると、ピスト
ン５が突出され、ブレーキデイスク１６は一対の
パツド部材６に強く挟圧され、パツド部材６のラ
イニング７とブレーキデイスク１６との間に働く
摩擦力で図示されないフロントホイールは制動さ
れる。

この制動時のライニング７に発生した熱は断熱
材９によりピストン５およびシリンダ４に伝達さ
れ難くなる。

またピストン５の先端と断熱板９とには硬質の
ステンレス製リテーナ１０が介在しているため、
ピストン５の先端における単位面積当りの押付け
圧力が高くても、断熱板９には局部的に大きな応
力が作用しない。

さらに走行等によりピストン５の先端面や対向
受片３の内面に土砂等が付着しても、断熱板９は
硬質のリテーナ１０によつて保護することができ
る。

考案の効果 本考案は、断熱板がその上下左右を硬質リテー
ナの屈曲片によつて支持され、かつ前後面が保持
板及び硬質リテーナに接合しているので、断熱板
の位置が固定され、また外部からの圧力や影響を
受けることなく保護することができる。

また、リベツトによつて保持板及びリテーナは
一体的に固定されているので内部の断熱板の保持
と安定性が得られ、万一リベツトが外れた場合で
も断熱板は硬質リテーナによつて保持することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るデイスクブレーキの断熱
装置の一実施例を図示した横断正面図、第２図は
第１図の−線に沿つて截断した縦断側面図、
第３図は同実施例の要部分解斜視図である。 １……ブレーキキヤリパー、２……キヤリパー
本体、３……対向受片、４……シリンダ、５……
ピストン、６……パツド部材、７……ライニン
グ、８……保持板、９……断熱板、１０……ステ
ンレススチール製リテーナ、１１……支持突縁、
１２……保持突縁、１３……懸吊片、１４……リ
ベツト、１５……ハンガーピン、１６……ブレー
キデイスク、１７……フロントフオークブラケツ
ト、１８……ボルト、１９……リテーナの屈曲
片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ライニングを接合した保持板の背面に断熱板を
   配設したデイスクブレーキにおいて、保持板をキ
   ヤリパーのハンガーピンに懸吊配設し、断熱板と
   キヤリパーピストンとの間に、断熱板の上下両側
   部を背部から保持する屈曲片を底部、側部および
   上方部にそれぞれ有し前記ハンガーピンに懸吊配
   設する硬化リテーナを設け、該リテーナが断熱板
   を保持した状態でリテーナと保持板をリベツトに
   て固定したことを特徴とするデイスクブレーキの
   断熱装置。