JPS6332542B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、アルミニウムその他の低融点金属の
溶湯に使用するアンダーヒート式炉に関するもの
である。

従来の技術 従来からアンダーヒート式炉の炉壁は、この種
の炉のうち特にアルミニウム保持炉を例にとつて
説明すれば、耐火物製の炉容器、断熱層、炉殻の
３つの層に大きく分けることができる。

しかし、従来のアンダーヒート式炉は、断熱層
全体が１種類の層でできているため、断熱層の中
で対流が起こり、この対流による熱放散が大きか
つた。このため、加熱エネルギーが節約できなか
つた。

また、実開昭58−38366号公報では、空気を炉
により予熱してその空気を炉の内部に送り込んで
溶湯をくみ上げる低圧鋳造炉が開示されている。
この方式では、炉体のさらに外側に沿つてジヤケ
ツトを設けて、このジヤケツトに空気を通して予
熱し、その予熱空気を炉の内部に気体流出口を介
して送りこむのである。

しかし、炉外周は炉の保温材や耐火材で遮熱さ
れているため、炉内部の発熱体の熱は炉外周に伝
わりにくく、空気を予熱する効率が悪い。

さらに、予熱空気は気体流出口のみから局所的
に入るので炉内部全体を均熱状態で加圧すること
が困難であり、炉内部の温度が不均一になるおそ
れがある。

さらに、炉体に空気を通すジヤケツトなどを付
設しなければならず炉の大型化がさけられない。

発明の目的 本発明は上記実情に鑑みてなされたものであ
り、炉内部を均熱状態で加圧し、かつ空気を予熱
する効率がよく、さらには炉の大型化をさけられ
るアンダーヒート式低圧鋳造炉を提供することを
目的としている。

発明の要旨 この目的を達成するために本発明は、低融点金
属の溶湯に使用するアンダーヒート式炉におい
て、炉の断熱層を炉容器に沿つて交互に重ねたセ
ラミツクフアイバー層とアルミ箔とで多層に形成
して空気を通過可能に構成し、かつ空気をアンダ
ーヒーターの端子部に通して直接予熱して、この
予熱空気を端子部のところから断熱層の中に通
し、断熱層中で分散された予熱空気を炉内部に送
り込んで加圧することにより炉容器内の溶湯を排
出管から排出する構成にしたことを特徴とするア
ンダーヒート式低圧鋳造炉を要旨としている。

発明の効果 本発明のアンダーヒート式炉は上記のように構
成されているので、Al箔によつて断熱層が幾つ
かの層に分けられ、対流が防止される。このた
め、熱放散が著しく減少して電力の節約になる。
さらにアルミニウムが漏れた場合に各層のAl箔
で浸透を防止でき、炉の安全性が高まる。

また、アンダーヒーターの端子部のところから
炉内部に空気を送りこむので、空気がまずアンダ
ーヒーターにより予熱され、しかるのち交互に重
ねたセラミツクフアイバー層とアルミニウム箔と
の断熱層に沿つて流れ、全体的に均熱された状態
で空気が炉容器の内部に送られる。このように、
均熱状態の予熱空気を断熱層を通して炉容器の内
部全体に圧力をかけて溶湯をくみ上げることがで
きる。この時炉内部は均熱となり内部の温度が不
均一にならず、溶湯に温度変化を与えない。

空気をアンダーヒーターで予熱し、かつその予
熱空気の流通を炉の断熱層内部を利用して行つて
いるので、炉の大型化が防げる。また、空気はア
ンダーヒーターより直接予熱されるので予熱効率
が極めて良くなる。それと同時に、アンダーヒー
ターの端子部は空気により冷却されるので過熱を
防ぐことができ、寿命がのびる。

なお、アルミ箔の任意の個所に孔をあけておく
と、予熱空気の分散が促進される。

実施例の説明 以下、図面を参照して、本発明の好適な実施例
について説明する。

第１図に示す本発明のアンダーヒート式炉は、
アルミニウム溶湯に使用する一例であり、外側か
ら順に炉殻４、断熱層１０及び耐火物製の炉容器
３の三層構造になつている。

断熱層１０は、炉外部に向つて交互に重ねたセ
ラミツクフアイバー層１０ａとアルミ箔１０ｂと
で構成されている。アルミ箔１０ｂには多くの小
孔を設けたり、所定の位置にいくつかの大きな孔
を設けたりするのが好ましい。セラミツクフアイ
バー層１０ａとしては例えばセラミツクフアイバ
ーブランケツト又は石綿を使用する。

熱放散は、セラミツクフアイバー層１０ａを６
層も巻けば、著しく減少する。従つて安い材料費
で著しい効果をあげるには６層のセラミツクフア
イバー層１０ａとアルミ箔１０ｂを交互に巻くの
が好ましい。ただし、このときのセラミツクフア
イバー層１０ａの厚みは約20mmにし、アルミ箔１
０ｂの厚みは約0.3mmにするのが望ましい。

アルミニウム溶湯１は注入管１２から炉容器３
内に入れる。アルミニウム溶湯１はアンダーヒー
ターＨにより加熱される。アンダーヒーターＨ
は、保護管２とその保護管２の中に入れた加熱体
５により構成されている。加熱体５としては、例
えば金属線や炭化けい素製発熱体、ガスバーナな
どを用いる。

炉の側部にはアンダーヒーターＨの端子部を保
持するための貫通孔９が形成してあり、その貫通
孔９のうち炉容器３の部分には外側に開いたテー
パーネジ部９ａが形成されている。このテーパー
ネジ部９ａに保護管２の開口した端部２ａを通し
て支持する。保護管２とテーパーネジ部９ａとの
隙間にはシール材６を充填する。

保護管２の一端は開口した端部２ａとなつてい
るが、他端は封じられた端部２ｂとなつている。
炉容器３の内面底部には支持台１１が形成されて
いる。支持台１１と貫通孔９は対向した位置にあ
る。支持台１１には保護管２の端部２ｂが可動状
態にのせられている。

貫通孔９には保護管２の他にセラミツクフアイ
バー成形管８が通してある。

炉殻４は気密になつていて、断熱層１０内の空
気が炉殻４の外に逃げないようになつている。

炉上部には溶湯用の注入管１２や排出管１３が
炉殻４と断熱層１０を貫通して垂直に設けてあ
る。

端子箱１４はアンダーヒーターＨの加熱体５の
端子部をカバーするように炉殻４の側部に固定し
てある。空気供給源１５はパイプ１６を介して端
子箱１４に接続されており、端子箱１４に約１
Kg／cm²の低圧空気を送りこむ。

このような低圧空気はアンダーヒーターＨの端
子部のところ（すなわち図示例では貫通孔９のと
ころから炉内に入り、アンダーヒーターＨの端子
部（すなわち図示例では加熱体５とセラミツクフ
アイバー成形管８）により予熱され、断熱層１０
の中を通り、その間に分散されて均熱状態にな
り、最終的に炉容器３内に送りこまれる。その結
果アルミニウム溶湯１は予熱された空気により加
圧され排出管１３の中を通つて押し上げられる。

なお、本発明はアルミニウム保持炉のみでな
く、その他の金属溶湯用の炉にも適用できるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のアンダーヒート式炉の一例を
示す断面図、である。 １……アルミニウム溶湯、２……保護管、３…
…炉容器、４……炉殻、８……セラミツクフアイ
バー成形管、９……貫通孔、１０……断熱層、１
１……支持台、１２……注入管、１３……排出
管、１４……空気供給源、１６……パイプ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 低融点金属の溶湯に使用するアンダーヒート
   式炉において、炉の断熱層を炉容器に沿つて交互
   に重ねたセラミツクフアイバー層とアルミ箔とで
   多層に形成して空気を通過可能に構成し、かつ空
   気をアンダーヒーターの端子部に通して直接予熱
   して、この予熱空気を端子部のところから断熱層
   の中に通し、断熱層中で分散された予熱空気を炉
   内部に送り込んで加圧することにより炉容器内の
   溶湯を排出管から排出する構成にしたことを特徴
   とするアンダーヒート式低圧鋳造炉。