JPS6330280Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車用シート等のシートバツクに
付設されているランバーサポートの腰部支承弾性
を強弱に調整するアジヤスト装置の改良に関する
ものであり、ランバーサポートの腰部支承弾性を
強弱如何様に調整したとしても、駆動軸操作用の
ハンドルを、常に着席者の邪魔にならない定位置
に復帰させうると共に、軽い操作力で操作しうる
ところの、ダイレクトフイーリングが良好で、操
作上の節度感が高く、かつ部品点数が少なく、構
造が簡単で低コストなアジヤスト装置を提供する
ことを目的としている。

従来のシートバツクにおけるランバーサポート
のアジヤスト装置は、ランバーサポートプレート
に係着されているトーシヨンスプリングを押圧す
るカムと、カムの駆動軸と、該軸の操作ハンドル
との三者が直結されているため、大きな操作力を
必要とするのみでなく、操作ハンドルが調整位置
に応じた方向に突出したまゝとされるため、該ハ
ンドルがシートバツクの前面方向に突出している
際などは、着席者の肘が該ハンドルに当り邪魔と
なる等の欠点を有しており、突出を無くするた
め、操作ハンドルをデイスク状のものにすると操
作性が著しく悪くなる欠点がある。

本考案は、実用新案登録請求の範囲に記載する
構成とすることにより、上述のごとき諸欠点の無
いアジヤスト装置を得たものである。

以下、図示例についてその構成を説明する。

第１図、第２図において、図示を省略したシー
トバツクフレームの側板に固着されているブラケ
ツト１に、駆動軸２が回転自在に軸支され、その
軸端３に、ラチエツトホイール４の駆動用の爪
５，６を有する爪板７が固着されている。図示例
では、軸端３が欠円状に切削され、この軸端が爪
板７の細長窓孔８に嵌入される構造とされている
が、かかる固定構造に限定されるものではない。
上述の駆動軸２の他端９には操作用のハンドル１
０が嵌着固定されている。

駆動軸２には、ブラケツト１側の部材たるタイ
バー１１と前記爪板７との間に、常時爪板７をラ
チエツトホイール４側へ押圧すると共に、駆動軸
２が駆動方向へ回動されたとき巻締め作用を受け
る構造のコニカルスプリング１２が介装されてい
る。このコニカルスプリング１２は、中心部１３
でタイバー１１に係合され、先端部１４で、爪板
７のフツク１５に係合されており、駆動軸２の駆
動回転により爪板７の爪５，６がラチエツトホイ
ール４を回動させたとき、その回動に応じた巻締
めを受け、その復元弾性により、爪板７および駆
動軸２を旧位置に戻そうとするので、ハンドル１
０に加えていた操作力を除くと同時に、爪板７の
爪５，６は、ラチエツトホイール４の係止歯１
６，１７を滑り外れ、爪板７と駆動軸２とは作動
前の旧位置に戻される。

前述のラチエツトホイール４は、駆動軸２に回
転自在に嵌着されているカム軸筒１８の軸端１９
に固定されている。図示例では軸端１９を欠円状
に切削し、この軸端１９にラチエツトホイール４
の欠円孔２０が嵌着、固定されている。

図示例では、前記カム軸筒１８は、ブラケツト
１の側壁２１と、前記爪板７との間に挾着されて
いるが、かかる構造に限定されるものではない。

このカム軸筒１８は、鍔部２２を軸端１９と反
対側の軸端に有し、該鍔部２２のラチエツトホイ
ール４側の側面には、第３図ＡおよびＢの両図に
示される如く、軸方向に突出する緩曲面をなす高
さの低い円弧山たるカム部２３，２６と、同じく
緩曲面をなす高さの高い円弧山たるカム部２４，
２５よりなるサーフエイスカム面２７が形成され
ている。このサーフエイスカム面２７は、各カム
部２３ないし２６間に僅かに凹入する緩い凹曲面
たる谷部２８，２９，３０，３１を形成されてい
る。

そしてこのサーフエイスカム面２７は、図示を
省略したランバーサポートプレートに係着されて
いるトーシヨンスプリング３２の受動端３３に当
接させられ、常に受動端３３に押圧力を作用させ
ている。

このトーシヨンスプリング３２の受動端３３を
押圧することにより、該受動端３３から受ける反
力により、駆動軸２の回動とは切り離された状態
で、カム軸筒１８は受動端３３と当接した位置に
維持され、前述のように、爪板７を介し、ラチエ
ツトホイール４が押動され、回動されたときにの
み、駆動軸２と同一方向に回動することとなる。

本考案に係るアジヤスト装置は以上説明した構
成であるから、いま、第３図Ｂに示される最も低
い谷部２８に、トーシヨンスプリング３２の受動
端３３が当接していると仮定し、ハンドル１０を
第４図中矢印イで示す方向に回動させ、駆動軸２
をその分だけ回動させると、爪板７の回動によ
り、ラチエツトホイール４の係止歯１６，１７は
爪５，６で爪板７の回動分だけ押動され、ラチエ
ツトホイール４が軸端１９に固定されているカム
軸筒１８もラチエツトホイール４の回動分、すな
わち駆動軸２の回動分だけ回動される。従つてハ
ンドル１０の所定角度の回動により、サーフエイ
スカム面２７の谷部２８ないし３１がピツチだけ
回動されるように構成しておけば、上述のカム軸
筒１８の回動により、トーシヨンスプリング３２
の受動端３３に当接する谷部は、符号３１で示す
谷部となり、カム部２６の突出高さ分だけトーシ
ヨンスプリング３２は捩回され、その分だけ図示
を省略したランバーサポートプレートはシートバ
ツク前面側へ突出することとなる。

上述の操作において、ハンドル１０の回動が爪
板７を介して駆動軸２に直接伝達されるのでダイ
レクトフイーリングが著しくよくなり、またサー
フエイスカム面２７が、緩曲面たる高さの低い円
弧山たるカム部２３，２６と、同じく緩曲面たる
高さの高い円弧山たるカム部２４，２５と、それ
らのカム部の間の僅かに凹入する緩い凹曲面たる
谷部２８ないし３１とで構成されているので、ト
ーシヨンスプリング３２の受動端３３の変位が円
滑となり、駆動軸２の直接駆動とあいまち軽快に
操作でき、操作上の節度感が著しくよくなる。

この状態となつたのち、ハンドル１０に加えて
いた回動力を除くと、前述せるコニカルスプリン
グ１２の復元弾性と、弾性変形とにより、爪板７
は爪５，６がラチエツトホイール４の係止歯１
６，１７からすべり外れて旧位置に戻り、これに
伴なわれて駆動軸２も旧位置に回動されるので、
ハンドル１０は第４図中矢印ロで示す方向に戻さ
れるに至るものである。

ハンドル１０の静止位置を、第４図に示す位置
としておけば、ランバーサポートの調節位置の如
何に抱らず、該ハンドル１０は常に着席者の邪魔
にならない位置に保持されることとなる。

そして、ラチエツトホイール４、カム軸筒１８
を回動させる力は、駆動軸２の軸心から爪板７の
爪５，６とラチエツトホイール４の係止歯１６，
１７との係合位置までのレバー比分だけ、駆動軸
２によつて直接カム軸筒１８を回動させる場合よ
り増加されるので、必要操作力を小ならしめうる
ものである。

トーシヨンスプリング３２の受動端３３を谷部
３１から谷部３０へ移動させる際も、前述せると
ころと全く同様に各部が作用する。

本考案は、以上説明した構成、作用のものであ
つて、ランバーサポートの腰部支承弾性を強弱如
何様に調整しても、駆動軸を操作するハンドル
は、常に着席者の邪魔とならない予め設定された
場所へ復帰させうる効果を奏するし、爪板の使用
により、カム軸筒を回動させる力をレバー比分だ
け増大させうるので、軽い操作力で作動させうる
効果も奏するものである。

さらにハンドルの回動が爪板を介して駆動軸に
直接伝達されるので、操作上のダイレクトフイー
リングが著しく向上するし、サーフエイスカム面
が緩曲面たる高さの低に円弧山たるカム部２３，
２６と、同じく緩曲面たる高さの高い円弧山たる
カム部２４，２５と、それらのカム部の間の僅か
に凹入する緩い凹曲面たる谷部２８ないし３１と
で構成されているので、トーシヨンスプリング３
２の受動端３３の変位が円滑となり、駆動軸２の
直接駆動とあいまち軽快に操作でき、操作上の節
度感が著しくよくなる効果を有する。

また部品点数が少なく、構造が簡単であるから
低コストならしめうる効果も有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施の１例を一部断面として示した平
面図、第２図は、駆動軸に組み付けられる諸部材
の分解斜面図、第３図Ａはカム軸筒の正面図、第
３図Ｂはサーフエイスカム面の展開図、第４図は
本考案を適用したシートの側面図である。 １……ブラケツト、２……駆動軸、３……駆動
軸の軸端、４……ラチエツトホイール、５，６…
…爪、７……爪板、１２……コニカルスプリン
グ、１８……カム軸筒、２３〜２６……カム部、
２７……サーフエイスカム面、２８〜３１……谷
部、３２……トーシヨンスプリング、３３……受
動端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートバツクフレームの側板に固着されている
   ブラケツトに軸支されたハンドル付きの駆動軸の
   軸端に、ラチエツトホイール駆動用の爪板が固着
   され、該爪板とブラケツトとの間には、爪板の駆
   動方向への回動時に巻締め作用を受けるコニカル
   スプリングが介装されており、前記爪板の爪で駆
   動されるラチエツトホイールが固着されたカム軸
   筒が、前記駆動軸に回転自在に嵌着されていると
   共に、該カム軸筒の緩曲面をなす高さの低い円弧
   山たるカム部と、同じく緩曲面をなす高さの高い
   円弧山たるカム部と、これらのカム部の間に僅か
   に凹入する緩い凹曲面たる谷部とよりなるサーフ
   エイスカム面が、ランバーサポートプレートに係
   着されているトーシヨンスプリングの受動端に当
   接させられていることを特徴とするシートのラン
   バーサポートアジヤスト装置。