JPS6335650Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は、シート、特に自動車シートの座部の
クツシヨン構造に関するものである。

〔従来技術〕

従来のシート座部のクツシヨン構造は、高級品
の場合はクツシヨン材が所望の立体形状にモール
ド成形され、モールド成形されたクツシヨン材を
座部のフレームに取付け、クツシヨン材の表面を
皮や布等の表皮で被覆していた。また、低級品の
場合は、単に両面が平坦な長方形状スラブウレタ
ン（スラブ状の軟質ポリウレタンフオーム）をク
ツシヨン材として使用するか、あるいはフレーム
と表皮との間にチツプウレタン（軟質ポリウレタ
ンフオームの屑）を詰め込む等をしていた。高級
品は座り心地は良いがコストアツプとなり、低級
品は安価であるが座に心地が悪い、とうようにそ
れぞれ一長一短を有していた。そこで、座り心地
もモールド製品のクツシヨン材を使用したものに
より近い座り心地が得られ、しかもモールド製品
ほど製造の面倒がなくコスト的にも従来の低級品
と大差なく作れる座部のクツシヨン構造が望まれ
るに至つた。特に、トラツクやフオークリフト等
のように長時間着座を要求されることの少ない車
両において、単なるスラブウレタンのクツシヨン
材を使用しただけのクツシヨン構造ではなく、価
格的に同じ程度で製造でき、より座り心地の良い
ものが望まれている。

本考案は、スラブウレタンを所定の形状に切断
し、この切断したものを使用して上記要望に応ず
るものであるが、同様の技術的思想としては、実
公昭50−10170号公報に記載のものが知られてい
る。この従来例は、軟質ポリウレタンフオームの
直方体状のブロツクを対称型に２個取り裁断して
起立部分と頂面とを有するほぼＬ字型のソフアを
２個取り裁断するというものである。対称型に２
個取り裁断するという思想は、本考案におけるプ
ロフアイル加工と同一であるが、本考案では一歩
進めて、このプロフアイル加工して得た波状ウレ
タンを切断し、貼り合わせ、フレームと組合わせ
る等して、より座り心地の良いものを得ようとす
る。従来の２個取り裁断したソフアでは、自動車
シートの座部としては、単なるスラブウレタンと
同程度の座り心地しか得られず、着座者をサポー
トし、モールド発泡成形品と同程度の座り心地を
得ることはできないものであつた。

〔考案の目的〕

本考案は、上記事情に鑑みて考案されたもので
あり、モールド成形したクツシヨン材を使用した
ものに勝るとも劣らない座り心地が得られ、しか
もモールド成形に比べ大幅なコストダウンを図り
得るとともに、大量かつ迅速に製造することので
きるシート座部のクツシヨン構造を提供すること
を目的とするものである。

〔考案の構成〕

上記目的を達成するため、本考案は、スラブ状
の軟質ポリウレタンフオームから成るスラブウレ
タンをその厚み部分に直交する如く水平方向にプ
ロフアイル加工して上下２枚の波状ウレタンを形
成し、これらの波状ウレタンから少なくとも中央
に山部を１つ残すように矩形状に切断して第１の
クツシヨン材を形成するとともに、両側に山部を
半分づつ有するように矩形状に切断して第２のク
ツシヨン材を形成し、これら２枚のクツシヨン材
の平坦面同士を貼付し、皿状フレームの窪みに中
央に山部を残した第１のクツシヨン材の山部を収
容し、両側に山部を半分づつ有する第２のクツシ
ヨン材の半分の山部を着座者の左右両側又は前後
両側に位置させるようにしたものである。

〔考案の実施例〕

以下本考案の好適な実施例を図面に基づき説明
する。

本考案においては、工業的に大量生産されるス
ラブ状の軟質ポリウレタンフオームであるスラブ
ウレタン１を使用し、このスラブウレタン１を波
状カツタ加工機２によりプロフアイル加工（波状
裁断）する。一般のプロフアイル加工は寝具のマ
ツトレスに代表されるように波形状が小さいが、
本考案では比較的大きな波形状となるように加工
する（第１図参照）。プロフアイル加工されて水
平方向に２分割された波状ウレタン１ａ，１ｂか
ら少なくとも中央に山部３を１つ残すように矩形
状に切断して第１のクツシヨン材８（第３図参
照）を形成し、かつ両側に山部３′，３′を半分づ
つ有するように矩形状に切断して第２のクツシヨ
ン材８′を形成する。これら第１、第２のクツシ
ヨン材８，８′は、第２図に示すように、プロフ
アイル加工によつて形成された上下２枚の波状ウ
レタン１ａ，１ｂに対し下側の波状ウレタン１ｂ
の隣合う山部３′，３′の頂部を通るように２枚の
波状ウレタン１ａ，１ｂを重ね合わせたまま上下
に切断して得られる。換言すると、下の波状ウレ
タン１ｂの表面には完全な山部３ではなく半分の
山部３′が存在するように切断され、この波状ウ
レタン１ｂから第２のクツシヨン材８′を形成す
る。第２図において、波状カツト線５に対して上
側の波状ウレタン１ａの山部３は下側の波状ウレ
タン１ｂの谷部４となり、スラブウレタン１の端
部に不要部分７が生ずるが、全体からみるとほん
のわずかであり、その他の部分は有効に使用可能
なクツシヨン材８，８′を形成する。そして、こ
れら上下２枚のクツシヨン材８，８′の平坦面９，
９′同士を合わせて第５図のように中央に山部３
を１つ有する側を下にするように構成する。この
下側の山部３を第４図に示すような皿状のフレー
ム１０に取付け、表面を表皮１２で被覆する。こ
の場合、表面に現出する半分づつの山部３′，
３′を着座者の左右両側に位置するようにしても
（第５図参照）、着座者の前後両側に位置するよう
にしてもどちらでも良い。前者の位置の場合（第
５図）は、着座者を両側からサポートする機能を
有することとなり、後者の位置の場合は、前側の
山部３′が着座者の大腿部裏側に接触しこれを支
える機能を有するとともに、着座者の腰椎（ラン
バー）を後側の山部３′が支える機能を有するこ
ととなる。第４図に示す皿状フレーム１０はパネ
ルフレームであり、人体の尻の荷重がかかる部分
を一番深くした窪み１１を有し、この窪み１１に
前記第１のクツシヨン材８の山部３を収容するよ
うになつている。第１のクツシヨン材８をフレー
ム１０に取付けた（収容した）後、第１，第２ク
ツシヨン材８，８′の表面を表皮１２で被覆し、
山部３が窪み１１の形状に倣うようにする。この
ようにして、第５図に示すシート座部のクツシヨ
ン構造が得られる。なお、フレーム１０の窪み１
１には複数の空気抜き用の孔１１ａが穿設されて
いて、クツシヨン材８，８′に荷重がかかつたと
きクツシヨン材８から出る空気を下方に抜くよう
になつている。

さらに、ベンチシートの場合には、第７図のよ
うに下側のクツシヨン材８として２つの山部３，
３を有するものを使用し、上側のクツシヨン材
８′として中央に山部３を１つ有し両側に半分の
山不３′，３′を有するものを使用しても良い。さ
らにまた、第８図のように第５図に示すものを幅
方向に伸ばした形状のベンチシート用のクツシヨ
ン材とすることも可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案は、スラブウレタ
ンをその厚み部分に直交する如く水平方向にプロ
フアイル加工して上下２枚の波状ウレタンを形成
し、これらの波状ウレタンから少なくとも中央に
山部を１つ残すように矩形状に切断して第１のク
ツシヨン材を形成するとともに、両側に山部を半
分ずつ有するように矩形状に切断して第２のクツ
シヨン材を形成し、これら２枚のクツシヨン材の
平坦面同士を貼付し、皿状のフレームの窪みに中
央に山部を残した第１のクツシヨン材の山部を収
容し、両側に山部を半分ずつ有する第２のクツシ
ヨン材の半分の山部を着座者の左右両側又は前後
両側に位置させるようにしたものである。したが
つて、従来例のソフアのように、単に上下対称に
軟質ポリウレタンフオームを２個取り裁断するだ
けのものではなく、汎用技術であるプロフアイル
加工を利用して、無駄なく、安価かつ迅速に波状
ウレタンを大量生産し、この波状ウレタンの山部
と谷部とを巧みに利用して従来のモールド発泡成
形に劣らない立体形状を容易に成形でき、座り心
地も単なるスラブウレタン使用のものに比べて数
段優れ、フレームの取付けは、第１のクツシヨン
材の山部をフレームの窪みへ収容するので“スワ
リ”“ナジミ”とも良好で、取付けが容易となり、
座り心地の点は、第２のクツシヨン材の半分の山
部が着座者のサイドサポートあるいはサイドサポ
ート及びランバーサポートの機能を発揮し、走行
中の車両におけるシート座部として優れたクツシ
ヨン構造となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はプロフアイル加工時の側面図、第２図
はスラブウレタンのカツトの仕方を示す斜視図、
第３図は第１のクツシヨン材の斜視図、第４図は
パネルフレームの斜視図、第５図は第１、第２の
クツシヨン材を貼り合わせた斜視図、第６図は着
座状態のシート座部の断面図、第７図はクツシヨ
ン材組合わせの他例を示す断面図、第８図はクツ
シヨン材組合わせのさらに他例を示す斜視図であ
る。 １…スラブウレタン、１ａ，１ｂ…波状ウレタ
ン、３，３′…山部、４…谷部、８，８′…クツシ
ヨン材、９，９′…平坦面、１０…フレーム、１
１…窪み。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ スラブ状の軟質ポリウレタンフオームから成
   るスラブウレタンをその厚み部分に直交する如
   く水平方向にプロフアイル加工して上下２枚の
   波状ウレタンを形成し、 これらの波状ウレタンから少なくとも中央に
   山部を１つ残すように矩形状に切断して第１の
   クツシヨン材を形成するとともに、両側に山部
   を半分づつ有するように矩形状に切断して第２
   のクツシヨン材を形成し、 これら２枚のクツシヨン材の平坦面同士を貼
   付し、 皿状のフレームの窪みに中央に山部を残した
   第１のクツシヨン材の山部を収容し、 両側に山部を半分づつ有する第２のクツシヨ
   ン材の半分の山部を着座者の左右両側又は前後
   両側に位置させるようにしたことを特徴とする
   シート座部のクツシヨン構造。 ２ 前記プロフアイル加工によつて形成された上
   下２枚の波状ウレタンに対し下側の波状ウレタ
   ンの山部の頂部を通るように２枚の波状ウレタ
   ンを重ね合わせたまま切断して第１及び第２の
   クツシヨン材を同時に形成することを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項に記載のシー
   ト座部のクツシヨン構造。