JPS63227724A - ステンレス鋼管等の残留応力改善方法 - Google Patents

ステンレス鋼管等の残留応力改善方法

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JPS63227724A
JPS63227724A JP5917187A JP5917187A JPS63227724A JP S63227724 A JPS63227724 A JP S63227724A JP 5917187 A JP5917187 A JP 5917187A JP 5917187 A JP5917187 A JP 5917187A JP S63227724 A JPS63227724 A JP S63227724A
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stainless steel
main pipe
heating
chromium
temperature
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JP5917187A
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Hitoshi Nakamura
均 中村
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Original Assignee
IHI Corp
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D6/00Heat treatment of ferrous alloys
    • C21D6/004Heat treatment of ferrous alloys containing Cr and Ni

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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、ステンレス鋼管等の残留応力改善方法に係わ
り、特に、ステンレス鋼等からなる母管部の溶接継手や
、母管部に他の金属部材を取り付けている溶接継手近傍
の残留応力を改善する方法に関するものである。
「従来の技術」 一般に、金属材料、例えば原子力や化学プラント等に多
用されているオーステナイト系ステンレス鋼等において
は、引っ張り応力と腐食因子とが共存する場合に、腐食
割れが急速に進行することが知られている。
従来、オーステナイト系ステンレス鋼管の残留応力を改
善する場合には、鋼管の中に冷却水を挿通させながら鋼
管を誘導加熱して、母W部壁の内外面に降伏点以上の熱
応力が生じる温度差を与え、鋼管の継ぎ目等の溶接部付
近の内面に、残留圧縮応力を発生させた状態とする応力
改善方法が考えられている。
「発明が解決しようとする問題点」 しかしながら、このような方法は、オーステナイト系ス
テンレス鋼管が直管等の単純な形状である場合には適用
可能であるが、ステンレス鋼からなる母管部の内面に、
サーマルスリーブを溶接部によって取り付けているよう
な二重管構造であると、母管部の板厚とサーマルスリー
ブの基部とを合わせた厚さ寸法が、母管部自身の厚さ寸
法より著しく大きくなるため、前述したように母管部を
誘導加熱した場合に、母管座壁の温度分布が不均一にな
る現象や、温度差によって発生する応力の大きさや向き
が、目的とする値から外れる現象が発生すると考えられ
る。
また、オーステナイト系ステンレス鋼管における溶接部
近傍の組織は、溶接熱によって組織の一部が鋭敏化した
状態となっていることもあり得ると考えられるので、前
述した残留応力改善処理をサーマルスリーブの基部の近
傍で実施すると、悪影響を及ぼしてしまうおそれもある
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すること
を目的とするものであり、ステンレス鋼等からなる母管
部自身の溶接部や、母管部と他の管の溶接部の近傍にお
ける組織の改善と、溶接部近傍の残留応力改善とを相乗
させた状態で行なうようにしているものである。
「問題点を解決するための手段J 第1の発明は、ステンレス鋼等からなる母管部とその内
面、に溶接されている金属部材とを気体雰囲気において
、この気中雰囲気を保持したまま母管部を加熱して、金
属部材との溶接部近傍の組織中をクロム炭化物の安定化
状態とした後、金属部材の溶接部近傍における母管部の
内面に冷却水を存在させた状態として母管部を加熱し、
母管部の内外面に降伏点以上の熱応力が生じる温度差を
与えるようにしているものである。
また、第2の発明は、母管部が低合金鋼管と溶接部によ
って連結されている場合に、低合金鋼の温度を靭性低下
温度以下に維持しながら、第1の発明による処理を実施
するものである。
「作用」 気中雰囲気において、母管部の内面に金属部材を取り付
けている溶接部の近傍を加熱すると、熱が母管部及び金
属部材中を伝達し易く、各部分が平均的に加熱されて温
度むらが少なくなる。加熱温度を高く設定すると、組織
中の結晶粒内及び粒界でクロム炭化物の成長が進み、成
長が停止した状態となることによって、クロム量の均一
化現象が起こり、クロム炭化物の安定化状態となる。
次いで、母管部の内面に冷却水を送り込む等の冷却水を
存在させた状態としておいて、前述した安定化のための
温度よりも低い温度で、母W部を加熱し、母管座壁の内
外面に降伏点以上の熱応力が生じる温度差を与えた後、
自然放置等により冷却すると、母管部の内面に圧縮の応
力を付与し得るものとなる。一方、母管部の内面でかつ
加熱範囲であっても、金属部材の存在によってこのよう
な残留応力改善処理がなされない部分、または引っ張り
応力が残留する部分も生じる可能性がある。
しかし、この場合においても、金属部材を取り付けてい
る溶接部の近傍の各内面は、クロムが組織の粒内に均一
に分布した安定化状態とされているので、例えば引っ張
り残留応力と腐食因子とが両方存在するときでも、応力
腐食割れ等の現象が抑制されるものである。
また、クロム炭化物の安定化を図るための加熱時に、低
合金鋼の部分の温度を靭性低下温度以下に維持すること
によって、低合金鋼管の強度を損なうことなく、母管部
の内面の必要する部分に、圧縮の残留応力を付与した状
態とすることができる。
「実施例」 以下、本発明に係るステンレス鋼管等の残留応力改善方
法を、沸騰水型原子炉における冷却水再循環系の入りロ
ノズルの部分に適用した一実施例について、第1図ない
し第7図に基づいて説明する。
図中符号1は原子炉圧力容器、符号2は冷却水再循環系
、符号3は再循環水ポンプ、符号4は入り口配管、符号
5は原子炉圧力容器lと一体に形成されている入りロノ
ズル、符号6は入り口配管4と入りロノズル5と間に配
設される二重管構造のセーフエンド、符号7及び符号8
は二重管構造部分の外管(以下母管部という )及び内
管(以下サーマルスリーブという)、符号A−B−Cは
溶接部、符号9はサーマルスリーブ8に接続されている
ライザ管、符号IOはライザ管9から噴出された流体に
よって駆動されるジェットポンプ、符号11は内外管7
・8の間に形成される筒状中空部である。
また、第1図において、符号12ないし符号14は、発
明の実施に使用される機器類で、符号12は高周波電流
をコイルに流すことによって、溶接部Aから外方に若干
離間した位置からサーマルスリーブ8の基部から外方に
若干離間した位置までの範囲の母管部7を、外側から誘
導加熱するための第1の加熱手段であり、筒状中空部1
1が気中雰囲気である場合に作動される。符号13は高
周波電流をコイルに流すことによって、第1の加熱手段
I2よりも相対的に低い温度で、広範囲の母管部7を加
熱するための第2の加熱手段であり、母管部7の内部が
冷却水の充満状態となっている場合に作動される。符号
14は筒状中空部IIの中に冷却水を噴出させて流水状
態とするための給水ノズルであり、第2の加熱手段13
の作動時に必要に応じて使用される。
なお、第2図において、符号15は炉心、符号16は制
御棒駆動機構、符号17は制御棒、符号18は気水分離
器、符号19は蒸気発生器、符号20は主蒸気出口、符
号21は給水入り口を示している。
さらに、第3図において、二重管部を構成している各部
について、母管部7である■の部分はステンレスIt(
SUS304)、入りロノズル5である■の部分は低合
金鋼、■の部分はステンレスクラッド、■の部分はステ
ンレス肉盛溶接金属、溶接部Bはステンレス溶接金属、
サーマルスリーブ8はステンレス鋼(SUS304  
)、溶接部Cの部分はステンレス溶接金属から構成され
ており、各部の寸法は、図示しである通りである。
なお、一部の仕様を列記すると、 サーマルスリーブの平均半径:134.6n+l11サ
ーマルスリーブの厚さ:5.1+n+aである。
第1図ないし第3図に示したように、母管部7とサーマ
ルスリーブ8との部分がステンレス鋼から形成されてい
ると、溶接部A−B−Cの形成時の溶接熱によって、溶
接部A−B−Cの近傍位置には、オーステナイト組織の
一部が鋭敏化して、腐食発生が起こり易くなる鋭敏化域
i〜鋭敏化域1vが発生し得゛ると考えられる。
これら鋭敏化域1〜鋭敏化域ivについて検討すると、
原子炉冷却水と直接接触する接液部である部分は、腐食
因子と鋭敏化域とが共存することになるため、腐食発生
が起こり得る可能性を有している。
このうち、単管構造となっている溶接部Aの近傍の鋭敏
化域iにおける内面部分については、従来技術に準じた
誘導加熱による残留応力改善処理を施すことによって応
力改善を行なうことができ、また、二重管構造となって
いる溶接部Bの近傍の鋭敏化域iiにおける内面部分に
ついても、筒状中空部11の冷却水を適宜循環させるこ
とによって、上記に準じて応力改善を行ない得るものと
なるが、他の鋭敏化域iiiと鋭敏化域ivとの部分に
ついては、萌述したように、サーマルスリーブ8の基部
の存在によって、熱伝達性が良好で温度を上昇させるこ
とが困難であるとともに、加熱時の変形が妨げられる可
能性もあり、有効な残留応力改善処理を実施することが
できない場合−もaり得る。
そこで、鋭敏化域iiiにおける内面に面した部分と、
鋭敏化域ivにおけるサーマルスリーブ8の両面に面し
た部分については、クロム欠乏層の除去によって、接液
部の鋭敏化域を消滅させた状態として、腐食因子が存在
しても応力腐食割れ等の欠陥が生じないようにしておく
ものである。
この場合のクロム欠乏層の消滅範囲を、第2の誘導加熱
による残留応力改善処理の範囲内に設定するとともに、
クロム欠乏層の除去工程によって新たな鋭敏化域が発生
することも予測して、残留応力改善処理を組み合わせ状
態で実施するものである。
以下、処理工程の順に説明する。
[二重管部の排水工程] 第1図(a)に示す二重管構造となっている部分につい
て、原子炉運転開始後における補修作業の場合であると
、セーフエンド6の内部における単管部分と筒状中空部
11との原子炉−冷却水を除去し、気体雰囲気(大気中
雰囲気等)とする。この場合、第2図に示すように、運
転時水位OLを補修時水位WLまで下げることによって
、冷却水再循環系2における入り目配管4、ライザ管9
の中等を、サイホン現象の消失等によって気体雰囲気に
すると、サーマルスリーブ8の内部も気体雰囲気にする
ことができる。
また、筒状中空部11には、原子炉冷却水が入り込んだ
ままの状態で残されるので、さらに、原子炉冷却水の水
位を下げるか、あるいは、後述するように、筒状中空部
11に空気または熱風を送り込むことによって、筒状中
空部11の奥、つまり、サーマルスリーブ8の基部近傍
を気中雰囲気に維持するようにする。
[クロム欠乏層の除去工程コ 第1図(a)に示すように、溶接部A−Hの間で、溶接
部Aから若干離間するとともに、主として溶接部Cの外
側に位置する母管部7の外表面に、第1の加熱手段12
を配し、また、前述したように、二重管構造となってい
る母管部7の内部を気体雰囲気にした状態を保持してお
いて、第1の加熱手段12の作動により、母管部7を比
較的狭い範囲りで加熱する。
く加熱条件〉 クロム欠乏層の除去工程における加熱条件は、後述する
第4図に示す実験結果等に基づく理由によって、例えば
800℃、1時間以上とする。
水を抜いた状態、つまり中空状態で母管部7を加熱する
と、第1の加熱手段12の加熱範囲りの熱が、母管部7
の管壁を経由して外表面から内部に伝達するとともに、
溶接部Cを経由してサーマルスリーブ8にも伝達し、こ
の熱伝達の途中で熱が逃げにくく、鋭敏化域iii及び
鋭敏化域ivが約800℃の高温で加熱され、クロム欠
乏層が消滅した安定した状態となる。
また、加熱範囲りは、入り目配管4の方向には制限が少
ないが、入りロノズル5の方向には次の設定を行なう。
つまり、入りロノズル5は、前述したように、低合金鋼
で形成されているた・め、靭性低下温度以下、600℃
以下に維持するように、第1の加熱手段12の大きさを
決定する。
く鋭敏化域発生の可能性〉 加熱範囲りを800℃に維持した場合において、常温と
なっている部分との間には、溶接部A−B−rs  /
N  X< cP: nb  M  伽ev  m  
&k  /I’%  鳳< 1111 1.  rM 
 m  r−m ea tlR7の組織が加熱されるこ
とによって、新たな鋭敏化域イロハが発生する可能性を
有している。これらの鋭敏化域イロハの処理については
後述する。
[残留応力改善処理] く母管部への冷却水の供給〉 クロム欠乏層の除去工程後に、気体雰囲気とされていた
母管部7の内部に、原子炉冷却水を充満させる(例えば
原子炉圧力容器1の中に運転時水位OLまで原子炉冷却
水を注入する)と、母管部7の内部と筒状中空部11と
に冷却水が満たされる。そして、母管部7の加熱に先立
って、第1図(b)の矢印で示すように冷却水に流れを
生じさせておくことが望ましい。流れを生じさせておか
ない場合、筒状中空部11が小さな間隙によって形成さ
れていると、筒状中空部11の中に存在している冷却水
は、サーマルスリーブ8の中に生じる水流によってほと
んど干渉されなく、自然対流を生じにくいので、滞留状
態のまま維持されてしまう場合があると考えられる。
〈部分水流の発生〉 そこで、筒状中空部11に細い給水ノズルI4の先端を
挿入して、サーマルスリーブ8の基部、溶接部Cに向け
て、筒状中空部11に満たされている冷却水の中に、第
1図(b)に左向きの矢印で示すように、部分水流を噴
出させる。この部分水流は、サーマルスリーブ8の基部
に当たって広がるため、円周方向に沿う流水が形成され
る。
く母管部の加熱〉 このように、母管部7の中と筒状中空部11とに、冷却
水が流れている状態としておいて、誘導加熱コイルに高
周波電流を流す等により、第2の加熱手段13を作動さ
せ、前記第1の加熱範囲りを覆うように、例えば溶接部
A−Bの外側に及ぶ第2の加熱範囲Mを設定して、主と
して入り目配管4、母管部7、入りロノズル5を加熱す
る。母管部7等を加熱すると、管壁内部の温度が上昇す
るとともに、空気雰囲気にある外表面温度が高く、冷却
水に接している内面温度がこれよりも低くなる温度分布
となる。
く温度差の発生〉 このとき、第2の加熱手段13による母管部7の外表面
温度を、内面と大きな差(例えばオーステナイト系ステ
ンレス鋼の場合、200℃以上)が生じるように加熱条
件を設定すると、母管部7等の管壁に厚さ方向の温度差
を付与して、母管部7の管壁に降伏点以上の熱応力を発
生ずることができる。
く応力の発生〉 このように、200℃以上の温度差を付与して、第2の
加熱範囲Mに降伏点を越える応力を発生させる加熱をし
ばらくの間続行してから、第2の加熱手段13を停止さ
せ、以下、自然放置により常温に戻す。また、冷却時間
の経過とともに、冷却水及び入り目配管4、入りロノズ
ル5への熱伝達により、母管部7は、はぼ均一な温度、
例えば冷却水の温度(常温)に戻る。このような冷却後
の状態において、処理対象部分である母管部7と溶接部
A−Bとの内面に、圧縮残留応力を付与した状態とする
ことができるものである。
[温度と粒界クロム炭化物の関係コ オーステナイト系ステンレス調にあっては、溶接熱影響
またはクロム欠乏層の除去工程で説明したように、オー
ステナイト系組織に高い温度を付与することによって、
その付与温度に応じて、第6図及び第7図に示すように
、粒界部分にクロム炭化物が生成されて、これが成長す
る場合が起こり得る。
固溶温度(約1000℃)以上の熱サイクルを受けて、
オーステナイト化された組織は、第5図(a)に示すよ
うに、クロム炭化物の固溶が進んで、結晶粒内にクロム
が均一に分布した状態となっており、第5図(b)に示
すように、粒界部分及び結晶粒内のクロム量がほぼ均一
となる。第4図において、実線で囲んだ範囲よりも下方
の温度範囲で使用される場合には、組織中に鋭敏化域が
発生しないので、粒界腐食の発生が起こらない。
しかし、オーステナイト系ステンレス鋼を溶接時に加熱
する等によって、第4図の実線で囲んだ範囲の処理、例
えば650℃ないし750℃程度の熱を受ける処理が行
なわれると、組織中に第6図(a)に示すように、結晶
粒及び粒界部分にクロム炭化物が成長する現象が生じ、
第6図(b)に示すように、特に粒界部分にクロムが集
積して、その近傍において部分的にクロム量が低下する
。該クロム量の低下部分が鋭敏化域となり、第4図にあ
っては実線で囲んだ部分、・で示す部分が鋭敏化域とな
って、粒界腐食発生原因となる。
また、オーステナイト系組織であるステンレス鋼をクロ
ム欠乏層の除去工程のように、第4図において、実線で
囲んだ範囲よりも上方の温度範囲の高温(約850℃前
後)で十分に熱処理した場合であると、第7図(a)に
示すように、粒界部分にクロム炭化物が次第に成長する
とともに、成長の完了によってクロムが結晶粒内を拡散
する現象が生じて、結晶粒内のクロム量の平均化が行な
われ、結果的には第7図(a)に示すように、粒界部分
においてはクロム炭化物が成長した状態、結晶粒内では
クロム量が平均化した状態となるとともに、クロム炭化
物の生成が飽和状態となって、その後に例えば650℃
程度の温度としても、新たなりロム炭化物の生成が起こ
りにくい。したがって、粒界部分の近傍において、部分
的にクロム欠乏層、つまり、鋭敏化域が発生することが
ない。
この状態は、第4図において、実線で囲んだ鋭敏化域よ
りも、上方に位置する各Oで示す部分であり、粒界腐食
が発生することがない。
[処理後の接液部の状態] 残留応力処理後の各鋭敏化域における接液部の状態につ
いて以下説明する。第1図(a)において、母管部7等
の内方及び筒状中空部11に面している部分は、接液部
分であるが、鋭敏化域i、鋭敏化域イ、鋭敏化域口及び
鋭敏化域iiの部分の内面には、残留応力改善処理によ
って、内面に圧縮応力が付与された状態となって、鋭敏
化域の有無に関係なく応力腐食割れが発生しない−よう
な改良がなされている。
また、鋭敏化域!!!s鋭敏化域iv及び鋭敏化域ハの
接液部分は、前述した理由で残留応力改善処理によって
圧縮応力状態にならない可能性を有している。しかし、
残留応力処理に先立って実施されるクロム欠乏層の除去
工程において、鋭敏化域iIi及び鋭敏化域ivにおけ
る接液表面の部分は、高温で処理することによって、ク
ロム炭化物の安定化が図られ、クロムが拡散して結晶粒
内のクロム量が平均化した状態、言い替えると、クロム
欠乏層が無くなった鋭敏化域の消滅した状態となる。
そして、クロム欠乏層の除去工程で、サーマルスリーブ
8の途中の管壁に生じた鋭敏化域ハの部分は、その後の
残留応力改善処理を実施しても、改良されないでそのま
まの状態で残される可能性を有している。この部分につ
いて検討すると、溶接部A−Hのように高圧雰囲気で使
用される部分ではなく、溶接部Cのように集中応力がか
かる部分でもなく、通常の原子炉の運転時において原子
炉冷却水の流れを入りロノズル5から離間するように導
く部分であるため、実用上、特に問題とならない。
なお、本発明においては、次の実施態様を採用すること
ができる。
(イ)クロム炭化物の安定化加熱工程において、加熱対
象範囲外である部分、例えば入りロノズルを空冷、水冷
等によって積極的に冷却すること。
(ロ)上記において、入りロノズルに熱容量の大きな金
属スリーブ等を取り付けて、熱放散性を図ること。
(ハ)第1の加熱手段の高周波電流の周波数を低くして
、発熱浸透深さを大きくすること。
(ニ)第1の加熱工程において、入りロノズルより遠い
部分を主として加熱して、熱伝達によってサーマルスリ
ーブの温度を上昇させること。
(ホ)第1の加熱工程において、母管部の中を不活性ガ
ス雰囲気で行なうこと。
(へ)第1の加熱工程における筒状中空部の水抜きを行
なうために、狭あい部に空気、不活性ガス、熱風等を送
り込んで気体雰囲気にすること。
(ト)第1の加熱工程における母管部の加熱温度をステ
ンレス鋼の強度低下温度950℃以下で運用すること。
(チ)残留応力改善処理工程における母管部の加熱時に
、ステンレス鋼部分の加熱温度を550℃以下に抑制し
て、組織中における鋭敏化域の発生を抑制すること。
(す)本発明をインコネル600等の類似する金属に適
用すること。
(ヌ)原子力発電プラント以外の二重配管に適用するこ
と。
(ル)サーマルスリーブに類似する管、内向フランジ等
の他の金属部材が母管部に取り付けられている部分に適
用すること。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明に係るステンレス鋼管等の
残留応力改善方法は、母管部を気体雰囲気で加熱して、
金属部材との取り付は溶接部近傍等をクロム炭化物の安
定状態にしておいて、その近傍の母管部等に温度差を付
与して、残留応力改善を実施するものであるから、次の
ような優れた効果を奏する。
(i)溶接熱等によって生じたクロム欠乏層に起因する
鋭敏化域を、再加熱によりクロム量が組織内において、
均一化状態となるようにするとともに、必要部分に圧縮
の残留応力を付与するようにしているものであるから、
残留応力改善処理と相まって、ステンレス鋼管における
耐応力腐食割れ性を向上させることができる。
(2)母管部の内面に金属部材が突出して、誘導加熱時
の温度上昇を妨げ、あるいは熱膨張を妨げているような
形状のIIなステンレス鋼管等において、耐応力腐食割
れ性を付与することができ、実用性が高い。
(3)母管部等の内部を水抜きして第1の加熱を行ない
、また、水を存在させて第2の加熱を行なうことにより
、改善処理を実施するものであるから、加熱を外側から
行ない得て配管を解体することを必要とせず、また、切
断、調整、再溶接等の作業が不要で、容易に実施するこ
とができる。
(4)上記により、沸騰水型原子炉の冷却水再循環系配
管に適用して、配管の解体にともなう放射線被曝を避け
ることができる。この場合、原子炉圧力容器内に冷却水
を残したまま行ない得て、被曝線量の低減を図ることが
できる。
(5)クロム炭化物の安定化工程によって、ステンレス
鋼管と低合金鋼管との間に温度勾配をつけて、低合金鋼
管等の温度を靭性低下温度以下に維持するようにしてい
るから、配管構成材の強度を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
第1図(a) (b)は本発明に係るステンレス鋼管等
の残留応力改善処理方法を沸騰水型原子炉の冷却水再循
環系における入口配管の部分に適用した一実施例の工程
を示す要部の縦断面図、第2図は第1図における冷却水
再循環系の入口配管が配設される沸騰水型原子炉の要部
の概略図、第3図は第2図に鎖線■で示す部分を拡大し
て示す改善対象箇所の詳細説゛明図、第4図はステンレ
ス鋼管の熱処理条件と鋭敏化域との関係を示すTTSg
図、第5図(a) (b)は第4図の実線で囲んだ範囲
よりも下の範囲における結晶粒と粒界近傍のクロム量と
の関係を示すモデル図、第6図(a) (b)は第4図
に・で示す状態における結晶粒と粒界近傍のクロム量と
の関係を示すモデル図、第7図(a) (b)は第4図
の実線で囲んだ範囲より上の範囲における結晶粒と粒界
近傍のクロム量との関係を示すモデル図である。 1・・・・・・原子炉圧力容器、 2・・・・・・冷却水再循環系、 3・・・・・・再循環水ポンプ、 4・・・・・・入口配管、 5・・・・・・入口ノズル、 6・・・・・・セーフエンド、 7・・・・・・母管部(外管)、 8・・・・・・金属部材(サーマルスリーブ)、9・・
・・・・ライザ管、 lO・・・・・・ジェットポンプ、 11・・・・・・筒状中空部、 12・・・・・・第1の加熱手段、 13・・・・・・第2の加熱手段、 14・・・・・・給水ノズル、 15・・・・・・炉心、 16・・・・・・制御棒駆動機構、 17・・・・・・制御棒、 18・・・・・・気水分離器、 I9・・・・・・蒸気乾燥器、 20・・・・・・主蒸気出口、 21・・・・・・給水入口、 A・・・・・・溶接部、 B・・・・・・溶接部、 C・・・・・・溶接部、 OL・・・・・・運転時水位、 WL・・・・・・補修時水位、 L・・・・・・第1の加熱範囲、 M・・・・・・第2の加熱範囲。 出願人  石川島播磨重工業株式会社 イ凋(枡晴間(h) 304fi9 (4−inch、 5ch80)すfl
iE、ilし硫sm腐食試験#釆+=zB  TTS線
図  (・;籾芥腐食あり、 o9牽辻雰りに食なし) 第7図

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (i)ステンレス鋼等からなる母管部とその内面に溶接
    されている金属部材とを気中雰囲気にする工程と、該気
    中雰囲気で母管部を加熱して金属部材との溶接部近傍を
    クロム炭化物の安定状態にする工程と、金属部材の近傍
    及び母管部の内面に冷却水を存在させた状態として母管
    部を加熱し、金属部材の溶接継手の近傍における母管部
    の内外面に降伏点以上の熱応力が生じる温度差を与える
    工程とを有するステンレス鋼管等の残留応力改善方法。 (ii)低合金鋼管に溶接により連結されたステンレス
    鋼管等の残留応力を改善する方法において、ステンレス
    鋼等からなる母管部とその内面に溶接されている金属部
    材とを気中雰囲気にする工程と、該気中雰囲気で母管部
    を加熱して金属部材との溶接部近傍をクロム炭化物の安
    定状態にするとともに、低合金鋼管の温度を靭性低下温
    度以下に維持する工程と、金属部材の近傍及び母管部の
    内面に冷却水を存在させた状態として母管部を加熱し、
    金属部材の溶接継手の近傍における母管部の内外面に降
    伏点以上の熱応力が生じる温度差を与える工程とを有す
    るステンレス鋼管等の残留応力改善方法。
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