JPS632244Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は、チツプ形状が略三角形状を呈する旋
盤バイト用のスローアウエイチツプの改良に関す
るものである。

（従来の技術） 従来、この種のスローアウエイチツプは、種々
の形状のものが提供されているが、その殆どは、
ノーズ先端が単一半径の円弧で構成されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、これらのスローアウエイチツプは、
切削加工時に於ける工具損傷として、切刃部の欠
損（チツピング）が生じ易く、経済性が悪い難点
や、切削加工時にビビリ等が生じ易い難点や、被
削材の仕上面のあらさ（凹凸の最大深さ）が大き
くなり（第５図の被削材の一点鎖線部分参照）、
良好な仕上面が容易に得難い等の難点を有してい
た。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） そこで、本考案は、チツプ形状が略三角形状
で、ノーズＮ夫々のノーズ角ａが60°以上の旋盤
バイト用スローアウエイチツプＴに於いて、横切
れ刃１側のノーズｎ１の円弧状輪郭と前切れ刃２
側のノーズｎ２の円弧状輪郭とを共通の接線上で
結ぶと共に、ノーズＮ全体の輪郭を滑らかな略円
弧状となる複合曲線とし、且つ前切れ刃２側のノ
ーズ半径ｒ２の大きさを横切れ刃１側のノーズ半
径ｒ１の大きさ以上となるように構成すること
で、被削材Ｋの仕上面のあらさ（凹凸の最大深
さ）を小さくするときは、被削材Ｋに接触する前
切れ刃２側のノーズｎ２の割合が多くなるように
し、また、切削抵抗を減少させ、振動やビビリの
発生を抑制するには、被削材Ｋに接触する横切れ
刃１側のノーズｎ１の割合が多くなるようにし
て、前述の如き従来存した難点等の解消が図れる
ようにした。

（実施例） 以下、図示例について本考案を説明すると次の
通りである。

図に於いてＴはスローアウエイチツプを示し、
このスローアウエイチツプＴは、チツプ形状が略
三角形状の旋盤バイト用スローアウエイチツプで
あつて、ノーズＮ夫々のノーズ角ａを60゜以上に
設定したものである。また、横切れ刃１側のノー
ズｎ１の円弧状輪郭と、前切れ刃２側のノーズｎ
２の円弧状輪郭とを共通の接線上で結ぶ共に、ノ
ーズＮ全体の輪郭を滑らかな略円弧状となる複合
曲線とし、更に、前切れ刃２側のノーズ半径ｒ２
の大きさを横切れ刃１側のノーズ半径ｒ１の大き
さ以上となるように構成されている（第２図参
照）。

尚、横切れ刃１側のノーズｎ１の円弧状輪郭に
対する中心角は、90゜に設定する場合が標準的と
なるが、これに限定されず、被削材Ｋの形状及び
バイトＢの取付角等に応じて適宜自由に設定でき
るのは勿論のこと、ノーズＮ全体の輪郭も適宜自
由に設定できる。

ところで、第３図に示すスローアウエイチツプ
Ｔは、前述の如く構成されたノーズＮを、正三角
形の二等分線上の中心寄りに形成すると共に、横
切れ刃１及び前切れ刃２夫々を中心寄りに傾斜さ
せ、横切れ刃１と前切れ刃２との間に挟まれるノ
ーズ角ａを拡げて形成されたものである。

第４図に示すスローアウエイチツプ８Ｔは、前
述の如く構成されたノーズＮを、横切れ刃１側に
寄つた位置に形成すると共に、前切れ刃２を中心
寄りに傾斜させ、ノーズ角ａを拡げて形成された
ものである。

尚、前記ノーズ角ａは、60゜〜90゜の範囲内で適
宜自由に設定できるものであるが、ノーズ角ａを
86゜前後に設定した場合が、切刃部分の強度及び
仕上面の精度等が良好となる。

本考案は前述の如く構成されており、次にその
使用例を説明すると、第５図に示すように、スロ
ーアウエイチツプＴをホルダに装着し、適宜取付
角度にセツトして被削材Ｋを切削する。このと
き、被削材Ｋの仕上面のあらさを小さくするため
には、被削材Ｋに接触する前切れ刃２側のノーズ
ｎ２の割合が多くなるような取付角度にセツトし
て切削すれば良く、また、切削抵抗を減少させる
と共に、バイトＢ及び被削材Ｋが振動して生ずる
ビビリを抑制するためには、被削材Ｋに接触する
横切れ刃１側のノーズｎ１の割合が多くなるよう
な取付角度にセツトして切削すれば良い。

［考案の効果］ 従つて、チツプ形状が略三角形状で、ノーズＮ
夫々のノーズ角ａが60゜以上の旋盤バイト用スロ
ーアウエイチツプＴに於いて、横切れ刃１側のノ
ーズｎ１の円弧状輪郭と前切れ刃２側のノーズｎ
２の円弧状輪郭とを共通の接線上で結ぶと共に、
ノーズＮ全体の輪郭を滑らかな略円弧状となる複
合曲線とし、且つ前切れ刃２側のノーズ半径ｒ２
の大きさを横切れ刃１側のノーズ半径ｒ１の大き
さ以上となるように構成したので、ノーズＮ全体
の強度を高めることができ、切削加工時に於ける
切刃部の欠損（チツピング）が簡単に生じる虞れ
がなくなり、重切削や長時間の切削に耐えられ、
寿命が長くなり、生産性の向上に役立ち、経済性
の優れたものとなる。しかも、切削部分以外の切
れ刃が逃げるので切粉等による破損も防止でき
る。

更に、ノーズ半径ｒ１，ｒ２を大きくとること
ができて仕上面を一層良好なものとすることがで
きると共に、ノーズＮ全体を小さく形成すること
もできて切削抵抗の減少を図ることもでき、スロ
ーアウエイチツプＴとして一層優れた性能を具備
するものとなる。

特に、前切れ刃２側のノーズ半径ｒ２の大きさ
を横切れ刃１側のノーズ半径ｒ１の大きさ以上と
したので、切削加工時に於ける切削抵抗を減少さ
せ、バイトＢ及び被削材Ｋに生じるビビリ等の振
動を抑制できると共に、被削材Ｋの仕上面のあら
さ（凹凸の最大深さ）を小さくでき、被削材Ｋの
仕上面を良好なものとし、加工精度の向上が図れ
るようになる。

尚、前切れ刃２のノーズ半径ｒ２と横切れ刃１
側のノーズ半径ｒ１とを同じ大きさとしたスロー
アウエイチツプＴにあつては、ノーズＮ全体の製
作が極めて容易となる。

また、前切れ刃２側のノーズ半径ｒ２が横切れ
刃１側のノーズ半径ｒ２より大きくなるように構
成したスローアウエイチツプＴにあつては、その
取付角度を調節することで、横切れ刃１側のノー
ズｎ１と前切れ刃２側のノーズｎ２とを適宜割合
で被削材Ｋに接触せしめて切削することができる
ようになり、横切れ刃１側のノーズｎ１の割合を
多くして切削を行えば、切削抵抗が減少し、バイ
トＢ及び被削材Ｋ等に生じる振動が抑制され、前
切れ刃２側のノーズｎ２の割合を多くして切削を
行えば、仕上面のあらさを小さくすることができ
るようになる等、切削抵抗を減少させるか仕上面
を良好なものとするか適宜切削条件に応じた切削
が自在に行えるようになる。

以上説明したように本考案によれば、切刃部の
欠損（チツピング）を防止できると共に、ビビリ
等の発生を抑制でき、被削材の仕上面が良好なも
のとなり、切削工具（チツプ）として具備すべき
基本的要件となる加工精度の向上及び生産性の向
上等が図れ、しかも、構成が簡素で、製作が容易
となる等の実用上極めて有益な効果を奏するもの
となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のスローアウエイチツプの平面
図、第２図乃至第５図は本考案を示し、第２図乃
至第４図夫々はスローアウエイチツプの平面図、
第５図は使用状態を示す平面図である。 Ｔ……スローアウエイチツプ、１……横切れ
刃、２……前切れ刃、Ｎ……ノーズ、ｎ１……ノ
ーズ、ｎ２……ノーズ、ｒ１……ノーズ半径、ｒ
２……ノーズ半径、ａ……ノーズ角、ｒ……ノー
ズ半径、Ｋ……被削材、Ｂ……バイト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チツプ形状が略三角形状で、ノーズ夫々のノー
   ズ角が60゜以上の旋盤バイト用スローアウエイチ
   ツプに於いて、横切れ刃側のノーズの円弧状輪郭
   と前切れ刃側のノーズの円弧状輪郭とを共通の接
   線上で結ぶと共に、ノーズ全体の輪郭を滑らかな
   略円弧状となる複合曲線とし、且つ前切れ刃側の
   ノーズ半径の大きさを横切れ刃側のノーズ半径の
   大きさ以上となるように構成したことを特徴とす
   るスローアウエイチツプ。