JPS6329964Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は歯付ベルト用テンシヨナに関し、特に
エンジンのカムシヤフト駆動用歯付ベルトに使用
したときに、エンジン逆転時にも歯付ベルトの目
飛びを防止しうるとともに、油洩れ、空気侵入が
あつても機能が変化しないような歯付ベルト用テ
ンシヨナに関する。

従来技術及びその問題点 一般に、歯付ベルトには目飛び防止のため適当
な張力を付与する必要がある。例えば歯付ベルト
をエンジンのカムシヤフト駆動に用いる場合に
は、周囲温度が広範囲に変り、歯付ベルトとエン
ジン本体との線膨張係数の違いから、両極端にお
ける使用ではベルト張力が過大又は過小となり、
振動、騒音、目飛び等を発生し易いことから、テ
ンシヨナを用いてベルト張力を適当範囲に保持し
なければならない。このようなテンシヨナとして
実開昭59−6650号公報に開示されたテンシヨナ
は、ベルト張力が設定値を超えたときこの張力に
よりプランジヤが後退して張力を緩和する。した
がつて、プランジヤ後退が階段的、不連続的に起
り、張力調整作用が円滑を欠くこと、及び中間仕
切壁で区切られたシリンダ内の前、後の室にプラ
ンジヤを設け、該仕切壁に互に反対向きの２個の
逆止弁を設けるために構造が非常に複雑であるな
どの欠点がある。

前記問題点を解決するため、出願人は既に実願
昭59−69135号の（実開昭60−182553号公報）考
案を提案している。

しかし、現在の技術水準は、オイルシールの機
能は完全ではなく、使用により油洩れが生じ、つ
いにはテンシヨナとしての機能を果さなくなるこ
とがあることが判明した。

また、ロツドの往復運動によりシールとロツド
との間から空気が内部に侵入しピストン後室に達
することが判明した。そうなると、テンシヨナが
力を受けた場合、ロツドが空気の圧縮により急速
に後退しタイミングベルトに目飛びを生じる危険
性がある。

問題点を解決するための手段 本考案においては、油を充填したシリンダ内に
小間隙をもつて遊嵌したピストンにばね圧を加え
て、ピストンに固定したピストンロツドの突出外
端により歯付ベルトに張力を与えると共に、シリ
ンダ内のピストン前室とピストン後室とを連通す
る油路にピストン後室への油の流入を許す逆止弁
を設けたテンシヨナにおいて、ピストン前室に連
通するオイルリザーバー（油溜まり）を設けるこ
とにより前記問題点を解決した。

作 用 本考案のテンシヨナは、ピストンロツド外端が
歯付ベルト戻り側にローラを圧接させるように取
付けられ、ベルト張力の変化に応じてピストンが
前後動する。張力増大によりピストンが後退する
ときは、ピストン後室の油がピストン、シリンダ
間の小間隙を通つてピストン前室に流入し、その
際ロツドによつて生ずるピストン前、後室の体積
変化の差はピストン前室上方に設けたオイルリザ
ーバーによつて吸収される。ピストンの前記後退
はシリンダとピストンとの間の小間隙を流通する
油の粘度によるダンパー作用により緩徐に行われ
る。しかし、ベルト張力が減少した場合は、ロツ
ドがばねにより突出すると同時に、この突出動作
によつて油路の逆止弁が開くので、ピストン前室
内の油は急速にピストン後室に流入し、急速にベ
ルトを所定張力状態に回復させる。したがつて、
ベルト張力の緩徐な変化に対してはロツドが追従
移動してベルト張力を適正範囲内においてほぼ一
定に保持し、ベルト張力の急増に対しては、ロツ
ドの急激な後退が阻止されるのでベルト張力は一
時的に上昇し、その後所定値へ徐々に戻る。

したがつて、本考案のテンシヨナは、歯付ベル
トが温度変化や振動を起した場合にもベルトを適
当な張力状態に保持し、またエンジンのカムシヤ
フト駆動用歯付ベルトに使用したとき、エンジン
の逆点によりベルト張力が一時的に過大になつた
場合には、ロツドの急速後退を阻止してベルトの
たるみによる目飛びを防止する。

以上の作用は、実願昭59−69135号のものと同
様であるが、本考案においては、更にオイルリザ
ーバーに溜めた油がシール部分から洩れる油を自
動的に補給するとともに、侵入する空気をリザー
バー部分に受け入れてピストン後室に達せしめな
い。

実施例 第１図において、歯付ベルト１の戻り側部分に
圧接するローラ２を支持する支持板３をボルト４
にて固定部材に枢着し、取付部５にて固定部材に
取付けたシリンダ６のピストンロツド７により支
持板３を加圧してベルト１を緊張させる。

シリンダ６は前部のリザーバー部８と後部の本
体部９と小間隙をもつて遊嵌したピストン１０と
を有し、ピストン１０にロツド７を圧入固定す
る。

シリンダ６内に充填した油１１の漏出防止のた
めＸ型パツキン１２，１３、パツキン押え１４，
１５，１６を設ける。

フアスナー１４′はピストン１０が右端に達し
たとき、ストツパーとして作用する。

ロツド７にはピストン前室１７内に開口する横
孔１８と、これに続きピストン後室１９に向う縦
孔２０とよりなる油路２１を設け、ピストン１０
の左側には充填材２２を介在せしめてバルブシー
ト２３を嵌入する。バルブシート２３には前記縦
孔２０と連通する縦孔２４が設けられている。リ
テーナ２５とシリンダ本体部９端面との間に圧縮
ばね２６を介装し、リテーナ２５の中心部に抱持
したボール２７を弱いばね２８により縦孔２４の
開口部に圧縮させて、ピストン前室１７からピス
トン後室１９の方への油１１の流入を許す逆止弁
２９を形成する。３０はオイルリザーバーで、ピ
ストン１０の移動時におけるピストン前室17とピ
ストン後室１９との容積変化の差を吸収する。

ばね２６はロツド７、ローラ２等を介して歯付
ベルト１に初張力を与え、ベルト１が延びるか或
は周囲温度が低下してベルト張力が低下すると、
ばね２６によりロツド７が前進してベルト張力を
ほぼ元の値に回復させる。この場合ロツド７の前
進によりピストン前室１７内の油圧が上昇して逆
止弁２９が開けば、ロツド７は急速前進が可能と
なり、ベルトの張力減少を急速に修復する。

歯付ベルトをエンジンのカムシヤフト駆動に用
いた場合、エンジンを始動する際、始動ミスでエ
ンジンが逆回転（１回転以内）するとベルト１の
張力は短時間の間増大し、ロツド７は後退方向の
大なる反力を受ける。しかし、逆止弁２９は閉じ
られるからロツド７は急速後退ができず、油がピ
ストン周囲の小間隙を流動することによりロツド
７が徐々に後退して、前記反力とばね２６の力と
均衡する位置へ落ちつく。したがつて、短時間の
エンジン逆回転に対しては、ローラ２が大巾に後
退することはなく、ベルトの緩みによる目飛びを
生じない。

ところで、ロツド７の微少な高速前後運動によ
つてパツキン１３から微量の油が洩れると共に外
から空気が侵入する。なお、微少な前後運動はエ
ンジンのカムトルク変動によつても生じる。

本考案においては、侵入した空気はパツキン押
え１５の孔１５ａを通り、リング状空間１５ｂに
たまり、小孔８ａを通つてオイルリザーバー３０
に導かれる。

ダイヤフラム３１の下側のオイルリザーバー３
０には初期において油が充満している。オイルリ
ザーバー３０は本テンシヨナを使用する構造物に
取付けた時上側になるよう設計され、空気はダイ
ヤフラム３１付近に溜る。

万一、パツキン１２とロツド７の間を空気が通
過しても、空気はピストン前室１７とオイルリザ
ーバー３０をつないでいる小孔８ｂからオイルリ
ザーバー３０に導かれる。

以上の作用によつてピストン後室１９に空気が
入ることが防止される。

オイルリザーバー３０の油はパツキン１３から
洩れた油の補給もする。オイルリザーバーの大き
さはテンシヨナの全寿命時間に対し、侵入する空
気量、失われる油量から決められるが、通常数cm³
で充分である。

空気室３０′はダイヤフラム３１の変形以上の
スペースを有しダイヤフラム押え３２の小孔３
２′によりその内圧は常時大気圧に保たれる。

オイルリザーバー３０の上面をダイヤフラム３
１でおおうことにより、リザーバーからの油の出
入による容積変化に対応し、油がこぼれないよう
にするとともに、異物の侵入を防ぎ、かつリザー
バーを小型化することができる。

第２図は本考案の別の実施例を示すものであ
り、シリンダの取付スペースが少ない場合、又は
第１図の実施例では油の保持量が不足する場合等
に好適である。

シリンダ６のピストン前室１７に通じる部分に
ニツプル４０を嵌め込み、パイプ４１を介して、
第３図に示すようなタンク５０に連通せしめる。
その他の構成は第１図のものと同様であるから説
明は省略する。

タンク５０は本体５１とふた５２から成つてお
り、ふた５２には内圧調整用小孔５３があけてあ
る。５４は取付部である。

油の補給作用は第１図のものと同様である。空
気はタンクから空気中に逃がされる。

なお、ニツプル４０は当然最上位置になるよう
に組つけられる。

考案の効果 本考案は上記の構成を有し、ベルト張力の比較
的緩慢な変化に対してはロツドが追従移動してベ
ルト張力を適正範囲内に保持するので、目飛びを
生ぜしめず、またベルトに無理な張力やこれに起
因する騒音を発生させず、もつてベルトの寿命を
長くする効果があり、またエンジンカムシヤフト
駆動の歯付ベルトに使用した場合に、エンジンの
逆転時に起る一時的過大張力に対しては、ベルト
を一時的に該過大張力状態に保持して目飛びを生
ぜしめないというテンシヨナとしての効果がある
ほか、オイルリザーバーに溜めた油が補給用とし
て働き、侵入した空気はオイルリザーバーに集め
られるので、空気侵入、油洩れに対し機能が長続
きする効果を有する。

また、オイルリザーバーをシリンダと別体と
し、容量の大きなタンクとすれば、オイル洩れに
対し補給が長時間行なえ、より長時間の使用に耐
えられるとともに、シリンダを小型化できる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案の異なる実施例の縦断
面図、第３図はオイルタンクの縦断面図である。 １……歯付ベルト、６……シリンダ、７……ピ
ストンロツド、１０……ピストン、１７……ピス
トン前室、１９……ピストン後室、２６……ば
ね、２９……逆止弁、３０……オイルリザーバ
ー、５０……オイルタンク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 油を充填したシリンダ内に小間隙をもつて遊
   嵌したピストンにピストンロツドを固定して該
   ロツドにばねにより突出力を付与し、シリンダ
   内のピストン前室とピストン後室とを連通する
   油路にピストン後室への油の流入を許す逆止弁
   を設けるとともに、ピストン前室に連通するオ
   イルリザーバーを設け、前記突出力により歯付
   ベルトに張力を加える歯付ベルト用テンシヨ
   ナ。 (2) 前記オイルリザーバーが前記シリンダに一体
   的に設けられている、実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の歯付ベルト用テンシヨナ。 (3) 前記オイルリザーバーが前記シリンダと別体
   に設けられたオイルタンクである、実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の歯付ベルト用テンシ
   ヨナ。