JPS6324130Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 産業上の利用分野 この考案はオープンエンド精紡機におけるセパ
レータへの繊維巻付防止装置に関するものであ
る。

従来の技術 一般に、オープンエンド精紡機においては、第
７図に示すようにスライバ供給部１から供給され
たスライバＳがスピニングボデイ２内に設けられ
たコーミングローラ３により分繊され、高速回転
するロータ４の内部へ連通するようにスピニング
ボデイ２に形成された繊維輸送チヤンネル５を通
つて流入空気とともにロータ４内へ輸送される。
そして、ロータ４内へ輸送された繊維はロータ４
の最大内径部の収集面６に収集され、引き出しロ
ーラ７の作用によりネーブル部８ａを有するセパ
レータ８の中心に設けられたガイド孔９から加撚
されつつ引き出され、ボビンにパツケージＰとし
て巻き取られるようになつている。

セパレータ８は繊維輸送チヤンネル５を通つて
ロータ４内へ輸送されてくる繊維が、前記収集面
６から引き離されてガイド孔９から引き出されつ
つある糸Ｙに巻き込まれるのを防止する作用をな
すが、従来のセパレータ８は第７図に示すように
前記繊維輸送チヤンネル５の出口部５ａが形成さ
れるとともにロータ４の蓋の役割をはたすチヤン
ネルボス部１０のロータ中心と対応する位置に小
径の軸部８ｂにより固定されているため、高速回
転するロータ４の回転につれてセパレータ８の背
面とチヤンネルボス部１０との間に空気の流れが
発生し、かつうず流も発生する。そのため出口部
５ａからロータ４内に輸送された繊維が軸部８ｂ
に巻付き、糸切れが生じて生産性が低下するとい
う問題がある。この問題点を解消するため昭和46
年９月30日公告の実公昭46−28276号公報には第
９図に示すようにセパレータ８の背面とチヤンネ
ルボス部１０との空間を出口部前方を除いてピー
ス１１により埋めた構成が提案されている。この
ようにセパレータ８の背面とチヤンネルボス部１
０との空間を出口部前方を除き、他の部材で埋め
た場合には繊維の巻付きは解消するが、繊維輸送
チヤンネル５の出口部５ａを通過する旋回流Ａが
なくなる。このため繊維輸送チヤンネル５の出口
部５ａからロータ４内に送り込まれた繊維がロー
タ４内の旋回流Ｂにうまく乗れないため繊維の姿
勢が乱れ、折れ曲つた状態で収集面６に付着する
ものが増え、糸強力が低下するという問題があ
る。

考案が解決しようとする問題点 この考案が解決しようとする問題点は前記セパ
レータの軸部に対する繊維の巻付き及び繊維輸送
チヤンネル出口部付近における繊維の姿勢の乱れ
に起因する紡出糸の糸強力の低下である。

考案の構成 問題点を解決するための手段 この考案は前記問題点を解決するため、繊維輸
送チヤンネルの出口部がセパレータの背面と対向
して形成されるとともに、ロータの蓋の役割をは
たすチヤンネルボス部と前記セパレータの背面と
の空間を、ロータ軸心を中心軸としない形状の充
填部材により、少なくとも前記出口部上方及びそ
の前後両側を除いて埋めたことをその要旨とする
ものである。

作 用 この考案においてはロータの回転により生じる
旋回流は繊維輸送チヤンネルの出口部後方から前
方へとスムースに流れているため、ロータ内の吸
引作用により繊維輸送チヤンネルからの空気流と
ともに出口部からロータ内へ送り込まれた繊維は
出口部後方から前方へと流れる旋回流にスムース
に乗り、姿勢が乱れることなく繊維収集面へと案
内される。又、チヤンネルボス部とセパレータの
背面との空間を埋めるための充填部材がロータ軸
心を中心軸としない形状に形成されているため、
充填部材の周囲に生じる旋回流はロータ軸心から
最も離れた地点においてロータ壁と充填部材周面
との間隔が小さくなつて、流速が最も速くなり他
の部分ではそれより遅いため、前記旋回流ととも
に移動する繊維は旋回流の流速が最も速くなつた
地点では確実にロータ周面へと移行し、するため
充填部材に巻付くことはない。

実施例 次にこの考案を具体化した一実施例を第１〜５
図に従つて説明する。この考案の装置においては
セパレータ８部分の構成が前記従来装置と異なつ
ており、その他の部分の構成は従来装置と同様で
あり同一部分は同一符号を付して説明を省略す
る。繊維輸送チヤンネル５の出口部５ａはセパレ
ータ８の背面と対向するようにチヤンネルボス部
１０の上面に開口されている。セパレータ８には
セパレータ８の背面とチヤンネルボス部１０との
空間を、前記出口部５ａ上方及びその前後両側を
除いて埋めるための充填部材１２が一体に形成さ
れいる。第２，３図に示すように充填部材１２は
円柱の外周面を繊維輸送チヤンネル５の長手方向
に沿つて切欠いた状態に形成されている。

このように構成された装置においては第４図に
示すように、繊維輸送チヤンネル５からロータ４
内へ流れ込む空気流によつて搬送された繊維はロ
ータ４内に生じている出口部５ａの後方から前方
へ向かつて流れる旋回流Ａにスムースに乗り、繊
維の姿勢が乱れることなくロータの収集面６へと
移動する。この充填部材１２の外周は繊維長より
も十分長いため繊維が巻付くことはない。

又、第５図に示すように充填部材１２で埋める
部分を少なくし充填部材１２の外周が短くなつた
場合にも、充填部材１２はロータ軸心を中心軸と
しない形状に形成されているため、ロータ軸心か
ら最も離れた地点の充填部材１２周面とロータ４
壁面との隙間が他の部分より小さくなつて旋回流
は同部分で最も速くなり、旋回流に乗つて移動す
る繊維のスピードも速くなるため、繊維は充填部
材１２の周面に巻付くことなくその接線方向に沿
つてロータ４の壁面へと移動する。

なお、この考案は前記実施例に限定されるもの
ではなく、例えば、第６図に示すように充填部材
１２をセパレータ８と別体に形成しセパレータ８
の軸部８ｂを充填部材１２の嵌合孔１２ａに嵌合
するように構成してもよい。セパレータ８と充填
部材１２とを別体に形成した場合には形状の異な
る多数の充填部材１２を用意しロータ４の回転ス
ピードに適合した充填部材１２を選択することが
可能となる。

考案の効果 以上詳述したように、この考案によればロータ
内に輸送された繊維のセパレータ軸部に対する巻
付きによる糸切れが確実に防止され生産性が向上
するとともに、ロータ内に輸送された繊維の姿勢
が乱れることがないので糸質が低下するというこ
ともない。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図はこの考案を具体化した一実施例を
示す図であつて、第１図は要部断面図、第２図は
要部平面図、第３図は要部斜視図、第４図は作用
を説明する断面図、第５図は充填部材の形状が異
なる場合の作用を説明する断面図、第６図は変更
例を示す縦断面図、第７図は従来の装置を示す一
部破断正面図、第８図はその要部拡大図、第９図
は別の従来装置を示すセパレータ部の平面図であ
る。 ４……ロータ、５……繊維輸送チヤンネル、５
ａ……出口部、８……セパレータ、８ａ……ネー
ブル部、８ｂ……軸部、９……ガイド孔、１０…
…チヤンネルボス部、１２……充填部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 繊維輸送チヤンネルの出口部がセパレータの背
   面と対向して形成されるとともに、ロータの蓋の
   役割をはたすチヤンネルボス部と前記セパレータ
   の背面との空間を、ロータ軸心を中心軸としない
   形状の充填部材により、少なくとも前記出口部上
   方及びその前後両側を除いて埋めたことを特徴と
   するオープンエンド精紡機におけるセパレータへ
   の繊維巻付防止装置。