JPS6320851Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は通しボルトによりエヤークリーナケー
スと一緒に内燃機関に結合される形式のフロート
気化器のエヤーベントの構造に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

汎用内燃機関ではコンパクト化のために気化器
の短小軽量化が要求され、機関の植込ボルトに気
化器の取付フランジの取付孔を通したうえ、ナツ
トを締め付けるフランジ結合方式に比べて、実開
昭53−30566号公報に開示されるように、気化器
本体を貫通するボルト挿通孔へ挿通した通しボル
トを機関の壁部へ締結する通しボルト結合方式
が、外形寸法の短縮が可能なことから多用されて
いる。

フロート室大気開放式のエヤーベント（アウタ
ベント）方式（例えば実公昭57−43071号公報参
照）は、エヤークリーナの濾過材が目詰りを生じ
ると、エヤークリーナの内圧が大気圧よりも低く
なり、気化器の混合気が過濃となつて機関不調を
招く。そこで、エヤークリーナの内部とフロート
室の内部とを連通して同圧とするインナーベント
とすれば上述の問題は解消される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案の目的は、エヤークリーナの内部とフロ
ート室と同圧通気を、通しボルトの外周隙間を利
用して簡単に実施できるフロート型気化器のエヤ
ーベント構造を提供することにある。

〔問題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案の構成はフ
ロート室の上部空間とエヤークリーナケース６の
内部空間とを、ボルト挿通孔と通しボルトとの間
の隙間と気化器本体の内部通路とにより連通した
ものである。

〔作用〕

機関本体１に対して断熱ブラケツト２、気化器
本体３およびエヤークリーナケース６が通しボル
ト８により結合される。エヤークリーナケース６
の内部はスプリングワツシヤ９の切欠１０、気化
器本体３のボルト挿通孔１１と通しボルト８との
間の隙間１１ａ、気化器本体３の通路１２，１
３，１４を経てフロート室４と連通され、これに
よフロート室４への埃などの浸入が阻止されると
ともに、濾過材７の目詰りに関係なくフロート室
４から吸気通路へ適正な燃料量が供給される。

〔考案の実施例〕

第１図において、１は機関本体、２は断熱フラ
ンジ、３は気化器本体、４はフロート室、５はフ
ロートであり、図示してない流入弁を含むフロー
ト機構により定油面が形成される。６はエヤーク
リーナケース、７はエヤークリーナの濾過材であ
る。

８は気化器本体を機関に結合する通しボルトで
あり、第２図に示すように気化器の吸気孔の左右
両側に配置される。９はスプリングワツシヤであ
り、締め付けられた状態でも切欠１０の隙間によ
りボルト挿通孔１１をエヤークリーナケース６の
内部に連通する。

１１はボルト挿通孔、１２は気化器本体３の取
付フランジに設けたエヤーベント用通路溝、１３
はフロート室４の定油面よりも上方の空間に連通
するエヤーベント用通路孔である。

本考案は上述のように構成されるので、フロー
ト室４の定油面上の空間は通路１３、溝形の通路
１２、ボルト挿通孔１１と通しボルト８との間の
隙間、スプリングワツシヤ９の切欠１０を経てエ
ヤークリーナケース６の内部に連通する。

第３図に示す実施例では、気化器本体３はこの
底部から下方へ突出する柱１６が一体に形成さ
れ、この柱１６を取り囲むようにフロート室４が
ガスケツト１５を介して気化器本体３の底部に結
合される。柱１６には環状のフロート５が案内さ
れ、この上下移動により図示してない燃料流入弁
が開閉され、燃料タンクの燃料が適時フロート室
４へ送られ、フロート室４に定油面が保持され
る。気化器本体３の内部にこの吸気通路２１（第
４図）とほぼ平行に延びる左右１対の通路１３が
設けられ、この内端部は吸気通路２１の上流側と
下流側に別れて上下方向の通路１４を経てフロー
ト室４の内部へ連通される。

第４図に示すように、気化器本体１３には吸気
通路２１と直交する円筒部３０が形成され、これ
に吸気孔２３を有するロータリ型の絞り弁２２が
移動可能に支持される。吸気通路２１の中央へ突
出する燃料ノズル２４が絞り弁２２の回転軸と同
軸に配設され、この下端部は第３図に示す柱１６
の燃料通路１７、ジエツト１８を経てフロート室
４の内部に連通される。

気化器本体３の右端部にエヤークリーナケース
６が重ね合される一方、左端部はパツキン２０、
断熱フランジ２、パツキン１９を介して機関本体
１の吸気ポートに重ね合され、これらは２本の通
しボルト８により結合される。エヤークリーナケ
ース６の端部に濾過材７が当接され、かつリブ２
８と吸気入口（図示せず）を有するカバー２９を
エヤークリーナケース６に結合して挾持される。
このような気化器の取付構造は従来例とほぼ同様
である。

本考案によれば、気化器本体３およびエヤーク
リーナケース６に通しボルト８を挿通するため
の、通しボルト８の外径よりも十分大きな内径の
ボルト挿通孔１１が設けられる。気化器本体３合
吸気通路２１の下流側端面（左端面）に吸気通路
２１の径方向へ延びる溝形の通路１２が設けら
れ、この通路１２は吸気通路２１と平行に延びる
通路１３に連通される。通路１３はフロート室４
の内部へ連通する上下方向の通路１４に連通され
る。

左右両側のボルト挿通孔１１がそれぞれ通路１
２、通路１３，１４を経てフロート室４の内部に
連通されるが、第４図において上側の通路１４は
吸気通路２１の上流側に、下側の通路１４は吸気
通路２１の下流側に配設される。

第５図に示すように、各通路１２はパツキン２
０により閉鎖される。第６図に示すように、通路
１２はボルト挿通孔１１と通路１３とを結ぶ吸気
通路２１の径方向に延びるものであるが、第７図
に示すように、気化器本体３の端面の余裕空間を
利用してボルト挿通孔１１から斜め上方へ延長
し、かつ折り返して通路１３へ連通するように、
通路１２を十分長くすることができる。このよう
な通路１２は気化器本体３のダイキヤスト加工に
より一体に形成することができる。

第４図において、ボルト挿通孔１１に挿通され
る通しボルト８の頭部とエヤークリーナケース６
との間に、切欠１０を有するスプリングワツシヤ
９と普通の環状のワツシヤ２７が介装される。

上述の構成によりエヤークリーナケース６の内
部はスプリングワツシヤ９の切欠１０、ボルト挿
通孔１１と通しボルト８との間の隙間、通路１
２、通路１３，１４を経てフロート室４の上部空
間に連通される。したがつて、フロート室４の燃
料が燃料ノズル２４へ送られ、または燃料タンク
からフロート室４へ燃料が補給されるのに伴い、
フロート室４へエヤークリーナケース６の内部の
空気が出入りし、燃料の給送および補給が円滑に
行われる。エヤークリーナケース６の空気は濾過
材７により濾過されているから、フロート室４へ
埃などが浸入するのを防止することができる。

また、濾過材７が目詰りを生じてエヤークリー
ナケース６の内部の圧力が大気圧よりも低くなつ
ても、フロート室４の内部の圧力は常にエヤーク
リーナケース６の内部の圧力と等しくなつている
ので、フロート室４から過剰な燃料が燃料ノズル
２４へ送られることがない。

〔考案の効果〕

本考案は上述のように、フロート室の上部空間
とエヤークリーナケース６の内部空間とを、ボル
ト挿通孔と通しボルトとの間の隙間と気化器本体
の内部通路とにより連通したから、従来のエヤー
ベントのように気化器本体に複雑な長孔を加工す
るものに比べて、加工が簡単で特別な部品を設け
ることもなく、コストの削減に役立つ。また、気
化器本体の肉部の厚さを必要最小限に止め、軽量
化にも役立つ。

２本の通しボルトが気化器本体の左右両側にあ
るので、気化器が左または右側へ傾斜しても片側
が常に通気状態を維持する。

通しボルトのねじ山は洩れた燃料の流れに抵抗
を及ぼし、流れを遅くするので、複雑な長孔式の
エヤーベントの場合と実質的に同効果を奏する。
特に傾斜運転されることの多い手持作業機におい
て燃料洩れを防ぐのに効果的である。

機関からの伝導熱により通しボルトは気化器本
体よりもはるかに高温となるから、ボルト挿通孔
へ燃料が洩れてもすぐに蒸発し、外部へ洩れな
い。通しボルトの外周側の隙間が広いので、蒸発
燃料によるベーパロツクが生じ難く、通気を妨げ
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るフロート型気化器のエヤ
ーベントの側面断面図、第２図は第１図の線Ａ−
Ａから見た正面図、第３図は本考案のフロート型
気化器のエヤーベント構造のより具体的な側面断
面図、第４図は同気化器本体の機関に対する取付
状態を示す平面断面図、第５図は第４図の要部拡
大図、第６図は同気化器本体の取付面の正面図、
第７図は本考案の一部変更実施例に係る第６図と
同様の正面図である。 １……機関本体、２……断熱フランジ、３……
気化器本体、４……フロート室、６……エヤーク
リーナケース、８……通しボルト、９……スプリ
ングワツシヤ、１０……切欠、１１……ボルト挿
通孔、１２……通路、１３，１４……通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フロート室の上部空間とエヤークリーナケース
   ６の内部空間とを、ボルト挿通孔と通しボルトと
   の間の隙間と気化器本体の内部通路とにより連通
   したことを特徴とするフロート型気化器のエヤー
   ベント構造。