JPS6322598Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、リードスイツチと永久磁石と感温磁
性体を用いた温度スイツチと高周波誘導加熱によ
る発熱体とを組み合わせたサーマルタイマーに関
する。

リードスイツチと永久磁石と感温磁性体とから
なる温度スイツチは、種々の動作形式のものが多
くの産業分野で使われている。第１図は常閉型
（平常時接点が閉成状態である）温度スイツチの
一例で、リードスイツチ１の外周に環状感温磁性
体２を接点部に対向させて嵌着し、その両側に環
状永久磁石３，３′を装着したものである。この
温度スイツチは外部磁界が作用したり強磁性体が
近接したりすると動作特性が変動するので注意す
る必要がある。

この温度スイツチは、第１図に一点鎖線で示す
ように抵抗発熱体４を取り付けてサーマルタイマ
ーとして実用されている。電気加熱には抵抗加熱
の外にアーク加熱、誘導加熱、誘電加熱などがあ
る。誘導加熱は交番磁界中におかれた導電性物体
に生ずるうず電流損あるいは強磁性物体に生ずる
ヒステリシス損によつて加熱され、加熱電力密度
を高くとれ加熱コイルの形により任意の局部加熱
が可能であるなどの特長がある。誘導加熱には高
い周波数の電源が必要とするが、この種の電源を
装備した機器が多くなり手近に利用し易い電源が
供給される状況にある。

本考案は、かかる事情を鑑みてなされたもので
あり、上述した温度スイツチと誘導加熱による発
熱体とを組み合わせた新規なサーマルタイマーを
提供することを目的とする。

以下、本考案の実施例について図面にしたがつ
て説明する。

第２図は本考案による一実施例の外観図であ
る。

図において温度スイツチは、リードスイツチ１
の外周に、角柱状でその中央部に貫通孔を設けた
感温磁性体５をリードスイツチ１の接点部に対向
させて嵌着している。更に感温磁性体５の短辺の
長さとほぼ同じ外径をもち軸方向に着磁された２
個の環状永久磁石３，３′を感温磁性体５の両側
に嵌着し接合した構造である。この温度スイツチ
にヒステリシス損の大きな例えば、フエライト系
の磁性材料からなるコ字状体７の閉端部に誘導加
熱コイル８を設けた発熱体６を組み合わせて成
る。この発熱体６は、コ字状体７の脚部の延在方
向がリードスイツチの軸と直角方向になると共に
両脚部の間に感温磁性体５の両端が内接するよう
に組み合わせている。

コイル８に高周波電流を印加しない平常時にお
いては、感温磁性体５の温度がそのキユリー点未
満であつて感温磁性体５が強磁性を呈しているの
で、リードスイツチ１の接点部には磁石３，３′
の外側磁極からの磁束が流れてリードスイツチ１
の接点が閉成している。

コイル８に高周波電流を印加すると、コイル８
に交番磁界が生じコ字状体７のコイル８内の部分
にヒステリシス損による発熱があり、コ字状体７
の脚部を経て感温磁性体５に熱伝導する。コイル
８に通電後一定時間（例えばＴ分）経過すると、
感温磁性体５の温度がそのキユリー点に達し常磁
性を呈するので、磁気的には第３図に示すように
感温磁性体５が存在しない状態となる。このため
磁石３，３′の内側磁極からの磁束がリードスイ
ツチ１の接点部に漏れることとなり、この磁束は
外側磁極からの磁束と打ち消し合うことにより、
リードスイツチ１の接点が開離する。

このようにコイル８に通電開始から感温磁性体
５の温度がキユリー点に達するまでの時間を設定
時間とするサーマルタイマーとなる。

設定時間はコイル８に印加する周波数、コ字状
体の飽和磁束密度などから定まる発熱量と温度ス
イツチの動作温度すなわち感温磁性体５のキユリ
ー点を選定して決めることができる。

ヒステリシス損は周波数に比例することを利用
してこのサーマルスイツチを周波数検出器とする
こともできる。

本考案の構成によれば、第２図から明らかなよ
うに、コイル８が温度スイツチに近接して設けら
れていてもリードスイツチ１の接点部や磁石３，
３′部分に流れるコイル８からの磁束はその向き
がリードスイツチ１のリードの長さ方向及び磁石
の着磁方向と直角方向であるのでリードスイツチ
１の動作は全く影響を受けない。また第３図に示
した感温磁性体５がキユリー点以上に加熱された
状態において、磁石３，３′の外周と磁性体であ
るコ字状体７の開口内縁との間に間隔ｈをおいて
いるので、磁石３，３′からコ字状体７側に流れ
る磁束は殆んどなくリードスイツチ１の動作が不
安定になることはない。

なお、コ字状体７がヒステリシス損の大きな導
電性磁性材料である場合、うず電流損とヒステリ
シス損の両者による発熱があり、第２図に示した
ような単一体ではうず電流損による表面過熱とな
るので成層体とする必要がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はリードスイツチを用いた温度スイツチ
の構造の一例を示す断面図、第２図は本考案によ
る一実施例の外観斜視図、第３図はその動作状態
を説明するための斜視図である。 １……リードスイツチ、２，５……感温磁性
体、３，３′……永久磁石、４……抵抗発熱体、
６……発熱体、７……磁性コ字状体、８……誘導
加熱コイル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リードスイツチの接点部近傍のガラス管部を取
   り囲むことのできるような貫通穴を有し所定のキ
   ユリー点を持つ角柱状の感温磁性体の前記貫通穴
   にリードスイツチを挿着し、前記リードスイツチ
   の軸と同方向の前記感温磁性体の両端にはそれぞ
   れ、永久磁石を前記リードスイツチの軸方向に磁
   極軸を合わせかつ磁極の向きを同じにして設け、
   更にヒステリシス損の大きなコ字状磁性体の閉端
   側に誘導加熱コイルを設けた発熱体をその両脚部
   で前記感温磁性体の長軸方向の両端を挟むように
   設け、前記感温磁性体は前記長軸方向の寸法を、
   同じ方向の前記永久磁石の寸法よりも大きくなる
   ようにしたことを特徴とするサーマルタイマー。