JPS63259024A - 磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の製造方法

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JPS63259024A
JPS63259024A JP29215387A JP29215387A JPS63259024A JP S63259024 A JPS63259024 A JP S63259024A JP 29215387 A JP29215387 A JP 29215387A JP 29215387 A JP29215387 A JP 29215387A JP S63259024 A JPS63259024 A JP S63259024A
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cold rolling
cooling
annealing
final
silicon steel
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JP29215387A
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Inventor
Kimimichi Goto
後藤 公道
Katsuo Iwamoto
岩本 勝生
Yoshinori Kobayashi
小林 義紀
Isao Matoba
的場 伊三夫
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、鋼板の圧延方向に磁化容易軸<001>を有
する磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の製造方法に関
するものである。
かかる一方向性珪素鋼板は、主として変圧器その他の電
気機器の鉄芯に使用されるものである。
近年、省エネルギー,省資源への強い要請から、変圧器
・電気機器は電力損失低減・効率化が重要となり、これ
に対応して鉄芯材料である一方向性珪素鋼板の磁気特性
も一段と優れたものが要求されるようになってきた。
(従来の技術) かかる要求を満たす一方向性珪素鋼板としては、一般に
、励磁特性ではB10値(磁場の強さが1000A /
 mのとき発生する圧延方向の磁束密度)が1.85テ
スラ以上、鉄損特性ではW17150 (交流50Hz
 、 fe1束密度密度1.7テスラでの鉄損)が1.
20W/kg以下のものが必要であり、特に鉄損は近年
著しく改善されて1.10W/kg以下という優れたも
のも実現するようになった。
従来、かように優れた磁気特性を有する一方向性珪素網
板を製造するには、その一連の製造工程のうち最終焼鈍
において、(110)  (001)方位を有する2次
再結晶粒で構成される成品鋼板を得ることが必要である
2次再結晶を一定の方向に発達させるためには、周知の
如く、2次再結晶過程で(110) (001)方位以
外の好ましくない方位をもつ結晶粒の成長を強く抑制す
るインヒビターを使用しなければならない。かかるイン
ヒビターとしては、l+fns、阿nseあるいはAI
N等の微細な析出物が用いられ、主に熱延工程において
、それらの微細析出状態を調整して強い抑制効果を発揮
させるのである。さらに、最近では、前記微細析出物に
加えて、粒界偏析型元素であるSb、 Bi、 Sn、
 Pb、 Te等を複合含有せしめ結晶成長の抑制効果
を補強する方法も検討されており、インヒビターの役割
を十分に発揮させ得るに至っている。
また、2次再結晶を完全に発達させるためには、上記イ
ンヒビターの存在とともに、最柊埼鈍前の鋼板に(11
0)  [001)方位の2次再結晶粒が優先的に核発
生し成長できる1次再結晶集合組織を形成せしめておく
ことが極めて重要である。このような1次再結晶集合組
織は、一方向性珪素鋼板の一連の複雑な製造工程におい
て、熱延工程から冷延工程の各工程条件を適切に組合わ
せて初めて得られるものであり、特にインヒビターの抑
制効果の強さに応じた最終冷延圧下率の適切な選択が重
要である。例えば、インヒビターとしてMnS、MnS
eを用いる場合であれば、最終冷延圧下率は40〜80
%の範囲が適切であり、このときの1次再結晶集合組織
は(110)  (001]方位が強く集積して、副方
位として弱い(111) <112 >方位が分布する
ような状態が最適であることが知られている。
また近年、鋼中含有の炭素または炭化物を有効利用して
1次再結晶集合組織を改善する方法が発達してきた。例
えば、特公昭38−14009号公報に記載されている
ように、熱延板を第1回冷延前に790℃以上の温度か
ら540℃以下の温度に烈しく急冷した後310〜48
0℃に保持して、結晶粒内に光学顕微鏡で可視性サイズ
(数μ)のレンズ状炭化物を析出せしめる方法が提示さ
れている。この比較的大きなサイズの炭化物は、熱延鋼
板で形成された粗大な熱延伸長粒を分裂細分化させるに
有効に働くものであり、2次再結晶の発達に有害な(1
00)〜(110)  (011)方位の結晶粒を冷延
工程の初期段階で消滅させる役割を担うものと考えられ
ている。
さらに最近に至り、冷延工程において結晶粒内の固溶C
または微細炭化物を利用する方法が開発されている。特
公昭54−13846号公報、特公昭54−29182
号公報によれば、インヒビターとしてAINを用い、こ
の熱延板を高温焼鈍後急冷し、最終冷延圧下率が80%
以上である1回の強冷延を施す際、冷延パス間で少なく
とも1回以上の時効処理を施す方法が提示されている。
この時効処理には50〜350℃の温度範囲で1分以上
または300〜600℃の温度範囲で1〜30秒の保定
か必要であり、かつ多数回施すことが効果的であると述
べられているが、かかる方法によれば冷延能率が大幅に
低下し、かつ鋼板加熱処理費が増して経済的でない。ま
た、本願出願人らの提案に係る特公昭56−19377
号公報によれば、インヒビターとしてAINとsbとを
複合添加する場合に、この複合効果を活かす目的で中間
焼鈍後の冷却に際し700〜900℃間を200〜20
00秒間の範囲で徐冷してから直ちに200℃以下まで
4分間、好ましくは水焼入のような急冷を施す方法が開
示されている。この先行して提案した方法は、700〜
900℃の間を200〜2000秒間徐冷する処理を実
現しようとすると、連続焼鈍炉の冷却帯を大巾に改造し
て、この温度域は鋼板を実質上加熱保温する長大な徐冷
帯を設け、さらに低速度の連続炉操業が必要になる。そ
の結果、著しく生産能率の低下と製造コスト上昇を招い
て不経済となる問題点を抱えていた。
さらに、上記3方法とも、いずれもAINまたはAlN
−3bという特定のインヒビターを利用し、同時に80
%以上の強冷延工程と組合わせて初めてその効果を発揮
し得るものであるから、かかる方法で得られた集合組織
は(111) <112 >方位が著しく強く集積して
おり(110)  (001)方位は副方位として弱い
集積を示すに過ぎず、(110)  (001)方位を
強く集積させる方法とは根本的に異なっていた。また、
従来一般的に用いられるMnS 、 MnSeをインヒ
ビターとして利用する一方向性珪素鋼板の製造には不向
きであった。
SおよびまたはSeをインヒビターとし、このインヒビ
ターに適した最終冷延圧下率の範囲において、集合組織
改善を図るため鋼中炭素を有効利用する公知方法1例え
ば特公昭56−3892号公報によれば、中間焼鈍後の
冷却にあたり600〜300 ’Cの間を150℃/m
in以上で行い、最終冷延段階で時効処理を施す方法が
開示されている。この公知方法も時効処理は100〜4
00℃で5秒〜30分間となし、冷延パス間に少なくと
も1回以上前記時効処理を施すことが必要であり、前述
の如く冷延能率の低下と加熱処理費用が増し経済的でな
く、より効率的な方法が望まれていた。
本発明は、鋼中Cの有効活用を図る上記各従来方法の有
する欠点を除去し、改善して一方向性珪素鋼板を能率的
ならびに経済的に工業生産することのできる製造方法を
捉供することを目的とするものである。
(問題点を解決するための手段) 上掲の目的を実現するための方法として、本発明は; ■、 CO,02〜0.10%、 Si 2.5〜4.
0%5Mn O,03〜0.15%、S、Seの何れか
1種または2種とSbを合計量で0゜008〜o、os
o%含み、残部実質的にFeよりなる珪素鋼素材を熱延
し、750〜1100℃の中間焼鈍を挟む2回冷延を施
し、前記2回冷延のうちの最終冷延圧下率を40〜80
%として最終板厚に仕上げ、次いで脱炭焼鈍と最終焼鈍
が施されてなる一方向性珪素鋼板の製造方法において、
前記中間焼鈍後の冷却に際し770〜100℃間の温度
範囲を30秒以内で急冷し、直ちに150〜250℃の
温度において2〜60秒間の時効処理を施した後、最終
冷延を施すことを特徴とする特許 の製造方法、および ■ C O.02〜0.10%, Si 2.5〜4.
0%。
Mn O.03 〜0.15%,S,Seの何れか1種
または2種とSbを合計量で0.008〜0.080%
含み、残部実質的にFeよりなる珪素鋼素材を熱延し、
750〜1100℃の中間焼鈍を挾む2回冷延を施し、
前記2回冷延のうちの最終冷延圧下率を40〜80%と
して最終板厚として仕上げ、次いで脱炭焼鈍と最終焼鈍
が施されてなる一方向性珪素鋼板の製造方法において、
前記中間焼鈍後の冷却に際し770〜300℃間の温度
範囲を20秒以内で急冷し、次いで300〜150℃間
の温度範囲を8〜30秒間で冷却した後最終冷延を施す
ことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の
製造方法、 を提案する。
(作 用) 本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた
結果、中間焼鈍後最終冷延前の鋼板についてその結晶粒
内炭化物を、光学顕微鏡によっては視ることのできない
(従来留意されたことのない)ような極微小の特定範囲
内に制御し、かつ十分多量に析出分散させることによっ
て、最終冷延と脱炭焼鈍を経由した最終焼鈍前の集合組
織を(110)  (001 )方位の集積が強い状態
に改善することができることに着目した。その結果、最
終焼鈍での2次再結晶過程において、高度に揃った(1
10)  (001 )方位の2次再結晶粒を十分に成
長させることが可能となり、優れた磁気特性が得られる
ことを新規に知見した。すなわち、上記極微小炭化物を
十分に粒内析出させるための中間焼鈍後の冷却に際し、
300℃以下の温度領域を厳密に制御する(これは従来
看過されていた)ことによって、最終焼鈍前の集合組織
を(110)  (001)方位の集積が強い状態とな
すことができることを新規に知見して本発明を完成した
本発明によれば、素材としてはCO,02〜0.10%
、 Si 2.5〜4.0%、 Mn O,03〜0.
15%、S、Seの何れか1種または2種とSbを合計
量でo、oos〜0.080%含み、残部Feおよび不
可避的不純物からなり、通常用いられている製鋼方法な
らびに鋳造方法によって製造された造塊−分塊スラブあ
るいは連鋳スラブを用いることができる。
次に本発明において用いられる素材の成分組成を限定す
る理由を説明する。
Cは、本発明の目的とする超微小炭化物利用による集合
組織改善の効果を発揮させるための必須成分であり、0
.02%未満では超微小炭化物の十分な析出量が確保さ
れず、他方0.10%を超えると最終焼鈍前の脱炭が著
しく困難とな伶長時間の脱炭焼鈍が必要となって不経済
である。従って、Cは0.02〜0.10%の範囲内に
する必要がある。
Siは、比抵抗を高め鉄損を低減させるために必要な元
素であり、2.5%より少ないと十分に低い鉄損が得ら
れないのみならず最終焼鈍の際に鋼板の一部がα−T変
態して結晶方位を乱すようになる。一方、−4,0%を
超えると著しく脆くなって冷延加工性が乏しくなり、通
常の工業的圧延が困難になる。従って、Si は2.5
〜4.0%の範囲内にする必要がある。
Mn % S、Seおよびsbはいずれもインヒビター
として2次再結晶過程において(110)  (001
)方位以外の好ましくない結晶粒の成長を抑制し、(1
10)  (001)方位の2次再結晶粒を十分に発達
させるために必要な成分であり、上記成分範囲を外れる
と十分なインヒビターの効果が得られなくなる。従って
、Mnは0.02〜0.015%、SおよびSeのいず
れか1種または2種とsbとは合計で0.008〜0.
080%の範囲内にする必要がある。
次に本発明において、前記素材に圧延ならびに熱処理を
施す条件について説明する。
上記成分条件を満たすスラブは、1250℃以上の高温
加熱後、公知の熱間圧延を施して板厚1.5〜5.01
1の熱延板として得られる。この熱延工程は、インヒビ
ターMnS、MnSeの微細析出物を得るために、前記
スラブ高温加熱温度は、Mn、S、Seが十分に解離固
溶できるよう、成分組成に応じた温度に適切に設定すべ
きであり、次いで熱延方法を適正に選択してインヒビタ
ーの微細析出を十分に促進することが肝要である。
得られた熱延板には、必要に応じてノルマライジング焼
鈍を施し、酸洗後、中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施
して最終板厚に仕上げる。中間焼鈍は、第1回冷延後の
冷延組織を再結晶させ、結晶組織の均一化を促し、併せ
て鋼中にCを十分に固溶させる目的で施す。従って、中
間焼鈍後は750℃以上が必要であるが、1100℃を
超えるとインヒビター:MnS、MnSeの微細析出物
が粗大化し、抑制の効果が低下するので、750〜11
00℃の温度範囲に限定する必要がある。
そして、前記中間焼鈍後の冷却を、本発明方法に基づい
て制御することにより、最終冷延前の鋼板の結晶粒内に
サイズ100〜500人範囲の超微小炭化物を十分に析
出させることが有効である。以下にこのことを実験デー
タに基づいて詳述する。
実験に用いた素材は、CO,045%、Si3.20%
、Mn 0.06%およびSe O,020%、 Sb
 O,015%を含み、残部実質的にFeよりなる組成
を有し、通常の製鋼、連鋳、熱延工程を経て仕上げた板
厚3.0鶴の熱延板である。実験工程は、熱延板を95
0℃。
2分間の焼鈍後、酸洗して第1回冷延を施して0.75
mmの中間板厚となし、900℃、3分間の中間焼鈍後
、最終冷延(圧下率60%)を施して0.30mmの最
終板厚に仕上げた。次いで、800℃の湿水素雰囲気中
で脱炭焼鈍し、MgO塗布後の最終焼鈍は昇温通過で8
60℃・30時間保定する2次再結晶を十分発達させる
処理と、1200℃・10時間保定する鋼中不純物除去
の純化処理を組み合わせて行うことにより、一方向性珪
素鋼板の成品を得た。
この工程中、上記中間焼鈍後の冷却過程で770℃以下
の温度域は、水冷、油焼入、ミストジェット冷却、風量
可変の強制空冷および自然放冷等により種々に冷却速度
を変化させ、また一部には冷却後直ちに150〜300
℃の温度範囲の恒温油槽を使って時効処理を施した。こ
れらの最終冷延前試料につき、高倍率(1万倍)の電子
顕微鏡観察を行い結晶粒内の炭化物析出状態を調べた。
なお、中間焼鈍後に冷却速度の変更開始温度を770℃
に定めた理由は、炭化物の粒界析出がこの付近から起こ
ること、および770 ′c以上の温度から激しく急冷
すると鋼板形状が不良となって、以降の工程処理に支障
するためである。
第1図は中間焼鈍後、770℃以下の冷却を油焼入とし
、直ちに200℃で2〜300秒間の時効処理を施した
時の炭化物析出サイズと磁気特性を示している。比較例
として、工業的な連続焼鈍で一般に実用される770〜
100℃間の冷却時間90秒に相当する冷却速度で強制
空冷した試料を用いた。この第1図より、B1゜値が向
上を示す時効処理条件は200℃・10〜20秒間であ
り、このとき炭化物の析出サイズは100〜500人の
範囲にあり、均一多量に分散していた。他方、B10値
が向上していない処理条件である油焼入のみおよび20
0°C・2秒間時効処理では粒内炭化物は観察されない
が、あるいは局部的に僅少量のみ析出している状態であ
り、また時効処理が200℃・30秒間以上で炭化物析
出サイズが500人を超えるとBIG向上が得られなく
なることが判った。
以上から、中間焼鈍後の冷却を本発明法に基づいて制御
することにより、最終冷延前に鋼板の結晶粒内に100
〜500人範囲の超微小炭化物を均一多量に分散させる
ことができ、ひいては成品の磁気特性を向上させること
ができる。その理由を第2図に基づいて説明する。
第2図(A−1”)は第1図に用いた試料のうち時効処
理を10秒間施したものの最終冷延前の炭化物析出状態
を示す倍率1万倍の電子顕微鏡写真(炭化物の平均粒径
200人)であり、同図(A〜2)は同図(A−1)の
試料の脱炭焼鈍後で最終焼鈍前の1次再結晶集合組織を
示す(200)極点図であり、また同図(B−1)は斯
界で一般に実用される連続焼鈍において770〜100
℃間の冷却時間90秒に相当する冷却速度で強制空冷し
た試料の最終冷延前の炭化物析出状態を示す倍率1万倍
の電子顕微鏡写真(炭化物の平均粒径700人)であり
、同図(B−2)は同図(B−1)の試料の脱炭焼鈍後
で最終焼鈍前の1次再結晶集合組織を示す(200)極
点図である。
第2図よりして従来の工業標準的な冷却を施す場合に比
較して、本発明方法により著しく微細な100〜500
人範囲内の炭化物を多量に分散析出させると、最終冷延
を経て脱炭焼鈍後の1次再結晶集合組織は(110) 
 C00L )方位の集積が強い状態に改善されること
が判る。かかる(110)  (001)方位の集積度
が強い1次再結晶集合組織を有する鋼板では引き続く最
終焼鈍において2次再結晶が進行する際、先鋭に揃った
(110)  Cool )方位の2次再結晶粒のみが
選択的に成長することが可能となり、その結果高度に揃
った(110) (001)方位の2次再結晶粒で構成
されて成る磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の成品が
得られるのである。
一方、従来から知られている鋼中炭素の有効利用を図る
方法にあっては、焼鈍後の冷却過程をただ単に急冷する
か、あるいは急冷制御の温度域を300℃以上に限定す
る等の理由により、本発明の新規な知見である200℃
付近で短時間に変化する超微小炭化物の効果を看過して
来たものと考えられる。
本発明で明らかとなった超微小炭化物による冷延〜再結
晶後の集合組織改善の理由は必ずしも明確ではないが、
冷延時に結晶内部に蓄積される歪量が初期結晶方位によ
り相違しく110)  (001)方位が最も多く内部
歪を蓄積するという周知の事実に従って考察すると、お
そらく超微小炭化物は冷延時の初期結晶方位に依存した
内部歪蓄積量の差異を拡大する役割を果たし、従って続
く脱炭焼鈍での再結晶時に(110)  (001)方
位が一段と優先的・早期に再結晶して、(110)  
(001)方位の集積度が増加するためと本発明者らは
推察している。
次に本発明において100〜500人の範囲内の超微小
炭化物を結晶粒内に十分に析出させる方法についての研
究データと、前記析出させるための条件を限定する理由
を説明する。
第3図は、第1図に用いたと同じ組成の素材を用い、中
間焼鈍後の冷却条件以外は第1図に用いたものと同様の
成品化工程を経た実験であって、中間焼鈍後770〜1
00℃間の冷却速度を種々に変化させた時、および冷却
直後に200℃・10秒間の時効処理を施した時の冷却
所要時間と磁性の関係を示している。同図より770〜
100℃間の冷却所要時間が30秒以内であれば、時効
処理により磁性が大きく向上することが判る。但し、3
0秒以内で急冷したままの試料は磁性は十分でなく、こ
れは電子顕微鏡観察により粒内の超微小炭化物が未析出
であるためであることが判った。他方、冷却所要時間が
30秒を超える場合は時効処理の有無に依らず磁性は同
じ不十分な水準にあるが、炭化物析出状態を観察した結
果粒内析出した炭化物は500Å以上のサイズとなって
おり、また多数の粒界析出した炭化物が分散していて、
適正な析出サイズと十分な粒内析出量が確保されなかっ
たことが判明した。以上から、所期の超微小炭化物を得
るための冷却条件は770〜100℃間の温度範囲を3
0秒以内で急冷し、次いで時効処理を施すことが必要で
あることが明らかである。
次に、急冷後に施す時効処理の条件を検討した。
第4図は、第1図に用いたと同じ組成の素材を用い、中
間焼鈍後の冷却条件以外は第1図に用いたものと同様の
成品化工程を経た実験であって、中間焼鈍後770〜1
00℃間を冷却所要時間20秒で急冷し、直ちに150
〜300℃の温度範囲で時効処理を施した時の時効温度
と時間による粒内炭化物の析出サイズ変化を示している
。同図より、かかる時効処理で100〜500人範囲の
超微小炭化物を析出させる条件は150〜250℃の温
度範囲で2〜60秒間、ただし温度が低い程長く保持す
るように選択することが適切であることが判明した。
上記の中間焼鈍後に急冷し直ちに時効処理を施す方法を
通常連続焼鈍炉で行われる中間焼鈍に適用することは容
易であり、従来の連続焼鈍炉の冷却帯を前記条件の急冷
が可能な設備に改造し、併せて短い低温加熱炉を付設す
ることにより達成できる。さらに、本発明者らは中間焼
鈍後の冷却過程、特に従来は看過されてきた温度範囲で
ある300℃以下の冷却過程を厳密に制御することによ
り所期の超微小炭化物を得る方法を検討して、前記時効
処理を省略する試みをなした。
ところで、第4図から判るように超微小炭化物は300
℃以下、150℃以上の温度範囲において粒内析出する
ことに着目して、この温度範囲を各種の冷却速度で冷却
することにして、770〜300℃間の温度範囲は急冷
する方法を採用した。この770〜300℃間の急冷条
件は、第3図で得られた770〜100℃間の冷却所要
時間30秒以内を内挿して、770〜300℃間の冷却
所要時間を20秒以内となすことが必要であることが判
る。
第5図は、第1図に用いたと同じ組成の素材を用い、中
間焼鈍後の冷却条件以外は第1図に用いたものと同様の
成品化工程を経た実験であって、中間焼鈍後の冷却をミ
ストジェット冷却となし、770〜300℃間を所要時
間15秒で急冷した後、300℃以下の温度域は水冷か
ら自然放冷まで種々に変化させた時の300〜150℃
間の冷却所要時間と粒内炭化物の析出サイズの関係を示
している。同図より、所期の析出サイズを得るためには
300〜150℃間の冷却所要時間を8〜30秒間に選
択すべきであることが判明した。
なお、第4図の時効温度、あるいは第5図の冷却終了温
度の低温側下限を150℃に限定した理由は、150℃
以下の温度域では炭化物の析出速度が急激に低下して、
所期の析出サイズを得るに著しく長時間を要するか、あ
るいは150℃以上の降温 一過程で十分に析出を終了
しているためである。
以上本発明の目的とする100〜500人範囲の超微小
炭化物を工業生産的に得る中間焼鈍後の冷却方法は、第
3〜5図から判るように770〜100℃間を30秒以
内で急冷し、直ちに150〜250℃の温度において2
〜60秒間の時効処理を施す本発明の1つの方法、ある
いは770〜300℃間を20秒以内で急冷し、次いで
300〜150℃間の冷却所要時間を8〜30秒の範囲
内に制御する本発明の他の方法が必要であることを本発
明者らは新規に知見したのである。なお、これらの冷却
方法は工業的に容易に実施できるばかりでなく、後者の
方法によれば冷却時間の短縮により連続炉操業を効率よ
く行うことができるので有利である。
上記により得られた中間焼鈍後の鋼板に最終冷延圧下率
40〜80%の最終冷延を施して板厚0.15〜0.5
0mmに仕上げる。最終冷延圧下率を限定する理由は、
冷延圧下率が40%未満では(110)  (001)
方位の強い集積を得ることができず、また80%を超す
と著しく強いml )方位または<110>方位の集合
Mi織を形成して(110)  (001)方位は僅少
となり、いずれの場合も本発明による超微小炭化物の析
出分散に伴う(110)  (001’)方位の集積度
を高める効果が大幅に減殺され、あるいは全(期待でき
なくなるためであり、従って結晶粒内に所期の超微小炭
化物を析出分散させた後に施す最終冷延の圧下率は40
〜80%の範囲に限定することが必要である。
最終冷延板には湿水素雰囲気で780〜850℃の脱炭
焼鈍を施し十分に鋼中のCを除去した後、焼鈍分離剤と
してMgOを塗布し、最終焼鈍を施して成品となす。こ
の最終焼鈍は(110)  (001)方位の2次再結
晶粒を十分に成長発達させ、同時に鋼中のS % S 
e 、N等の不純物元素を除去純化する目的で施され、
通常は箱焼鈍により1000℃以上の高温に直ちに昇温
しで行われる方法が採用されているが、本発明の効果を
より発揮させるためには、特公昭51−13469号公
報で提案されている820〜900℃の温度範囲で2次
再結晶を十分に発達させる保定をおこない、次いで11
00℃以上の高温において不純物除去する純化焼鈍を施
す方法が有効であり推奨される。
(実施例) 実施例I CO,054%、  Si  3.25  %、   
1Iln  0.06%、   SeO,023%、お
よびSb O,02%を含み、残部実質的にFeよりな
る組成を有する多数の熱延板をそれぞれ950℃、2分
間の焼鈍後、酸洗して第1回冷延により中間板厚1.(
b++とじた。中間焼鈍は1000℃・2分間保持とし
て、続く冷却過程は770〜300℃間の冷却所要時間
を15秒または60秒となし、次いで300℃〜150
℃間の冷却所要時間を15秒または50秒となして冷却
した。ついで、圧下率70%の最終冷延により板厚0.
30flに仕上げ、湿水素雰囲気中830℃、3分間の
脱炭焼鈍を施し、MgOスラリー塗布後、最終焼鈍は昇
温過程の830℃で50時間保定した後、引続き120
0℃、10時間の純化焼鈍を施して一方向性珪素鋼板の
成品を得た。
これらの成品の磁気特性を表1に示す。同表より本発明
により製造された本発明例の成品は比較例のそれに比較
して磁気特性が優れたいることが判った。
表   1 実施例2 CO,049%、 St 3.30%、 Mn O,0
8%、  S O,025%、 Sb O,029%を
含み、残部実質的にFeよりなる組成を有する2、2鶴
厚の熱延板を、930 ’C,25分間の焼鈍後酸洗し
、0.65+n厚に中間冷延した後、980℃、2分間
の中間焼鈍に続く冷却過程で770〜100℃間の冷却
所要時間を12秒または55秒となし、次いで200℃
で30秒間の時効処理を施したものと、時効処理をしな
いものを引続き、圧下率65%の最終冷延により板厚0
.23mに仕上げ、湿水素雰囲気中830℃、3分間の
脱炭焼鈍を施し、MgOスラリー塗布後、最終焼鈍は昇
温過程の845°Cで55時間保定した後、引続き12
00℃、10時間の純化焼鈍を施して一方向性珪素鋼板
の成品を得た。
これらの成品の磁気特性を表2に示す。同表より本発明
により製造された本発明例の成品は比較例のそれに比較
して磁気特性が優れていることが判った。
表2 実施例3 CO,051%、 Si 3.25%、 Mn O,0
85%、  S O,021%、 Se O,019%
、 Sb O,026%を含み、残部実質的にFeより
なる組成を有する2、0鶴厚の熱延板を、950℃、2
分間の焼鈍後酸洗し、0.70fl厚に中間冷延した後
、1000℃、1分間の中間焼鈍後、引続く冷却過程で
770〜300℃間の冷却所要時間を10秒または50
秒となし、次いで300〜150℃間の冷却所要時間を
18秒または50秒となして冷却した。
引続き圧下率67%の最終冷延により板厚0.23mに
仕上げ、湿水素雰囲気中830℃、3分間の脱炭焼鈍を
施し、MgOスラリーを塗布後、最終焼鈍は840℃、
60時間保定し、引続き1200℃、 10時間の純化
焼鈍を施して一方向性珪素鋼板の成品を得た。
これらの成品の磁気特性を表3に示す。同表より本発明
により製造された本発明例の成品は比較例のそれに比較
して磁気特性が優れていることが判った。
表3
【図面の簡単な説明】
第1図は、中間焼鈍後急冷し時効処理を施した時の時効
処理時間とB1゜値および炭化物析出サイズとの関係を
示す図、 第2図は(A−1)は中間焼鈍後本発明方法により急冷
し、時効処理200℃、10秒を施した試料の結晶粒内
の炭化物析出状態を基す電子顕a鏡写1(xt万倍)、
同図(A−2)は前記試料の脱炭焼鈍後で最終焼鈍前の
1次再結晶集合組織を示す(20Q)極点図、同図(B
−1)は中間焼鈍後従来方法により標準冷却した試料の
結晶粒内の炭化物析出状態を示す電子顕微鏡写真(×1
万倍)、同図(B−2)は上記試料の脱炭焼鈍後で最終
焼鈍前の1次再結晶集合組織を示す(200)極点図、 第3図は、中間焼鈍後冷却に際し770〜100℃間の
冷却所要時間と磁気特性との関係を示す図、第4図は、
中間焼鈍後急冷し時効した時の時効条件と炭化物析出サ
イズとの関係を示す図、第5図は、中間焼鈍後冷却に際
し、770〜300℃間は急冷し、300〜150℃間
の冷却所要時間を変化させた時の炭化物析出サイズに及
ぼす冷却条件と影響を示す図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1、C0.02〜0.10%、Si2.5〜4.0%、
    Mn0.03〜0.15%、S、Seの何れか1種また
    は2種とSbを合計量で0.008〜0.080%含み
    、残部実質的にFeよりなる珪素鋼素材を熱延し、75
    0〜1100℃の中間焼鈍を挟む2回冷延を施し、前記
    2回冷延のうちの最終冷延圧下率を40〜80%として
    最終板厚に仕上げ、次いで脱炭焼鈍と最終焼鈍が施され
    てなる一方向性珪素鋼板の製造方法において、前記中間
    焼鈍後の冷却に際し770〜100℃間の温度範囲を3
    0秒以内で急冷し、直ちに150〜250℃の温度にお
    いて2〜60秒間の時効処理を施した後、最終冷延を施
    すことを特徴とする磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板
    の製造方法。 2、C0.02〜0.10%、Si2.5〜4.0%、
    Mn0.03〜0.15%、S、Seの何れか1種また
    は2種とSbを合計量で0.008〜0.080%含み
    、残部実質的にFeよりなる珪素鋼素材を熱延し、75
    0〜1100℃の中間焼鈍を挟む2回冷延を施し、前記
    2回冷延のうちの最終冷延圧下率を40〜80%として
    最終板厚として仕上げ、次いで脱炭焼鈍と最終焼鈍が施
    されてなる一方向性珪素鋼板の製造方法において、前記
    中間焼鈍後の冷却に際し770〜300℃間の温度範囲
    を20秒以内で急冷し、次いで300〜150℃間の温
    度範囲を8〜30秒間で冷却した後最終冷延を施すこと
    を特徴とする磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011158519A1 (ja) 2010-06-18 2011-12-22 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

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