JPS631879B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は脱水兼用洗濯機の改良に関する。

従来より、比較的緩やかな水流により洗うべく
回転槽を回転駆動して槽内に水流を生成させる洗
浄方式が考えられている。ところがこの方式にあ
つては、回転槽内に貯留した洗い水の抵抗が大き
いためこれを回転駆動するには大きな起動トルク
が必要で、いきおいモータを大形化せざるを得な
いという欠点があつた。

そこで、本発明の目的は、小形のモータで回転
槽を駆動し得る脱水兼用洗濯機を提供するにあ
る。

以下本発明の一実施例につき第１図乃至第４図
を参照して説明する。１は外箱で、これの内部に
は弾性吊持機構の吊り棒２を介して水受槽３を吊
持し、水受槽３内に例えばプラスチツクにより成
形され周壁に多数の脱水孔４を有した回転槽５を
配設している。６は外箱１の開放上面に被着され
略中央に洗濯物出入口７を形成した蓋枠、８は蓋
枠６の後方部に立設した操作箱で、この操作箱８
にはタイマ９や切換スイツチ（図示せず）等を配
設している。１０は水受槽３外底部に固定した取
付板１１に取着したモータで、この回転軸には駆
動プーリ１２を嵌着している。１３は水受槽３外
底部の略中央に取着したハウジングで、これには
上端部に筒体１４を嵌着した中空の脱水軸１５を
回転自在に挿通支持し、該脱水軸１５に羽根軸１
６を回転自在に挿通支持している。この羽根軸１
６の上端部は筒体１４から上方に突出し、下端部
は脱水軸１５の下方に突出してここに従動プーリ
１７が取着されており、この従動プーリ１７と前
記モータ１０の駆動プーリ１２との間にベルト１
８を張設している。１９はクラツチ装置で、これ
は脱水軸１５の下端部と従動プーリ１７の筒軸と
の間に跨つて巻装したクラツチスプリング２０及
びこのクラツチスプリング２０に遊嵌したスリー
ブ２１から成り、取付板１１に取着した第一の電
磁石２２を作動源とするものである。而して、こ
の第一の電磁石２２はタイマ９により通断電制御
されて作動するもので、これにより取付板１１に
枢設したクラツチレバー２３先端部の係合爪２３
ａをスリーブ２１の係合歯２１ａに係脱せしめて
クラツチスプリング２０を巻締り不能状態と巻締
り自由状態とに切換え、もつて洗い運転時には第
一の電磁石２２を断電して従動プーリ１７と脱水
軸１５とを非連結状態としてモータ１０の回転を
羽根軸１６のみに伝え、脱水運転時には第一の電
磁石２２を通電して従動プーリ１７と脱水軸１５
とを連結状態にしてモータ１０の回転を脱水軸１
５に伝えるようにしている。２４はブレーキ装置
で、これは脱水軸１５の下端部寄りに嵌着固定し
たブレーキドラム２５及びこれに巻装したブレー
キバンド２６から成り、取付板１１に取着した第
二の電磁石２７を作動源とするものである。而し
て、この第二の電磁石２７もタイマ９により通断
電制御されて作動するもので、これにより断電時
には取付板１１に枢設したブレーキレバー２８先
端の爪部２８ａをブレーキバンド２６の折曲部２
６ａに当接させて脱水軸１５ひいては回転槽５を
制動し、通電時には前記爪部２８ａを折曲部２６
ａから外して回転槽５の自由回転を許容するよう
になつている。２９は水受槽３の排水弁で、これ
は前記クラツチ装置１９とともに第一の電磁石２
２を作動源とするもので、洗い運転時には閉鎖し
脱水運転時には開放するようになつている。一
方、前記回転槽５にはその内周壁に撹拌用突部と
して上下に延びる複数本の突条３０を内方に膨出
形成すると共に、内底部の略中央に開口部３１を
有した円形の凹所３２を形成し、該開口部３１を
閉鎖するように凹所３２の外底部に補強底板３３
を固定している。そして、この回転槽５はその補
強底板３３を前記筒体１４上端部に挿通状態で固
定し、もつて前記脱水軸１５に直結状態にしてい
る。３４は回転槽５の内底部に一体に突設した羽
根片で、これは凹所３２内底部の外周寄り部位に
放射状に配置されている。３５は凹所３２内に突
出する羽根軸１７の上端部に固定した羽根車で、
これは基板３６の外周寄り下面に前記羽根片３４
群に対向するよう多数の翼片３７を放射状に列設
して成り、基板３６の中央寄り部位に通水孔３８
を形成している。３９は凹所３２を覆う如くして
回転槽５内底部にねじ止めしたケーシングで、こ
れの上面略中央には中空の筒部４０を膨出形成す
ると共に該筒部４０の外周部に例えば４枚の撹拌
板４１を放射状に突設し、もつて回転槽５内に位
置する撹拌体４２を形成している。また、このケ
ーシング３９の上面には通水孔４３を形成して凹
所３２内を回転槽５内に連通させ、且つ前記補強
定板３３には羽根片３４群の内側に位置して透孔
４４を形成して凹所３２内を水受槽３内に連通さ
せ、これにより凹所３２内に回転槽５ひいては水
受槽３内の水が自由に流出入するようにしてい
る。

次に上記構成の作用を説明する。回転槽５内に
洗濯物を洗剤と共に投入しタイマ９をセツトする
と、図示しない給水弁が開いて回転槽５内に水が
供給され、所定水位に達すると図示しない水位ス
イツチが作動し、これに基いて給水弁が閉じると
共にモータ１０及び第二の電磁石２７が通電され
る。これにより、クラツチ装置１９が従動プーリ
１２及び脱水軸１５間を非連結状態、且つブレー
キ装置２４が回転槽５に非制動状態としてモータ
１０の回転が羽根軸１６に伝達される。羽根軸１
６の回転により羽根車３５が回転し、ケーシング
３９内にはケーシング３９の通水孔４３及び補強
底板３３の透孔４４を介して洗い水が充満してい
るため、羽根車３５の回転によりケーシング３９
内に渦水流が生成され、この渦水流によつて凹所
３２内底部の羽根片３４群が回転力を受けて回転
槽５が徐々に起動し、次第に回転速度を上げて例
えば羽根車３５の回転数850r・ｐ・ｍに対して回
転槽５は約150〜200r・ｐ・ｍという比較的低速
で回転するようになる。これにより、回転槽５内
の洗い水が回転槽５とともに回転し、洗濯物を洗
い水とともに流動させて洗剤洗いが行われる。そ
して、所定時間経過後タイマ９によりモータ１０
及び第二の電磁石２７が断電されることによつて
ブレーキ装置２４が回転槽５を制動し、回転槽５
が急停止する。これにより、洗い水及び洗濯物が
慣性により回転槽５内を回転流動し続け、洗濯物
が回転槽５内周壁の突条３０や撹拌体４２の撹拌
板４１に擦りつけられたり、洗濯物相互が擦り合
つたりし、洗濯物が一層効率的に洗われる。この
ような回転槽５の駆動及び停止を順次複数回繰返
す洗剤洗い行程を所定時間行なうと、次にタイマ
９が排水行程に移行する。この排水行程では、第
一の電磁石２２のみに通電されて排水弁２９が開
放し、回転槽５ひいては水受槽３内の水が排水ホ
ース４５を介して機外に排出される。そして、排
水行程が終了して回転槽５内の水がなくなると、
タイマ９が脱水行程に移行する。この脱水行程で
は、モータ１０、第一及び第二の電磁石２２，２
７が通電され、排水弁２９が開放状態且つ回転槽
５が非制動状態で従動プーリ１２及び脱水軸１５
間が連結されるため、モータ１０の回転が回転槽
５に伝えられ、回転槽５が直ちに起動して高速で
回転し、内部の洗濯物を遠心脱水する。そして、
この後再び回転槽５内に清水を貯留するすすぎ洗
い行程、排水行程及び脱水行程を順に繰返して全
行程が終了する。

このように本実施例によれば、回転槽５を洗い
運転時にはケーシング３９内において羽根車３５
の回転に伴い生成される渦水流により回転駆動す
るようにしたから、洗い運転時には内部に貯留し
た水の抵抗により回転槽５が起動しにくいという
事情があつても、該渦水流によつて回転槽５を徐
徐に起動させることができる。この際羽根車３５
を記動させるトルクは、羽根車３５は渦水流を生
成させるだけだから例えばモータ１０の回転を脱
水軸１５に伝えて回転槽５を直接起動させる場合
に要するトルクに比べてずつと小さく、従つてモ
ータ１０としては起動トルクの小さな即ち小形の
もので済ますことができる。また、羽根車３５の
回転と回転槽５の回転との間には必ず速度差が生
じて羽根軸１６が比較的高速で回転しても回転槽
５は特に複雑な歯車機構等を介さずとも低速で回
転するよう減速することができ、騒音発生の防止
及び製造コストの低廉化を図ることができる。し
かも、前述のように回転槽５の起動時にモータ１
０に大きな負荷がかかることを防止できるから、
特に洗い運転時にモータ１０を間欠的に通電して
回転槽５の回転及び停止を繰返すようにした本実
施例にあつては、モータ１０の過熱防止等に一層
効果的である。また、特に本実施例では回転槽５
に突条３０を形成し、且つケーシング３９上面に
撹拌体４２を一体に突出形成するようにしたか
ら、斯かる突条３０或いは撹拌体４２により洗濯
物を効果的に撹拌することができ、洗浄効率を一
層向上させることができる。

第５図は本発明の他の実施例を示すもので、前
記実施例と同一部分には同一符号を付して説明を
省略し、異なる部分についてのみ説明するに、４
６は凹所３２を閉鎖するようにして回転槽５内底
部に取着した略傘形のケーシングで、これには複
数個の通水孔４７を形成している。そして、凹所
３２内の羽根車３５の外側方には回転槽５の周壁
部に上下方向に延びるよう一体に形成した循環水
略４８の下端部が連通し、該循環水路４８の上端
開放口４８ａは回転槽５の上端近傍のバランスリ
ング４９部分において開口し、この上端開放口４
８ａにリントフイルター５０を着脱可能に取着し
ている。以上のように構成した本実施例では、特
に洗い運転時において、モータ１０を連続通電し
て羽根車３５を連続的に回転させ、且つ第二の電
磁石２７を間欠通電して回転槽５を間欠的に制動
するようにしている。これにより、回転槽５の回
転及び停止を繰返して洗い運転を行うと共に、特
に回転槽５の停止時においても羽根車３５が回転
を続けるため、ケーシング４６内の水圧が高くな
つてケーシング４６内に流入した水が循環水路４
８を上昇して上端開放口４８ａからリントフイル
タ５０を通つて回転槽５内に流れ落ちるという循
環水流が生成される。この循環水流により、洗い
水中のリントをリントフイルタ５０によつて除去
することができ、しかも水の上下入れ換りによる
すすぎ効率の向上を図ることができる。

本発明は以上述べたように、モータの回転を回
転槽内底部に設けた羽根車に伝達し、該羽根車の
回転に伴い生成される渦水流により回転槽を回転
駆動するようにしたから、洗い運転時には内部に
貯留した洗い水の抵抗によつて回転槽を起動させ
にくいという事情のもとでも小さなトルクで徐々
に回転槽を起動させることができ、従つて起動ト
ルクの大きなモータを用いずとも済み、モータの
小形化を図り得る脱水兼用洗濯機を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本発明の一実施例を示し、
第１図は全体の縦断側面図、第２図は要部の拡大
縦断側面図、第３図は同拡大底面図、第４図は同
拡大分解斜視図、第５図は本発明の他の実施例を
示す部分縦断面図である。 図中、３は水受槽、５は回転槽、１０はモー
タ、１５は脱水軸、１６は羽根軸、１９はクラツ
チ装置、２４はブレーキ装置、３０は突条（撹拌
用突部）、３４は羽根片、３５は羽根車、３９，
４６はケーシング、４２は撹拌体、４８は循環水
路、５０はリントフイルターである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外底部に中空の脱水軸を固着した回転槽と、
   この回転槽の内底部に通水可能に設けたケーシン
   グと、前記脱水軸を挿通する羽根軸に前記ケーシ
   ング内に位置して設けた羽根車と、前記回転槽の
   内底部に設けられ前記ケーシング内に位置して前
   記羽根車の回転に伴う水流により駆動される羽根
   片と、モータの回転を洗い運転時に前記羽根軸に
   伝達し脱水運転時に前記脱水軸に伝達するクラツ
   チ装置とを具備して成る脱水兼用洗濯機。 ２ ケーシングには回転槽内に突出する撹拌体が
   一体に設けられていることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項に記載の脱水兼用洗濯機。 ３ 回転槽には内壁部に撹拌用突部が形成されて
   いることを特徴とする特許請求の範囲第１項又は
   第２項に記載の脱水兼用洗濯機。 ４ 回転槽はブレーキ装置を備えて該ブレーキ装
   置により洗い運転時において間欠的に制動される
   と共に、一端をケーシング内の羽根車の外側方に
   連通させ他端を回転槽上部において開放させた循
   環水路を有し、該循環水路の上部開放口にはリン
   トフイルターが装着されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項乃至第３項のうちのいずれ
   かに記載の脱水兼用洗濯機。