JPS6332398Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンの冷却水を強制循環するため
の冷却用循環ポンプに関する。

水冷エンジンにおいては循環ポンプが設けられ
ており、このポンプによつてラジエタで冷却され
た水をシリンダブロツク内に循環させ、そして再
びラジエタに戻すようにしている。このようなポ
ンプにおいて、そのメカニカルシールとオイルシ
ールとの間に溜つたドレーンはポンプのケーシン
グに設けられたドレーンの排出孔を通して外部に
排出されるようになつている。ところが特に自動
車用のエンジンや屋外で使用する動力用エンジン
においては、ドレーンの排出口が土砂、紛塵、錆
等によつて目詰りを起し易くなつている。ドレー
ンが排出されなくなると、冷却水がポンプの軸受
部分に侵入してベアリングを損傷させたり、エン
ジンオイルに混入して潤滑不良を起したり、ある
いは潤滑オイルが冷却水に混入する等のトラブル
が発生する。

本考案はこのような問題点に鑑みてなされたも
のであつて、シール部材のシール効果をより高め
るとともに、ドレーンの排出孔の目詰まりを未然
に防止して、円滑に作動するようにした循環ポン
プを提供することを目的とするものである。

上記目的を達成するために本考案では、メカニ
カルシールとオイルシールとの間に形成されたド
レーン室の底部を外部に開放する一方、前記ドレ
ーン室と加圧気体の供給源とを気体供給路を介し
て接続し、しかも、前記オイルシールのリツプを
ドレーン室に向つて傾斜させたことを特徴として
いる。

従つて、ドレーン室の内部が気体供給路を介し
て供給された加圧気体によつて正圧になるので冷
却水および潤滑油がドレーン室に漏れ難くなり、
しかも、ドレーン室を正圧にすることによつてオ
イルシールのリツプの接触圧力がより強くなつて
このオイルシールのシール機能が高くなるため
に、万一にも冷却水がベアリングハウジング内に
侵入することがない。さらに、ドレーン室に侵入
した冷却水および潤滑油が加圧気体による押し出
し作用で強制的に排出されるので排出孔の目詰り
が予防される。

以下本考案を図示の一実施例につき説明する。
この実施例は大型自動車用のデイーゼルエンジン
の冷却用循環ポンプに係るものであつて、第１図
に示すようにデイーゼルエンジン１の前面側には
他の補器とともに、冷却用循環ポンプ２が取付け
られている。このポンプ２の吸入管３はエンジン
１の前面に配されているラジエタ（図示せず）と
接続され、また排出管４はエンジン１のシリンダ
ブロツクの冷却水用通路に接続されている。そし
てこのポンプ２によつて、ラジエタとシリンダブ
ロツクとの間で冷却水を強制循環させるようにし
ている。

ポンプ２は第２図および第３図に示すように鋳
造によつて形成されたケーシング５を有してお
り、このケーシング５の前方側には凹部によつて
うず巻き室６が形成されている。このうず巻き室
６の前方側の開口７は前面板８によつて閉塞され
ている。そしてうず巻き室６内にはインペラ９が
配されており、駆動軸１０の先端に固着されてい
る。この駆動軸１０は一対のベアリング１１によ
つて回動可能に支持されている。そしてベアリン
グ１１はケーシング５の後方に形成されたベアリ
ングハウジング１２内に配されている。さらに上
記駆動軸１０の後端部には駆動ギヤ１６が固着さ
れており、このギヤ１６によつてエンジン１から
らの回動力をポンプ２に伝えてこのポンプ２を駆
動するようになつている。

上記うず巻き室６とハウジング１２との間には
ドレーン室１３が形成されている。そしてうず巻
き室６とドレーン室１３とはメカニカルシール１
４によつて、またドレーン室１３とハウジング１
２とはオイルシール１５によつてそれぞれ区画さ
れている。

ドレーン室１３はケーシング５内を貫通して形
成された排出孔１７と連通されている。そしてこ
の排出孔１７はケーシング５の下部の開口１８に
よつて外部に開放されている。従つてメカニカル
シール１４から漏れてドレーン室１３に侵入した
冷却水やオイルシール１５から漏れてドレーン室
１３に侵入した潤滑オイルは、ドレーン室１３に
滞留することなく排出孔１７を経て開口１８から
排出されるようになつている。

さらにドレーン室１３はその上方において、ケ
ーシング５に形成された加圧空気供給孔２０と連
通されている。この供給孔２０は特に第２図に示
すように接続用ニツプル１９を介して空気供給パ
イプ２１に接続されている。そしてこのパイプ２
１の先端はエアタンク２２と接続されている。従
つてエアタンク２２内に貯えられている圧縮空気
がパイプ２１および供給孔２０を介してドレーン
室１３に供給されることになり、これによつてド
レーン室１３内の圧力は大気圧よりも高くなるよ
うに構成されている。

次に上記オイルシール１５は第４図に拡大して
示すように、その内周側に形成されかつ駆動軸１
０の外周面と対接する部分に、傾斜した複数のリ
ツプ２３が形成されている。このリツプ２３はそ
の先端側がドレーン室１３の方に向うように傾斜
している。従つてこのリツプ２３はドレーン室１
３内の圧力が高くなると、駆動軸１０の外周面に
強く圧着されるように構成されている。

このような構成において、エンジン１の回転力
は駆動軸１０に固着されているギヤ１６を介して
この駆動軸１０に伝達される。よつてインペラ９
はうず巻き室６内で回転し、ラジエタによつて冷
却された冷却水を吸入管３を経て吸入し、そして
排出管４から排出する。ポンプ２から排出された
冷却水は、エンジン１のシリンダブロツクのウオ
ータギヤラリに入り、このエンジン１を冷却して
再びラジエタに戻る。このようにして冷却水は、
ポンプ２によつてラジエタとエンジン１との間で
強制循環されることになる。

しかもこのポンプ２においては、エアタンク２
２内の圧縮空気を、パイプ２１および加圧空気供
給孔２０を介して、ドレーン室１３に供給するよ
うにしている。従つてこのドレーン室１３の中の
圧力は大気圧よりも高くなつている。従つてこの
ドレーン室１３から排出孔１７を経て開口１８へ
の空気の流れが生じ、この空気の流れによつてド
レーン室１３内に侵入した冷却水あるいは潤滑オ
イルがこの排出孔１７を通り、開口１８から強制
的に排出されることになる。また開口１８に付着
した土砂や紛塵等も上記加圧空気の圧力によつて
除去されるために、特にこの開口１８の部分にお
ける排出孔１７の目詰りも未然に防止される。

このように本実施例のポンプ２によれば、ドレ
ーン室１３に冷却水や潤滑オイル等のドレーンが
滞留することなく、ドレーン室１３内の空気圧に
よつて強制的にケーシング５の外に排出される。
しかも排出孔１７の目詰りも生じないので、冷却
水がドレーン室１３を通つてハウジング１２内に
侵入し、潤滑オイルと混合されてベアリング１１
の潤滑不良を起すことがない。よつてポンプ２の
焼付事故も未然に防止される。また逆に潤滑オイ
ルがドレーン室１３を経てうず巻き室６内に侵入
し、冷却水と混合されることもなくなる。

さらにオイルシール１５は第４図に示すように
傾斜したリツプ２３を有しており、このリツプ２
３はドレーン室１３内の圧力賄によつて駆動軸１
０の外周面に強く圧着されるように変形する。よ
つてドレーン室１３内の圧力を高くすることによ
りオイルシール１５のシール効果を一層高めるこ
とができる。また万一排出孔１７が目詰りを起し
た場合には、ドレーン室１３の中の圧力がより一
層高くなる。従つてオイルシール１５のリツプ２
３がさらに強く駆動軸１０の外周面に圧着するこ
とになり、これによつてオイルシール１５のシー
ル効果はさらに高いものとなる。従つて万一排出
孔１７が目詰りを起しても、オイルシール１５に
冷却水のハウジング１２内への侵入を完全に遮断
する。

以上に述べたように本考案によれば、ドレーン
室内に気体供給路から加圧気体を供給して、この
ドレーン室内の圧力を高めるようになされてい
る。従つてこのドレーン室内に侵入した冷却水や
潤滑オイルを強制的に排出させることができると
ともに、ドレーンの排出孔の目詰りを防止するこ
とができる。またドレーン室内の圧力を高めるこ
とにより、シール部材のシール効果を高めること
も可能になる。さらに、ドレーン室内にフアン等
を設けることなく該ドレーン室に侵入した冷却水
および潤滑油を的確に排出できるために、ドレー
ン室を充分に小型化することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るポンプを備え
たエンジンの正面図、第２図はこのエンジンのポ
ンプの正面図、第３図は第２図における〜線
断面図、第４図は同要部拡大断面図である。 なお図面に用いた符号において、２……循環ポ
ンプ、１３……ドレーン室、１４……メカニカル
シール、１５……オイルシール、１７……排出
孔、２０……加圧空気供給孔、２２……エアタン
クである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 冷却水の通路とドレーン室との間にメカニカル
   シールを介在させるとともに、該ドレーン室とベ
   アリングハウジングとの間にオイルシールを介在
   させたエンジン冷却水用循環ポンプにおいて、前
   記ドレーン室の底部を外部に開放する一方、前記
   ドレーン室と加圧気体の供給源とを気体供給路を
   介して接続し、前記オイルシールのリツプをドレ
   ーン室に向つて傾斜させたことを特徴とするエン
   ジン冷却用循環ポンプ。