JPS6334426Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は静電塗装機の高圧荷電部と低電圧物体
との間で火花放電が発生するのを極めて高い確立
で防止し得る機能を備えた静電塗装装置に関す
る。

一般に霧化した塗料を高圧荷電してなる塗装機
でもつて塗装機から離間せる被塗装物品に塗着せ
しめる静電塗装装置にあつては、被塗装物品又は
他の導電性物体が高圧電荷された塗装機に異常に
接近することがあり、この場合、火花放電を誘発
して溶剤に引火する危険性があるので、火花放電
の発生の前兆を検知して火花放電に至る前に速や
かに保護機能を作動させる必要がある。斯かる従
来の代表的な装置としては負荷電流の増大を検出
して機械的スイツチにより直流高電圧端子を接地
端子に強制的に短絡するものがある。しかし斯か
る従来の機械的スイツチを用いた静電塗装装置に
あつては、機械的スイツチの動作速度が数十ミリ
秒程度なので充分に火花放電の発生を防ぐことが
出来ず、また高い確率で火花放電の発生を防止し
ようとすれば、火花放電検出のスレツシユホール
ドレベルを低く設定せざるを得ないので誤検出が
非常に多くなつてしまうという欠点がある。従つ
てサイリスタの様な半導体スイツチでもつて短絡
用スイツチを構成すれば上記従来の欠点を払拭で
きるが、静電塗装において一般に要求される電源
出力は−60kV乃至−100kV、1mA程度であるの
で、単体のサイリスタでは斯かる定格を満足する
ものは市販されていない。従つてコストなどの面
をも勘案すれば前記電流容量を満足し得る多数の
サイリスタを直列接続して短絡用スイツチを構成
せねばならないが、各サイリスタのゲートに外部
から点弧信号を与える通常のものではゲート点弧
回路が非常に複雑になり、実用的でないという欠
点がある。

本考案は上記したいずれの欠点をも除去し得る
静電塗装装置を改良するものである。

先ず第１図によつて本考案の一実施例を説明す
る。第１図において、１は静電塗装ガンを含む静
電塗装機、２は接地された被塗装物品、３は数十
ＫHzの高周波の交流電力を昇圧トランス４の１次
巻線４ａに与える高周波発生器の様な交流電源、
５は昇圧トランス４の２次巻線４ｂに接続され、
ダイオード５ａとコンデンサ５ｂとをコツククロ
フトウオルトン回路構成に接続してなる直流高電
圧発生部、６はこの直流高電圧発生部の出力と静
電塗装機１との間の配線に直列接続された限流抵
抗、７は複数の直列接続されたサイリスタ７a₁、
７a₂……７a_oと、これらサイリスタに対して夫々
設けられた抵抗７b₁，７b₂……７b_oとコンデンサ
７c₁，７c₂，……７c_oとの直列接続体とからなる
短絡用半導体スイツチ、８は短絡用半導体スイツ
チ７に直列接続された保護用抵抗、９は電流検出
用抵抗、１０は電流検出用抵抗９からの電流検出
信号に関連する信号により火花放電発生の予知を
行う火花放電予知回路、１１は火花放電予知回路
１０から火花放電予知信号を受けるときパルスを
発生するパルス発生器、１２はパルス変圧器、１
３は所定の等しい耐圧、静電容量を有するコンデ
ンサ１３ａ〜１３ｆ、１３a′〜１３f′を夫々直列
接続してなる点弧信号伝達用コンデンサ回路、１
４はノイズ除去用変圧器であり、その１次巻線１
４ａの両端はコンデンサ回路１３に接続されると
共にその中点は直流高電圧出力点Ｘに接続され、
その２次巻線１４ｂは半導体スイツチ７のサイリ
スタ７a₁のゲート・カソード間に接続されてい
る。尚、１５は短絡用半導体スイツチ導通後にそ
の順方向にドロツプにより半導体スイツチ７のカ
ソード側に残留する電圧を静電塗装機１から遮断
するためのアバランシエダイオードである。

斯かる構成の静電塗装装置において、今、被塗
装物品２が静電塗装機１に対して異常に接近した
とすると、電流検出用抵抗９を介して流れる電流
が増大する。そしてこの検出電流がスレツシユホ
ールドレベルを越えるとき火花放電予知回路１０
が火花放電予知信号をパルス発生器１１に出力す
る。これに伴いパルス発生器１１は点弧パルスを
発生し、この点弧パルスはパルス変圧器１２、点
弧信号伝達用コンデンサ回路１３及びノイズ除去
用変圧器１４の１次、２次巻線１４ａ，１４ｂを
介して短絡用半導体スイツチ７の第１のサイリス
タ７a₁のゲート・カソード間に印加される。この
場合、直流高電圧出力点Ｘにおける直流高電圧は
コンデンサ回路１３により遮断されるが、高周波
ノイズはノイズ除去用変圧器１４の１次巻線１４
ａ、点弧信号伝達用コンデンサ回路１３、パルス
変圧器１２の２次巻線及びその中点タツプを介し
て接地にバイパスされる。従つて直流高電圧側に
発生するノイズによつて短絡用半導体スイツチ７
が点弧されることはない。

ここで短絡用半導体スイツチ７が開いていると
きにはその両端に直流高電圧が印加されているの
で、そのコンデンサ７c_o〜７c₁は接地点から保護
用抵抗８を介して負の直流高電圧側に流れる電流
により充電されている。従つて前述の様にしてサ
イリスタ７a₁に点弧信号が与えられることにより
これがターンオンすると、サイリスタ７a₁のカソ
ード−抵抗７b₁−コンデンサ７c₁−サイリスタ７
a₂のゲート・カソード−サイリスタ７a₁のアノー
ド・カソードからなら閉ループが構成され、コン
デンサ７c₁に蓄えられていた電荷が前記閉ループ
を介して、つまりサイリスタ７a₂のゲート・カソ
ードを介して放出されるのでサイリスタ７a₂が点
弧せられる。サイリスタ７a₂が点弧されると、同
様にしてサイリスタ７a₂と７a₃のゲート間に抵抗
７b₂を介して接続されたコンデンサ７c₂の電荷が
サイリスタ７a₃のゲート・カソードを介して流れ
るため、サイリスタ７a₃も点弧される。同様にし
て残りのサイリスタ７a₄、７a₅……７a_oも順次点
弧されることにより、短絡用半導体スイツチ７が
導通する。従つて静電塗装機１及びこれと直流高
電圧出力端とを接続する高圧ケーブルなどの静電
容量をCgとすると、半導体スイツチ７の導通に
伴い直流高電圧側の電圧は前記静電容量Cgと保
護用抵抗８の抵抗値Ｒによりほぼ決定される時定
数CgRで指数関数的に降下する。試作機による
と、短絡用半導体スイツチ７のターンオン動作時
間は２〜5μ秒程度であり、前記静電容量Cgを
500pF、保護用抵抗８の抵抗値を50KΩとすると、
半導体スイツチ７の点弧後約80μ秒程度で直流高
電圧側の高電圧は残留電圧（例えば1KV）15程
度まで降下する。つまり短絡装置としての動作速
度は約80μ秒程度になり、従来装置の数十ミリ秒
の動作速度に比べると数百倍程度以上も高速にな
る。

次に第２図により本考案の他の一実施例を説明
すると、第１図のものに相当する部材は対応する
記号で示してあり、１６はシリコンシンメトリカ
ルスイツチ又はツエナーダイオードの様な非線型
素子であり、短絡用半導体スイツチ７のサイリス
タ７a₁に対する点弧基準レベルを与える。９′は
直流高電圧側に接続された電流検出用抵抗であ
り、被塗装物品２、又は他の低電圧にある物品が
静電塗装機１に異常に接近することによつて、電
流検出用抵抗９′を流れる電流が或る値まで増大
すると、非線素子１６が導通してサイリスタ７a₁
のゲートに電流を与える。サイリスタ７a₁の点弧
に伴い前記実施例における説明の様に順次他のサ
イリスタ７a₂，７a₃……７a_oが従属的に点弧され
て短絡用半導体スイツチ７が閉じる。この実施例
では直流高電圧側において出力電流を直接検出
し、その値が設定レベル以上に上昇したときに短
絡用半導体スイツチ７を閉じており、従来の様に
複雑な検出を行わなくとも半導体スイツチ７が非
常に高速なので充分に高い確率で火花放電の発生
を防止できる。つまり静電塗装装置短絡装置を簡
単化できる。

以上述べた様に本考案によれば、極めて高い確
立で火花放電の発生を防止することにより火災な
どが発生することのない安全で信頼性の高い静電
塗装装置を提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は夫々本考案に係る静電塗装
装置の異なる実施例を示す図である。 １……静電塗装機、２……被塗装物品、３……
交流電源、４……昇圧変圧器、５……直流高電圧
発生部、７……短絡用半導体スイツチ、８……保
護用抵抗、９，９′……電流検出用抵抗、１０…
…火花放電予知回路、１１……パルス発生器、１
３……点弧信号伝達用コンデンサ回路、１４……
ノイズ除去用変圧器、１６……非線形素子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 静電塗装機と、 該静電塗装機に直流高電圧を給電する直流高電
   圧発生部と、 直流高電圧端子と低電圧端子間に直列接続され
   た複数の半導体スイツチと、これら半導体スイツ
   チにおいてカソード側に位置する半導体スイツチ
   が点弧されるとき相隣るアノード側の半導体スイ
   ツチのゲートに夫々点弧エネルギを与える複数の
   コンデンサとからなる短絡用スイツチと、 火花放電の発生が予知されたとき発生される点
   弧信号を前記複数の半導体スイツチの内の最もカ
   ソード側に位置する半導体スイツチのゲートに伝
   達する複数のコンデンサの直列接続回路からなる
   点弧信号伝達用コンデンサ回路とを備えたことを
   特徴とする静電塗装装置。