JPS6319662Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、軸封技術に係るメカニカルシールの
固定環取付構造に関するものである。

従来から、一般に、ハウジング側に固定される
非回転の固定環と、シヤフトに従動する回転環と
を有し、両環の密接摺動により被シール流体をシ
ールするメカニカルシールにおいて、前記固定環
のハウジングに対する取付構造に関しては、第１
図に示すように、ハウジング１の軸孔２内周に段
部３を形成し、該段部３に、断面略Ｌ字形状の緩
衝ゴム材４を介して固定環５を嵌着するようにな
つているが、かかる構造では、負圧力により固定
環５と緩衝ゴム材４とが段部３から飛び出すおそ
れがあるため、緩衝ゴム材４の外径を段部３内径
よりも大きく形成し、両者の締め代を強くするこ
とにより、その飛び出しを防止していた。しか
し、この従来技術によると、緩衝ゴム材４が段部
３から飛び出すことはなくなつても、該緩衝ゴム
材４が変形したり、該緩衝ゴム材４に抱持される
固定環５の摺動面６に歪みや倒れを生じたりし、
装着困難や装着不良の問題を有していた。

本考案は以上の点に鑑み、上記緩衝ゴム材の外
周面とハウジングの軸孔段部内周面に、互いに係
合する突起と凹部を設けてなり、該両者の係合に
より緩衝ゴム材と固定環の飛び出しを防止すると
ともに、併せて、緩衝ゴム材とハウジング軸孔段
部との締め代を従来より小さく構成して上記装着
不良等の問題を解消するように構成したメカニカ
ルシールの固定環取付構造を提供せんとするもの
である。

以下、本考案の一実施例を図面にしたがつて説
明する。第２図において、符号１１はハウジン
グ、１２は軸孔、１３は段部を示し、該段部１３
内周に、断面略Ｌ字形状の緩衝ゴム材１４を介し
て固定環たるフローテイングシート１５が嵌着さ
れている。前記緩衝ゴム材１４の外周面には、図
上左端寄りの部分に、環状を呈する突起１６が一
体形成されるとともに、段部１３内周面の対応個
所には環状溝１７が形成され、該環状溝１７に対
する突起１６の係合により、緩衝ゴム材１４が段
部１３から飛び出さないように構成されている。
またこの緩衝ゴム材１４外周面の他の部分には適
宜突条１８が形成される等して、段部１３内周面
に対する適宜大きさの締め代が保持されるように
各寸法を設定するが、該締め代は、従来例のごと
く緩衝ゴム材１４が負圧力に抗して段部１３から
飛び出さないくらい強く設定する必要はなく、段
部１３内周面との間の気密を保持し、かつ該緩衝
ゴム材１４がシヤフト１９の回転に従動しない程
の、比較的小さな値で充分である。

上記構成になる固定環１５の取付構造によれ
ば、緩衝ゴム材１４の突起１６と軸孔段部１３に
形成した環状溝１７との係合により緩衝ゴム材１
４と固定環１５の軸方向へ向けての飛び出しを防
止する一方、該飛び出し防止機能を突起１６と環
状溝１７の係合に負担させたため、緩衝ゴム材１
４と段部１３との締め代を小さくすることがで
き、緩衝ゴム材１４の過大な変形や固定環１５の
摺動面２０に歪みを生じるという従前の不具合を
解消することが可能となる。なお、上記取り付け
に際しては、ハウジング１１の段部１３に対し
て、まず、緩衝ゴム材１４を挿入し、その後フロ
ーテイングシート１５をセツトするとよい。

本考案の固定環取付構造は以上説明したよう
に、緩衝ゴム材の外周面とハウジングの軸孔段部
に互いに係合する突起と凹部を設けるという簡便
な構成により、緩衝ゴム材の段部からの飛び出し
防止と、装着困難ならびに装着不良の防止の双方
に対して実効を奏するものであり、本考案の実用
的効果はきわめて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の取付構造の一例を示す半裁断面
図、第２図は本考案の一実施例に係る取付構造の
一例を示す半裁断面図である。 １１……ハウジング、１２……軸孔、１３……
段部、１４……緩衝ゴム材、１５……フローテイ
ングシート、１６……突起、１７……環状溝、１
８……突条、１９……シヤフト、２０……摺動
面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハウジングの軸孔段部内周にメカニカルシール
   の固定環を緩衝ゴム材を介して嵌着する固定環の
   取付構造において、前記緩衝ゴム材の外周面に所
   要形状の突起を設けるとともに前記ハウジングの
   軸孔段部に該突起に対応する係合凹部を設け、前
   記緩衝ゴム材および固定環の軸方向へ向けての飛
   び出しを防止するように構成してなることを特徴
   とするメカニカルシールの固定環取付構造。