JPH0141410Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は洗い槽の内下部に容器状の攪拌体を配
設して該攪拌体を正逆回転させることにより効果
的な洗濯をする洗濯機に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

従来の洗濯機のうち、回転羽根による水流を生
じさせて洗浄作用を得る回転羽根式のものは洗濯
物を水流により流動させることを本質とするから
布量に対して大きな洗い槽容積を必要とし、これ
は一回で洗濯し得る量が少ないことを意味する。
また布量が少ないときは水流が極端に強くなつて
過剰洗浄気味になる一方、布量が増加するとこれ
に伴い水流速度が低下して洗浄効果が急速に低下
する傾向がある。更に洗濯物と回転羽根との接触
は偶発的でしかも部分的にしか生じないので洗濯
物全体にわたる擦り洗い効果を期待することがで
きないし、逆に部分的に洗濯物を傷めることにな
る。

一方最近になつて回転羽根を除去した新しい方
式のものとして、洗い槽全体を水と洗濯物を収容
したまま間欠的に回転させて水と洗濯物との間の
速度差により洗浄作用を得ようとするものが提案
されているが、このものは洗濯物を傷めない利点
を有するものの洗濯物と水との間の速度差が小さ
く且つ単純な動きとなつて洗浄効果が低いと云う
難点がある。

〔考案の目的〕

本考案は上述の事情に鑑みなされたものであ
り、従つてその目的は、従来の回転羽根或いは洗
い槽全体の回転によらず従来以上の洗浄効果及び
布傷み防止を期待できると共に一回で洗濯し得る
量が多く、しかも適切な洗浄効果を維持できる布
量範囲が広くなり、そして更にはリント等がから
み付き易い部分の点検、掃除等も所望に行なうこ
とのできる極めて実用的な洗濯機を提供するにあ
る。

〔考案の概要〕

本考案は、洗い槽の内下部に、内径が洗い槽の
内上部の径と略同一の平面略円形を成して底部及
び周側部を有する容器状撹拌体を、その底部が洗
い軸に連結されて正逆回転駆動されるように配設
し、該洗い槽内に洗濯物を水と共に収容してその
洗濯物を、前記容器状撹拌体の正逆回転に伴う接
触摩擦力及び前記洗い槽の上部周壁から受ける摩
擦力との相乗作用により洗濯するようにしたもの
であつて、その容器状撹拌体を洗い槽内で回転可
能に支持せしめると共に、該容器状撹拌体の底部
に前記洗い軸の径より充分大なる孔を形成し、こ
の孔に上方からキヤツプを回り止め状態に取着し
て該孔を閉塞すると共に、そのキヤツプを前記洗
い軸に回り止め及び抜け止め状態に取着して、前
記容器状撹拌体の底部を該キヤツプにより前記洗
い軸に連結せしめる様にすることにより、洗濯物
の前記洗い槽周壁及び容器状撹拌体周壁の間の摩
擦及び洗濯物どうしの摩擦による擦り洗い効果と
洗濯物が洗い槽周壁と容器状撹拌体周壁とから異
方向の力を受けてもまれることによる所謂もみ洗
い効果とを期待でき、併せて洗い軸の点検、掃除
等が所望にでき、しかも容器状撹拌体の洗い軸へ
の連結が合理的な構造でもつてできることを特徴
とするものである。

〔考案の実施例〕

以下本考案を脱水兼用洗濯機に適用した一実施
例について図面を参照しながら説明する。

先ず第１図に於いて、１は外箱であり、内部に
は水受槽２を配設しこれを吊り棒機構３を介して
揺動自在に弾性支持している。４は洗い槽であ
り、これは深底容器状（有底円筒状）を成すもの
で、その中間部には下部を径小に、上部を径大に
形成したことによる段部４ａが存する。而して５
は水受槽２内の下部に収容せしめた攪拌体で、こ
れは内径が洗い槽４の内上部の径と略同一の平面
略円形を成して底部及び周側部を有する比較的浅
底な容器状を成すものであり、その上端部に形成
したフランジ部５ａを前記洗い槽４の段部４ａに
載置せしめて該洗い槽４内で回転、特に正逆回転
可能に支持せられている。６は上記容器状撹拌体
５を収容した後の洗い槽４の上端部に取着したバ
ランスリングで、これは後述の如く洗濯される洗
濯物の飛出し防止をも兼ねて洗い槽４の内方に突
出しており、その内径D₆に対して、容器状撹拌
体５の最大径であるフランジ部５ａの外径D₅は
それより大きい。さて、斯様に容器状撹拌体５を
収容し且つバランスリング６を取着した洗い槽４
は、その後水受槽２内に収容せられており、そし
てその底部の略中央を、該水受槽２の内下部に位
置した脱水軸７の上端フランジ部７ａ上に載置せ
しめている。ここで、前記容器状撹拌体５の底部
にはその略中央に孔８を形成していて、これは第
２図に示す様に上述の脱水軸７を貫通して洗い槽
４の内下部に突出位置した洗い軸９の径よりも大
なる例えば矩形状を成すものであり、そこでこの
孔８から前記洗い槽４の底部を前記脱水軸７の上
端フランジ部７ａに複数本のボルト１０によつて
取着連結している。１１はキヤツプであり、これ
は円盤状を成す上部１１ａの中心部にボス部１１
ｂを、又、該ボス部１１ｂの下部周囲に角筒部１
１ｃを夫々有するもので、その角筒部１１ｃを上
方から前記容器状撹拌体５の孔８に嵌合せしめる
ことにより、該孔８に回り止め状態に収着して、
該孔８を閉塞し、且つボス部１１ｂを前記洗い軸
９に嵌合せしめて、該ボス部１１ｂを通した螺子
１２により洗い軸９に回り止め及び抜け止め状態
に取着固定して、以て該キヤツプ１１により前記
容器状撹拌体５の底部を洗い軸９に連結せしめて
いる。尚、容器状撹拌体５の周壁内面は凹凸状と
なし、又、その周壁には多数の脱水孔１３を形成
していて、この他洗い槽４の周壁にも脱水孔１４
を形成している。１５は動力制御機構であり、モ
ータ１６の回転力を洗い時には洗い軸９に減速し
て且つ交互に反転するように伝え、また脱水時に
は脱水軸８及び洗い軸９に伝えて洗い槽４を容器
状撹拌体５と一体に回転させるために減速機構、
クラツチ機構及びブレーキ機構等を内蔵してい
る。１７は排水弁で、洗い槽４内の水を水受槽２
の底部から排水ホース１８を介して機外に排出し
得るようにしている。１９はタイマーであり、こ
れによつて洗いから最終脱水までの各行程を自動
的に制御するようにしている。

次に上記構成の作用について説明する。洗い時
には水受槽２内従つて洗い槽４内に従来の回転羽
根方式の洗濯機と同程度の量の水を供給し且つ洗
濯物を投入する。そして洗い運転は洗い槽４を回
転しないようにブレーキ機構により拘束した状態
で容器状撹拌体５のみを正逆回転駆動することに
よつて行なう。この実施例では容器状撹拌体５の
回転数を毎分120乃至180回転の範囲以内とし且つ
略２〜３回転毎に回転方向を反転させるようにし
ている。

さてこのような洗い運転において、洗濯物は容
器状撹拌体５の正逆回転によりその周壁と洗い槽
４の上部の周壁とにわたつて接触するため下方の
部分では容器状撹拌体５からこれとの摩擦接触に
より回転力があたえられ、上部位では洗い槽４の
上部との摩擦接触により拘束力を受け、こうした
異方向摩擦力を同時に受けることにより洗濯物に
ねじれ或いは圧迫作用を与えしかもこれが容器状
撹拌体５の回転方向の反転により繰返し行なわれ
ると共に容器状撹拌体５の回転に伴う遠心力によ
つて洗濯物が容器状撹拌体５の周壁方向に押され
その反作用を洗い槽４上部の周壁から内方に向け
て受けることにより上下に反転する作用をも生じ
複雑な動きが与えられる。従つて洗濯物はこのよ
うな複雑な動きによる布どうしの大きな摩擦、並
びに洗い槽４の上部及び容器状撹拌体５の周壁と
の大きな摩擦により擦り洗い作用を受けるかたわ
ら、ねじれや圧迫の繰返しによる一種のもみ洗い
作用をも受けて洗われるものであり、その洗浄効
果が優れていることは第３図に比較実験結果の一
例として示した如くであり、即ち、第３図におい
て夫々、曲線Ａは本考案による場合、Ｂは従来の
回転羽根方式による場合、Ｃはこの考案に先行し
て考えられた洗い槽回転方式による場合の洗浄比
特性を示し、本考案による洗浄効果が高いことが
判る。

更に前述のように洗濯物は洗い槽４の上部及び
容器状撹拌体５の周壁との摩擦接触によつて動か
されるので布量が多くなるにつれ摩擦力も大きく
なり布量増加による洗濯物の動き度合の低下が少
なく従つて洗浄効果の低下率が小さい。しかも洗
濯物は布量が少ないときは容器状撹拌体５の周壁
に対する接触頻度が低い上に接触摩擦力が極めて
小さく、主に表面積の大なる容器状撹拌体５の低
速回転により洗い槽４全体に生起された水流によ
り流動されて洗われることになるため、従来の回
転羽根方式の様に水流が過激に強くならないので
過剰洗浄にはならず布量の多少に拘らず適切な洗
浄度合が確保できる。これらのことは適切な洗浄
効果を維持できる布量の範囲が前述の先行技術に
よる場合よりも広いことを意味するものである
（第３図参照）。

そして一方、構造面ではキヤツプ１１を外すこ
とによつて孔８から洗い軸９並びにその周辺の点
検をすることができ、且つ洗い軸９にからみ付い
たリントの掃除等も所望にできるもので、いわゆ
るサービス性を良くし得る。又、特に本実施例の
場合、洗い槽４内には最大径がバランスリング６
の内径より大なる容器状撹拌体５を収容するた
め、そのバランスリング６を取着する前に容器状
撹拌体５を入れておかなければならないが、斯様
に容器状撹拌体５を入れた状態の洗い槽４はその
後水受槽２内に入れて脱水軸７の上端フランジ部
７ａに取着しようとするとき、そのフランジ部７
ａが容器状撹拌体５の底部により覆い隠されてそ
れに取着できなくなることが考えられる。然し本
実施例に於いては、上記容器状撹拌体５の底部に
洗い軸９の径より充分大なる様に形成した孔８を
通して上記脱水軸７の上端フランジ部７ａに対す
る洗い槽４の取着ができるもので、又、斯様に取
着して後或いは前述の様な点検掃除を行つた後に
はキヤツプ１１を装着せしめることによつて洗い
軸９に対する容器状撹拌体５の取着連結も確実に
できるものであり、該容器状撹拌体５の正逆回転
駆動に支障を生ずることはないし、又、孔８から
洗濯物が抜け出るという様な心配もない。そして
この場合、何よりも、孔８を閉塞するキヤツプ１
１によつて容器状撹拌体５の洗い軸９への連結が
できるのであるから、その容器状撹拌体５の連結
をキヤツプ１１を利用した合理的な構造で達成で
きるという効果まで得られる。

尚、上記実施例の脱水運転は排水弁１７の開放
による排水後、図示しないクラツチ機構等を作動
させて洗い槽４及び容器状攪拌体５を一体に一方
向に高速回転せしめることにより行なわれるもの
である。

但し、本考案は上記実施例のみに限定されるも
のではなく、従つて脱水機能を有しない洗い槽に
適用しても良いもので、このことから洗い槽の周
壁を無孔状にしてこれ自身に水を貯えるようにな
し水受槽を除去した構成としても良く、従つて洗
い槽を回転駆動するための各種部品は具えられて
なくても良い。

〔考案の効果〕

以上にて明らかな様に本考案の洗濯機は、洗い
槽の内下部に、内径が洗い槽の内上部の径と略同
一の平面略円形を成して底部及び周側部を有する
容器状撹拌体を、その底部が洗い軸に連結されて
正逆回転駆動されるように配設し、該洗い槽内に
洗濯物を水と共に収容してその洗濯物を、前記容
器状撹拌体の正逆回転に伴う接触摩擦力及び前記
洗い槽の上部周壁から受ける摩擦力との相乗作用
により洗濯するようにしたものであつて、その容
器状撹拌体を洗い槽内で回転可能に支持せしめる
と共に、該容器状撹拌体の底部に前記洗い軸の径
より充分大なる孔を形成し、この孔に上方からキ
ヤツプを回り止め状態に取着して該孔を閉塞する
と共に、そのキヤツプを前記洗い軸に回り止め及
び抜け止め状態に取着して、前記容器状撹拌体の
底部を該キヤツプにより前記洗い軸に連結せしめ
たことを特徴とし、以て従来の回転羽根或いは洗
い槽全体の回転によらずとも従来以上の洗浄効果
及び布傷み防止を期待できると共に一回で洗濯し
得る量が多く、しかも適切な洗浄効果を維持でき
る布量範囲が広くなり、そして更にはリント等が
からみ付き易い部分の点検，掃除等も所望に行な
うことができ、しかも容器状撹拌体の洗い軸への
連結を合理的な構造でもつて達成できるなど、
種々の優れた実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例を示した縦断側面図、
第２図は同実施例の主要部の分解斜視図、第３図
は洗浄比特性図である。 図中、４は洗い槽、５は容器状攪拌体、７は脱
水軸、８は孔、９は洗い軸、１１はキヤツプ、１
５は動力制御機構、１６はモータである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 洗い槽の内下部に、内径が洗い槽の内上部の径
   と略同一の平面略円形を成して底部及び周側部を
   有する容器状撹拌体を、その底部が洗い軸に連結
   されて正逆回転駆動されるように配設し、該洗い
   槽内に洗濯物を水と共に収容してその洗濯物を、
   前記容器状撹拌体の正逆回転に伴う接触摩擦力及
   び前記洗い槽の上部周壁から受ける摩擦力との相
   乗作用により洗濯するようにしたものであつて、
   その容器状撹拌体を洗い槽内で回転可能に支持せ
   しめると共に、該容器状撹拌体の底部に前記洗い
   軸の径より充分大なる孔を形成し、この孔に上方
   からキヤツプを回り止め状態に取着して該孔を閉
   塞すると共に、そのキヤツプを前記洗い軸に回り
   止め及び抜け止め状態に取着して、前記容器状撹
   拌体の底部を該キヤツプにより前記洗い軸に連結
   せしめたことを特徴とする洗濯機。