JPS6316395Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は水受槽内に設けた槽体とこの槽体の内
下方部に沿うように配設された容器状撹拌体とを
具備して成る脱水兼用洗濯機に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

従来の洗濯機のうち、回転羽根によつて水流を
生じさせて洗浄作用を得る回転羽根方式のものは
洗濯物を水流により流動させることを本質とする
から布量に対して大きな洗い槽容積を必要とし、
これは一回で洗濯し得る量が少ないことを意味す
る。また布量が少ないときは水流が極端に強くな
つて過剰洗浄気味になる一方、布量が増加すると
これに伴い水流速度が低下して洗浄効果が急速に
低下する傾向がある。更に洗濯物と回転羽根との
接触は偶発的でしかも部分的にしか生じないので
洗濯物全体にわたる擦り洗い効果を期待すること
ができないし、逆に部分的に洗濯物を傷めること
になる。

一方最近になつて回転羽根を除去した新しい方
式のものとして、洗濯時には洗い槽全体を水と洗
濯物を収容したまま間欠的に回転させて水と先濯
物との間の速度差により洗浄作用を得ると共に、
脱水時には一方向に高速回転することにより脱水
をしようとするものが提案されているが、このも
のは洗濯物を傷めない利点を有するも洗濯物と水
との間の速度差が小さく且つ単純な動きとなつて
洗浄効果が低いと云う難点がある。

〔考案の目的〕

そこで本考案の目的は従来の回転羽根或いは洗
い槽全体の回転によらずとも従来以上の洗浄効果
及び布傷み防止を期待できると共に一回で洗濯し
得る量が多く、しかも適切な洗浄効果を維持でき
る布量範囲が広くなる一方、併せて脱水運動も効
率良くできる脱水兼用洗濯機を提供することにあ
る。

〔考案の概要〕

本考案は、水受け槽内に周壁に脱水孔を有する
槽体を回転可能に配設し、この槽体の内下方部に
沿うようにして周壁に脱水孔を有する容器状撹拌
体を配設し、洗濯時には前記槽体内に洗濯物を水
と共に収容してその洗濯物を、前記容器状撹拌体
により生起された水流及び接触摩擦力により流動
させるようにすると共に前記槽体の上部周壁から
受ける摩擦力との相乗作用により洗濯するように
し、以て洗濯物が前記槽体の上部周壁及び容器状
撹拌体の周壁の間の摩擦及び洗濯物どうしの摩擦
による擦り洗い効果と洗濯物が槽体の上部周壁と
容器状撹拌体の周壁とから異方向の力を受けても
まれることによる所謂もみ洗い効果とを期待でき
るようにし、且つ槽体の脱水孔と容器状撹拌体の
脱水孔とを対向する位置に設けることにより、脱
水された水を円滑に放出でき効率良く脱水できる
ようにしたものである。

〔考案の実施例〕

以下本考案をの一実施例について第１図及び第
２図を参照しながら説明する。

１は外箱であり、内部には水受槽２を配設しこ
れを吊り棒機構３を介して揺動自在に弾性支持し
ている。４は洗い槽であり、これを脱水運転時に
回転し洗い時には制止せられる槽体５と浅底で椀
状をなす容器状撹拌体６との組み合せにより構成
している。以下このことを詳述するに、槽体５は
水受槽２内に配置されてその外底部を中空の脱水
軸７に連結し、そして容器状撹拌体６は例えば合
成樹脂製にてその周壁を凹凸状となし槽体５の内
下方部の周壁面に沿うように配置しその外底部を
洗い軸８に連結している。このとき容器状撹拌体
６の周壁高さを槽体５の略半分の高さ即ち深さと
し直径を槽体５内で回転し得る範囲の大きさにし
ている。そして洗い槽４は脱水槽を兼ねるべく、
すなわち、槽体５の周壁及び容器状撹拌体６の凹
状周壁に夫々脱水孔９及び１０を対向する位置関
係に設け、特に、本実施例では、前記槽体５の脱
水孔９の中心軸と前記容器状撹拌体６の脱水孔１
０の中心軸とが略一致するよう同一水平線上に設
けている。１１は動力制御機構であり、洗濯機モ
ータ１２の回転力を洗い時には洗い軸８に減速し
て且つ交互に反転するように伝え、また脱水時に
は脱水軸７及び洗い軸８に伝えて槽体５を容器状
撹拌体６と一体に回転させるために減速機構、ク
ラツチ機構及びブレーキ機構等を内蔵している。
１３は排水弁で、洗い槽４内の水を水受槽２の底
部から排水ホース１４を介して機外に排出し得る
ようにしている。１５はタイマーであり、これに
よつて洗いから最終脱水までの各行程を自動的に
制御するようにしている。

次に上機構成の作用について説明する。洗い時
には水受槽２内に従来の回転羽根方式の洗濯機と
同程度の量の水を供給し且つ洗濯物を投入する。
そして洗い運転は槽体５を回転しないようにブレ
ーキ機構により拘束した状態で容器状撹拌体６の
みを正逆回転駆動することによつて行なう。この
実施例では容器状撹拌体６の回転数を毎分120及
至180回転の範囲以内とし且つ略２〜３回転毎に
回転方向を反転させるようにしている。

さてこのような洗い運転において、洗濯物は容
器状撹拌体６の正逆回転によりその周壁と槽体５
の周壁とにわたつて接触するため下方の部分では
容器状撹拌体６からこれとの摩擦接触により回転
力があたえられ、上部位では槽体５との摩擦接触
により拘束力を受け、こうした異方向摩擦力を同
時に受けることにより洗濯物にねじれ或いは圧迫
作用を与えしかもこれが容器状撹拌体６の回転方
向の反転により繰返し行われると共に容器状撹拌
体６の回転に伴う遠心力によつて洗濯物が容器状
撹拌体６の周壁方向に押されその反作用を上部の
槽体５の周壁から内方に向けて受けることにより
上下に反転する作用をも生じ複雑な動きが与えら
れる。従つて洗濯物はこのような複雑な動きによ
る布どうしの大きな摩擦、並びに、槽体５及び容
器状撹拌体６の周壁との大きな摩擦により擦り洗
い作用を受けるかたわら、ねじれや圧迫の繰返し
による一種のもみ洗い作用をも受けて洗われるも
のであり、その洗浄効果が優れていることは第２
図に比較実験結果の一例として示した如く、即
ち、第２図において夫々、曲線Ａは本考案による
場合、Ｂは従来の回転羽根方式による場合、Ｃは
この考案に先行して考えられた洗い槽回転方式に
よる場合の洗浄比特性を示し、本考案による洗浄
効果が高いことが判る。

更に前述のように洗濯物は槽体５及び容器状撹
拌体６の周壁との摩擦接触によつて動かされるの
で布量が多くなるにつれ摩擦力も大きくなり布量
増加による洗濯物の動き度合の低下が少なく従つ
て洗浄効果の低下率が小さい。しかも洗濯物は布
量が少ないときは容器状撹拌体６の周壁に対する
接触頻度が低い上に接触摩擦力が極めて小さく、
主として容器状撹拌体６の回転により生起された
水流により流動させて洗われることになるが、従
来の回転羽根による場合の如く水流が過剰に強く
なるようなことはないので過剰洗浄にはならず布
量の多少に係らず、適切な洗浄度合が確保でき
る。これらのことは適切な洗浄効果を維持できる
布量の範囲が前述の先行技術による場合よりも広
いことを意味するものである（第２図参照）。

脱水運転時には排水弁１３の開放による排水
後、図示しないクラツチ機構等を作動して槽体５
及び容器状撹拌体６を一方向に一体回転せしめる
ことにより行なわれるものである。

このような脱水運転において、容器状撹拌体６
内の洗濯物に含まれている水は、容器状撹拌体６
の回転によつて発生する遠心力により容器状撹拌
体６の周壁に移動し、脱水孔１０から飛び出し、
次に槽体５の周壁を到達し、さらに槽体５の脱水
孔９から水受槽２内に放出され水受槽２底部を経
て排水ホース１４から機外に排出される。ここ
で、本実施例では槽体５の脱水孔９と容器状撹拌
体６の脱水孔１０との中心軸が略一致する同一水
平線上に設けられているから、容器状撹拌体６の
脱水孔１０から槽体５の周壁に到達した水は槽体
５の周壁に帯留することなく槽体５の脱水孔９か
ら水受槽２へ効果的に移動することが可能にな
り、以て、槽体５と容器状撹拌体６とが所謂二重
壁構成となりながらも脱水された水を円滑に放出
でき効率良く脱水できるものである。

また、槽体５の脱水孔９と容器状撹拌体６の脱
水孔１０とを対向する位置に設けると共に、更に
第１図に示すように脱水孔９及び１０の孔径をａ
及びｂとし、ａ≧ｂとなるように所謂脱水孔９の
単一孔面積を脱水孔１０の単一孔面積より大きく
なるように形成することにより、脱水孔９と脱水
孔１０とが対向する範囲が広くなり、槽体５と容
器状撹拌体６の相対位置が或る程度ずれても脱水
性能を低下させることはなく一層効率の良い脱水
効果が期待できるものである。

尚、本考案は上記し且つ図面に示す実施例のみ
に限定されるものではなく、例えば、槽体の脱水
孔及び容器状撹拌体の脱水孔の形状は四角形等の
多角形や長方形でも良く、要は対向する位置関係
に設けてあれば良い等要旨を逸脱しない範囲内で
適宜変更して実施し得ることは勿論である。

〔考案の効果〕

本考案によれば、以上述べたように槽体及びを
容器状撹拌体とからなる構成に基づく水流及び接
触摩擦力の相乗作用により洗濯するようにしたこ
とにより、洗濯するに必要な動きを布量が多くて
も確保でき、従つて槽体の容積が同一の場合一回
で洗濯し得る量が従来のものよりもはるかに多く
なり、しかも従来以上の洗浄効果を期待できる上
に布傷みも少なく適切な洗浄効果を維持できる布
量の範囲が広いので布量による洗浄効果の過不足
を避け得る。また、脱水時には、槽体とその内下
方部に沿うように配設された容器状撹拌体とが一
体的に回転する構成にあるが、槽体の脱水孔と容
器状撹拌体の脱水孔とを対向する位置に設けたこ
とにより、脱水された水を円滑に放出でき効率良
く脱水できる脱水兼用洗濯機を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断側面図、
第２図は洗浄比特性図である。 図中、２は水受槽、５は槽体、６は容器状撹拌
体、９，１０は脱水孔である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 水受槽内に周壁に脱水孔を有する槽体を回転
   可能に配設し、この槽体の内下方部に沿うよう
   にして周壁に脱水孔を有する容器状撹拌体を配
   設し、洗濯時には前記槽体内に洗濯物を水と共
   に収容してその洗濯物を、前記容器状撹拌体に
   より生起された水流及び接触摩擦力により流動
   させるようにすると共に前記槽体の上部周壁か
   ら受ける摩擦力との相乗作用により洗濯するよ
   うにし、脱水時には槽体と容器状撹拌体とを一
   体的に一方向回転させるようにした構成にあつ
   て、前記槽体の脱水孔と容器状撹拌体の脱水孔
   とを対向する位置に設けたことを特徴とする脱
   水兼用洗濯機。 ２ 槽体の脱水孔の単一孔面積を容器状撹拌体の
   脱水孔の単一孔面積より大きくしたことを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項に記載の
   脱水兼用洗濯機。