JPS6314009Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関におけるシリンダブロツク
の下面に接合されるオイルパン内の潤滑油が、揺
れるのを阻止するための装置に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

一般に内燃機関におけるオイルパン内の潤滑油
は、潤滑油ポンプにて内燃機関における各種軸受
部又は動弁機構等に供給され、動弁機構に供給さ
れた潤滑油は、シリンダヘツドの上面室に集まつ
たのち、シリンダブロツクに形成したオイル落し
孔からオイルパンに戻るものである。

一方、オイルパン内における潤滑油の油面は、
自動車の振動及び／又は旋回によつて揺られるか
ら、この油面が前記シリンダブロツクにおけるオ
イル落し孔に向つて揺すられると、オイルパン内
の潤滑油がオイル落し孔を逆流し、シリンダヘツ
ド上面室からの潤滑油の戻りを阻害する現象が発
生する。また、最近の自動車において採用されい
るようにシリンダボアの軸線が傾斜するように搭
載した内燃機関においては、そのオイル落し孔を
最も低い個所に設けていることから、オイルパン
内の潤滑油がオイル落し孔を逆流する現象は一層
増大するのである。

そこで本件出願人は、実開昭58−12615号公報
においてオイルパンとシリンダブロツクとの接合
部からオイルパン内に向つて仕切板を突出し、こ
の仕切板にシリンダブロツク側からオイルパンへ
の方向へのみ開くようにした逆止弁を設けること
により、オイルパン内の潤滑油の揺れを抑制する
と共に、オイルパン内の潤滑油がシリンダブロツ
クにおけるオイル落し孔に逆流するのを阻止する
ことを提案した。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、このものは、シリンダブロツクとオイ
ルパンとの接合部に介挿した仕切板に対して、ゴ
ム製の弁板及び該弁板に対する受け板で構成され
る逆止弁をねじ又は鋲にて取付けたものであるか
ら、構造が複雑で部品点数及び組立工数が多く
て、製作費用が嵩むばかりか、取付けスペースが
増大して、オイルパンひいては内燃機関が大型に
なる欠点があつた。

本考案は、この先行技術のようにオイルパン内
に、逆止弁付きの油面揺れ防止手段を設ける際し
て、逆止弁に弁板を、シリンダブロツクとオイル
パンとの接合部に介挿されるガスケツトと一体的
に構成することにより、前記の欠点を解消するも
のである。

〔問題点を解決するための手段〕

このため本考案は、シリンダブロツクの下面に
ゴム製のリング状ガスケツトを介してオイルパン
を接合して成る内燃機関において、前記ガスケツ
トには、前記シリンダブロツクにおけるオイル落
し孔側の部分に可動弁板板を、オイルパン内に向
つて一体的に突出する一方、この可動弁板の上面
には、当該可動弁板に対する櫛歯状の受け板を配
設し、該受け板の基端部を、前記ガスケツトとシ
リンダブロツクとの間に挾持した構成にしたもの
であ。

〔考案の作用・効果〕

このように構成すると、オイルパン内における
潤滑油の油面が自動車の振動及び／又は旋回等に
よつて、シリンダブロツクにおけるオイル落し孔
に近付くように揺れた場合に、ガスケツトと一体
と可動弁板が潤滑油によつて櫛歯状の受け板に押
圧されて、オイルパン内の潤滑油がオイル落し孔
側に流れるのを前記可動弁板によつて阻止するか
ら、オイルパン内における潤滑油の揺れを抑制で
きると共に、オイルパン内の潤滑油がオイル落し
孔に逆流するのを確実に防止することができる。

一方、前記可動弁板は、オイルパンへの方向に
は自在に開くことができるから、オイル落し孔か
ら流下する潤滑油は、受け板のシリンダブロツク
側に溜ることなく当該受け板における各櫛歯間の
部分よりオイルパン内に流れ落ちることにより、
オイル落し孔からのオイルパン内への潤滑油の戻
りを阻害しないのである。

従つて本考案によると、シリンダブロツクにお
けるオイル落し孔からのオイルパン内への潤滑油
の戻りを阻害することなく、オイルパン内の潤滑
油が前記オイル落し孔に逆流すること防止できる
と共に、オイルパン内における潤滑油の動揺を抑
制することができるのであり、しかも本考案は、
前記可動弁板を、シリンダブロツクとオイルパン
との接合部に介挿したシール用のゴム製ガスケツ
トに対して一体的に構成したもので、前記先行技
術のように逆止弁を構成する弁板及び該弁板に対
する受け板を仕切板にねじ又は鋲にて取付けたも
のに比べて、構造が簡単であるから、部品点数及
び組立工数が低減して、極めて安価に提供できる
と共に、取付けスペースを縮小できて、オイルパ
ンひいては内燃機関の大型化を回避できる効果を
有する。

〔実施例〕

以下本考案を実施例の図面について説明する
と、図において１は、シリンダボアの軸線２を適
宜角度（θ）の傾斜状にした内燃機関を示し、そ
のシリンダブロツク３の下端には、ゴム製のリン
グ状ガスケツト４を介してオイルパン５が複数本
のボルト１３にて接合締結され、また、前記シリ
ンダブロツク３には、その下面側にシリンダヘツ
ド６における上面室７内の潤滑油を前記オイルパ
ン５内に導くためのオイル落し孔８が形成されて
いる。更に、前記シリンダヘツド６に対するシリ
ンダヘツドカバー１４には、ブローバイガスに対
する気液分離室１５と、ブローバイガスの抽出口
１６とが設けられている。

前記ゴム製のリング状ガスケツト４の周囲のう
ち前記オイル落し孔８側の部分における一部を、
シリンダブロツク３に密接する上側片４ａとオイ
ルパン５に密接する下側片４ｂとを有する断面内
向きコ字状に形成して、その下側片４ｂには、オ
イルパン５内に向つて突出する可動弁板９を一体
的に連接し、この可動弁板９の左右両端にはスリ
ツト溝１０，１０を刻設することより、当該可動
弁板９の先端が自由に動き得るように構成する。

この可動弁板９の上面には、複数個の櫛歯片１
１ａを有する受け板１１を配設し、この受け板１
１の周囲を、前記ガスケツト４における上側片４
ａと下側片４ｂとの間に介挿して、シリンダブロ
ツク３に対するオイルパン５の接合と同時に挟持
するようにする。

前記ガスケツト４における下側片４ｂと一体の
可動弁板９は、その上面側における受け板１１の
櫛歯片１１ａに密接しているので、オイルパン５
内における潤滑油の油面１２が、自動車の振動及
び／又は旋回等によつて、第１図に実線の略水平
の状態から二点鎖線のように傾いた場合、オイル
パン５内の潤滑油がオイル落し孔８側に流れるの
を、当該可動弁板９によつて阻止できる一方、前
記シリンダヘツド６の上面室７からオイル落し孔
８を介して受け板１１とオイル落し孔８との間の
部分に流下した潤滑油は、前記可動弁板９がオイ
ルパン５側には開くことより、オイルパン５内に
速やかに流出することになる。

なお、前記実施例は、ガスケツト４の周囲の一
部を上側片４ａと下側片４ｂとを有する断面内向
きコ字状に形成し、その上側片４ａと下側片４ｂ
との間に櫛歯片１１ａ付き受け板１１の周囲を挿
入した場合を示したが、第４図及び第５図に示す
ように、ガスケツト４の全周を上側片４ａと下側
片４ｂとを有する断面内向きコ字状に形成する一
方、複数個の櫛歯片１１ａを有する受け板１１を
リング状に形成して、該受け板１１の全周を断面
コ字状のガスケツト４における上側片４ａと下側
片４ｂとの間に挿入するようにしても良く、ま
た、ガスケツト４における上側片４ａは、受け板
１１の上面に対して焼き付けにより形成するよう
にしても良い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は内燃機
関全体の一部切欠断面図、第２図は第１図の−
視拡大断面図、第３図は第２図の−視拡大
断面図、第４図は別の実施例における第２図と同
じ個所の断面図、第５図は第４図の−視断面
図である。 １……内燃機関、３……シリンダブロツク、４
……ガスケツト、４ａ……上側片、４ｂ……下側
片、５……オイルパン、６……シリンダヘツド、
８……オイル落し孔、９……可動弁板、１１……
受け板、１１ａ……櫛歯片、１３……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツクの下面にゴム製のリング状ガ
   スケツトを介してオイルパンを接合して成る内燃
   機関において、前記ガスケツトには、前記シリン
   ダブロツクにおけるオイル落し孔側の部分に可動
   弁板を、オイルパン内に向つて一体的に突出する
   一方、この可動弁板の上面には、当該可動弁板に
   対する櫛歯状の受け板を配設し、該受け板の基端
   部を、前記ガスケツトとシリンダブロツクとの間
   に挟持して成る内燃機関オイルパン内の油面揺れ
   防止装置。