JPS6319545Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は渦室（渦流式燃焼室）を備えたデイーゼ
ルエンジンの燃焼室の改良に関する。

渦室付デイーゼルエンジンはピストンの頂上部
に形成された主室（主燃焼室）とシリンダヘツド
に配設された渦室とを有していて、その間を渦室
のスロート部にて連絡している。そして吸気行程
でシリンダ内に吸入した空気を圧縮行程に於て主
室よりスロート部を介して渦室内に押し込み、圧
縮行程の終期に燃料を渦室に噴射する。それによ
つて渦室内に形成された混合気が着火して燃焼が
始まり、渦室内の燃焼ガスはスロート部を介して
主室に噴出され、主室内にある空気と混合して更
に燃焼するように成つている。

この燃焼原理に基づく燃焼室構造としては、第
１図、第２図に示すように、主室１がクローバー
形の凹部として、ピストン２の頂上部３にその縁
部近傍からピストン中心に向けて形成されている
ものが広く用いられている。

この主室１は図から明らかなように、クローバ
ーの葉に相当する２つの円形部分１１ａ，１１ｂ
から成る拡散部１１と、クローバーの莖に相当す
るトレンチ部１２とを有していて、シリンダヘツ
ド４側に配設された内部に空気渦流を生成する渦
室５のスロート部５１を介して噴出した燃焼ガス
は上記トレンチ部１２からの拡散部１１に流入し
て拡散部１１の円形状の偏向壁１３によりその進
路を変向して旋回流を形成しつつ外部に拡散し、
シリンダ内の空気と混合して燃焼させるように構
成されている。

尚、第１図中、６はシリンダボデー、７は燃料
噴射ノズル、８はグロープラグを示している。と
ころが、このような燃焼室構造においては上記ス
ロート部５１の巾toを大きくすると、高負荷時に
おける出力が増大すると共に第３図に示すように
渦室５におけるNox（Ｎ）の生成率は低減する反
面、スモーク（Ｓ）の生成率が増大するという不
具合があり、上記スロート部５１の巾toを高負荷
時における出力増大とNox低減効果のための理
想値よりも小さいものにしなければならないとい
う欠点があつた。

本案は上述の欠点を克服するために案出したも
ので、その目的は、高負荷時における出力の増大
とNoxの低減効果とを図るように渦室のスロー
ト部の巾を理想値に保持しつつスモークを低減せ
しめるようにした渦室付デイーゼルエンジンの燃
焼室を提供せんとするもので、以下その実施例を
図について説明する。

前述の如き、渦室５のスロート部５１と連絡す
るトレンチ部１２から拡大分岐せる略々円形状の
２つの円形部分１１ａ，１１ｂを持つた拡散部１
１とをピストン２の縁部近傍からその中心に向け
て頂上部３に形成して成る渦室付デイーゼルエン
ジンにおいて、上記トレンチ部１２を、燃焼ガス
の噴流する方向に沿つて中央分離壁１４により２
分割して、夫々小トレンチ部１２ａ，１２ｂを形
成したものである。

上述の如き構成を有する燃焼室においては、ス
ロート部５１の巾toが比較的大なるものにしたの
で、高負荷時における出力増大とNox低減が図
れると共に、渦室５よりの燃焼ガスＢがスロート
部５１を介して主室１側に噴出されるが、トレン
チ部１２が小トレンチ部１２ａ，１２ｂに分離さ
れ、実質的にその巾ｔを縮少されたためにここで
絞られて流速が増大されて拡散部１１へと流入す
るため、主室１における燃焼ガスと未燃空気との
混合燃焼が促進されるため渦室５内での燃焼時に
生成されたスモークは主室１での燃焼においてほ
とんど消去されてしまう。

よつて、エンジン全体としては、高負荷時の出
力増大が図れると共に、排気有害成分としての
Noxやスモークの少ない理想的な燃焼状態が得
られる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案実施例における燃焼室付近を示す
縦断面図、第２図は同実施例における渦室と主室
との関係を示す概略平面図、第３図は渦室のスロ
ート部（to）による排気特性を示す特性図であ
る。 １；主室、２；ピストン、５；渦室、１１；拡
散部、１２；トレンチ部、１２ａ，１２ｂ；小ト
レンチ部、１４；中央分離壁、５１；スロート
部、Ｂ；燃焼ガス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 渦室のスロート部と連絡するトレンチ部とその
   トレンチ部から拡大分岐せる略々円形状の２つの
   円形部分を持つた拡散部とをピストンの縁部近傍
   からその中心に向けて頂上部に形成して成る渦室
   付デイーゼルエンジンの燃焼室において、上記ト
   レンチ部を中央分離壁により２分割したことを特
   徴とする渦室付デイーゼルエンジンの燃焼室。