JPS6329129Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内撚機関のシリンダヘツドのうち、
とくに熱的に厳しい条件に曝されるエキゾストポ
ート同志が隣接する部位の冷却装置に関するもの
である。

［従来の技術］ 内撚機関においては燃費改善をはかる方法とし
て高圧縮比化が効果的であることは一般に良く知
られている。しかし機関の高圧縮比化をはかつた
場合、高負荷領域、とくに低、中速での高負荷域
でのノツキングが激しくなり、点火時期を大巾に
遅らせる必要がある。ところが、点火時期をノツ
キング限界迄遅らせると、軸トルクは大巾に低下
し、運動性が大巾に悪化してしまうのが現状であ
る。

一方、ノツキングの発生は燃焼室内の点火プラ
グから離れた位置にある高温部分の未燃ガスが、
その高温と点火プラグまわりの急激な火炎膨張に
より圧縮されることにより、火炎到達以前に自着
炎してしまうことに起因することはよく知られて
いる。高温部分としては、常時高温の排気ガスに
曝されている排気バルブが第一に挙げられるが、
とくに、第１図に示すように、カウンタフロー多
気筒エンジンにおいて、すなわちバルブの配列
が、インテークバルブ１−エキゾストバルブ２−
エキゾストバルブ２−インテークバルブ１−イン
テークバルブ１−エキゾストバルブ２−エキゾス
トバルブ２−インテークバルブ１となつているエ
ンジンにおいて、隣接エキゾストポートの間のシ
リンダヘツド部は140℃〜170℃にもなり、その部
分の近傍の燃焼室壁温はインテークバルブ近傍の
壁温に比べて40℃〜70℃程度高温となり、ノツキ
ングの発生しやすい部位となつている。

したがつて、この部分の壁温を下げることがで
きれば、点火時期をそれ程遅らせることなく高圧
縮比化が可能となり、トルクをおとすことなく、
燃費の大巾な改善をはかることができることにな
る。

エキゾストポート周囲、とくにエキゾストポー
トに装着されるバルブシートまわりを冷却する構
造として、実開昭55−94422号公報に、バルブシ
ートまわりに冷却水通路を設け、該冷却水通路に
シリンダブロツクのウオータジヤケツトから冷却
水を送るようにした構造が開示されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記提案構造は、エキゾストポ
ートが隣接配置されたカウンタフロー多気筒エン
ジンに関するものではなく、バルブシートまわり
冷却水通路へ冷却水を給排する通路が気筒間に設
けられていないため、バルブシートまわりは冷却
されるものの、前述のエキゾストポート間部分は
必ずしも効率よくは冷却されず、やはり隣接エキ
ゾストポート間の高温部分が残るという問題があ
る。

本考案は、上記のような点に鑑みて、シリンダ
ヘツドのとくに高温となるエキゾストポートと隣
接エキゾストポートとの間を効果的に冷却し、エ
キゾストポート近傍の燃焼室壁温を十分に低下さ
せる装置を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この目的を達成するために、本考案の内撚機関
のシリンダヘツド冷却装置においては、カウンタ
フロー多気筒エンジンのシリンダヘツドのうち、
エキゾストポートが隣接している部位のエキゾス
トポート同志間部分に、両エキゾストポートのバ
ルブシートのまわりの冷却水通路を連通する貫通
穴が設けられており、さらにシリンダブロツク上
端部にも、気筒配列方向に対し実質的に直角方向
に延びるスリツト状のウオータジヤケツトが設け
られていて、前記貫通穴はシリンダブロツクのス
リツト状ウオータジヤケツトに連通穴を介して連
通されている。

［作 用］ このような冷却装置においては、シリンダブロ
ツク側から、冷却水が、スリツト状ウオータジヤ
ケツト、連通穴、貫通穴を介してバルブシートま
わりの冷却水通路に送られるが、この冷却水通水
が隣接エキゾストポート間にて行われるので、隣
接エキゾストポート間の高温部分が効果的に冷却
され、該部分近傍の燃焼室壁温が低減され、ノツ
キングの発生が効率よく抑えられる。隣接エキゾ
ストポート間は、エンジンの大型化防止の観点か
ら通常それ程大きな寸法はとれないが、シリンダ
ブロツク上端部に形成されるのがスリツト状のウ
オータジヤケツトであり、隣接するバルブシート
まわり冷却水通路を連通するのが単に貫通した穴
であるから、上記の冷却水通水路はエンジンの大
型化を伴うことなく簡単に形成される。

［実施例］ 以下に、本考案の望ましい実施例を図面を参照
して説明する。

第２図は本実施例装置の断面を、第３図はシリ
ンダヘツドを下側から見た状態を、第４図はシリ
ンダブロツクを上から見た状態をそれぞれ示して
いる。図中、１はインテークポート、２はエキゾ
ストポートであり、符号３を付した部分がエキゾ
ストポート２，２が隣接する部位の中間部分であ
る。それぞれのポート１，２にはバルブシート
４，５が装着されるが、エキゾストポート２のバ
ルブシート５囲りには、冷却水が循環する冷却水
通路６が形成されており、図示を省略したエキゾ
ストバルブからバルブシート５に伝わる熱量を冷
却するように配慮されている。

隣接エキゾストポート２，２間の部分３には、
両エキゾストポートのバルブシート５，５まわり
の冷却水通路６，６を貫通する貫通穴７が穿設さ
れている。該貫通穴７は、バルブシート５，５を
取り外した状態でポート２側からドリル等で容易
に形成することができる。貫通穴７は第３図に示
すように、両エキゾストポート２，２の中心を結
ぶ線上に形成されており、最も高温となる部分を
冷却するようになつている。

一方シリンダブロツク８の上端部には、シリン
ダボアの中心を結ぶ中心線に対して対称の位置に
あるウオータジヤケツト９，１０間に、エキゾス
トポート２，２間の中心を通るように、上方に向
つて開口したスリツト状ウオータジヤケツト１１
が形成されている。つまり、スリツト状ウオータ
ジヤケツト１１は気筒配列方向に対し実質的に直
角方向に延びている。このような延設構造とする
ことにより、気筒間寸法が小さくてもウオータジ
ヤケツト１１は容易に形成される。シリンダヘツ
ド１２のエキゾストポート２，２間の部分３に
は、貫通穴７の中央からスリツト状ウオータジヤ
ケツト１１に向つて下側に延びる連通穴１３が形
成されている。シリンダヘツド１２とシリンダブ
ロツク８との間にはガスケツト１４が介装されて
いるが、このガスケツト１４には、連通穴１３の
直下の位置に連通穴１３と同大の穴１５が穿設さ
れていて、ウオータジヤケツト１１と連通穴１３
とを連通している。

なお、第３図において、１６は燃焼室まわりに
延びる従来公知のウオータジヤケツトで、該ウオ
ータジヤケツト１６とバルブシート５まわりの冷
却水通路６との間には、冷却水通路６に流入した
冷却水をウオータジヤケツト１６に逃がす冷却水
通路１７が設けられている。

上記のように構成された冷却装置においては、
ラジエータで冷却されてシリンダブロツク８のウ
オータジヤケツトに送られてきた冷却水は、スリ
ツト状ウオータジヤケツト１１に流れ込み、シリ
ンダブロツク８の高温となり易いエキゾストポー
ト２，２間の部分を効果的に冷却し、ウオータジ
ヤケツト１１の中央部に至り、ここから流れ方向
を上方に転じ、ガスケツト１４の穴１５を通り抜
けて連通穴１３に流れ込み、さらに貫通穴７の中
央部に至つて、ここで流れが両側のエキゾストポ
ート２，２へと分れ、各々バルブシート５まわり
の冷却水通路６に流れ、冷却水通路１７を経てシ
リンダヘツド１２のウオータジヤケツト１６に流
入し、シリンダヘツドを冷却しながら自身の昇温
した冷却水は、ラジエータへと環流する。

上記の流れにおいて、エキゾストポート２，２
間を冷却水が流れるときに、高温になろうとする
エキゾストポート２，２間部分３を積極的に冷却
し、これによつて、該部分近傍の燃焼室壁温が相
当量低下する。つまり従来冷却されていなかつた
高温部分が積極的にかつ優先的に冷却される。勿
論、水量によつて壁温の低下量は異なるが、約10
℃の壁温低下を少なくとも見込むことができる。

なお、上記の実施例においては、ガスケツト１
４の穴１５および連通穴１３並びに貫通穴７は、
隣接エキゾストポート２，２の中心を結ぶ線上に
各々１個ずつ設けられているが、これに限るもの
ではなく、隣接エキゾストポート２，２の中心を
結ぶ線に対して対称の位置に、それぞれ１個ず
つ、または複数個ずつ設けて、エキゾストポート
２，２間部分３を冷却するようにしてもさしつか
えない。

［考案の効果］ 本考案の内撚機関のシリンダヘツド冷却装置に
よるときは、カウンタフロー多気筒エンジンの隣
接するエキゾストポート間の高温部を直接的に冷
却水を通して冷却することができ、該部分の近傍
の、従来最もノツキングを生じやすかつた部位の
燃焼室壁温を相当な量低減できるので、ノツキン
グの発生を著しく抑えることができる。このた
め、ノツキングを抑制した状態で圧縮比を向上し
て燃費の改善をはかることができ、または点火進
角を進めてトルクの向上、出力性能の向上をはか
ることができるなどの種々の効果が得られる。さ
らに、本考案は、冷却水の流れ通路を若干変更す
るだけで達成することができる。気筒間寸法を増
大させることなく、かつ大巾な設計変更または燃
焼を左右する本質的設計変更を伴わなくて済むの
で、実用的効果は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の多気筒エンジンのシリンダヘツ
ドの底面図、第２図は本考案の内撚機関のシリン
ダヘツド冷却装置を適用した多気筒エンジンの部
分縦断面図、第３図は本考案を適用した多気筒エ
ンジンのシリンダヘツドの底面図、第４図は本考
案を適用した多気筒エンジンのシリンダブロツク
の平面図、である。 １…インテークポート、２…エキゾストポー
ト、３…エキゾストポート間部分、４，５…バル
ブシート、６…冷却水通路、７…貫通穴、８…シ
リンダブロツク、１１…スリツト状ウオータジヤ
ケツト、１２…シリンダヘツド、１３…連通穴、
１４…ガスケツト、１５…穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互に隣接する気筒のエキゾストポート同志が隣
   接配置されたカウンタフロー多気筒エンジンのシ
   リンダヘツドの前記隣接エキゾストポートの間
   に、両エキゾストポートのバルブシートまわりの
   冷却水通路を連通する貫通穴を設け、シリンダブ
   ロツク上端部の前記隣接エキゾストポート間位置
   に対応する部分に、気筒配列方向に対し実質的に
   直角方向に延びるスリツト状ウオータジヤケツト
   を設け、前記貫通穴とスリツト状ウオータジヤケ
   ツト間に、該貫通穴とスリツト状ウオータジヤケ
   ツトとを連通する連通穴を設けたことを特徴とす
   る内燃機関のシリンダヘツド冷却装置。