JPS6329935B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電気的絶縁基板上に、櫛形状の電極
を、間隙を隔てて対向させて配設した放電ランプ
に係り、特に一般表示用光源、電子複写機やフア
クシミリの感光体の除電用光源あるいは液晶表示
器の背面光源等、各種の光源に適用して有効な放
電ランプに関する。

一般に、二枚の電気的絶縁基板を、放電空間を
介して対向配置したパネル状の放電ランプにあつ
ては、一方の基板のみに電極を対向させて配設し
た場合よりも、両基板の対向面にそれぞれ電極を
配設した場合の方が、電界分布、動作電圧、パネ
ル厚等の面で設計の自由度が大きいものである
が、他面、基板処理の作業性に対する要求や片方
の基板に螢光体を被着させる場合等には一方の基
板のみに電極を対向して配設した構成を取る必要
があり、この場合には上述のように設計の自由度
が小さくなることから、最適条件の選定が困難に
なるものである。

しかして、一方の基板上のみに電極を配設した
従来の斯の種放電ランプは、第１図Ａに示す如
く、背面基板２と透光性の前面基板６とをスペー
サ９によつて形成される放電空間５を介して対向
配置し、周辺部をシール材１０によつて封止して
気密外囲器７と成して放電用ガスを封入し、放電
ランプ１を構成している。また上記背面基板２の
表面に、一対のリボン状の電極３，３′を同一平
面状に対向させて配設し、該電極３，３′を誘電
体４で被覆し更にその上を必要に応じて保護層８
で覆つた構造として間接放電の様式で動作させ、
放電による発光を直接、あるいは前面基板６の内
面に螢光体（図示せず）を被着して、螢光体の励
起発光を各種の光源として利用している。

ところが、上記従来の放電ランプ１の電極構造
にあつては、対向する電極３，３′間の間隙に比
べて電極３，３′の幅が非常に大きいものとなる
ので、電極３，３′間の間隙に近い部分と遠い部
分とでは電界強度に差が生じ、放電による輻射線
１２の発生量は第１図Ｂに示す如く、電界強度の
強い電極部分即ち電極間隙に近い部分に多く、電
界強度の弱い電極部分即ち電極間隙から遠い部分
で少ないものとなる。従つて、これを放電ランプ
１の前面基板６側から目視した場合、放電ランプ
１の放光面１３中央部が明るく、側縁部が暗くな
つて放光面１３の輝度むらが著しく目立つものと
なる。一方、上述の輝度むらを解消するには、電
極間隙から離れた部分の電極の３，３′の電界強
度を強めるかあるいは電極３，３′と前面基板６
内面との間隙を大きく取つて放電の拡散性を容易
にし、電極の各部分に於ける電界強度の均一性を
高めれば良いのであるが、電界強度を強める方法
にあつては、放電ランプの動作電圧の上昇を招
き、また電極と前面基板間の距離を大きくする方
法にあつては、放電ランプの厚さが厚くなるうえ
に、放電ガスによる輻射線の吸収によつて輝度低
下を生じるという問題点がある。

本発明は上述の諸問題を解消するために案出さ
れたもので、電極上の電界強度の均一性を高める
ことにより、放光面全域に渡り一様な輝度が得ら
れると共に、厚さが薄くしかも動作電圧の低い放
電ランプを提供することを目的とするものであ
る。

以上の目的達成のために本発明の放電ランプ
は、電気的絶縁物より成る背面基板の表面に、櫛
形状電極を、同一平面状に間隙を隔てて対向させ
て配設し、該電極を誘電体で被覆すると共に、上
記電極及び誘電体を覆う如く、上記背面基板と放
電空間を隔てて電気的絶縁物より成る透光性の前
面基板を配置し、両基板の周辺部を封止して気密
容器と成し、該容器内部に放電発光に供する希ガ
スを主体とした放電媒質を封入した構成を取るも
ので、両電極間に交番電界を印加して間接放電の
様式で動作させるものである。

以下図面に基づいて本発明の一実施例を説明す
る。第２図Ａ及びＢは本発明の一実施例に係る放
電ランプのそれぞれ要部分解斜視図及び発光状態
を示す断面図であり、図に於いて１は放電ランプ
全体、２は背面基板、３，３′は電極、４は誘電
体、５は放電空間、６は前面基板、７は気密容器
を示している。しかして本発明の放電ランプ１
は、ガラス又はセラミツク等の電気的絶縁物より
成る細長い背面基板２の表面に、外部導出用電極
部３ａとこの外部導出用電極部３ａから複数本櫛
歯状に突出したリボン状の放電電極部３ｂとを有
する一方の櫛形状電極３及び同じく外部導出用電
極部（図示せず）とこの外部導出用電極部から複
数本櫛歯状に突出したリボン状の放電電極部３′
ｂとを有する他方の櫛形状電極３′を、一方の外
部導出用電極部３ａ及び他方の外部導出用電極部
がそれぞれ背面基板２の一端及び他端に形成さ
れ、且つ一方の放電電極部３ｂ及び他方の放電電
極部３′ｂが微小間隙を隔てて交互に対向配列さ
れて背面基板２の長手方向に延在して形成される
如くに配設されている。この場合、上記電極３，
３′は厚膜プリント技術によつて背面基板２の表
面に被着されたものであるが、その他蒸着技術、
あるいは希ガスを主体とした還元性気体を使用し
たプラズマ溶射技術等を用いて、鉄、ニツケル、
クロム又はこれらの合金等の導電材料を所定のパ
ターンに被着させることにより容易に形成するこ
とができるものである。また、上記櫛形状電極
３，３′は誘電体４によつて被覆されており、必
要に応じて更に上記誘電体４の表面を仕事関数が
小さくイオン衝撃に強い物質より成る保護層８で
被覆している。上記誘電体４及び保護層８は、厚
膜プリント技術、蒸着技術あるいはプラズマ溶射
技術等で容易に被着形成できるものである。更に
上記背面基板２の前面には、櫛形状電極３，３′、
誘電体４、保護層８を覆う如く、薄板ガラス、ガ
ラス棒あるいはガラスビース等より成るスペーサ
９の介挿によつて形成した放電空間５を介して、
ガラス等の透光性を有する電気的絶縁物より成る
細長い前面基板６を配置し、背面基板２及び前面
基板６の周辺部を例えばフリツトガラス等の真空
接着剤１０によつて封止して気密容器７と成して
いる。また、背面基板２の外側に取り付けた排気
管１１から排気した後、気密容器７の内部にNe、
Ar等の希ガスの単体若しくは混合ガスを主体と
した放電用ガスを封入し、両電極３，３′に交番
電界を印加して間接放電の様式で動作させ、第２
図Ｂに示す如く複数の放電電極部に対応した放電
発光１２を生起させ、放電面１３から放光させ
る。

第３図Ａ及びＢは本発明の他の実施例に係る放
電ランプのそれぞれ要部分解斜視図及び断面図で
ある。本実施例の放電ランプ１は前面基板６の内
面、即ち背面基板２との対向面に螢光物質１４を
被着したもので、気密容器７の内部にHe、Xe等
の希ガスの単体若しくは混合ガスを主体とした紫
外線放射ガスを封入し、背面基板２の前面基板６
との対向面に微小間隙を隔てて対向させて配設し
た、外部導出用電極部３ａと放電電極部３ｂとを
有する一方の櫛形状電極３及び外部導出用電極部
３′ａと放電電極部３′ｂとを有する他方の櫛形状
電極３′に交番電界を印加して間接放電の様式で
動作させ、放電によつて生起される紫外線で螢光
物質１４を励起し、透過光の形式で均一な発光を
得るものである。尚、本実施例に於いても、上述
した以外の構成即ち電極３，３′の形状、配列、
材質、電極３，３′を被覆する誘電体４、保護層
８あるいは背面基板２と前面基板６の形状、材
質、配置等は第２図に示した実施例と本質的に同
様である。

第４図に示す本発明の他の実施例に係る放電ラ
ンプ１は、外部導出用電極部３ａ及び３′ａを細
長い背面基板２の一端のそれぞれ一方及び他方に
形成し、この外部導出用電極３ａ及び３′ａに背
面基板２の長手方向の一方の側縁部及び他方の側
縁部にそれぞれ延在させたリード部３ｃ及び３′
ｃを接続し、更に上記リード部３ｃ及び３′ｃか
ら背面基板２の幅方向にそれぞれ延在させて櫛歯
状に突出させた複数の放電電極部３ｂ及び３′ｂ
を微小間隙を隔てて交互に配列させた櫛形状電極
３及び３′を、背面基板２の前面基板６との対向
面に配設したものであり、気密容器７内に紫外線
放射ガスを封入し、間接放電の様式で動作させて
紫外線を生起させ、前面基板６の内面に被着した
螢光物質１４を励起し透過光の形式で均一な発光
を得るものである。尚、本実施例に於いても、上
述以外の構成、即ち電極３，３′の材質、電極３，
３′を被覆する誘電体４、保護層８あるいは背面
基板２と前面基板６の形状、材質、配置等は第２
図に示した実施例と本質的に同様である。

第５図の実施例は、他方の放電電極部３′ｂを
２本１組とした電極構成を取るものであり、一方
の放電電極部３ｂを２本の放電電極部３′ｂの間
に微小間隔を隔てて配設したものである。尚、上
記他方の放電電極部３′b2本の面積の合計と一方
の放電電極３ｂの面積は同一となるように選定さ
れている。本実施例に於いても、上述以外の構
成、放電様式で発光形式等は第４図に示した実施
例と本質的に同様である。

尚、以上述べた放電ランプ１の構成に於いて、
第６図に示す如く電極３，３′の放電電極部３ｂ，
３′ｂの幅をｌ、上記放電電極部３ｂ，３′ｂ間の
間隙の大きさをＳ、放電空間の高さをｄとすれ
ば、１／４＜ｄ／（ｌ＋Ｓ）＜２の条件を満足す
るようにｌ、Ｓ、ｄの値を適宜選定すれば、特に
電極の全面積放電に要する動作電圧が低く、発光
効率の高い放電ランプを得ることができる。即
ち、ｄ／（ｌ＋Ｓ）＞１／４に設定した場合には、
放電の拡散が容易となつて低い動作電圧で電極の
全面積放電が得られ、また、ｄ／（ｌ＋Ｓ）＜２
に設定した場合には、放電によつて生起された輻
射線が封入ガスによる吸収をほとんど受けること
なく前面基板に到達するので、高い輝度が得られ
るものである。特に輻射線が封入ガスに吸収され
やすい紫外線の場合には、その効果が顕著であ
る。

以上説明した如く本発明の放電ランプは、背面
基板の表面に、誘電体で被覆した櫛形状の電極を
間隙を隔てて対向させて配設した電極構造となつ
ているので、電極幅に起因する電界強度の不均一
性が解消されて電極の全面積放電に要する動作電
圧も低いものとなり、また電極と前面基板との距
離を小さくしても放電の拡散が防げられることが
ないため、放光面全域に渡つて一様な輝度が得ら
れると共に低動作電圧で薄形の構造となり、一般
表示用光源、電子複写機やフアクシミリの感光体
の除電用光源あるいは液晶表示器の背面光源をは
じめ、各種の光源に好適に使用し得るものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ及びＢはそれぞれ従来例の要部分解斜
視図、及び発光の状態を示す断面図であり、第２
図Ａ及びＢは本発明の一実施例の要部分解斜視図
及び発光状態を示す断面図、第３図Ａ及びＢは本
発明の他の実施例の要部分斜視図及び断面図、第
４図は本発明の他の実施例の要部分解斜視図、第
５図は本発明の他の実施例の要部分解斜視図、第
６図は本発明の実施例の放電空間の高さ、電極幅
及び電極間距離を示す断面図である。 １……放電ランプ、２……背面基板、３，３′
……電極、４……誘電体、５……放電空間、６…
…前面基板、７……気密容器、１４……螢光物
質。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電気的絶縁物より成る背面基板の表面に、櫛
   形状電極を同一平面状に間隙を隔てて対向させて
   配設し、該電極を誘電体で被覆すると共に、上記
   電極及び誘電体を覆う如く、上記背面基板と放電
   空間を隔てて電気的絶縁物より成る透光性の前面
   基板を配置し、両基板の周辺部を封止して気密容
   器と成し、該容器内部に放電発光に供する希ガス
   を主体とした放電媒質を封入したことを特徴とす
   る放電ランプ。 ２ 前面基板の内面に螢光物質を被着し、放電媒
   質として放電によつて上記螢光物質を励起発光さ
   せる紫外線放射ガスを封入したことを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の放電ランプ。