JPS6335200B2

JPS6335200B2 -

Info

Publication number: JPS6335200B2
Application number: JP59117297A
Authority: JP
Inventors: Ichiro Ito; Kyosuke Mizuno
Original assignee: Kurita Water Industries Ltd
Current assignee: Kurita Water Industries Ltd
Priority date: 1984-06-07
Filing date: 1984-06-07
Publication date: 1988-07-13
Also published as: JPS60260699A

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］本発明は銅材質を含む配管用洗浄剤組成物に係
り、特に各種工場又は家庭用の配管等に付着した
無機系、有機系スケールを効率良く除去すること
ができる銅材質を含む配管用洗浄剤組成物に関す
る。［従来の技術］従来、各種工場や空調設備等の冷却水系、各種
設備機器の配管系、瀘過器の瀘材等に付着した
泥、砂、腐食生成物等の無機系スケールやスライ
ム、藻類等の有機系スケールの除去には、一般に
過酸化水素が用いられてきたが取り扱いに注意を
要する。一方、取り扱いが容易であるところから、一般
家庭の台所の排水管や風呂釜等に付着した汚れの
除去には、過炭酸塩、一般には炭酸ナトリウム過
酸化水素化物2Na₂CO₃・3H₂O₂（以下「過炭酸ソ
ーダ」という。）が洗浄剤として広く用いられて
いる。［発明が解決しようとする問題点］ところが、従来用いられている過炭酸ソーダ等
の過炭酸塩は、溶解性が悪いため、十分な洗浄効果が得られ
ない、未溶解の過炭酸塩が鉄等の配管等の洗浄対象
部に付着するため、これらの材質の腐食の原因
となる、油脂、タンパク質等に対する洗浄力が弱い、洗浄力を高めるために、高PHの溶液とするこ
ととなり、銅材質の腐食性も大きい、等の欠点を有していた。そこで、このような過炭酸塩による問題点を解
決する目的で、各種の配合剤を添加することが検
討されているが、いずれも配合剤による改良効果
が十分でなく、また過炭酸塩が不安定であるとこ
ろから、配合剤の添加により過炭酸塩が分解して
洗浄力を失う等の問題があり、実用的ではない。
このようなことから、過炭酸塩の適用対象は極め
て制限され、従来、過炭酸塩を用いて大規模な冷
却搭等の洗浄を行なうことはなされていなかつ
た。本発明は上記従来の問題点を解決するべくなさ
れたものであり、その目的とするところは、溶解
性が高く洗浄効果が大きいと共に安定で銅材質を
含む配管の洗浄に有効な洗浄剤組成物を提供する
ことにある。［問題を解決するための手段］この目的を達成するために、本発明の銅材質を
含む配管用洗浄剤組成物は配合剤として重炭酸塩
を添加してなるものであり、過炭酸塩１〜90重量
％、重炭酸塩５〜90重量％及びアゾール系の銅用
防食剤0.01〜５重量％を含むことを特徴とする。以下に本発明を詳細に説明する。本発明の洗浄剤組成物は過炭酸塩、重炭酸塩及
びアゾール系の銅用防食剤を含有してなるもので
ある。過炭酸塩としては過炭酸アルカリ金属、とりわ
け過炭酸ソーダが好ましい。本発明において、過
炭酸塩の含有量は１〜90重量％、好ましくは５〜
80重量％である。重炭酸塩としては重炭酸アルカリ金属が挙げら
れる。具体的には、一般に市販されている重炭酸
ナトリウム（NaHCO₃）（以下「重曹」という。）
が入手し易く好適である。重炭酸塩の含有量は５
〜90重量％、好ましくは10〜90重量％とする。アゾール系銅用防食剤としては、ベンゾトリア
ゾール（BT）、トリルトリアゾール（TT）又は
これらの塩が好ましく、その含有量は0.01〜５重
量％とする。本発明の洗浄剤組成物は、上記過炭酸塩、重炭
酸塩及びアゾール系銅用防食剤の他、更にアルカ
リ金属水酸化物５〜70重量％及び／又は特定のキ
レート剤0.01〜10重量％を含有させることによ
り、洗浄効果等の特性を向上させることができ
る。この場合、アルカリ金属水酸化物としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ
る。また、キレート剤としては、グルコン酸、
EDTA（エチレンジアミン四酢酸）又はこれらの
塩が挙げらる。本発明の洗浄剤組成物は、更に通常用いられる
ABS、オレイン酸ソーダ等の公知の界面活性剤、
潤化剤等を含有させても良い。このような本発明の洗浄剤組成物は、上記各種
の配合剤を混合した状態で、粉末状、造粒された
ペレツト状、錠剤型で製造できるが、このような
状態において、40℃で２週間以上、極めて安定に
保存される。本発明の洗浄剤組成物は、これらの配合剤を予
め混合された状態で使用に供しても良く、また洗
浄時に洗浄系に別個に投入して洗浄液を調整する
ようにしても良く、いずれの場合においても優れ
た洗浄効果を発揮できる。本発明の洗浄剤組成物は0.1〜20（重量／体積）
％の水溶液として使用するのが好ましい。［作用］以下、本発明の銅材質を含む配管用洗浄剤組成
物に含有される各種配合剤の作用について説明す
る。重炭酸塩は溶解促進剤として極めて優れた効果
を発揮し、過炭酸塩及びその他の配合剤の水分散
性を飛躍的に向上させ、その結果、洗浄剤組成物
の溶解に要する時間を大幅に短縮させることがで
きる。アゾール系銅用防食剤は、銅材質の腐食の防止
に効果的である。即ち、過炭酸塩は、１重量％程
度の溶液でPHが約10となり、長時間の洗浄を行な
うと銅材質を腐食させる。この銅腐食は、洗浄剤
組成物に重曹等の重炭酸塩が配合されている場合
には、HCO₃ ^-の影響を受けて更に進行するよう
になり、しかも洗浄剤組成物にアルカリ金属水酸
化物が配合された場合には、洗浄溶液は強アルカ
リ性となるため、なお更に銅腐食が促進されるこ
ととなる。そこで、洗浄対象系に銅材質が存在す
る場合には、銅用防食剤により銅腐食を防止する
のが良い。アルカリ金属水酸化物は、洗浄剤組成物のPHを
上げ、強アルカリとすることにより、脱脂力及び
有機物等の分解力等を高め、過炭酸塩との相乗作
用により洗浄力を飛躍的に向上させることができ
る。前記特定のキレート剤は、スケール等の汚れの
中に含まれる炭酸カルシウム等の無機塩、酸化鉄
等を封鎖し、過炭酸塩との相乗効果により洗浄効
果を大幅に向上させることができる。その他、本発明の洗浄剤組成物に、必要に応じ
て界面活性剤等を含有させることにより、洗浄力
を更に向上させることができる。［実施例］以下に本発明を実験例及び実施例を挙げて更に
具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えな
い限り以下の実施例に限定させるものではない。実験例１１容のビーカーに１の市水を取り、マグネ
テイツクスタラー（回転速度50rpm）で撹拌しな
がら、第１表に示す配合の洗浄剤100ｇを各々投
入し、それぞれの溶解所要時間を測定し、外観を
観察した。結果を第１表に示す。

【表】第１表より、本発明の如く重曹を配合すること
により、過炭酸ソーダが短時間で完全に溶解し、
洗浄剤組成物の溶解性が極めて向上することが認
められる。実施例２５×10cmの＃300サンドペーパーに１ｇの活性
汚泥を塗り、これを乾燥したものをテストピース
とした。１容のビーカーに１の市水を取り、
このテストピースを浸漬し、第２表に示す配合の
薬剤を投入し、マグネテイツクスタラー（回転速
度50rpm）で撹拌し、５分後の洗浄溶液の濁度測
定を行なつた。また沈殿物の量を観察した。結果
を第２表に示す。第２表より明らかなように、重曹が含有されて
いると、洗浄剤組成物のスケール除去能が大幅に
向上し、更に重曹と共にキレート剤を少量添加す
ることにより、洗浄剤組成物の溶解性は飛躍的に
向上した。なお、第２表において、過炭酸ソーダ沈殿物の
量の判定結果は次の基準によるものである。＋＋……沈殿物が多量。＋ ……わずかであるが沈殿物あり。 − ……沈殿物は殆どない。

【表】

【表】実施例３動植物油脂、泥、スライム等のスケールが約
0.5cmの厚さに付着している厨房用排水管（直径
２インチ、長さ10cm）を切り取り、２のポリビ
ーカーに入れ、第３表に示す配合の薬剤20（重
量／体積）％を含有する洗浄溶液を投入し、30分
間マグネテイツクスタラー（回転速度50rpm）で
撹拌した後、スケールの厚さを測定しスケール除
去率を求め、また外観を観察した。結果を第３表
に示す。実験例４１容のビーカーに１の市水を入れ、３cm×
５cm、１mm厚さの純銅のテストピーースを浸漬
し、第４表に示す配合の薬剤10ｇを投入し、マグ
ネテイツクスタラー（回転速度50rpm）で２時間
撹拌し、テストピースの腐食量を測定し、腐食速
度を求めた。結果を第４表に示す。

【表】

【表】＊…水洗等の簡単な操作で容易に除
去可能。

【表】第４表より、洗浄剤組成物に銅用防食剤を含有
させることにより銅の腐食が防止され、NaOH
等のアルカリ金属水酸化物を含有させた場合にお
いても、極めて効果的に銅腐食が抑制されること
が認められる。実施例１ 15容のビーカーに１の市水を入れ、泥、ス
ライム等のスケールが付着した実機空調冷凍機の
銅チユーブ（直径１cm）を長さ５cmに切断し、浸
漬する。更に、第５表に示す配合の薬剤10ｇを投
入し、マグネテイツクスターラー（回転速度
50rpm）で２時間撹拌し、試験前後の重量変化よ
りスケール除去率を求めた。また、付着物を完全
に除去した銅チユーブの試験前後の重量変化より
腐食速度を求めた。結果を第５表に示す。

【表】第５表より、スケールの除去率と銅材の腐食速
度という観点からすると、本発明例（No.６）がも
つとも効率が良いことがわかる。実施例２高圧カツトを生じた空調冷却水系の冷凍機熱交
チユーブ（付着しているスケールはスライムと土
砂が主成分である。）の洗浄を、第６表に示す組
成の洗浄剤及び洗浄仕様で行なつた。なお洗浄は
ポンプによる循環洗浄とし、洗浄剤による洗浄後
水洗を１時間行なつた。

【表】洗浄の結果、冷凍機熱交チユーブ内のスケール
は完全に除去され、冷凍機のゲージ圧（フロンＲ
−12）が、洗浄前の12.5Kg／cm²から10.3Kg／cm²に
回復し、電力消費量も10％節減できた。なお、洗浄中、冷却塔ピツトに純銅及び鋼のテ
ストピースをそれぞれ浸漬したが、これらに何ら
腐食は認められなかつた。以上の結果から、本発明の洗浄剤組成物は極め
て洗浄力が優れ、しかも銅、鋼に対する腐食性を
小さくすることも可能であることが明らかであ
る。［発明の効果］以上詳述した通り、本発明の銅材質を含む配管
用洗浄剤組成物は、溶解速度が大きくまたその洗
浄力は極めて優れており、しかも長時間安定に保
存すことができる。従つて、本発明の銅材質を含む配管用洗浄剤組
成物によれば、様々な銅材質を含む被洗浄配管を
短時間で効率良く洗浄することができ、工業的に
極めて有利である。

Claims

【特許請求の範囲】１過炭酸塩１〜90重量％、重炭酸塩５〜90重量
％及びアゾール系の銅用防食剤0.01〜５重量％を
含むことを特徴とする銅材質を含む配管用洗浄剤
組成物。２過炭酸塩が過炭酸アルカリ金属であることを
特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の洗浄剤
組成物。３重炭酸塩が重炭酸アルカリ金属であることを
特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項に記
載の洗浄剤組成物。４過炭酸塩の含有量が５〜80重量％であること
を特徴とする特許請求の範囲第１項ないし第３項
のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物。