JPS6326586Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は減衰力切換式油圧緩衝器に関するもの
である。

従来より第１図に示す如くシリンダ１内を摺動
するピストンｂと該ピストンｂをピストンロツド
ｇ端に締結するピストンナツトｃにシリンダａの
上部室と下部室を連通する逆止型絞り弁を有する
通油路ｄとバイパス通油路ｅを構成すると共に、
該バイパス通油路ｅを開閉するロータリーバルブ
ｆを、ピストンロツドｇの軸孔から突出するコン
トロールロツドｈに依つて回動操作して作動油の
通路を変え、減衰力を切換える構造のものがある
が、この構成に依ればロータリーバルブｆがコン
トロールロツドｈの端部に固着されているこ
とゝ、ピストンナツトｃがピストンロツドｇにネ
ジ締結されている為、ロータリーバルブｆとピス
トンナツトｃ側摺接部の軸芯精度の確保が極めて
困難であり、ピストンナツトｃとロータリーバル
ブｆとの回転摺接部にセリが生じ円滑な作動が得
られなくなるという不具合を有するものであつ
た。

本考案は上記不具合を解消する目的でなされた
ものであり、コントロールロツドとロータリーバ
ルブとを、コントロールロツドに固定した二面幅
を有するブツシユとロータリーバルブに穿設した
軸孔との間にピストンロツドに対するナツトの偏
芯量を吸収してロータリーバルブの回動操作を妨
げることのない程度のクリアランスを設けて嵌合
させることによつて連結し、ロータリーバルブを
ピストンナツトの回転摺接部に追従せしめるよう
に構成したものである。

以下、本考案の一実施例を図面に従つて説明す
るに第２図は全体の正断面図、第３図はピストン
部拡大正断面図、第４図はロータリーバルブの分
解斜視図である。

本実施例の油圧緩衝器はインナチユーブ１とア
ウタチユーブ２間にリザーブ室Ｃを構成する形式
のものであり、インナチユーブ１はアウタチユー
ブ２の下端に固着したボトムキヤツプ３と、上端
に固着したヘツドリング組立体４に支持されると
共に、インナチユーブ１の下端にはリザーブ室Ｃ
の下端に連通するボトムバルブ５が構成される。

また６は本考案の切換機構を有するピストン組
立体であり、該ピストン組立体に突設したピスト
ンロツド７は前記ヘツドリング組立体４からシー
ル機構８を介して摺動自在に突出して成り、その
上端部近傍に固着したカバーエンド９から上記ア
ウタチユーブ２に向つてカバーチユーブ１０を外
挿すると共に該カバーチユーブ１０とアウタチユ
ーブ２間にＵ字形断面を有する環状体で、合成ゴ
ム等の可撓性材から成る防塵部材１１を取り付
け、ピストンロツド７の上端部とアウタチユーブ
２間にコイルスプリング（図示せず）を弾装して
成る。

前記ピストン組立体６はピストンロツド７の下
端部に形成した段差軸部７ａに対し、ピストン受
リング１２及びピストン１３を順次軸挿し、伸側
絞り弁１４を介してピストンナツト１５をピスト
ンロツド７の下端に螺合締結して成るもので、ピ
ストン１３とピストン受リング１２間には圧側絞
り弁１６が構成され、ピストン１３に依りインナ
チユーブ１内を上部室Ａと下部室Ｂに区画して成
る。

１７，１７は上記ピストンナツト１５の外端筒
状部に穿設したバイパス通油路であり、該バイパ
ス通油路１７，１７は中心軸を中心にして対称位
置に設けられ、その内周に形成した摺接内壁１５
ａにはロータリーバルブ１８を摺接回動自在に内
挿する。

当該ロータリーバルブ１８は180度対称位置に
切欠部１９，１９を有する環状壁１８ａを有し、
前記バイパス通油路１７，１７との相対位置に依
り、該バイパス通油路１７，１７を開閉するよう
に成ると共に、ボス部１５ｂには油通路２０，２
０を穿設して成り、また軸芯に矩形軸孔２１を穿
設して成る。

２２は前記ピストンロツド７に穿設した軸孔７
ｃに対し回動自在且つ気密的に内挿したコントロ
ールロツドであり、軸孔７ｃ下端から突出したコ
ントロールロツド２２の下端部にはワツシヤ２３
を介して二面幅を有する矩形ブツシユ２４を軸着
して成るもので、該二面幅を有する矩形ブツシユ
２４は前記ロータリーバルブ１８の矩形軸孔２１
に対して回転係合を妨げない程度のクリアランス
を有して嵌合するように構成される。

また上記コントロールロツド２２の上端部は適
宜回動連結部材を介してピストンロツド７から突
出し、該回動連結部材の外端部に減衰力切換部を
設けて成る。

２５は上記ピストンナツト１５の下端部に構成
したピストンバルブ組立体であり、前記ロータリ
ーバルブ１８の軸方向摺動を摺接内壁１５ａの肩
部とホルダ２６間に規制すると共に、油通路２
０，２０を流通する作動油の圧側及び伸側に作用
する絞り弁２７を構成する。

上記構成に成る減衰力切換式油圧緩衝器はピス
トンロツド７端から突出するコントロールロツド
２２に回動連結する減衰力切換部を操作し、コン
トロールロツド２２、二面幅を有する矩形ブツシ
ユ２４を介してロータリーバルブ１８をピストン
ナツト１５に対して回動変位せしめ、バイパス通
油路１７，１７を開閉し、伸縮時ピストンバルブ
組立体２５の圧側絞り弁２７を流通する油量を変
え減衰力を切換調整するものである。

即ち、バイパス通油路１７，１７に環状壁１８
ａ，１８ａを密接して閉止すると、作動油は圧縮
時、下部室Ｂから第３図に一点鎖線で示す如く、
圧側絞り弁２７、通油路２０及び圧側絞り弁１６
を経て上部室Ａに流動して所定の流動抵抗を得る
と共に、伸張時には実線で示すように上部室Ａか
ら伸側絞り弁１４、通油路２０及び伸側となる絞
り弁２７を経て下部室Ｂに移動する。

従つてロータリーバルブ１８の切欠部１９，１
９を回動してバイパス通油路１７，１７を開くと
圧縮時及び伸張時に於いて破線の矢印に依つて示
すように圧側及び伸側絞り弁２７の流路側が該バ
イパス通油路１７，１７を経由する作動油と復路
を形成するように成り、減衰力を緩和するもので
ある。

上記構成に於いて本考案ではロータリーバルブ
１８をコントロールロツド２２に対して矩形ブツ
シユ２４を介して回動連結し、該ロータリーバル
ブ１８の矩形軸孔２１と二面幅を有する矩形ブツ
シユ２４間にクリアランスを設けた為、ロータリ
ーバルブ１８はピストンナツト１５の摺接内壁１
５ａに追従可能と成り、該ピストンロツド７に螺
着したピストンナツト１５とコントロールロツド
２２に軸着した矩形ブツシユ２４の軸芯精度を殆
んど問題にしなくても良く、ロータリーバルブ１
８と摺接内壁１５ａとのセリが生じることはな
い。

尚、前記実施例に於いてロータリーバルブ１８
とブツシユ２４の回動係合形状を矩形に構成した
が、本考案に於いてはコントロールロツド７に対
しロータリーバルブ１８の軸方向の摺動変位を許
容し、且つ両者の軸芯の変位を回動伝達を阻害し
ない程度に於いて許容する異形嵌合に依り達成せ
られるものであり、矩形に限定されるものではな
い。

以上述べたように、本考案に依れば、切換調節
機構が該部の軸芯精度に依つて作動しないように
成る不具合が解消されるもので、本考案の実用的
効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は従来の緩衝器に於けるロータリーバルブ部の正
断面図、第２図は本考案緩衝器の正断面図、第３
図は同ピストン部拡大正断面図、第４図はロータ
リーバルブの分解斜視図である。 １……インナチユーブ、２……アウタチユー
ブ、６……ピストン組立体、７……ピストンロツ
ド、１２……ピストン受リング、１３……ピスト
ン、１５……ピストンナツト、１７……バイパス
通油路、１８……ロータリーバルブ、１９……切
欠部、２０……通油路、２１……矩形軸孔、２２
……コントロールロツド、２４……矩形ブツシ
ユ、２５……ピストンバルブ組立体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダ内に挿入したピストンにより油室を上
   部油室と下部油室とに区画すると共に、このピス
   トンに減衰力発生弁を設けてなる油圧緩衝器に於
   いて、前記ピストン下方に設けたピストンナツト
   には減衰力発生弁とバイパス油通路とを平行に設
   け、このピストンナツト内にロータリーバルブを
   回動自在に内挿する一方、前記ピストンに連結す
   るピストンロツドに内挿したコントロールロツド
   の一端に二面幅を有するブツシユを固定し、この
   ブツシユを前記ロータリーバルブに穿設された軸
   孔に軸方向摺動可能且つ半径方向の二面幅に沿う
   方向にはクリアランスを有して摺動可能に嵌合さ
   せたことを特徴とする減衰力切換式油圧緩衝器。