JPS6333693B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はポジ型の感光性平版印刷版（Pre−
Sen−Sitized Plateとも云われPS版と略記され
る。）の現像方法に関し、特にアルミニウムを支
持体としｏ−キノンジアジド化合物を感光成分と
して含有する感光層を有するポジ型PS版を自動
現像機により処理するに適した現像方法に関す
る。 従来、最も広く利用されているポジ型PS版は、
アルミニウム板支持体上にｏ−ナフトキノンジア
ジド化合物を感光成分として含む感光層を設けた
ものである。該感光層の感光成分は感光基として

【式】なる構造単位を含み、これ が活性光線によつて分解してアルカリ可溶性基を
形成し、アルカリ溶解性を増加して露光溶解度差
を生じアルカリ水溶液により現像することにより
ポジ画像を与える。 近年印刷業界では製版作業の合理化および標準
化のためPS版の自動現像機が広く用いられてい
る。最も広く用いられているポジ型PS版の自動
現像機では現像液は複数個のノズルを有するパイ
プからPS版の表面に噴射されて供給され、使用
された現像液はフイルターを通してタンクに回収
される。かかる自動現像機を用いてポジ型PS版
を現像する現像液としては珪酸ナトリウムの水溶
液が一般的であつたが、多量のPS版を処理でき
ないという欠点があつた。これを改良する現像方
法として補充方式を採り、更に現像液として
〔SiO₂〕／〔Ｍ〕（但し、〔SiO₂〕はSiO₂をグラム
分子単位で表わしたときの単位体積中の含有量を
示し〔Ｍ〕はアルカリ金属をグラム原子単位で表
わしたときの単位体積中の含有量を示す。）が0.5
〜0.75であつてSiO₂の濃度が１〜４重量％であ
り、アルカリ金属のグラム原子を基準にして少な
くとも20％がカリウムであるアルカリ金属珪酸塩
水溶液を用い、補充液として〔SiO₂〕／〔Ｍ〕
が0.25〜0.75のアルカリ金属珪酸塩の水溶液を用
いることにより多量のポジ型PS版が処理できる
旨、特開昭55−22759号公報に開示されている。 しかし乍ら、このような現像方法においてもア
ルミニウムを支持体とするポジ型PS版をより一
層多量に処理する場合、現像液中に不溶物が発生
し、これがPS版の搬送ローラーに付着しノズル
を詰らせ、しかもフイルターの目詰りをおこすこ
と、および空気中の炭酸ガスの吸収による疲労が
大きく高精度の補充を要求されることが判明し
た。 従つて、本発明の目的は、現像液を長期間交換
することなく、多量のポジ型PS版を現像処理す
ることができる現像方法を提供することである。 本発明の別の目的は、一般に使用されている現
像液がスプレーにより感光層の表面へ噴射される
方式の自動現像機を用いてタンク内の現像液を長
期間交換することなく、多量のポジ型PS版をス
プレーのノズルが詰ることなく現像できる現像方
法を提供することである。 本発明の別の目的は、現像液の交換頻度を減ら
し、それにより廃液量を減少することである。 本発明の更に別の目的は、多量のポジ型PS版
を現像する場合、長期間安定して現像できる現像
方法を提供することである。 本発明者等は、種々研究した結果、アルミニウ
ム板にｏ−キノンジアジド化合物を感光成分とす
る感光層を有するポジ型感光性平版印刷版を画像
露光し、次いでアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液か
らなる現像液で現像する方法において、該アルカ
リ金属ケイ酸塩のアルカリ金属が実質的にカリウ
ムからなり、該現像液中のSiO₂／K₂Oのモル比
が1.60〜2.00であり、該現像液中にK₂Oを1.8〜7.2
重量％含有する現像方法によつて本発明の目的が
達成されることを見出した。 本発明の現像方法が対象とするポジ型PS版は、
基本的には支持体としてのアルミニウム板上に、
ｏ−キノンジアジド化合物を感光成分とする感光
層を有するものである。好適なアルミニウム板に
は、純アルミニウム板およびアルミニウム合金板
が含まれ、更にアルミニウムがラミネートもしく
は蒸着されたプラスチツクフイルムも含まれる。
アルミニウム板の表面は砂目立て処理、珪酸ソー
ダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水
溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの
表面処理がなされていることが好ましい。 表面処理がなされて親水性表面を有する支持体
上に設けられる感光層の感光成分はｏ−キノンジ
アジド化合物からなる。特に好ましいｏ−キノン
ジアジド化合物はｏ−ナフトキノンジアジド化合
物であり、例えば米国特許第3046110号、同第
3046111号、同第3046115号、同第3046118号、同
第3046119号、同第3046120号、同第3046121号、
同第3046122号、同第3046123号、同第3061430号、
同第3102809号、同第3106465号、同第3635707号、
同第3647443号の各明細書をはじめ、多数の刊行
物に記されており、これらは好適に使用すること
ができる。これらの内でも、特に芳香族ヒドロキ
シ化合物のｏ−ナフトキノンジアジドスルホン酸
エステルまたはｏ−ナフトキノンジアジドカルボ
ン酸エステル、および芳香族アミノ化合物のｏ−
ナフトキノンジアジドスルホン酸アミドまたはｏ
−ナフトキノンジアジドカルボン酸アミドが好ま
しく、これらのｏ−キノンジアジド化合物は、単
独で使用することができるが、アルカリ可溶性樹
脂と混合し、この混合物を感光層として設けた方
が好ましい。好適なアルカリ可溶性樹脂には、ノ
ボラツク型フエノール樹脂が含まれ、具体的に
は、フエノールホルムアルデヒド樹脂、ｏ−クレ
ゾールホルムアルデヒド樹脂、ｍ−クレゾールホ
ルムアルデヒド樹脂などが含まれる。更に特開昭
50−125806号公報に記されている様に上記のよう
なフエノール樹脂と共に、ｔ−ブチルフエノール
ホルムアルデヒド樹脂のような炭素数３〜８のア
ルキル基で置換されたフエノールまたはクレゾー
ルとホルムアルデヒドとの縮合物とを併用するこ
とが、より一層好ましい。 ｏ−キノンジアジド化合物を感光成分とする感
光層には、必要に応じて更に染料、可塑剤、プリ
ントアウト性能を与える成分などの添加剤を加え
ることができる。 かかるｏ−ナフトキノンジアジドを感光成分と
する感光性組成物は適当な溶剤の溶液から支持体
上に塗布される。適当な溶剤としてはエチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、酢酸２−メトキシエチル
などのグリコールエーテル類、アセトン、メチル
エチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
類、エチレンジクロライド等の塩素化炭化水素等
が含まれる。 支持体上に設けられるｏ−キノンジアジド化合
物を感光成分とする感光層の塗布量は約0.5〜７
ｇ／m²であり、より好ましくは1.5〜３ｇ／m²で
ある。 かくして得られるポジ型PS版は透明原図を通
してカーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライド
ランプ、キセノンランプ、タングステンランプな
どの活性光線の豊富な光線により露光されると、
その部分はアルカリ可溶性に変る。従つて、アル
カリ水溶液により、感光層の露光部分は溶出さ
れ、支持体の親水性表面が露出される。 本発明の方法に従つて珪酸カリウムを主成分と
する現像液および補充液を使用することにより従
来方法では数日で液を交換する必要が生じたのを
数個月に１度の液交換によつて最初の現像液仕込
量１当り30m²以上のポジ型PS版の処理が可能
であることが判明した。 本発明において、現像液中のSiO₂／K₂Oのモ
ル比は1.60〜2.00の範囲であることが必要であ
り、SiO₂／K₂Oのモル比が1.60未満であるとポジ
型PS版を非常に多量に処理した場合に（最初の
現像液仕込量１当り30m²以上）不溶物が発生
し、自動現像機を用いると現像液のスプレーのノ
ズルおよび使用済み現像液が回収される際に通さ
れるフイルターを目詰りさせ現像が不能となる。
またSiO₂／K₂Oが1.60未満で、かつK₂O含量が
1.8重量％未満であると空気中の炭酸ガスの吸収
による変化が大きく、精度の高い補充が必要とな
る。これとは逆にSiO₂／K₂Oが2.00を超え、かつ
K₂O含量が7.20重量％を超える場合には自動現像
機を用い一定期間休止して断続的に処理を行なう
場合、現像液スプレーのノズルに付着した現像液
乾燥物の再溶解性が悪く、スプレーが詰まり再運
転不能となる。 本発明の好ましい実施態様として、現像液とし
て前記のケイ酸カリウムの水溶液を用い、現像補
充液に前記本発明の構成要件を維持できる組成の
ものを用いて補充を行なう方法が挙げられる。 補充液はポジ型PS版が処理されることによつ
て消費される成分（主としてアルカリ成分）、現
像されたPS版に付着して持ち出される現像液お
よび空気中の炭酸ガスによつて中和されるアルカ
リ成分を補償するために加えるものである。従つ
てポジ型PS版を処理するにつれ、また経時によ
り変化する現像液の組成に現像補充液を加えるこ
とによつて上記の如き本発明の構成要件の範囲に
維持し得るような珪酸カリウムの水溶液であれば
補充液として使用し得る。本発明の実施態様にお
いて好ましい補充液はSiO₂／K₂Oが0.4〜2.0のモ
ル比を有するものである。 本発明に使用される現像液および現像補充液に
は更に有機溶媒、界面活性剤、消泡剤等を含有さ
せておくことができる。 現像液の現像能力の変化は、ステツプタブレツ
トを通して露光したPS版を現像してベタ段数
（現像液に溶かされていない段数の最低段数）の
変化、現像液のPH変化等を測定することにより知
ることができ、新鮮な現像液の状態に戻す補充液
の量を予め測定しておけば、実際の処理に際し補
充液の添加時期および添加量を容易に知ることが
できる。 本発明の現像方法によれば、極めて多量の（最
初の現場液仕込量１当り30m²以上）アルミニウ
ムを支持体とするポジ型PS版を処理した場合、
現像液中に不溶物が発生することなく長期間安定
した現像処理が行なえる。 実施例 １ ノボラツク型フエノールホルムアルデヒド樹脂
のナフトキノン−１，２−ジアジド−５−スルホ
ン酸エステル１重量部とクレゾール−フエノール
ノボラツク樹脂1.5重量部を30重量部のメチルセ
ロソルブに溶解し感光液を調製した。厚さ0.3mm
の砂目立てしたアルミニウム板を硫酸中で陽極酸
化し、約2.5ｇ／m²の酸化皮膜をつくり、よく洗
浄した後乾燥し、その上に上記感光液を塗布乾燥
し、約2.8ｇ／m²の感光層を有する感光版を得た。
このようにして得られたポジ型PS版を1310×
1050mmの大きさに裁断したものを多数枚用意しこ
れらに透明陽画を通して80cmの距離から2KWの
メタルハライドランプを用いて60秒間露光した。 一方、珪酸カリウム水溶液（SiO₂含量26重量
％、K₂O含量13重量％）、水酸化カリウム水溶液
（48重量％水溶液）および純水を用いて、珪酸分
とカリウム分のモル比SiO₂／K₂Oおよびカリウ
ム分K₂O含量が各々1.78および3.90重量％の現像
液を21調整し、PS版用自動現像機PSA−
1315R（小西六写真工業(株)製）の現像液タンクに
仕込んだ。この自動現像機にて上記露光された
PS版を１版処理するごとに補充液として、上記
原材料を用いてSiO₂／K₂Oが0.88、K₂O含量が
7.79重量％に調製したものを33mlづつ補充しなが
ら３時間で30版処理した後、２時間処理を休止し
た。感度チエツクのためステツプタブレツト（１
段の光学濃度差が0.15で21段のもの）を前記のポ
ジ型PS版に焼付けたものを休止の前後に処理し
たが、ベタ段数の変化はほとんど認められなかつ
た。休止後再び30版処理した。その後、液を自動
現像機中に仕込んだまま16時間放置し、引続いて
上記補充液を280ml加え処理を終結した。このよ
うな手順を繰り返し、合計1680版処理したが、現
像液中に沈澱物の発生は認められず、自動現像機
のノズルの詰りはみられなかつた。また感度チエ
ツクのため上記ステツプタブレツトを焼付けた前
記版を16時間放置前毎に処理したが、最初の版を
処理したときのベタ段数との差はいずれも1/2段
以内であつた。 また、上記処理の途中放置時間を長くして感度
の低下をチエツクした結果、50時間で約１段ベタ
段数が低下した。これに上記補充液を875ml加え
るとベタ段数は元に戻つた。 一方、上記と同じ原材料を用いSiO₂／K₂Oが
1.20、K₂O含量が3.90重量％のものを21調製し、
上記自動現像機に仕込み、上記PS版を１版処理
するごとに補充液としてSiO₂／K₂Oが0.60、K₂O
含量が7.79重量％に調製したものを34mlづつ補充
しながら上記と同様の処理を行なつた。16時間放
置後に補充液を900ml加えた。600版処理したとこ
ろ現像液中に不溶物の発生が認められ、16時間放
置後、処理を再開する際ノズルが詰り、処理作業
に支障をきたした。 また、上記の比較に用いた現像液および補充液
中のカリウムの1/2（グラム原子で）をナトリウ
ムにした現像液および補充液を調製し、上記と同
様の処理を行ない550版処理したところ、現像液
中に不溶物が発生し、ノズルが詰り作業に支障を
きたした。 また一方、SiO₂／K₂Oが1.16、K₂O含量が1.52
重量％のものを調製し、上記自動現像機に21仕
込み、放置し感度の低下をチエツクしたところ、
10時間で約１段の変化が認められ、空気中の炭酸
ガスの影響が大きく精度のよい補充管理が要求さ
れた。 実施例 ２ SiO₂／K₂Oが1.98、K₂O含量が7.2重量％の現
像液を49調製して上記現像液に仕込み、上記
PS版を１版処理毎に補充液としてSiO₂／K₂Oが
1.44、K₂O含量が9.84重量％に調製したものを42
mlづつ補充しながら８時間で100版処理を行ない、
液をそのまま16時間放置し、上記補充液を320ml
加え処理を終結した。この手順をくり返し3000版
処理したが、現像液中に不溶物の発生は認められ
なかつた。 一方、SiO₂／K₂Oが2.22、K₂O含量が7.8重量
％の現像液を49調製し、上記自動現像機に仕込
み、補充液としてSiO₂／K₂Oが1.66、K₂O含量が
10.44重量％のものを用い上記と同様の方法でPS
版を処理した。700版処理し、16時間放置した後、
処理を再開する際、現像液の乾燥固形物の再溶解
性が悪くノズルが詰り作業に支障をきたした。 実施例 ３ 実施例１で用いたアルミニウム板に、ノボラツ
ク型フエノール樹脂のナフトキノン−１，２−ジ
アジド−５−スルホン酸エステル１重量部とクレ
ゾールフエノールノボラツク樹脂2.5重量部とを
45重量部のメチルセロソルブに溶解した感光液を
塗布乾燥し、約2.5ｇ／m²の感光層を有する感光
版を得た。これを1310×1050mmの大きさに裁断
し、前記と同様に露光した。 一方、SiO₂／K₂Oが1.6、K₂O含量が1.8重量％
の現象液を49上記自動現像機に仕込み、上記
PS版を１版処理する毎に補充液としてSiO₂／
K₂Oが0.58、K₂O含量が4.96重量％に調整したも
のを43mlづつ補充しながら2500版処理したが現像
液中に不溶物の発生は認められず、良好に処理を
行なうことができ、良好な刷版が得られた。また
感度の変化もベタ段数で1/2段以内に安定してい
た。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ アルミニウム板にｏ−キノンジアジド化合物
   を感光成分とする感光層を有するポジ型感光性平
   版印刷版を画像露光し、次いで、アルカリ金属ケ
   イ酸塩の水溶液からなる現像液で現像する方法に
   おいて、該アルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属
   が実質的にカリウムからなり、該現像液中の
   SiO₂／K₂Oのモル比が1.60〜2.00であり、該現像
   液中にK₂Oを1.8〜7.2重量％含有することを特徴
   とするポジ型感光性平版印刷版の現像方法。