JPS632334Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車用シートの改良に関する。

従来、第１図および第２図に示すような、エン
ジンルームおよびタイヤハウス等を構成すべく車
室フロア２に形成された膨出部３上に運転席４お
よび助手席６が配置されたいわゆるキヤブオーバ
型バンにおいては、運転席４上の乗員が荷室８内
の荷物を取り出すときに、通常は一担車外に出て
図示しない荷室ドアを開き、荷物を取り出してい
た。ところが、荷物が大形重量物であるために、
その荷物を荷室ドアを開いて取り出さなくてはな
らない場合は止むを得ないが、小形軽量物である
荷物を荷室８から取り出すのに、その度に乗員が
車外へ出て荷室ドアを開いて取り出すのは非常に
能率が悪い不具合があつた。

そこで、天井１０を第１図に示されるものより
も高く設定すると共に膨出部３上における運転席
４および助手席６間に位置する補助席１２を取り
去り、乗員が膨出部３上の運転席４と助手席６と
の間を通つて荷室８へ入れるように構成したもの
がある。ところが、この場合乗員が運転席４上で
身体の向きを後方に変えるときにステアリングホ
イ−ル１４との干渉を避けるために、乗員は先ず
その膝部をやや後方に移動すると共に腰を若干浮
かす姿勢を取る必要があるが、通常の構造の座席
４ではその姿勢を取るのは乗員にとつて容易では
ない不具合があつた。

本考案は上記不具合を解消するために創案され
たもので、シートクツシヨンおよび同シートクツ
シヨンの後部に下部を枢着されたシートバツクか
ら成るシートと、上記シートクツシヨンにおける
前方下端部に枢着されたスライダ部材と、車体構
造部材に取付けられ上記スライダ部材をほぼ前後
方向に対してスライド自在に案内する第１ガイド
部材と、上記車体構造部材に取付けられ上記シー
トバツクをほぼ上下方向に対してスライド自在に
案内する第２ガイド部材と、上記シートクツシヨ
ン上記シートバツク及び上記スライダ部材のうち
保持機構とを具備したことを特徴とする自動車用
シートを要旨とするものである。

本考案によれば、例えば上述したように、乗員
が席上でその膝部をやや後方に移動すると共に腰
を若干浮かす姿勢を取る必要がある場合に、乗員
は、上記保持機構を解除し、上記シートバツクに
その背中もしくは腰部を押圧したままその足を運
転室フロア５に突張つて若干腰を浮かす動作をす
ることにより、上記シートバツクは上記第２のガ
イド部材に沿つて移動せしめられ、また、上記シ
ートクツシヨンは、その後部が上部シートと共に
上昇すると共に該後部の上昇に伴ないその前方下
端部に枢着された上記スライダ部材が上記第１ガ
イド部材に沿つて後方へ移動するために、乗員は
腰部の上昇と共に膝部を後方に移動した姿勢を自
動的にかつ容易に取ることができるという効果を
奏する。

以下、本考案の一実施例を第３図〜第７図に従
つて詳細に説明する。なお、図中、上記第１図お
よび第２図に示される従来のものと同一もしくは
実質的に同一な部分には上記で用いたのと同一符
号を付して詳細な説明を省略する。

車室フロア２に形成された膨出部３上にはアジ
ヤスタ２０のロアレール２２が固定されている。
同アジヤスタ２０のアツパレール２４にはブラケ
ツト２６および２８を介して第１フレーム３０が
固着されている。同第１フレーム３０に取付けら
れた軸３２に回転自在に支持されたローラ３４に
よりスライダ３６が膨出部３の上面とほぼ平行に
かつ前後方向に案内されている。なお、第１フレ
ーム３０及びローラ３４は第１ガイド部材をなす
ものである。同スライダ３６に固着されたブラケ
ツト３８には、同スライダ３６の上方に位置する
シートクツシヨン４０を支持するシートクツシヨ
ンフレーム４２の下面前端部に固着されたブラケ
ツト４４がピン４６により枢着されている。シー
トクツシヨンフレーム４２の後部に一体に形成さ
れた支持部４８には、シートバツク５０を支持す
るシートバツクフレーム５２の下部がピン５４に
より枢着されている。第１フレーム３０の後部に
固着されたブラケツト５６には、シートバツク５
０と大体平行に配設される第２フレーム５８の下
端部がピン５４と同一軸線上に配置されるピン６
０により枢着されている。ブラケツト５６に固定
されたピン６２は第２フレーム５８の下端部６４
に当接して同第２フレーム５８の後傾角度を規制
せしめている。また、支持部４８にはロツクピン
６６が固定されると共に、ブラケツト５６に同ロ
ツクピン６６に係脱自在なロツクレバー６８が軸
支されており、同ロツクレバー６８は図示しない
が第３図において弾性部材により時計方向に回動
するように付勢され、同ロツクレバー６８がロツ
クピン６６に係合することにより、シートクツシ
ヨンフレーム４２がピン４６を中心として回動す
ることを規制せしめている。なお、ロツクピン６
６及びロツクレバー６８はロツク機構をなすもの
である。第２フレーム５８に固着されたガイドレ
ール７０には、シートバツクフレーム５２に固着
されたブラケツト７２に軸支されたローラ７４が
案内せしめられている。なお、第２フレーム５８
及びガイドレール７０は第２ガイド部材をなすも
のである。

次に、上記構成から成るシート７６の作動につ
いて説明する。同シート７６は、通常使用時第３
図に実線で示されるように、ロツクレバー６８を
ロツクピン６６に係合せしめてシートクツシヨン
４０と共にシートバツク５０を固定せしめ、着座
した乗員の体重を支えるもので、また、ロツクレ
バー６８をロツクピン６６から外して第３図に２
点鎖線で示すようにシートバツク５０をガイドレ
ール７０に沿つて上方に移動することにより、シ
ートクツシヨン４０もその後部が上昇すると共に
その前方下端部に枢着されたスライダ３６が後方
移動せしめられるものである。

したがつて、本実施例によるシート７６を第７
図に示すように、天井１０ａが第１図に示す通常
のキヤブオーバ型バンの天井１０よりも高く設定
された自動車の運転席に採用すれば、符号８０で
示す乗員が着座した状態から符号８２で示すよう
に膨出部３上のシート７６の横を通つて荷室８へ
移動するために、同シート７６上で身体の向きを
後方に変えるときは、乗員が、第３図におけるロ
ツクレバー６８をロツクピン６６から外して第７
図に符号８４で示すようにその背中もしくは腰部
を押圧したままその足を運転室フロア５に突張つ
て若干腰を浮かすことにより、シートバツク５０
が上昇すると共に、シートクツシヨン４０はその
後部がシートバツク５０と共に上昇しその前部は
スライダ３６と共に後方へ移動し、乗員は腰部の
上昇と共に膝部を後方に移動した姿勢を自動的に
かつ容易に取ることができるので、ステアリング
ホイール１４と干渉することなくシート７６上で
身体の向きを後方に変えることができるという効
果を奏する。

なお、上記実施例においてシート７６は通常の
ものよりも高い天井１０ａを有するキヤブオーバ
型バンに用いられているが、この天井１０ａより
もやや低い天井を有する自動車にも、多少窮屈で
はあるが用いることができ、また第２図に示すよ
うに運転席４と助手席６との間に補助席１２があ
る場合でもそのシートバツクを前へ倒せば、同シ
ートバツクの上を乗り越えて荷室８へ移動するこ
とができ、更にキヤブオーバ型のバンのみなら
ず、キヤブオーバ型ワゴンあるいはその他の自動
車にも用いることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のキヤブオーバ型バンの一例を示
す側面図、第２図は同キヤブオーバ型バンの平面
図、第３図は本考案の一実施例を示す側面図、第
４図は同第３図のシート７６のブラケツト２６、
シートクツシヨン４０およびシートバツク５０を
除いた状態における正面図、第５図は第３図にお
けるシートバツク５０、シートバツクフレーム５
２および第２フレーム５８を除いた状態における
平面図、第６図は第５図におけるシートクツシヨ
ンフレーム４２を除いた平面図、第７図は本考案
の上記一実施例に係るシート７６の一使用態様を
示す側面図である。 ２０……アジヤスタ、３０……第１フレーム、
３４……ローラ、３６……スライダ、４０……シ
ートクツシヨン、４２……シートクツシヨンフレ
ーム、５０……シートバツク、５２……シートバ
ツクフレーム、５８……第２フレーム、７０……
ガイドレール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンおよび同シートクツシヨンの
   後部に下部を枢着されたシートバツクから成るシ
   ートと、上記シートクツシヨンにおける前方下端
   部に枢着されたスライダ部材と、車体構造部材に
   取付けられ上記スライダ部材をほぼ前後方向に対
   してスライド自在に案内する第１ガイド部材と、
   上記車体構造部材に取付けられ上記シートバツク
   をほぼ上下方向に対してスライド自在に案内する
   第２ガイド部材と、上記シートクツシヨン、上記
   シートバツク及び上記スライダ部材のうち少なく
   とも一つの車体構造材に対する変位を禁止して上
   記シートを正規位置に保持するロツク機構とを具
   備したことを特徴とする自動車用シート。