JPH0134708Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、燃料タンクの下部に配置し気化器へ
燃料を供給する流路の通・止をバルブの回動によ
り行う燃料コツクに関する。

（従来技術） 汎用エンジンを始めとする各種内燃機関にはそ
の燃料系路として、燃料タンク、燃料コツク、気
化器、そしてエンジンがある。最近は燃料噴射装
置の使用が普及してきており、気化器を使わない
タイプが出回り始めているが、燃料タンクと燃料
コツクが使われることには変りがないと言える。
そして、通常、燃料タンクにはエアー抜き用の穴
が設けられている。これは燃料タンク自身に設け
られている場合もあれば、燃料タンクのキヤツプ
に設けられている場合もある（数量的には後者が
圧倒的に多い）。理由は、エアー抜き用の穴がな
いと、燃料タンクより燃料を供給し始めると燃料
タンク内の空間に負圧が生じて燃料がスムーズに
流れにくくなるからである。また、この空間に燃
料の蒸気圧等による正圧が生じている場合に、燃
料コツクを“通”状態にすると、この正圧による
急激な流れの燃料が気化器へ送り込まれるため、
気化器の不調が発生する危険性もあるからであ
る。

（考案が解決しようとする課題） 以上の構成である従来技術において、 エアー抜き用の穴により、燃料タンク内の空間
の容積変化あるいは圧力変化が生じても吸気ある
いは排気が行なわれるので、空間内の圧力は常に
一定であり燃料がスムーズに流れるものである。
しかしながら、このエアー抜き用の穴は致命的な
欠点を併めもつている。つまり、燃料タンクが横
転したとき（たとえば、単車の転倒、地震災害な
どによる産業機械の転倒などである）には、この
穴から燃料の流出が生じて、大きな二次災害をも
たらす危険性がある。燃料流出を防ぐために逆止
弁などを内蔵したタンクキヤツプの例もあるが、
高価な製品となつているものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は以上の課題を解決するために案出され
たものであり、 燃料タンクの下部に配置し気化器へ燃料を供給
する流路の通・止をバルブの回動により行う燃料
コツクにおいて、 バルブと嵌合するレバーに横断面形状が“Ｃ”
形となつて現われる。“Ｃ”形溝を周設するとと
もに、シートを介してコツクボデーに挿入し、 コツクボデー外部より該コツクボデー及びシー
トを貫通して前記“Ｃ”形溝に達し得る一対のブ
リーザ通路を形成し、該ブリーザ通路の一側を燃
料タンク内の燃料液面より上方の空間部に連通さ
せ、他側は大気開放とし、 気化器へ燃料を供給する流路がバルブにより止
状態となるレバー位置のときには、レバー外周面
によりブリーザ通路の片側を遮断し、 前記流路が通状態となるレバー位置のときに
は、レバーの“Ｃ”形溝により一対のブリーザ通
路が連通し、 前記流路が通状態のレバー位置から、止状態の
レバー位置には至らない一定角度の間のレバー位
置においても、レバーの“Ｃ”形溝により一対の
ブリーザ通路が連通状態になるべく該“Ｃ”形溝
の長さを設定するものである。

（作用） 以上の構成である本考案は、 気化器へ燃料を供給する流路がバルブにより止
状態となるレバー位置のときには、一対のブリー
ザ通路の片側が遮断されるため、ブリーザ通路も
止状態であり、 前記流路が通状態となるレバー位置のときに
は、一対のブリーザ通路も連通するため、燃料タ
ンク内の燃料液面より上方の空間部は一対のブリ
ーザ通路及びレバーの“Ｃ”形溝を介して大気開
放の状態となつて負圧の生じることがなく燃料の
スムーズな供給が可能となり、 前記流路が通状態のレバー位置から、止状態の
レバー位置には至らない一定角度の間のレバー位
置においても一対のブリーザ通路は連通状態であ
るため、レバーを止位置から通位置に回動する
際、前記流路がバルブにより通状態になる以前に
一対のブリーザ通路が連通状態になり、燃料タン
ク内の前記空間部に燃料の蒸気圧等による正圧が
生じていても、一対のブリーザ通路及びレバーの
“Ｃ”形溝を経て大気へ放圧されるものである。

（実施例） 以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。

コツクボデー１のバルブ挿入部にテーパー面２
５が形成されており、該テーパー面２５と同一テ
ーパーを外径とするバルブ６が挿入されており、
該バルブ６には直交するバルブ通路１５，１６が
形成されており、また、該テーパー面２５と連通
するレバー室１９は小径部２２、大径部１０の二
段構造となつており、小径部２２と大径部１０の
境界部をストツパー１２として大径部側よりシー
ト９が挿入されており、該シート９にはレバー７
が内挿され、かつ、該レバー７の先端の凸状部１
３はバルブ６上面に形成されている凹状部２０と
嵌合しており、バルブ６の回動を制御している。
該レバー７の中段外周には横断面形状が“Ｃ”形
となつて現われる“Ｃ”形溝１１が形成されてお
り、該“Ｃ”形溝１１の外周には前記シート９が
位置しており、バルブ６とレバー７の間にはバル
ブ６押圧用のスプリング２３が装着されており、
また、コツクボデー１の開口部では押えプレート
３及びガイド４がネジ３４等により螺着されてお
りレバー７の脱落を防止している。一方コツクボ
デー１の側面には、前記シート９に設けた孔３
８，３９を介して前述の“Ｃ”形溝１１へ達し得
る一対のブリーザ通路３７，３７が、該コツクボ
デー１外部より圧入したジヨイント３２，３３に
より形成されており、加えて、バルブ６下部の燃
料室１８へ通じる燃料出口３１が形成されてい
る。さらに、フランジ３０には、バルブ通路１５
へ通じる燃料通路１４を内包する燃料入口４２、
本実施例の燃料コツクをボルト及びナツトにより
燃料タンク２８に取付ける際該ボルトを挿通させ
る取付ボルト孔４０，４５がそれぞれ形成されて
いると共に、“Ｏ”リング溝４６が周設されてお
り、同時に“Ｏ”リング５が装着されている。

以上の構成において、レバー７の“Ｃ”形溝１
１の長さは、 (i) レバー７が止位置すなわちバルブ通路１５が
止状態となるときには、レバー外周面４７によ
りシート９の孔３９が閉塞される。（第２図及
び第４図） (ii) レバー７が通位置すなわちバルブ通路１５が
通状態となるときには、“Ｃ”形溝１１により
シート９の孔３８，３９を介して一対のブリー
ザ通路３７，３７が連通状態となる。（第３図
及び第６図） (iii) レバー７の位置が、通位置から、止位置には
至らない一定角度の間においても、“Ｃ”形溝
１１によりシート９の孔３８，３９を介して一
対のブリーザ通路３７，３７が連通状態とな
る。（第５図及第７図） ように設定するものである。

以上詳述した本実施例の燃料コツクを使用する
ときは、フランジ３０面を燃料タンク２８下面に
当接させ、取付ボルト孔４０，４５を介し図示し
ないボルト及びナツトを用いて固定し、一方のブ
リーザ通路３７を燃料タンク２８の燃料液面２６
より上方の空間部２７と連通させる。それによ
り、以下に示すような作用が生じるものである。

(1) レバー７が止位置のときバルブ通路１５は止
状態であり、またシート９の孔３９が閉塞され
ているため、一対のブリーザ通路３７，３７も
止状態となり、燃料タンク２８が横転しても燃
料２９は流出しない。

(2) レバー７が通位置のときバルブ通路１５は通
状態であり、一対のブリーザ通路３７，３７も
連通状態のため、燃料タンク２８内の空間部２
７は一対のブリーザ通路３７，３７・シート９
の孔３８，３９・レバー７の“Ｃ”形溝を介し
て大気開放の状態となつて負圧の生じることが
なく、燃料２９がスムーズに供給される。

(3) レバー７の位置が、通位置から、止位置には
至らない一定角度の間においても一対のブリー
ザ通路３７，３７は連通状態であるため、レバ
ー７を止位置から通位置に回動する際、バルブ
通路が通状態になる以前に一対のブリーザ通路
３７，３７が連通状態になり、燃料タンク２８
内の空間部２７に燃料２９の蒸気圧等による正
圧が生じていても一対のブリーザ通路３７，３
７・シート９の孔３８，３９・レバー７の
“Ｃ”形溝１１を介して大気へ放圧される。

（効果） 以上の様に本考案は、 燃料コツク自身の操作のみで燃料通路の通・止
及びブリーザ通路の通・止を行うことができ、そ
の両通路の“通”位置の時期を僅かにずらしてあ
るために気化器の安全性が向上し、しかもその構
成からは、逆止弁などの装着された高価なタンク
キヤツプを使用することもなく、かつ、特に複雑
な構成でもないため低コストであるという極めて
有益なブリーザ通路付の燃料コツクを提供できる
ものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は正面図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面図、
第３図はレバーが通位置のときの第１図のＡ−Ａ
部分断面図、第４図は第２図のＢ−Ｂ断面図、第
５図はレバーが通位置と止位置の間にあるときの
第２図のＢ−Ｂ断面図、第６図はレバーが通位置
のときの第２図のＢ−Ｂ断面図、第７図はレバー
通位置と止位置の間にあるときの第３図のＣ−Ｃ
断面図である。 １……コツクボデー、６……バルブ、７……レ
バー、９……シート、１１……“Ｃ”形溝、１
５，１６……バルブ通路、１９……レバー室、３
２，３３……ジヨイント、３７……ブリーザ通
路、３８，３９……孔、４０，４５……取付ボル
ト孔、４７……レバー外周面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 燃料タンクの下部に配置し気化器へ燃料を供給
   する流路の通・止をバルブの回動により行う燃料
   コツクにおいて、 バルブと嵌合するレバーに横断面形状が“Ｃ”
   形となつて現れる“Ｃ”形溝を周設するととも
   に、シートを介してコツクボデーに挿入し、 コツクボデー外部より該コツクボデー及びシー
   トを貫通して前記“Ｃ”形溝に達し得る一対のブ
   リーザ通路を形成し、該ブリーザ通路の一側を燃
   料タンク内の燃料液面より上方の空間部に連通さ
   せ、他側は大気開放とし、 気化器へ燃料を供給する流路がバルブにより止
   状態となるレバー位置のときには、レバー外周面
   によりブリーザ通路の片側を遮断し、 前記流路が通状態となるレバー位置のときに
   は、レバーの“Ｃ”形溝により一対のブリーザ通
   路が連通し、 前記流路が通状態のレバー位置から、止状態の
   レバー位置には至らない一定角度の間のレバー位
   置においても、レバーの“Ｃ”形溝により一対の
   ブリーザ通路が連通状態になるべく該“Ｃ”形溝
   の長さを設定したことを特徴とする燃料コツク。