JPH0255077B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は洗い槽の内下部に容器状の撹拌体を配
設して該撹拌体を正逆回転させることにより効果
的な洗濯をする洗濯機に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

従来の洗濯機のうち、回転羽根によつて水流を
生じさせて洗浄作用を得る回転羽根方式のものは
洗濯物を水流により流動させることを本質とする
から布量に対して大きな洗い槽容積を必要とし、
これは一回で洗濯し得る量が少ないことを意味す
る。また布量が少ないときは水流が極端に強くな
つて過剰洗浄気味になる一方、布量が増加すると
これに伴い水流速度が低下して洗浄効果が急速に
低下する傾向がある。更に洗濯物と回転羽根との
接触は偶発的でしかも部分的にしか生じないので
洗濯物全体にわたる擦り洗い効果を期待すること
ができないし、逆に部分的に洗濯物を傷めること
になる。

一方最近になつて回転羽根を除去した新しい方
式のものとして、洗い槽全体を水と洗濯物を収容
したまま間欠的に回転させて水と洗濯物との間の
速度差により洗浄作用を得ようとするものが提案
されているが、このものは洗濯物を傷めない利点
を有するものの、洗濯物と水との間の速度差が小
さく且つ単純な動きとなつて洗浄効果が低いと云
う難点がある。

〔発明の目的〕

本発明は上述の事情に鑑みなされたものであ
り、従つてその目的は、従来の回転羽根或いは洗
い槽全体の回転によらずとも従来以上の洗浄効果
及び布傷み防止を期待できると共に一回で洗濯し
得る量が多くでき、しかも適切な洗浄効果を維持
できる布量範囲を広くでき、併せてすすぎ効果等
もより充分なものを得ることのできる洗濯機を提
供するにある。

〔発明の概要〕

本発明は、洗い槽の下部内方に配設され洗い槽
の下部内面と近接して対向する周壁を有する容器
状撹拌体を備え、該洗い槽内に洗濯物を水と共に
収容してその洗濯物を、前記容器状撹拌体の正逆
回転に伴う該容器状撹拌体周壁との接触摩擦力及
び前記洗い槽の上部周壁から受ける摩擦力との相
乗作用により洗濯するようにしたものであつて、
その容器状撹拌体の裏面に洗い槽の底面のほぼ周
縁部まで延びるように設けられた裏羽根を備える
と共に、前記洗い槽の下部内面に該下部内面がほ
ぼ面一になるように設けられ前記裏羽根の回転に
よる洗い槽下部の水を底部から上方へと導く導水
路を備え、且つその導水路の入口部部分より上方
の前記容器状撹拌体６及び前記洗い槽の何れか一
方の側に前記洗い槽下部の裏羽根収容部を他の部
分から遮絶するように設けられた遮絶体を備える
構成とすることにより、洗濯物の上記洗い槽周壁
及び容器状撹拌体周壁の間の摩擦及び洗濯物どう
しの摩擦による擦り洗い効果と洗濯物が洗い槽周
壁と容器状撹拌体周壁とから異方向の力を受けて
もまれることによる所謂もみ洗い効果とを期待で
き、併せて洗い槽内の上下の水の入れ替えも損失
少なく盛んに行なう様にしたことを特徴とするも
のである。

〔発明の実施例〕

以下本発明を脱水兼用洗濯機に適用した一実施
例について第１図乃至第３図を参照しながら説明
する。

先ず第１図に於いて、１は外箱であり、内部に
は水受槽２を配設しこれを吊り棒機構３によつて
揺動自在に弾性支持している。４は洗い槽であ
り、これを上記水受槽２内に配設して、該水受槽
２の内底部に突出した脱水軸５の上端フランジ部
５ａ従つて脱水軸５に取着している。６は鉢状な
ど容器状を成す撹拌体で、これを上記洗い槽４の
下部内方に配設し、上記脱水軸５を貫通して洗い
槽４の内底部に突出した洗い軸７に取着してい
る。さて、斯様な容器状撹拌体６にはその周側部
内面に多数の縦リブ８を、又、その各縦リブ８間
の周側壁には多数の脱水孔９を夫々形設してお
り、そして裏面、中でも底部の裏面には容器状撹
拌体６の補強を兼ねて中心部から外周縁部のやや
外方まで延びる裏羽根１０を複数枚突設し、更に
その外方端部分の上部には垂下リブ状の遮絶体１
１を全周にわたる環状に突設している。一方、斯
様な容器状撹拌体６に対し、前記洗い槽４は詳細
には槽下部４ａと槽上部４ｂとから成るもので、
その槽下部４ａには底部に開口１２を形成して、
それにより前記脱水軸５の上端フランジ部５ａに
形設した通水孔１３を上記裏羽根１０に夫々中心
部近くで臨ませ、他方、側部には上記裏羽根１０
部を収容した洗い槽４底部全体を裏羽根収容部１
４としその裏羽根収容部１４から上端部まで真直
ぐ上方に延びる溝１５とこれの槽内に臨む開放面
部を第２図に示す如く槽の内面と面一の形態で塞
ぐカバー１６の下半部とで導水路１７を形設して
おり、該導水路１７に対して前記遮絶体１１はそ
の入口部１７ａ部分より上方に位置して前記槽下
部４ａ（洗い槽４の下部）の裏羽根収容部１４を
該導水路入口部１７ａに臨ませそれ以外には裏羽
根収容部１４を槽下部４ａの他の部分から遮絶す
るように配置してある。そして以上に加え、槽上
部４ｂには導水路１７と連なる送水路１８を、該
槽上部４ｂ側部の上部まで真直ぐ上方に延びる溝
１９とこれの槽内に臨む開放面部をその槽の内面
と面一若しくは若干突出した形態で塞ぐ前記カバ
ー１６の上半部とで形設し、又、該導水路１８の
槽内に臨む先端吐出口部分にはリント捕獲用の例
えば網袋から成るフイルタ２０を装着している。
この他、槽上部４ｂには周側壁に多数の脱水孔２
１を、又、上端部にバランスリング２２を夫々形
成している。尚、２３は動力制御機構であり、モ
ータ２４の回転力を洗い時には洗い軸７に減速し
て且つ交互に反転するように伝え、また脱水時に
は脱水軸５及び洗い軸７に伝え洗い槽４を容器状
撹拌体６と一体に回転させるために減速機構、ク
ラツチ機構及びブレーキ機構等を内蔵している。
２５は排水弁で、洗い槽４内の水を水受槽２の底
部から排水ホース２６を介して機外に排出し得る
ようになつている。２７はタイマーであり、この
タイマー２７によつて洗いから最終脱水までの各
行程を順次自動的に制御するようにしている。

次に上記構成の作用について説明する。洗い時
には水受槽２内従つて洗い槽４内に従来の回転羽
根方式の洗濯機と同行程の量の水を供給し且つ洗
濯物と必要量の洗剤とを投入する。そして洗い運
転は洗い槽４を回転しないようにブレーキ機構に
より拘束した状態で容器状撹拌体６のみを正逆回
転駆動することによつて行なう。この実施例では
容器状撹拌体６の回転数を毎分120乃至180回転の
範囲内とし且つ略２〜３回転毎に回転方向を反転
させるようにしている。

さてこのような洗い運転において、洗濯物は容
器状撹拌体６の正逆回転によりその周壁と洗い槽
４の上部の周壁にわたつて接触するための下方の
部分では容器状撹拌体６からこれとの摩擦接触に
より回転力があたえられ、上部位では洗い槽４の
上部との摩擦接触により拘束力を受け、こうした
異方向摩擦力を同時に受けることにより洗濯物に
ねじれ或いは圧迫作用を与えしかもこれが容器状
撹拌体６の回転方向の反転により繰返し行なわれ
ると共に容器状撹拌体６の回転に伴う遠心力によ
つて洗濯物が容器状撹拌体６の周壁方向に押され
てその反作用を洗い槽４上部の周壁から内方に向
けて受けることにより上下に反転する作用をも生
じ複雑な動きが与えられる。従つて洗濯物はこの
ような複雑な動きによる布どうしの大きな摩擦、
並びに洗い槽４の上部周壁及び容器状撹拌体６の
周壁との大きな摩擦により洗い作用を受けるかた
わら、ねじれや圧迫の繰返しによる一種のもみ洗
い作用をも受けて洗われるものであり、その洗浄
効果が優れていることは第３図に比較実験結果の
一例として示した如くであり、即ち、第３図にお
いて夫々、曲線Ａは本発明による場合、Ｂは従来
の回転羽根方式による場合、Ｃはこの発明に先行
して考えられた洗い槽回転方式による場合の洗浄
比特性を示し、本発明による洗浄効果が高いこと
が判る。

更に前述のように洗濯物は洗い槽４の上部周壁
及び容器状撹拌体６の周壁との摩擦接触によつて
動かされるので布量が多くなるにつれ摩擦力も大
きくなり布量増加による洗濯物の動き度合の低下
が少なく従つて洗浄効果の低下率が小さい。しか
も洗濯物は布量が少ないときは容器状撹拌体６の
周壁に対する接触頻度が低い上に接触摩擦力が極
めて小さく、主に表面積の大なる容器状撹拌体６
の低速回転により洗い槽４内全体に生起された水
流により流動されて洗われることになるため、従
来の回転羽根方式の様に水流が過激に強くならな
いので過剰洗浄にはならず布量の多少に拘らず適
切な洗浄度合が確保できる。これらのことは適切
な洗浄効果を維持できる布量の範囲が前述の先行
技術による場合よりも広いことを意味するもので
ある（第３図参照）。

而して上述の洗い時並びにそれと同様の運転を
行なうすすぎ時には、容器状撹拌体６の回転に伴
い裏羽根１０が水受槽２内の水を通水孔１３から
開口１２を通して吸引し外方へと吐出することか
ら、その吐出された水が導水路１７に導かれた該
導水路１７を通つて更に送水路１８を通りフイル
タ２０から洗い槽４内に吐出されるということを
繰返すもので、それにより洗い槽４内の上下の水
の入れ替えを促進できて、洗い時の洗液について
の洗剤濃度のむらを速やかに消去できるというこ
とばかりでなく、特にはすすぎ時の洗液全体の希
釈を早めることができ、斯くして効果的に且つ効
率の良いすすぎを行なうことができ、殊に洗濯物
の量が多くて洗液全体の希釈が進み難い場合に効
果を奏する。この場合、容器状撹拌体６を洗い槽
４の下部内方に配設し、該容器状撹拌体６の周壁
を洗い槽４の下部内面と近接して対向するように
構成したので、洗い槽４の下部である底部全体を
裏羽根収容部１４とし、この裏羽根収容部１４を
裏羽根１０による吐水作用を生じさせるためのい
わゆるポンプ室にしたから、洗い槽４の底部に別
途ポンプ室を設ける必要がなくなる。また、裏羽
根１０を、容器状撹拌体６の裏面に洗い槽４の底
面のほぼ周縁部まで延びるように設けたので、裏
羽根１０の径方向寸法が大きくなり、裏羽根１０
により水に対して大きな遠心力が作用する。この
ため、裏羽根１０の回転速度即ち容器状撹拌体６
の回転速度が小さくても、それを補うことがで
き、裏羽根１０により水に対して十分大きな遠心
力が作用するようになるから、裏羽根１０による
吐水作用も十分なものとなる。更に、導水路１７
を、洗い槽４の下部内面に該下部内面がほぼ面一
になるように設けているので、導水路１７部分に
ついても、洗い槽４の下部内面と容器状撹拌体６
の周壁とを近接させることができ、裏羽根１０に
よる吐水作用が低下することを防止できる。しか
もこの場合、導水路１７の入口部１７ａ部分及び
此処と同位の高さに位置する洗い槽４内下部では
遮絶体１１が洗い槽４下部（槽下部４ａ）の裏羽
根収容部１４をその導水路入口部１７ａに臨ませ
る以外他の部分から遮絶していることから、裏羽
根１０が上述の如く吐出する水も他の部分には遮
絶体１１とカバー１６及び洗い槽４下部内面との
間の極く僅かな隙間から出る微少の量しか洩れ
ず、従つてその吐出する水量の殆ど全部を導水路
へと導入せしめ得るものであり、従つて損失少な
く送水でき、上述の洗濯効果の向上並びにすすぎ
の効果の向上に一層寄与することができる。

尚、遮絶体１１は第４図に示す様に水平方向に
突出させた遮絶体２８に変えて実施する様にして
も良いのであるが、この遮絶体２８に比し前述の
遮絶体１１は槽下部４ａの型抜き方向に指向する
ものであるから成形性も良い。又この場合、それ
らの遮絶体はカバー１６（洗い槽４側）から突出
させて設ける様にしても良い。そして一方、前述
の裏羽根１０が起こす吐水作用を受けて洗い槽４
内の下部の水を上方へと導くものは導水路１７だ
けであつても良いもので、該導水路１７だけでも
洗液の希釈等の点については上述同様の効果を得
ることができる。但し、導水路１７だけでなく送
水路１８まで有する上記実施例に於いては、その
先端部から吐出される水により洗い槽４内の上部
に存する洗濯物を下方へ押え付けることができ、
同時にその洗濯物に直接洗液をかけたり或いはそ
れから直接洗剤分を洗い流したりする効果まで得
られるもので、更には洗いの開始時点等では洗濯
物の上に載つた洗剤を溶かし流す様な効果まで得
ることができる。又、該送水路１８の先端部にリ
ント捕獲用のフイルタ２０を有する上記実施例に
於いては、洗濯物から離散して水中に浮遊するリ
ントの捕獲まで効果的に行ない得る利点を有する
ものであるが、該フイルタ２０も、上記送水路１
８同様に必ずしも必要なものではない。そして上
記実施例の場合、脱水運転は排水弁２５の開放に
よる排水後、図示しないクラツチ機構等を作動さ
せて洗い槽４及び容器状撹拌体６を一体に一方向
に高速回転せしめることにより行なわれるもので
あるが、然し、本発明は脱水機能を有しない洗い
槽に適用しても良いもので、このことから洗い槽
の周壁を無孔状にしてこれ自身に水を貯えるよう
になし水受槽を除去した構成としても良く、従つ
て洗い槽を回転駆動するための各種部品は具えら
れてなくても良い。又この場合、通水孔１３及び
開口１２に代わるものとしては容器状撹拌体６の
底部中心近くに通水孔を形設すれば良い。

〔発明の効果〕

以上にて明らかな様に本発明の洗濯機は、洗い
槽の内下部に配設され洗い槽の下部内面と近接し
て対向する周壁を有する容器状撹拌体を備え、該
洗い槽内に洗濯物を水と共に収容してその洗濯物
を、前記容器状撹拌体の正逆回転に伴う該容器状
撹拌体周壁との接触摩擦力及び前記洗い槽の上部
周壁から受ける摩擦力との相乗作用により洗濯す
るようにしたものであつて、その容器状撹拌体の
裏面に洗い槽の底面のほぼ周縁部まで延びるよう
に設けられた裏羽根を備えると共に、前記洗い槽
の下部内面に該下部内面がほぼ面一になるように
設けられ前記裏羽根の回転による吐水作用を受け
て該洗い槽下部の水を底部から上方へと導く導水
路を備え、且つその導水路の入口部近傍に前記洗
い槽下部の裏羽根収容部を該導水路入口部に臨ま
せる以外他の部分から遮絶するように設けられた
遮絶体を備えて成ることを特徴とするものであ
り、以て従来の回転羽根或いは洗い槽全体の回転
によらずとも従来以上の洗浄効果及び布傷み防止
を期待できると共に一回で洗濯し得る量を多くで
き、しかも適切な洗浄効果を維持できる布量範囲
を広くでき、併せてすすぎ効果等もより充分なも
のを得ることができ、また、洗い槽の底部全体が
裏羽根収容部即ちポンプ室となるからポンプ室を
特別に作ることが不要になるなど、種々の優れた
効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示した縦断側面
図、第２図は第１図の−線に沿う導水路部分
の横断面図、第３図は洗浄比特性図、第４図は本
発明の異なる実施例を示した主要部の縦断側面図
である。 図中、４は洗い槽、６は容器状撹拌体、１０は
裏羽根、１１は遮絶体、１７は導水路、１７ａは
導水路の入口部、１８は送水路、２０はフイル
タ、２３は動力制御機構、２４はモータ、２８は
遮絶体である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 洗い槽の下部内方に配設され前記洗い槽の下
   部内面と近接して対向する周壁を有する容器状撹
   拌体を備え、該洗い槽内に洗濯物を水と共に、収
   容してその洗濯物を、前記容器状撹拌体の正逆回
   転に伴う該容器状撹拌体周壁との接触摩擦力及び
   前記洗い槽の上部周壁から受ける摩擦力との相乗
   作用により洗濯するようにしたものであつて、前
   記容器状撹拌体の裏面に前記洗い槽の底面のほぼ
   周縁部まで延びるように設けられた裏羽根と、前
   記洗い槽の下部内面に該下部内面がほぼ面一にな
   るように設けられ前記裏羽根の回転による吐水作
   用を受けて該洗い槽下部の水を底部から上方へと
   導く導水路と、この導水路の入口部部分より上方
   の前記容器状撹拌体及び前記洗い槽の何れか一方
   の側に前記洗い槽下部の裏羽根収容部を他の部分
   から遮絶するように設けられた遮絶体とを備えて
   成ることを特徴とする洗濯機。