JPS6317741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、左右の車輪を独立駆動となしたスキ
ツドステア式産業車両に関するものである。

一般にスキツドステア式産業車両は、エンジン
にタンデム状に連結された左輪用と右輪用の２個
の可変容量形の油圧ポンプおよびこれに対応する
油圧モータを備えていて、運転席に配置されてい
る左右２本の操作レバーを傾動操作せしめて油圧
ポンプの斜板角制御用の各制御レバーを揺動する
ことにより油圧ポンプを介して油圧モータの回転
方向ならびに速度を制御して車両の走行・操舵を
行つている。

ところで、上述の如き車両では、前記操作レバ
ーには一端を車体の一部に固定したニユートラル
スプリングホルダの他端が連結されこれにより操
作レバーを常に中立位置に保持するようになつて
おり、またシヨツクアブソーバも同様の要領で取
付けられている。一方エンジンは車体に対して吸
振用のマウンテイングを介して支持されているこ
とから、エンジン駆動時には油圧ポンプがエンジ
ンと共に振動するが、この場合油圧ポンプの制御
レバーと連結ロツドを介して連結されている操作
レバーは前述の如くニユートラルスプリングホル
ダによつて中立位置に確保されていることから動
かず、その結果前記振動により生ずるエンジンお
よび油圧ポンプのとくに前後方向の動きによつて
制御レバーが揺動運動を起し、車両が微動すると
いう欠点があつた。

本考案は、上述した従来の欠点を除去できるよ
うに改良されたスキツドステア式産業車両を提供
しようとするものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。図示のように、エンジン１は車体２に
マウンテイング３を介して支持され、このエンジ
ン１の前部には左輪用と右輪用の２個の可変容量
形の油圧ポンプ４，５がタンデム状に連結されて
いる。両油圧ポンプ４，５の側面にはそれぞれ制
御レバー６，７が上下方向に延在配置され、各制
御レバー６，７はそのほぼ中央部が斜板軸（図示
しない）と結合された各制御軸８，９上に固着さ
れている。一方、運転席に配置されている左右２
本の操作レバー１０，１１は、床板の下方におい
てその下部が車体２の一部に支軸１２により前後
方向に傾動可能に取付けられており、各操作レバ
ー１０，１１の下端はそれぞれ対応する前記制御
レバー６，７の下端と連結ロツド１３，１４を介
して連結されている。

しかして、前記各操作レバー１０，１１を常に
中立位置に保持するための２個のニユートラルス
プリングホルダ１５，１６は、油圧ポンプ４，５
の両側面近傍にそれぞれ１個づつほぼ水平状に配
置されていて、両ニユートラルスプリングホルダ
１５，１６は、その一端がそれぞれ対応する制御
レバー６，７の上端と連結され、他端については
一方が油圧ポンプ５の前端に固着されたサポート
プレート１７と連結され他方がエンジン１の前端
に固着されたサポートプレート１８と連結されて
いる。上記のニユートラルスプリングホルダ１
５，１６は、たとえば第３図に示すように一端の
みを開放した筒体１９と、この筒体１９内に所定
間隔を置いて摺動可能に収容された２枚のシート
プレート２０と、両シートプレート２０間に介在
された中立位置保持用のスプリング２１と、両シ
ートプレート２０の離間する方向の動きを拘束す
るための筒体１９に嵌合されたスナツプリング２
２と、筒体１９の閉塞側に固着されたロツド２３
と、前記両シートプレート２０の中心に貫通され
るとともに、スプリングピン２４およびフランジ
２５によつて両シートプレート２０と関係された
ロツド２６とから構成されており、そして上記両
ロツド２３，２６が前述の如くそれぞれ対応する
制御レバー６，７の上端およびサポートプレート
１７，１８にボールジヨイント２７を介して取付
けられている。

また、各操作レバー１０，１１には従来と同様
に一端を車体２の一部に枢着したシヨツクアブソ
ーバ２８，２９の他端が枢着されている。

本実施例は上述のように構成したものであり、
従つて左右の操作レバー１０，１１の傾動操作に
よる制御レバー６，７の揺動制御は、ニユートラ
ルスプリングホルダ１５，１６におけるスプリン
グ２１を圧縮しながら行われ、操作力の解放後は
前記スプリング力によつて各レバー６，７、１
０，１１が中立位置に復帰保持される。

さて、操作レバー１０，１１が中立位置にあつ
て車両が停止している状態では、エンジン１の駆
動により油圧ポンプ４，５がエンジン１と共に振
動し、そしてこの振動により制御レバー６，７が
前後方向に揺動しようとするも、該制御レバー
６，７は一端をエンジン１または油圧ポンプ５に
連結したニユートラルスプリングホルダ１５，１
６の他端と結合されているため、揺動運動を起す
ことなく油圧ポンプ４，５と一体となつて振動す
ることとなり、その結果従来制御レバー６，７に
生じていた揺動は連結ロツド１３，１４を介して
操作レバー１０，１１に現われる。すなわち、従
来の問題点である、エンジン１の振動に起因する
制御レバー６，７の揺動が阻止されて車両の微動
は防止される。ただ、操作レバー１０，１１に多
少の揺動が生ずるも、これは機能上何ら弊害をも
たらすことはない。

なお、図示例ではニユートラルスプリングホル
ダ１５，１６を制御レバー６，７の上端に結合し
ているが、この結合点は下端側、すなわち連結ロ
ツド１３，１４寄りに設定してもよい。

以上詳述したように、本考案は走行用の操作レ
バーと油圧ポンプの制御レバーとを連結ロツドを
介して連繋してなる形式のスキツドステア式産業
車両において、中立保持用のニユートラルホルダ
を、油圧ポンプにおける斜板角制御用の制御レバ
ー側に配設せしめ、該制御レバーを油圧ポンプお
よびエンジンと一体となつて振動させるようにな
して、振動に起因して油圧ポンプと制御レバーと
に相対的変動が生ずることを阻止したものであ
り、従つて本考案によれば従来問題になつてい
る、エンジン駆動中における車両停止時の微動の
発生を防止し、安全性の向上を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は平面
図、第２図は側面図、第３図はニユートラルスプ
リングホルダを示す拡大断面図である。 １……エンジン、４，５……油圧ポンプ、６，
７……制御レバー、１０，１１……操作レバー、
１５，１６……ニユートラルスプリングホルダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンにタンデム状に連結された左輪用と右
   輪用の２個の油圧ポンプを備え、それら油圧ポン
   プの斜板角を制御する制御レバーは、中間位置を
   中立位置とし、この中立位置を挟んで前後に揺動
   することによつて走行用油圧モータの回転方向及
   び回転速度を制御するよう設定され、そして前記
   油圧ポンプごとの制御レバーを左右の操作レバー
   により連結ロツドを介して個別的に揺動制御せし
   めることにより車両の走行・操舵を行なう形式の
   スキツドステア式産業車両において、前記制御レ
   バー側には、操作レバーによる制御レバーの揺動
   操作時には圧縮され、揺動操作の解放時には原位
   置に復帰するスプリングを備えた構成の中立保持
   用としての２個のニユートラルスプリングホルダ
   をそれぞれ配置し、それらニユートラルスプリン
   グホルダの一端を制御レバーと連結し、他端をエ
   ンジンまたは油圧ポンプと連結してなるスキツド
   ステア式産業車両。