JPS6319687B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は過給機を備えたエンジンに関し、特に
アルコールとガソリンとの混合燃料の使用に適す
る過給機付エンジンに関するものである。

最近、自動車等において、燃焼室への吸気を過
給する過給機を備えたエンジンが開発され、例え
ば排気通路に装備されたタービンにより吸気通路
に装備されたブロアを駆動して吸気過給するよう
にしたターボ過給機付きのエンジンが開発されて
いる。この種エンジンは、排気ガスを利用してタ
ービンを介しブロアを駆動し、排気ガス量に応じ
たブロア駆動力で空気を過給的にエンジン本体に
送ることにより、エンジンの出力を高めるもので
ある。この場合、過給圧が上がるほど出力が高め
られるわけであるが、あまりに過給圧が上がりす
ぎると、エンジンの耐久性を損ねる等の問題が生
ずるので、ある程度以上は過給圧が高くならない
ように最大過給圧を制御する必要がある。このた
め、従来、例えば排気通路において前記タービン
を迂回するバイパス通路を設け、該バイパス通路
に過給圧が設定値以上のとき、排気ガスをバイパ
スする制御装置を具備し、過給圧がある程度まで
達すると該制御装置が働いて排気ガスを一部バイ
パス通路に逃がし、過給機の駆動力を抑制する手
段により、過給圧が所定値以上高くならないよう
にしていた。

ところで、近来、ガソリン資源の不足を補うた
め、アルコールとガソリンとの混合燃料の使用が
提唱されているが、前記過給機付エンジンにおい
てこの混合燃料を使用する場合に、次のような問
題点が残されていた。すなわち、アルコールはガ
ソリンに比べて発熱量が低く、混合ガス中のアル
コール濃度が高くなるほど出力が低下する傾向が
あるため、これを補うように出力アツプを図る手
段が要求される。一方、アルコールとガソリンと
の混合比は、給油所等によつてあるいはガソリン
とアルコールの分離現象により種々異なる場合が
あるため、このように混合比が変わつてもエンジ
ンが有効に働く必要がある。しかるに、前記の如
き従来の構造では、アルコール濃度が比較的低い
ときやガソリン単独の燃料を用いるときに適する
ように制御装置によつて最大過給圧を制限してお
くと、アルコール濃度の高い混合燃料が用いられ
る場合に最大過給圧による最大出力が不足し、ま
た、仮に常時アルコール濃度の高い混合燃料に適
するように最大過給圧を高くしておくと、アルコ
ール濃度が低い混合燃料やガソリン単独の燃料が
用いられる場合に前述のようにエンジンの耐久性
を損ねる等の問題があつた。

本発明はこれらの事情に鑑み、過給機を備えた
エンジンにおいて、過給圧制御装置により、最大
過給圧を調整してエンジンに過大の負荷がかゝる
ことを防止しながら、アルコールとガソリンとの
混合燃料を用いる場合に、アルコール濃度が高く
なつたとき、それに応じて上記過給圧制御装置の
制御特性を補正することにより最大過給圧を高め
て出力低下を補うようにし、アルコール濃度の
種々異なる混合燃料およびガソリンを任意に有効
に使用可能とする過給機付エンジンを提供せんと
するものである。

すなわち、本発明は、燃焼室への吸気を過給す
る過給機と、この過給機によつて過給された吸気
の過給圧が設定値以上のとき過給圧の上昇を抑制
する過給圧制御装置とを具備した過給機付エンジ
ンにおいて、アルコールとガソリンとを混合して
なる混合燃料を供給する燃料供給装置と、アルコ
ール濃度を検知するアルコール濃度センサーと、
該センサーの出力を受けて上記過給圧制御装置の
制御特性を補正する補正装置とを設け、アルコー
ル濃度が所定値以上にあるとき、上記過給圧制御
装置の設定過給圧を増加させるように構成したこ
とを特徴とするものである。

以下、本発明の実施例を図面によつて説明す
る。

１はエンジン本体、２は外部からエンジン本体
１に空気を取入れる吸気通路、３はエンジン本体
１からの排気ガスを排出する排気通路である。ま
た、４は過給機であつて、図に示す実施例ではタ
ーボ過給機を用いており、排気通路３内に装備し
たタービン５と、吸気通路２内に装備したブロア
６と、このタービン５とブロア６を連動連結する
回転自在な軸７とを有し、排気ガスによつてター
ビン５が回転せしめられ、これに連動してブロア
６が回転することにより、強制的に空気をエンジ
ン本体１に送り込むようにしている。

８は燃料供給装置としての気化器で、図外の燃
料タンクから送られたアルコールとガソリンとの
混合燃料を気化し、吸気通路２内に送り込むもの
である。通常、該気化器８は燃料による前記ブロ
ア６の汚染を避けるため、吸気通路２におけるブ
ロア６より下流側の位置に臨ませる。９はアクセ
ルペダル等に連動する絞り弁である。

また、この過給機付エンジンには、上記過給機
４によつて過給された吸気の過給圧が設定値以上
のとき過給圧の上昇を抑制する過給圧制御装置１
１が装備され、この過給圧制御装置１１は、例え
ば、排気通路３において上記タービン５を迂回す
るように形成されたバイパス通路１０に逃し弁１
２を設け、弁閉鎖方向に一定の押圧力を付与する
スプリング１３とこれに対抗する圧力室１４とで
弁１２の開閉圧を制御するようにしている。圧力
室１４は、吸気通路２に比べて充分細くした導通
路１５を介して吸気通路２に連通している。かゝ
る構造によつて過給圧制御装置１１は、吸気通路
２の圧力が設定値まで達したとき、これに応じて
圧力室１４の圧力が高まることにより弁１２を開
き、排気ガスの一部をバイパス通路１０にバイパ
スさせ、もつてタービン５およびブロア６の回転
数を制御し、吸気過給量を抑制するように働くも
のである。

この過給圧制御装置１１に対し、アルコールと
ガソリンとの混合燃料中のアルコール濃度を検出
するアルコール濃度センサー１６と、該センサー
１６の出力を受けて上記過給圧制御装置１１の制
御特性を補正する補正装置１７とを設けている。
アルコール濃度を検出するセンサー１６そのもの
は種々知られているもので、例えば混合燃料の誘
電率を測定することによつてアルコール濃度を検
出するものやその他適宜の検出手段を採用し得
る。そして、このセンサー１６は気化器のフロー
ト室あるいは燃料タンク等に設けておけばよい。
また、前記補正装置１７は、例えば、アルコール
濃度が所定値以上になつたときセンサー１６から
の信号を受けて動作する制御回路１８と、該制御
回路１８にて作動されるアクチユエータ１９とを
備える。該アクチユエータ１９は、前記導通路１
５に臨ませたリーク弁１９ａを備え、例えば、制
御回路１８を介してセンサー１６から信号が送ら
れたとき弁１９ａの周期的開閉動作等によつて前
記導通路１５内の空気を一部リークさせる等によ
り、このときの前記バイパス通路１０に設けた逃
し弁１２の圧力室１４内の圧力を一定分軽減させ
るようにしている。このようにして、アルコール
濃度が所定値以上に高くなつたときは、アルコー
ル濃度が低い場合に比べ、これより一定量だけ吸
気通路２内の圧力が高くなるまで排気ガスのバイ
パスを阻止するようにしている。

このように構成された過給機付エンジンの動作
および作用を次に説明する。エンジンを駆動させ
た状態において、前記過給機４のタービン５を流
下する排気ガスによつてタービン５が回転せしめ
られ、これに連動したブロア６の回転により空気
がエンジン本体１に向けて過給的に送られ、これ
によつてエンジンの出力が高められる。そして、
タービン５を流下する排気ガス量の増加に応じて
過給作用が高められ、吸気通路２内の圧力が高く
なるが、この圧力が設定値以上になれば、前記過
給圧制御装置１１の働きにより、排気ガスが一部
バイパス通路１０に流れ、タービン５を流下する
排気ガス量が制限される。これによつてタービン
５の回転数すなわち吸気過給量が制限され、吸気
通路２内の圧力上昇が抑えられる。この場合、予
め、補正装置１７による補正作用を受けていない
状態での前記過給圧制御装置１１の設定過給圧
を、例えば従来のガソリン用のこの種過給機付エ
ンジンの場合と同程度にしておくことにより、ア
ルコール濃度が低い混合燃料やガソリン単独の燃
料が用いられるときは、上記設定条件のもとでこ
れらの燃料に適するように最大過給圧が制限され
る。

一方、給油される燃料が変わつた場合などにお
いて、アルコールとガソリンとの混合燃料中のア
ルコール濃度が所定値以上となつたとき、前記ア
ルコール濃度センサー１６および補正装置１７が
働き、前記の基礎的設定条件による場合よりもさ
らに吸気通路２内の圧力が一定量高くなるまで排
気ガスのバイパスを阻止して設定過給圧を増加さ
せるように、前記過給圧制御装置１１を自動的に
補正する。これにより、過給機４の最大過給能力
を高め、吸気通路２内の過給圧を高めて、アルコ
ール濃度の増加に伴う出力低下を補うこととな
る。

つまり、アルコールはガソリンに比べて発熱量
が低いため、アルコールとガソリンとの混合燃料
を用いた場合にアルコール濃度が高くなるほど出
力が落ちる傾向があるが、これに応じて、前記の
ように最大過給圧を高めることにより、出力低下
を補うことができる。また、アルコールはガソリ
ンに比べて気化潜熱が高く、燃焼温度をアルコー
ル濃度に応じて下げる作用があるため、ガソリン
のみ、あるいはアルコール濃度が非常に低い場合
であればノツキングという制約もあり過給圧をい
たずらに高められなかつたのであるが、この問題
を同時に解決しながらアルコール濃度が高い場合
における出力低下を最大過給圧を高めることによ
り補うことができるものである。

叙上のように、過給機を備えたエンジンにおい
て、過給圧制御装置によつて最大過給圧を制御す
るとともに、アルコール濃度センサーおよび補正
装置により、アルコールとガソリンの混合ガス中
のアルコール濃度が所定値以上になつたとき、上
記過給圧制御装置の設定過給圧を高めるようにし
ているため、混合燃料中のアルコール濃度が低い
ときにも必要以上に過給圧が高まつてエンジンの
耐久性を損ねるという事態を防止しながら、アル
コール濃度が高くなるとそれに応じて自動的に過
給機の過給能力を高め、エンジンの出力低下を防
ぐことができる。従つて、アルコールとガソリン
との混合燃料に有効に適応し得、かゝる混合燃料
においてアルコール濃度の異なるものおよび通常
のガソリンも任意に使用可能にし、これら任意の
燃料に対して適正に、かつ効率よくエンジンを働
かすことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図は本発明過給機付エンジンの実施例を示す説
明図である。 １……エンジン本体、２……吸気通路、３……
排気通路、４……ターボ過給機、５……タービ
ン、６……ブロア、８……気化器（燃料供給装
置）、１０…バイパス通路、１１……過給圧制御
装置、１６……アルコール濃度センサー、１７…
…補正装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 燃焼室への吸気を過給する過給機と、この過
   給機によつて過給された吸気の過給圧が設定値以
   上のとき過給圧の上昇を抑制する過給圧制御装置
   とを具備した過給機付エンジンにおいて、アルコ
   ールとガソリンとを混合してなる混合燃料を供給
   する燃料供給装置と、アルコール濃度を検知する
   アルコール濃度センサーと、該センサーの出力を
   受けて上記過給圧制御装置の制御特性を補正する
   補正装置とを設け、アルコール濃度が所定値以上
   にあるとき、上記過給圧制御装置の設定過給圧を
   増加させるように構成したことを特徴とする過給
   機付エンジン。