JPS6316685Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、細長い巻芯の長さ方向の巻き幅の全
体にわたつて略均等に糸を巻き付ける糸巻き装置
に関する。

巻芯に糸を均等に巻き付けるには、巻取軸と平
行な経路の少なくとも一方向の行程を等速度で往
復走行する挿通案内に糸を通して巻芯の巻き幅の
全体に均等に配分する必要があり、従来は溝カム
等の直線運動機構を用いて糸の挿通案内を巻取軸
と平行に往復運動されるようになつていたが、こ
のような直線運動機構は構造が複雑で高価になる
ため、簡便な糸巻き装置には適さない欠点があつ
た。

本考案は、糸の挿通案内運動経路が完全な直線
でなくても巻芯に使用上差し支えない程度に略均
等に巻き付け得ることを実験的に確認し、糸の挿
通案内が疑似等速度直線運動を生ずる機構を採用
することにより、簡単な構造の糸巻き装置を提供
することを目的とするものである。

以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて
説明する。

図において、１は左右方向に細長いケースであ
つて、その中に水平に固定された基板２の下面中
央にモータ３がその出力軸４を上面に突出して固
定され、その両側に一対の縦軸５，６が回転自由
に支持されており、各縦軸５，６の上端に固定さ
れた等歯数の大歯車７，８が出力軸４に固定され
た小歯車９に噛み合つているとともに、第１図及
び第４図に示すように、各縦軸５，６の軸心Ａ，
Ｂを結ぶ直線ａの中点Ｃを中心として点対称をな
す各大歯車７，８の各軸心Ａ，Ｂから等距離偏心
した位置に一対の細長いリンク１０，１１の一端
が支持軸１２，１３によつて回転自由に支持さ
れ、各リンク１０，１１の他端はケース１の前面
に形成された窓孔１７から外側へ突出し、上下に
重合されて連結軸１４により互いに連結されてお
り、この連結軸１４の上端には環形の挿通案内１
６，１６を上下二段に曲成した針金１５が立設さ
れている。基板２の一側端からケース１の上面を
貫ぬいて立設された支柱１８の上端に前記直線ａ
と平行をなす水平な巻取軸１９が回転自由に支持
され、基板２の側部に回転自由に支持された垂直
な連動軸２１の下端部に固定された小歯車２２が
一側の大歯車８と、その上端に固定された傘歯車
２３が巻取軸１９に固定された傘歯車２０と夫々
噛み合つていて、巻取軸１９には４枚の弾性屈曲
片２５を有する２個の取付具２４，２４が固定さ
れ、截頭円錐形の巻芯２６が取付具２４，２４の
弾性変形により巻取軸１９に着脱自由に装着され
るようになつており、巻取軸１９の他端は、ケー
ス１の上面に立設されたブロツク２７の上面に凹
成された溝２８に嵌入して支持されている。この
ブロツク２７は、第３図に示すように、その下面
の一端部に円弧形の逃し面２９が形成されてい
て、同図の鎖線のように溝２８を中心として回動
することによりケース１の上面から取り外し、逆
方向に回動することにより両側の支持壁３８，３
９の間に滑り込ませてケース１上に取り付けるこ
とができて、巻取軸１９を取り付けたままで巻芯
２６の着脱ができるようになつている。また、ケ
ース１の後面にはブラケツト３０が水平に突設さ
れ、その上面に、先端に環形の挿通案内３２を形
成した針金３１、先端に挿通孔３４を形成したア
ーム３５及び軸３７を中心として回転する転向プ
ーリ３６が夫々取り付けられている。

なお、取付具２４，２４の弾性屈曲片２５の外
周面を粗面とし、または、粘着テープを貼着する
ことにより、巻芯２６との結合力が増大し、作動
中に巻芯２６が取付具２４，２４から外れるのを
確実に防止することができる。

次に、本実施例の作動を説明すると、第１図に
示すように、モータ３の駆動により小歯車９が反
時計方向に回転すると、両側の大歯車７，８が時
計方向に等速度で回転し、リンク１０，１１の大
歯車に対する支持溝１２，１３が、同図及び第４
図に示すように、前記した直線ａ上において互い
に最も接近しているときは、他端の連結軸１４は
の位置にあり、ここから大歯車７，８が夫々
45゜回転すると、連結軸１４は円弧形の経路ｂを
通つての位置に達し、さらに、135゜回転して支
持軸１２，１３が最も離間すると、支持軸１４は
く字形に緩やかに屈曲した経路ｃを通つての位
置に対し、さらに、135゜回転すると、支持軸１４
は経路ｃを通つての位置に達し、さらに、45゜
回転して支持軸１２，１３が元のの位置に戻る
のであり、しかも、経路ｃにおいて、大歯車８，
９の単位角度の回転に対する連結軸１４の直線ａ
と平行な方向の移動距離が全長にわたつて略一定
であることは第４図から明らかである。すなわ
ち、大歯車７，８が１回転すると、リンク１０，
１１の連結軸１４は直線ａと略平行な円弧形の経
路ｂとく字形の経路ｃを一巡し、経路ｂは大歯車
７，８の90゜回転の間に高速度で通過し、経路ｃ
は大歯車７，８の270゜回転の間に略一定の低速度
で通過する。また、一側の大歯車８と小歯車２２
の噛み合いにより連動軸２１が回転し傘歯車２
０，２３の噛み合いにより巻取軸１９が第３図の
時計方向に回転する。

そこで、図示しない糸巻きから繰り出された糸
ｄを、第３図に示すように、ケース１の後方に突
設した針金３１の先端の挿通案内２３に通し、次
いでアーム３５の挿通孔３４に通したのち転向プ
ーリ３６を回曲し、ケース１の上面を通してその
前方へ引き出し、リンク１０，１１の連結軸１４
に立設した針金１５の下段から上段の挿通案内１
６，１６に通し、巻取軸１９に装着した巻芯２６
の外周に下側から巻き付けて固定したのち、モー
タ３を起動すると、その糸ｂは、リンク１０，１
１の連結軸１４上の挿通案内１６が前記した経路
ｂ，ｃを循環走行することにより、挿通案内１６
が経路ｃを通るときは、第１図及び第２図におい
て、巻芯２６の左端から右端に向かつて細かいピ
ツチで巻き付けられ、経路ｂを通るときは右端か
ら左端に向かつて粗いピツチで巻芯２６に巻き付
けられるのであつて、細かいピツチで巻き付けら
れる経路ｃにおいて、挿通案内１６の巻取軸１９
と平行な方向の速度が略一定であるから、糸ｄは
巻芯２６の巻き幅の全体にわたつて均等に巻き付
けられるのである。

上記実施例によつて具体的に説明したように、
本考案の糸巻き装置は、一定間隔を置いて互いに
平行をなす２つの軸を中心として同方向に等速度
で回転する２つの回転体の各回転中心軸を結ぶ直
線の中点を中心として点対称をなす位置に一端を
軸支した２つのリンクの他端同士を各支持点から
等距離の位置で互いに連結してその連結部の付近
に糸の挿通案内を設けるとともに、前記直線と平
行に設けた巻取軸に巻芯を着脱自由に装着し、前
記挿通案内に通した糸を前記巻芯に巻き取る構成
としたことを要旨とするものであつて、糸の挿通
案内が巻取軸と略平行に等速度で走行するから、
糸が巻芯の巻き取り幅の全体にわたつて略均等に
巻き付けられ、しかも、その挿通案内の疑似等速
度直線運動を生じさせる構造が簡単であつて低コ
ストで製造される効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の一部切欠平面図、
第２図は第１図Ｘ−Ｘ線断面図、第３図は一部切
欠左側面図、第４図はリンク１０，１１の支持軸
１２，１３の15゜毎の回転に対応する連結軸１４
の移動軌跡をプロツトした平面図である。 １……ケース、３……モータ、４……出力軸、
５，６……縦軸、７，８……大歯車、９……小歯
車、１０，１１……リンク、１２，１３……支持
軸、１４……連結軸、１６……挿通案内、１９…
…巻取軸、２６……巻芯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一定間隔を置いて互いに平行をなす２つの軸を
   中心として同方向に等速度で回転する２つの回転
   体の各回転中心軸を結ぶ直線の中点を中心として
   点対称をなす位置に一端を軸支した２つのリンク
   の他端同士を各支持点から等距離の位置で互いに
   連結してその連結部の付近に糸の挿通案内を設け
   るとともに、前記直線と平行に設けた巻取軸に巻
   芯を着脱自由に装着し、前記挿通案内に通した糸
   を前記巻芯に巻き取る構成としたことを特徴とす
   る糸巻き装置。